建設現場の施工管理では、品質・原価・工程・安全の「4大管理」が基本とされてきました。しかし近年は環境規制の強化や働き方改革の推進を背景に、環境管理と労務管理を加えた「6大管理」の重要性が高まっています。
本記事では、6大管理の全体像と4大管理・5大管理との違いを整理した上で、各分野の業務内容と実践ポイントを解説します。管理項目どうしの優先順位や相互関係にも触れているため、現場で判断に迷う場面でも参考にしてみてください。
ANDPAD(アンドパッド)は、現場の効率化から経営改善まで一元管理するシェアNo1のクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。ANDPADの「サービス概要」「導入メリット・導入事例」「サポート体制」がわかる資料3点セットをご用意しています。
施工管理の6大管理とは
施工管理の6大管理とは、建設現場で求められる管理業務を6つの分野に分類した考え方です。品質や安全などの要素をそれぞれ独立した管理項目として扱い、相互に関連させながら現場全体を運営します。
ここでは基本的な考え方と、4大管理・5大管理との違いを整理します。
品質や工程などの6分野を総合的に管理する考え方
6大管理が対象とするのは、以下の6分野です。
- 品質管理
- 原価管理
- 工程管理
- 安全管理
- 環境管理
- 労務管理
いずれか1つだけを重視するのではなく、6分野のバランスを取りながら現場を運営する点が特徴といえます。 たとえば工期短縮を優先しすぎると、安全対策がおろそかになり品質低下やコスト増を招くおそれがあります。6つの管理項目を総合的に捉え、全体最適を目指す姿勢が施工管理の基本です。
4大管理・5大管理との違い
4大管理は品質・原価・工程・安全の4分野で、施工管理の基本として長く定着してきました。5大管理はそこに環境管理を加えたもので、建設リサイクル法や騒音規制法など環境関連法規の強化に伴い広まった考え方です。
6大管理はさらに労務管理を加えた整理になります。2024年4月から建設業にも適用された時間外労働の上限規制や、多様な人材の活用が求められる背景から、労務管理の重要性が増しています。
管理項目 | 品質管理 | 原価管理 | 工程管理 | 安全管理 | 環境管理 | 労務管理 |
4大管理 | ○ | ○ | ○ | ○ | — | — |
5大管理 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | — |
6大管理 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
【無料】『施工管理機能 編【ANDPAD機能活用事例集】』はこちら>>
1. 品質管理
品質管理とは、設計図書や仕様書で定められた品質基準を満たす建築物を完成させるための管理業務です。施工中の各工程で品質を確認・記録し、基準を下回る施工を未然に防ぎます。
品質管理の業務内容
品質管理では、使用する資材の検査、施工中の出来形確認、完成後の仕上がりチェックなどを行います。コンクリート打設時のスランプ試験や鉄筋の配筋検査など、工程ごとに定められた検査項目を実施し、結果を写真や記録で残す作業が中心です。
検査で基準を満たさない場合は、原因を特定して手直しや再施工を指示します。品質に関する記録は竣工後の検査や引き渡し時にも求められるため、日々の記録管理が欠かせません。
品質管理の実践ポイント
品質管理を確実に行うには、施工前に品質管理計画書を作成し、検査項目と合否基準を現場全体で共有しておくことが重要です。検査のタイミングを工程表に組み込んでおけば、確認漏れを防げます。
また、協力会社との事前打ち合わせで品質基準をすり合わせておくと、手戻りの削減につながります。品質トラブルは工期の遅延やコスト増加に直結するため、早期発見と迅速な対応を心がけましょう。
関連記事:施工管理の品質管理とは?業務内容や手順・必要なスキルを解説
関連記事:建設業の工事原価管理とは?概要や重要性、適切に工事原価管理するメリットを解説
2. 原価管理
原価管理とは、工事にかかる費用を予算内に収め、適正な利益を確保するための管理業務です。資材費・労務費・外注費などの原価を把握し、予算との差異を継続的にチェックします。
原価管理の業務内容
原価管理の基本は、実行予算の作成と実績との比較です。工事着手前に資材費・労務費・外注費・経費を項目ごとに見積もり、実行予算を策定します。施工中は日々の支出を記録し、予算と実績の差異を定期的に確認しましょう。
差異が生じた場合は原因を分析し、資材の調達先変更や工法の見直しなどで軌道修正を図ります。工事完了後には最終的な原価を集計し、次の案件の見積精度を高めるためのデータとして蓄積します。
原価管理の実践ポイント
原価管理で重要なのは、差異の早期発見です。月次ではなく週次で予算と実績を照合すると、超過の兆候を早い段階で捉えられます。また、資材価格の変動や追加工事の発生は原価を大きく左右するため、変更が生じた時点で実行予算を更新する運用が効果的です。
原価データを表計算ソフトや管理システムで一元化しておくと、複数の現場を横断した比較分析も可能になります。
関連記事:工程管理とは?建設業で重視される理由・チャート種類・管理方法などを解説
関連記事:安全管理とは?施工管理における重要性、建設現場での具体的な取り組みなどを解説
3. 工程管理
工程管理とは、工事を所定の工期内に完了させるためにスケジュールを計画・調整する管理業務です。作業の順序や所要日数を整理し、遅延が生じた場合は速やかにリカバリー策を講じます。
工程管理の業務内容
工程管理では、まず全体工程表を作成し、各作業の開始日・完了日・前後関係を明確にします。代表的な様式にはバーチャートやネットワーク工程表があり、工事の規模や特性に応じて使い分けます。 施工中は日々の進捗を工程表と照合し、遅れが出た場合は作業順序の入れ替えや人員の増強を行い、調整しましょう。天候不良や資材の納品遅延など、計画どおりに進まない場面への対応力が求められる業務です。
工程管理の実践ポイント
工程管理では、クリティカルパス(工期全体に影響する最長の作業経路)を把握しておくことが重要です。クリティカルパス上の作業が遅れると工期全体に波及するため、優先的に進捗を監視します。
また、天候リスクや資材調達の不確実性を見込み、あらかじめバッファ日数を設定しておくと、想定外の遅延にも柔軟に対応できます。工程表を協力会社と共有し、各社の作業予定を可視化しておくことも遅延防止に有効です。
関連記事:建設業の労務費とは?人件費との違いや計算方法、管理に使えるツールも解説
4. 安全管理
安全管理とは、建設現場で働くすべての人の安全を確保し、労働災害を未然に防ぐための管理業務です。6大管理の中でも最優先に位置づけられ、他の管理項目よりも常に優先して取り組む必要があります。
安全管理の業務内容
安全管理の業務は、作業開始前の危険予知活動(KY活動)や安全パトロール、安全衛生協議会の運営など多岐にわたります。具体的には、足場や開口部の墜落防止措置の確認、重機作業時の立入禁止区域の設定、保護具の着用状況チェックなどを日常的に実施します。
新規入場者への安全教育も重要な業務の一つです。万が一事故が発生した場合は、被災者の救護と二次災害の防止を最優先に行い、原因調査と再発防止策の策定まで担当します。
安全管理の実践ポイント
安全管理で最も大切なのは、危険を「見える化」する仕組みづくりです。朝礼時のKY活動で当日の作業に潜むリスクを全員で共有し、対策を確認してから作業を開始しましょう。 また、ヒヤリハット事例を記録・共有する運用を定着させると、重大事故の予兆を早期に把握できます。
工程が逼迫している場面でも安全対策を省略しない姿勢が求められます。安全を軽視した結果、事故が発生すれば工事の中断や行政処分につながり、工期・原価・品質すべてに悪影響を及ぼすためです。
【無料】『施工管理機能 編【ANDPAD機能活用事例集】』はこちら>>
5. 環境管理
環境管理とは、建設工事が周辺環境や自然環境に与える影響を最小限に抑えるための管理業務です。騒音・振動・粉じんへの対策から、建設廃棄物の適正処理まで幅広い領域を対象とします。
環境管理の業務内容
環境管理の業務は、大きく「周辺環境への配慮」と「自然環境の保全」に分けられます。周辺環境への配慮としては、騒音規制法や振動規制法に基づく測定・記録、防音シートや散水による粉じん対策、工事車両の走行ルート管理などがあります。
自然環境の保全では、建設リサイクル法に基づく廃棄物の分別・適正処理や、排水の水質管理が中心です。近隣住民からの苦情対応も環境管理の一環であり、事前の工事説明会の実施や連絡窓口の設置も求められます。
環境管理の実践ポイント
環境管理では、工事着手前に周辺環境の現況を把握し、想定されるリスクを洗い出しておくことが重要です。住宅地に近い現場では作業時間帯の制限や低騒音型機械の選定が有効な対策となります。
建設廃棄物については、分別の徹底とマニフェスト(産業廃棄物管理票)による追跡管理を確実に行いましょう。法令違反が発覚すると工事停止命令や罰則の対象となるため、関連法規の最新動向を定期的に確認する運用が欠かせません。
関連記事:施工管理の写真を撮影・整理・保管する方法|写真の種類や撮影の流れも解説
関連記事:工事現場の進捗管理を効率化するには?具体的な方法、ツール活用の成功事例も紹介
6. 労務管理
労務管理とは、現場で働く作業員の労働条件や就業環境を適切に管理する業務です。人員配置や労働時間の管理に加え、作業員の健康管理や技能者の確保・育成も含まれます。
労務管理の業務内容
労務管理では、日々の作業員の出面(でづら)管理、労働時間の記録、適正な人員配置の調整を行います。2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用されたため、36協定の遵守状況を把握しておく必要があります。 また、作業員名簿の作成・更新、社会保険の加入確認、有資格者の配置管理なども重要な業務です。
近年は外国人技能実習生や特定技能労働者の受け入れが増えており、多様な人材に対応した就業環境の整備も求められています。
参考:厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」
労務管理の実践ポイント
労務管理のポイントは、労働時間と人員配置の「見える化」です。出退勤の記録をデジタル化すると、時間外労働の累計を随時把握でき、上限超過を未然に防げます。
また、工程管理と連動させて翌週の必要人員を早めに算出し、協力会社と共有しておくと、人手不足による工程遅延を回避しやすくなります。繁忙期に特定の作業員へ負荷が集中すると体調不良や離職につながるため、作業量の偏りがないか定期的に確認しましょう。
ANDPAD(アンドパッド)は、現場の効率化から経営改善まで一元管理するシェアNo1のクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。ANDPADの「サービス概要」「導入メリット・導入事例」「サポート体制」がわかる資料3点セットをご用意しています。
6大管理の優先順位と相互関係
6大管理は独立した業務ではなく、互いに影響し合う関係にあります。現場では複数の管理項目が同時に動くため、優先順位の考え方と連動の仕組みを理解しておくことが判断の土台になります。
安全管理を最優先に全体のバランスを取る
6大管理の中で、安全管理は常に最優先です。品質や工期を理由に安全対策を省略すれば、労働災害の発生リスクが高まります。事故が起きれば工事は中断し、行政処分や社会的信用の失墜にもつながるため、結果的に工期・原価・品質のすべてが悪化します。
安全を確保した上で、工期と品質のバランスを取りながら原価を管理するという順序が基本の考え方です。現場で判断に迷った際は「安全を損なわないか」を最初の判断基準にしましょう。
1つのトラブルが複数の管理項目に波及する
建設現場では、1つの問題が連鎖的に複数の管理項目へ影響を及ぼします。たとえば長雨で工程が1週間遅れると、遅れを取り戻すために作業員の増員が必要になります。労務費と外注費が増加して原価を圧迫するでしょう。
さらに突貫作業による疲労は安全リスクを高め、急いだ施工が品質低下を招くおそれもあります。こうした連鎖を防ぐには、トラブル発生時に影響が及ぶ管理項目を洗い出し、対策の優先順位を決めてから行動に移す習慣が大切です。
【無料】『施工管理機能 編【ANDPAD機能活用事例集】』はこちら>>
施工管理の6大管理に関するよくある質問
本章では、施工管理の6大管理に関するよくある質問を解説します。
6大管理とは何ですか?
6大管理とは、建設現場の施工管理で求められる品質管理・原価管理・工程管理・安全管理・環境管理・労務管理の6分野を総合的に管理する考え方です。
従来の4大管理(品質・原価・工程・安全)に環境管理と労務管理を加えたもので、環境規制の強化や働き方改革の推進を背景に広まりました。
施工管理の5大管理項目は?
5大管理とは、4大管理(品質・原価・工程・安全)に環境管理を加えた5分野の管理体系です。
建設リサイクル法や騒音規制法などの環境関連法規が整備される中で、周辺環境や自然環境への配慮が施工管理の重要な業務として認識されるようになり、5大管理という考え方が定着しました。
施工管理の4大管理とは?
4大管理とは、品質管理・原価管理・工程管理・安全管理の4分野を指します。施工管理の基本として最も広く知られている分類で、QCDSと略されることもあります。
現在でも施工管理の土台となる考え方ですが、環境や労務への対応が求められる現場では5大管理・6大管理の視点も必要です。
未経験者はまず何から覚えればよいですか?
まずは安全管理の基本を身につけましょう。保護具の正しい着用方法や現場の危険箇所の把握は、自分自身の身を守るために最優先で覚えるべき知識です。
その上で、施工写真の撮影や日報の作成、工程表の確認といった補助業務を通じて、品質・工程・原価など他の管理分野の目的とつながりを学んでいくのが効果的な進め方です。
【無料】『施工管理機能 編【ANDPAD機能活用事例集】』はこちら>>
建設現場の6大管理をデジタル化するならANDPAD
6大管理を現場で確実に実行するには、情報の一元管理と関係者間のリアルタイムな共有が欠かせません。クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を活用すると、工程表・施工写真・報告書・図面などの情報をクラウド上に集約し、社内外の関係者といつでも共有できます。
工程変更は即座に担当者へ通知されるため、伝達漏れによる手戻りや手待ちの防止にもつながります。品質記録の写真管理や日報作成もスマートフォンから完結でき、現場とデスクワークの両立を効率化したい方はぜひ導入を検討してみてください。
【無料】『施工管理機能 編【ANDPAD機能活用事例集】』はこちら>>
ANDPAD(アンドパッド)は、現場の効率化から経営改善まで一元管理するシェアNo1のクラウド型建設プロジェクト管理サービスです。ANDPADの「サービス概要」「導入メリット・導入事例」「サポート体制」がわかる資料3点セットをご用意しています。
まとめ
施工管理の6大管理とは、品質・原価・工程・安全・環境・労務の6分野を総合的に管理する考え方です。従来の4大管理に環境管理と労務管理が加わった背景には、環境関連法規の強化や建設業の働き方改革があります。 6つの管理項目は互いに影響し合うため、安全管理を最優先に据えながら全体のバランスを取る視点が重要です。本記事で紹介した各分野の業務内容や実践ポイントを参考に、日々の現場運営に役立ててみてください。
『ANDPAD』なら、案件ごとのチャットで社内外の関係者へ指示や変更連絡を一括共有でき、電話やメールによる個別連絡の手間を削減できます。現場のコミュニケーションを効率化したい方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

