建設DXの必要性を感じていても、「何から始めればよいかわからない」「ツールを導入しても現場で使ってもらえない」と悩む企業は少なくありません。 建設業でDXが進まない背景には、人材や予算の不足だけでなく、従来の業務方法から抜け出せないことや、現場と経営層の認識の違いなど、さまざまな理由があります。 建設DXを進めるには、自社の課題を明確にしたうえで、現場の意見を取り入れながら段階的に取り組むことが大切です。
本記事では、建設業でDXが進まない7つの理由をはじめ、DXが求められる背景やメリット、具体的な進め方を取り上げます。活用できる技術・ツールや企業の取り組み事例もまとめているので、自社のDX推進にお役立てください。
建設DXとは
建設DXとは、デジタル技術を活用して建設業の業務の進め方や仕組みを見直し、生産性の向上につなげる取り組みです。DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、単にパソコンやアプリを導入することとは異なります。
たとえば、紙で管理していた図面や日報をクラウド上で共有すれば、現場と事務所の間で資料を受け渡したり、電話で内容を確認したりする手間を減らせるでしょう。建設DXでは、デジタル技術の導入そのものではなく、業務の進め方を改善し、現場や会社全体の生産性を高めることが目的となります。
建設DXのメリットや導入時の課題については、以下の記事でも詳しく取り上げています。
関連記事:建設DXとは?建設業がDXに取り組むメリットや導入の課題、事例を解説
建設業でDXが進まない7つの理由
建設業でDXが進まない理由には、人材やコストの不足だけでなく、現場の業務習慣や会社間の情報共有など、さまざまな課題があります。 主な理由は、以下の7つです。
- DXを担う人材を確保できない
- 導入コストを確保できない
- 現場のデジタル格差を埋められない
- 従来の業務方法から抜け出せない
- DXの目的を明確にできない
- 現場と経営層の認識を合わせられない
- 会社をまたぐ情報連携を統一できない
自社でDXが進まない原因を把握できるよう、それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
DXを担う人材を確保できない
建設業では、施工管理などの現場業務に精通し、デジタル技術も活用できる人材の確保が課題となっています。 建設DXを進めるには、単にITの知識があるだけでなく、工事の流れや現場での作業を理解し、どの業務にデジタル技術を取り入れるべきか判断できる人材が求められます。
たとえば、施工管理アプリを導入する場合、現場での報告方法や写真・図面の管理方法を把握していなければ、自社に合った運用方法を決めるのは難しいでしょう。 また、DXの専任担当者を置けず、現場監督や管理職が通常業務と兼任するケースもあります。日々の工事対応が優先されると、ツールの選定や導入準備が後回しになり、DXを進めたくても着手できない状況につながります。
さらに以下の記事では、建設業で人手不足が続く原因に加え、採用や人材育成に向けた具体的な対策を取り上げています。自社の人材確保や育成方法を考える際に有効なので、ご覧ください。
関連記事:建設業で人手不足が当たり前になっている要因は?具体的な対策と成功した事例
導入コストを確保できない
建設DXを進めるには、ツールの導入費用だけでなく、継続的な利用料や運用にかかる費用も考慮する必要があります。 たとえば、施工管理アプリを導入する場合、月額利用料に加えて、現場で使用するスマートフォンやタブレットの購入費用が発生することもあるでしょう。
さらに、社員への操作研修や既存データの移行など、導入準備にも時間と費用がかかります。 建設業では、資材価格や人件費の上昇が経営を圧迫する要因となっており、とくに資金に余裕のない中小企業では、新たな設備やシステムへの投資を慎重に判断せざるを得ません。
また、DXによる効果は、導入直後から売上や利益に表れるとは限りません。書類作成時間の短縮など、業務改善による効果を金額に換算しにくい場合もあり、費用に見合う成果が得られるか判断できず、導入を見送るケースも考えられます。
現場のデジタル格差を埋められない
建設現場では、社員の年齢やこれまでの業務経験によって、デジタル機器の操作に慣れているかどうかが異なります。全員が同じようにツールを使えるとは限らない点も、DXが進まない理由の一つです。 たとえば、工事写真をアプリで管理する場合、スマートフォンで撮影した写真をすぐに登録できる社員もいれば、保存先の選択や写真の分類に戸惑う社員もいるでしょう。
操作に慣れていない社員がいると、入力方法を教えたり、登録内容を確認したりする作業が発生します。現場では工事の進行が優先されるため、十分な操作支援を受けられないまま、使い慣れた方法に戻ってしまうことも考えられます。
その結果、一部の社員だけがツールを使用し、ほかの社員は紙や電話で報告するなど、情報の管理方法が統一されなくなります。社員ごとの習熟度に差がある状態では、会社全体でデジタル技術を活用することが難しくなるでしょう。
従来の業務方法から抜け出せない
建設業では、紙の図面や日報、電話、FAXなどを使った業務方法が長年続いており、新しい仕組みへの切り替えが進みにくい場合があります。 とくに、書類の提出方法や承認手順が従来のままでは、一部の業務をデジタル化しても効率化につながりません。
たとえば、日報をアプリで作成できるようになっても、上司の確認印をもらうために印刷するルールが残っていれば、紙での管理を続けることになります。 また、部署ごとに書類の管理方法が異なり、現場ではアプリ、事務所ではExcelを使うなど、同じ情報を別々に管理しているケースもあるでしょう。情報を転記する手間が残るだけでなく、修正内容が反映されず、部署間で記録が食い違うおそれもあります。
ツールを導入するだけでは、長年続けてきた業務手順や社内ルールまで変わるわけではありません。従来の方法を前提とした運用が残ることも、建設DXが進まない原因の一つです。
DXの目的を明確にできない
DXで何を改善したいのかが明確になっていないと、自社に必要なツールや取り組みを判断できません。 たとえば、「他社が導入しているから」「業界全体でDXが進んでいるから」という理由だけで施工管理アプリを選んでも、自社の課題に合っていなければ十分な効果は期待できないでしょう。
工事写真の整理に時間がかかっている会社と、工程変更の連絡に手間がかかっている会社では、優先して改善すべき業務が異なります。課題を整理しないまま複数の機能を導入すると、何から使い始めればよいのか現場が迷うこともあります。
また、目的が曖昧な状態では、導入後に成果を判断する基準も定まりません。作業時間や確認回数がどの程度減ったのかを把握できなければ、導入を継続するべきか判断しにくくなり、DXへの取り組みが停滞する原因になります。
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現場と経営層の認識を合わせられない
建設DXの導入にあたっては、経営層と現場の担当者で期待する効果や優先事項が異なる場合があります。 経営層は会社全体の生産性向上やコスト削減を重視する一方、現場では日々の工事を予定どおり進めることが優先されます。
そのため、経営層が将来的な効率化を期待していても、現場では新しい業務手順への切り替えを負担に感じる場合があるでしょう。 たとえば、経営層が報告業務の効率化を目的にアプリを導入しても、現場で必要な情報を入力しにくければ、かえって報告に時間がかかることもあります。
現場の意見を十分に聞かずに導入を決めると、使われない機能が増えたり、従来の報告方法が残ったりする原因になります。 経営層の方針と現場の実情がかみ合わないままでは、DXへの協力を得にくく、導入したツールも定着しません。
会社をまたぐ情報連携を統一できない
建設業では、一つの工事に元請会社や下請会社、協力会社など複数の企業が関わるため、情報共有の方法を統一しにくいという課題があります。 たとえば、元請会社が施工管理アプリで図面や工程表を共有していても、協力会社が同じツールを使用していなければ、メールや紙で資料を渡す作業が残ります。
図面が変更された際も、共有方法が異なることで、関係者全員に最新版が届いているか確認する手間が生じるでしょう。 また、複数の元請会社と取引する専門工事会社では、工事ごとに異なる施工管理ツールの使用を求められる場合もあります。
ツールごとに操作方法や入力項目が違えば、現場担当者は案件に応じて使い分けなければなりません。 各社で情報共有のルールが異なると、同じ内容を複数のツールに入力したり、必要な資料を探したりする作業が発生します。自社の業務をデジタル化しても、関係会社とのやり取りが従来のままでは、工事全体の効率化につながりにくいでしょう。
建設DXが求められる背景
建設業でDXが求められる背景には、人手不足や働き方改革への対応など、業界が抱える課題があります。 主な背景は、以下の3つです。
- 人手不足と高齢化が深刻化している
- 働き方改革への対応が必要である
- 技術・ノウハウの継承が課題となっている
それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。
人手不足と高齢化が深刻化している
建設業では、働き手の減少と高齢化が進んでおり、限られた人員で工事を進めるためにDXが求められています。 国土交通省の資料によると、2024年の建設業就業者数は477万人で、ピークだった1997年の685万人から大きく減少しました。また、55歳以上が36.7%を占める一方、29歳以下は11.7%にとどまっており、若い担い手の確保も課題です。
人員を増やすことが難しい状況では、現場監督が施工管理と並行して行う書類作成や写真整理などの業務が負担になりやすいでしょう。 限られた人数でも工事を円滑に進められるよう、デジタル技術を活用して日々の業務にかかる時間を減らすことが求められています。
働き方改革への対応が必要である
建設業では、長時間労働の是正と生産性の向上を両立するため、DXの必要性が高まっています。 2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、原則として時間外労働は月45時間・年360時間以内と定められました。2026年現在も、規制を守りながら工事を円滑に進めるための業務改善が求められています。
建設現場では、工事の進捗確認や書類作成に加え、事務所への移動や関係者との連絡にも時間がかかるものです。こうした業務が積み重なると、現場作業の終了後に事務処理を行うことになり、長時間労働につながりかねません。限られた労働時間で業務を進めるには、デジタル技術によって確認作業や事務処理の手間を減らし、働き方を見直すことが求められます。
なお、時間外労働の上限規制が建設業に与えた影響や、働き方改革に向けた具体的な課題については、以下の記事でも取り上げています。自社の労働時間や業務体制を見直す際の参考になるでしょう。
関連記事:建設業界の2024年問題とは?独自調査結果や事例をもとに課題、解決方法を解説
技術・ノウハウ継承の課題となっている
建設業では、熟練技能者の高齢化が進むなか、長年培われてきた技術やノウハウを次の世代へ引き継ぐことが課題となっています。 施工時の細かな判断や作業のコツは、経験豊富な職人が現場で直接教えることも多く、口頭での指導だけでは知識が十分に残らない場合があります。
ベテラン社員が退職すると、若手社員が過去の施工方法や判断の根拠を確認できなくなるおそれもあるでしょう。 たとえば、施工時の写真に作業手順や注意点を添えて保存しておけば、後から施工内容を振り返る際の資料として活用できます。
図面の変更履歴や過去の工事記録を蓄積することも、経験の浅い社員が業務を学ぶうえで役立ちます。 熟練者の経験だけに頼らず、技術やノウハウを社内に残していくためにも、デジタル技術による記録の蓄積と共有が求められているのです。
建設DXを推進するメリット
建設DXを推進すると、日々の業務を効率化できるだけでなく、人手不足による負担の軽減や現場の安全性向上にもつながります。 主なメリットは、以下の4つです。
- 業務効率化・生産性の向上
- 人手不足の負担軽減
- 情報共有の円滑化
- 安全性の向上
業務効率化・生産性の向上
建設DXを推進すると、これまで手作業で行っていた業務をデジタル化でき、作業時間の短縮や生産性の向上が期待できます。 たとえば、紙の日報を事務所に持ち帰って入力している場合、スマートフォンやタブレットから直接登録できる仕組みに切り替えることで、転記作業を減らせます。工事写真の整理や報告書の作成も、専用ツールを活用すれば効率化につながるでしょう。
また、工程の進捗状況や作業実績をデータとして管理することで、予定と実績の差を把握しやすくなります。遅れが生じている工程を早めに確認できれば、作業の順序や人員配置を見直す判断にも役立ちます。 書類作成などにかかる時間を減らし、施工の段取りや品質管理に時間を充てられることが、建設DXによる生産性向上のメリットです。
人手不足の負担軽減
建設DXは、人員をすぐに増やすことが難しい会社でも、限られた人数で業務を進めやすくする手段となります。 たとえば、複数の現場を担当する施工管理者は、それぞれの現場で進捗状況を確認したり、作業員への指示を出したりする必要があります。遠隔で現場の状況を確認できるカメラなどを活用すれば、現地に行かなければ把握できなかった情報の一部を、離れた場所から確認できるでしょう。
また、測量や施工にICT建機を活用することで、作業内容によっては従来より少ない人数で対応できる場合もあります。 人手不足の状況でも、一人の担当者に業務が集中するのを防ぎ、現場の負担を軽減できる点がメリットです。ただし、すべての作業をデジタル技術で代替できるわけではなく、業務に応じた活用が求められます。
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情報共有の円滑化
建設DXによって情報を一元管理すると、現場と事務所、協力会社の間で必要な情報を共有しやすくなります。 たとえば、図面や工程表をクラウド上で管理すれば、関係者が同じ資料を確認できるため、紙の書類を配布する手間を減らせるでしょう。図面に変更があった場合も、最新版を共有することで、古い情報をもとに作業を進めるリスクを抑えられます。
また、工事写真や現場からの連絡を一つのツールにまとめれば、電話やメールをさかのぼって必要な情報を探す手間も減らせます。担当者が不在でも、共有された記録から工事の状況を確認しやすくなる点も利点です。 関係者が必要な情報を適切なタイミングで確認できる環境は、伝達漏れや認識の違いによる手戻りの防止にもつながります。
安全性の向上
建設DXでは、デジタル技術を活用して危険な場所での作業を減らしたり、現場の安全管理を支援したりすることもできます。 たとえば、高所や立ち入りが難しい場所の点検にドローンを活用すれば、作業員が直接近づく機会を減らせるでしょう。危険を伴う場所での確認作業を一部代替できるため、墜落・転落などのリスク低減につながります。
また、現場の点検結果やヒヤリハットの情報をデジタルで記録・共有することで、過去に発生した危険な状況を振り返りやすくなります。同じような作業を行う別の現場にも注意点を共有できれば、事故の予防に役立つでしょう。 デジタル技術は安全対策を補う手段であり、現場での確認や安全教育に代わるものではありません。従来の安全管理と組み合わせることで、より安全な作業環境づくりが期待できます。
建設DXを進める5つのステップ
建設DXは、最初からすべての業務をデジタル化するのではなく、自社の課題を整理し、段階的に進めることが大切です。 具体的には、以下の5つのステップで取り組みます。
- 自社の課題を洗い出す
- DXの目的と目標を決める
- 現場の意見を取り入れる
- 小さな業務から導入する
- 効果を検証して全社へ広げる
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自社の課題を洗い出す
まずは、現在の業務を振り返り、時間や手間がかかっている作業を洗い出します。 現場監督や事務担当者など、業務に関わる社員から日々の困りごとを聞き取り、改善したい作業を整理しましょう。たとえば、以下のような課題が考えられます。
- 日報の内容を紙からExcelへ転記している
- 工事写真の整理や台帳作成に時間がかかっている
- 最新の図面を探すために、何度も担当者へ確認している
- 工程の変更を電話で一人ずつ伝えている
課題を洗い出す際は、単に困っている業務を挙げるだけでなく、どのくらいの頻度で発生し、誰に負担がかかっているのかも確認しましょう。 業務の実態を把握することで、優先して改善すべき課題を整理しやすくなります。
DXの目的と目標を決める
自社の課題を整理したら、DXによって何を改善したいのかを明確にします。 目的は「日報作成の負担を減らす」「図面の確認を効率化する」など、具体的な業務に結びつけて考えることがポイントです。そのうえで、取り組みの成果を判断できる目標を設定しましょう。 たとえば、日報の作成時間が1件あたり30分かかっている場合、「15分以内に短縮する」といった数値目標が考えられます。
目標を設定する前に現在の作業時間を把握しておけば、導入前後の変化も比較しやすくなるでしょう。また、決めた目的と目標は、経営層だけでなく現場の担当者にも共有します。何を改善するための取り組みなのかを明確にすることで、社内で同じ方向を向いてDXを進めやすくなります。
現場の意見を取り入れる
DXに使用するツールや運用方法を決める際は、実際に業務を行う現場の担当者の意見を取り入れましょう。 経営層や管理部門だけで導入を決めると、現場の作業手順に合わず、使いにくい仕組みになるおそれがあります。 たとえば、施工管理アプリを検討する場合、現場でスマートフォンから必要な情報を入力できるか、図面や写真を簡単に確認できるかなど、実際の操作を通じて確かめることが大切です。
また、操作に不安がある社員や、従来の業務方法を変えることに抵抗がある社員の意見も確認します。現場で困りそうな点を事前に把握しておけば、操作研修やサポート方法を検討する際にも役立つでしょう。 現場の声を反映したツール選びや運用方法の検討が、導入後の使いやすさにつながります。
小さな業務から導入する
ツールの導入は、対象となる業務や現場を絞り、小規模な運用から始める方法がおすすめです。 たとえば、施工管理アプリを導入する場合、最初は一つの現場で工事写真の管理だけに使用し、操作方法や業務の流れを確認します。いきなり全現場で複数の機能を使い始めるよりも、現場の混乱を抑えやすいでしょう。
運用を始める際は、利用する社員に操作方法を伝え、入力する内容や確認のタイミングなどのルールも決めておくことが大切です。操作で困ったときに相談できる担当者を設ければ、導入もスムーズに進むでしょう。小さな範囲で試すことで、使いにくい点や運用上の問題を早い段階で把握できます。本格導入に向けた調整もしやすくなり、ほかの現場へ展開する際の負担軽減にもつながるでしょう。
効果を検証して全社へ広げる
小規模な導入を始めたら、事前に設定した目標に対して、どの程度の効果が得られたのかを確認します。 たとえば、日報作成の効率化を目的とした場合は、導入前後の作業時間を比較すると、成果を把握しやすくなります。あわせて、現場の担当者に使い勝手を確認し、入力に手間がかかる部分や運用上の問題がないかも調べましょう。
期待した効果が得られなかった場合は、操作方法や業務手順を見直し、改善を図ります。一方、成果が確認できた取り組みは、ほかの現場や業務へ段階的に広げていくとよいでしょう。 導入後も定期的に利用状況や成果を確認し、運用を改善していくことで、一部の現場だけでなく会社全体でDXを活用できる体制につながります。
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建設DXに活用できる主な技術・ツール
建設DXに活用できる技術やツールには、施工管理アプリやBIM/CIM、ドローンなどがあります。業務の課題や改善したい内容に応じて、適切な技術を選ぶことが大切です。 代表的な技術・ツールは、以下の5つです。
- 施工管理アプリで情報を共有する
- BIM/CIMで3次元データを活用する
- ドローンで測量・点検を効率化する
- AIで業務を効率化する
- ICT施工で現場を省人化する
施工管理アプリで情報を共有する
施工管理アプリとは、工程表や図面、工事写真、日報などをスマートフォンやタブレットで管理できるツールです。 たとえば、現場で撮影した工事写真をアプリに登録すれば、事務所に戻らなくても写真を保存・共有できます。図面や工程表もクラウド上で管理できるため、関係者が必要な情報を確認しやすくなるでしょう。
また、チャット機能などを活用すれば、現場と事務所、協力会社の間で連絡を取りやすくなります。電話や紙でのやり取りを減らし、情報の伝達漏れや確認作業の負担を軽減できる点がメリットです。 施工管理アプリを含むクラウドサービスの主な機能や選び方については、以下の記事でも取り上げています。自社に合ったツールを検討する際の参考になるでしょう。
関連記事:建設SaaSとは?業務効率化できる主要機能、SaaSの選定ポイントなどを解説
BIM/CIMで3次元データを活用する
BIM/CIMとは、建物や土木構造物の形状や属性情報を3次元モデルで管理し、設計から施工、維持管理まで活用する取り組みです。 BIMは主に建築分野、CIMは主に土木分野で活用されてきた技術で、国土交通省では両者を「BIM/CIM」と総称しています。 たとえば、建物の柱や配管の位置を3次元モデルで確認すれば、平面図だけでは把握しにくい部材同士の干渉を事前に見つけやすくなるでしょう。
施工前に問題点を把握できれば、現場での修正や手戻りの削減につながります。 また、完成後の構造物の情報を維持管理に活用できる点も特徴です。設計段階で作成したデータを施工や維持管理にも引き継ぐことで、各工程での情報活用を進められます。
ドローンで測量・点検を効率化する
ドローンとは、遠隔操作や自動飛行によって上空から撮影や計測ができる無人航空機です。建設現場では、測量や構造物の点検などに活用されています。 たとえば、広い造成現場を上空から撮影し、取得した画像を処理することで、地形の3次元データを作成できます。地上での測量作業を一部減らせるため、作業時間の短縮につながるでしょう。
また、橋梁や建物の屋根など、高所の点検にドローンを活用すれば、足場の設置や作業員の立ち入りを減らせる場合もあります。人が近づきにくい場所の状況を確認しやすくなる点もメリットです。 ただし、ドローンの飛行には航空法などのルールが適用されるため、飛行場所や方法に応じた許可・承認などの確認が欠かせません。
AIで業務を効率化する
AI(人工知能)は、文章や画像などのデータを処理し、情報の整理や文書作成を支援する技術です。建設業では、施工管理に関わる事務作業などへの活用が考えられます。 たとえば、現場で記録した作業内容をもとに日報の下書きを作成したり、会議の議事録を要約したりする使い方があります。
工事写真の分類や確認を支援するAIもあり、手作業で行っていた業務の負担軽減が期待できるでしょう。 ただしAIが作成した文章や判定結果には、誤りが含まれる場合もあるため、施工状況や安全性に関わる情報は、担当者が内容を確認したうえで活用することが大切です。施工管理でのAIの具体的な活用方法や導入時の課題については、以下の記事でも取り上げています。自社の業務にAIを取り入れる際の参考になるでしょう。
関連記事:施工管理におけるAI活用とは?導入メリットと効果、活用事例、課題などを解説
ICT施工で現場を省人化する
ICT施工とは、ICT(情報通信技術)を活用して、測量から施工、検査までの作業を効率化する取り組みです。 たとえば、ICT建機を使えば、3次元の設計データをもとに、重機の位置や作業する高さを確認しながら掘削や整地を進められます。従来は作業員が行っていた丁張りの設置や高さの確認などを一部省略できるため、現場の省人化につながるでしょう。
また、施工した場所の高さや形状を3次元データで計測することで、出来形管理にかかる作業も効率化できます。少ない人数でも施工精度を確保しやすくなる点がメリットです。 ICT技術を活用した取り組み事例や導入時のポイントについては、以下の記事でも取り上げています。自社の現場でICT施工を検討する際の参考になるでしょう。
関連記事:建設業界のICT化とは?成功事例や導入のポイント、メリット・デメリットを解説
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建設DXを推進する際の注意点
建設DXでは、ツールを導入するだけでなく、現場で無理なく使い続けられる環境を整えることが大切です。 とくに、以下の3つの点に注意しましょう。
- 導入自体を目的にしない
- 現場の負担を考慮する
- 導入後の運用体制を整える
導入自体を目的にしない
建設DXを進める際は、新しいツールの導入そのものが目的にならないよう注意しましょう。 たとえば、施工管理アプリを導入して工事写真を保存できるようになっても、写真の整理や報告書の作成を従来どおり手作業で行っていれば、業務の負担は十分に減りません。アプリに写真を保存することが目的になってしまい、本来改善したかった業務が変わっていない状態です。
大切なのは、ツールを導入したかどうかではなく、実際の業務がどの程度改善されたかを確認することです。工事写真の整理にかかる時間や報告書の作成時間を導入前後で比較すれば、成果を具体的に把握できるでしょう。
期待した効果が得られない場合は、写真の分類方法や報告書の作成手順を見直すなど、当初の目的に沿ってツールの活用方法を改善することが大切です。
現場の負担を考慮する
建設DXでは、新しいツールの導入によって現場の負担が増えないよう、業務の状況に合わせた配慮が求められます。 たとえば、工事が集中する時期に新しいアプリの操作研修を実施すると、現場担当者が通常業務と研修の両方に対応しなければなりません。また、操作に慣れるまで時間がかかる社員もいるため、導入直後から全員に同じ使い方を求めるのは難しいでしょう。
導入時は、工事の進捗状況を踏まえて研修日程を調整し、操作方法を確認する時間を確保することが大切です。あわせて、よく使う機能をまとめた簡単なマニュアルを用意しておけば、現場で操作に迷った際にも役立ちます。 社員の習熟度や業務量に応じて導入を進めることで、通常業務への影響を抑えながら新しいツールを活用しやすくなります。
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導入後の運用体制を整える
建設DXを継続するには、ツールの導入後も適切に管理できる体制を整えておく必要があります。 たとえば、施工管理アプリの利用ルールが決まっていないと、現場ごとに写真の保存場所や報告方法が異なり、必要な情報を探しにくくなるおそれがあります。担当者の異動や退職によって管理方法が引き継がれず、運用が滞ることも考えられるでしょう。
こうした問題を防ぐには、利用ルールや操作手順を社内で共有しておくことが大切です。たとえば、工事写真の保存先やファイル名の付け方、日報の入力期限などを統一しておけば、現場ごとに管理方法が異なる事態を防げるでしょう。
また、新しく入社した社員には基本的な操作方法を学ぶ機会を設け、操作に困った際は社内の担当者へ相談できるようにするなど、継続的に利用できる体制を整えることも欠かせません。 また導入後の利用料や保守費用なども継続的に発生するため、運用に必要な予算を確保しておくことも必要です。
建設DXの取り組み事例
建設業の企業では、情報管理や情報共有の課題を改善する取り組みが進んでいます。次の3社の事例を紹介します。
- 成瀬電気工事株式会社|紙とデータの分散管理を改善
- 渡正配管工業株式会社|アナログな情報共有を改善
- 小野建沖縄株式会社|属人化と情報共有の課題を改善
成瀬電気工事株式会社|紙とデータの分散管理を改善
成瀬電気工事株式会社は、施工管理アプリ「ANDPAD」を導入し、図面や工事写真の一元管理、検査業務の効率化を実現した企業です。
導入前の富山支店では、紙の図面と工事写真を別々に管理していたほか、写真の整理方法も担当者ごとに異なっていました。そのため、複数人で現場を管理する際に情報を確認しにくく、写真の整理や図面との照合にも手間がかかっていたといいます。
ANDPADの導入後は、図面と写真を一元管理できるようになり、図面上にピンやメモを付けて作業箇所や是正内容を共有する運用に変更しました。事務所からでも現場の進捗状況を確認して指示を出せるようになり、現場への移動回数や関係者間の認識違いが減少しています。 さらに、照度測定ではBluetooth対応の測定器とANDPADを連携させ、測定結果を帳票へ自動で取り込む仕組みを導入しました。従来必要だった数値の読み上げや紙への記録、転記作業が不要となり、作業時間の短縮にもつながっています。
同社の事例は、情報の一元管理に加え、現場の作業手順に合わせてデジタル技術を活用することで、施工管理や検査業務の負担を軽減できたといえるでしょう。
出典:「使ってみる」が生んだ! 現場発のDX へのアプローチ
渡正配管工業株式会社|アナログな情報共有を改善
渡正配管工業株式会社は、施工管理アプリ「ANDPAD」を導入し、工事予定の共有や写真管理、日報作成などの業務を効率化した企業です。
導入前は、社内のホワイトボードで工事予定を管理しており、従業員が翌日の現場を当日朝まで把握できないこともありました。そのため、資材の準備や作業の段取りが遅れやすく、予定変更のたびに電話で連絡する手間も発生していたといいます。
ANDPADの導入後は、「ANDPADボード」を活用して工事予定をリアルタイムで共有できるようになりました。従業員が先の予定まで確認できるようになり、必要な部材を事前に発注するなど、主体的に準備を進められるようになっています。 さらに、工事写真の自動整理や図面・資料のペーパーレス化によって、事務作業の負担も軽減しました。紙の日報を表計算シートに転記する作業も、アプリへの入力と実績の自動集計に切り替えています。 こうした取り組みによって電話や移動、書類管理にかかる時間が減少し、粗利率が約10%向上したと報告されています。
情報共有のデジタル化が、現場の自主的な行動や経営面の改善にもつながった事例です。
出典:ANDPADボード運用で事前準備がスムーズに 従業員が主体的に動く組織へ
小野建沖縄株式会社|属人化と情報共有の課題を改善
小野建沖縄株式会社は、施工管理アプリ「ANDPAD」を活用し、業務の属人化や情報共有の課題を改善した企業です。
導入前は、特定の担当者が業務や情報を抱え込み、ほかの社員が必要な資料を確認できないことが課題でした。また、メールやLINE、社内共有フォルダなど複数のツールを併用していたため、古い図面をもとに施工図を作成し、手戻りが発生したこともあったといいます。
そこで同社は、2025年7月からANDPADの本格運用を開始し、最新の図面や資料を一元管理する仕組みを整えました。船積明細書もANDPAD上で共有することで、担当者以外でも入港予定や船便番号を確認できるようになり、残業時間の削減につながっています。 さらに、工事写真や日報を活用して進捗状況や残工事を把握できるようにしたほか、チャット機能による作業員の入場人数の報告もルール化しました。
その結果、現場の人員把握や安全書類の管理が改善され、現場代理人の負担も軽減されています。 運用の定着に向けては、若手社員がベテラン社員にアプリの使い方を伝える取り組みも進めています。同社の事例は、情報を一元管理するだけでなく、社員同士が協力して活用する仕組みを整えることが、属人化の解消や組織全体の業務改善につながることを示しています。
出典:「沖縄地方モデル」をANDPADで切り拓く。属人化解消と自走する組織づくりに向かって
建設DXの推進なら『ANDPAD』
建設DXを進めたいものの、「何から始めればよいかわからない」「現場で新しいツールが定着するか不安」と悩んでいる場合は、施工管理アプリ『ANDPAD』の活用がおすすめです。 ANDPADは、工程表や図面、工事写真などの現場情報をクラウド上で一元管理できる施工管理アプリです。スマートフォンやタブレットから必要な情報を確認できるため、現場と事務所の間で書類を受け渡したり、電話で進捗状況を確認したりする手間を減らせます。
また、チャットによる関係者間の連絡や、工程・作業予定の共有にも対応しており、情報伝達の遅れや認識のずれを防ぐうえでも役立つでしょう。紙や担当者ごとに分散していた情報をまとめることで、特定の社員に頼らず業務を進めやすい環境づくりにもつながります。 実際に、ANDPADを導入した建設会社では、工事予定の共有による事前準備の効率化や、図面・写真の一元管理による確認作業の負担軽減など、さまざまな業務改善が実現しています。
「自社と同じような課題を抱える会社が、どのようにDXを進めたのか知りたい」という方は、ANDPADの導入事例集をご覧ください。 導入前の課題や具体的な活用方法、導入後の成果を確認でき、自社で建設DXを進める際の参考になります。
ANDPADをご検討中の方向けに、各社が抱えていた課題、DX成功に至るまでの導入事例をまとめてご紹介しています。ゼネコン、設備工事、太陽光、注文住宅、リフォームなど、幅広い業種の事例をピックアップしています。
まとめ
建設業でDXが進まない理由には、推進人材や導入予算の不足、現場のデジタル格差、従来の業務方法からの切り替えの難しさなどがあります。 こうした課題を解決するには、まず自社の業務で時間や手間がかかっている部分を洗い出し、改善する目的を明確にすることが大切です。そのうえで、現場の意見を取り入れながら小規模に導入し、効果を確認して取り組みを広げていくとよいでしょう。
とくに、図面や工事写真の管理、工程予定の共有などは、施工管理アプリを活用することで効率化が期待できる業務です。 図面や工事写真の管理、工程予定の共有などは、施工管理アプリの活用によって効率化が期待できる業務です。日々の確認や整理にかかる手間を減らすことが、建設DXの第一歩につながります。
たとえば『ANDPAD黒板』では、スマートフォンで電子黒板付きの工事写真を撮影でき、撮影後の写真整理や写真台帳の作成まで効率化できます。工事写真の管理から業務を見直したい方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。


