安全書類は、建設現場の安全を守るために必要な書類です。しかし、安全書類は種類が多いため、「どの書類が必要なのかわからない」という人も多いでしょう。この記事では、安全書類の目的や主要9種類、書式、保存期間などについて解説します。安全書類に関する知識を深めたい人は、参考にしてください。
安全書類(グリーンファイル)とは
安全書類は、建設現場の安全を守るために必要な書類で、グリーンファイルとも呼ばれます。工事の体制や作業内容、作業員などを把握するために作成されます。すべての現場で提出が必要なもので、着工前に作成・提出しなければなりません。計画的に準備し、必要書類や内容を把握しておくことが重要です。
安全書類の目的
安全書類の目的は、現場の安全を守るために、必要な情報をまとめて管理することです。これにより、万が一事故が発生した場合でも、迅速かつ適切に対応できます。作業員の緊急連絡先や作業内容が記載されているため、緊急時には迅速な対応が可能です。また、安全教育や訓練の記録を活用することで、労働者の安全意識を向上させる効果も期待できます。
安全書類の種類9選
安全書類の種類は、多岐にわたります。ここでは、主要なものをピックアップし、解説します。
作業員名簿
作業員の個人情報(氏名や住所など)を記載する書類です。元請が作業員の個人情報や雇用状況を確認するために欠かせません。
また、作業員の資格を確認する際も、重要な役割を果たします。例えば、溶接作業や電気工事を担当する作業員は、必ず資格証を提出しなければなりません。この書類は、一次請け以下の協力会社が作成するもので、契約内容に基づいて準備を進める必要があります。
工事安全衛生計画書
工事を安全に実施するための心がけや行動を示すための書類です。工程や工事期間を記載し、期間内に予測されるリスクをまとめます。工事責任者がリスクに対し、体制と段取りを検討し、全作業員に周知します。また、安全対策の詳細を検討するために、工事安全衛生計画書をもとに、関係者で話し合いを行うこともあります。
安全ミーティング報告書
現場での危険な作業と対策をまとめた書類です。万が一の事故時に、現場の安全管理を証明する資料になります。そのため、作成する際には、細かい部分まで確認することが大切です。また、安全ミーティング報告書は、危険予知(KY)活動とも呼ばれるため、あわせて知っておくとよいでしょう。
新規入場時等教育実施報告書
協力会社の作業員が安全衛生教育を受けてから、元請に実施を報告するために必要な書類です。「現場ルールを理解した」旨の証明になります。現場には毎日多くの作業員が出入りするため、各作業員に現場ルールを伝え了承を得る必要があります。新規入場時等教育実施報告書の「受講者氏名」欄には、作業員の署名をお願いしましょう。
持込機械等(移動式クレーン/車両建設機械等)使用届
クレーン車や重機などの建設機械を管理するために必要な書類です。該当車両の運転者の名前と必要な免許・資格を記入しなければなりません。そのため、作成する際には、資格証のコピーもあわせて準備しておきましょう。
持込機械等(電気工具・電気溶接機)使用届
作業で使う機械の安全性を管理するための書類です。使用する機械が定期的に点検されていることを証明するために用います。使用届を提出しないと、原則として機械の持ち込みができません。そのため、状況に合わせて忘れないように申請を行うことが大切です。
有機溶剤・特定化学物質等持込使用届
有害物や危険物使用時の申請書です。使用日時と材料を申請し、元請の作業許可を得る必要があります。工事条件をもとに作業時間が定められている場合も多いため、あらかじめ確認しておくべきです。
工事・通勤用車両届
現場に入場する工事車両をまとめるための書類です。特に大規模な現場では、多くの会社や車両が出入りし、渋滞や事故が発生する可能性があるため、この申請をもとに搬出入の時間が調整されます。また、通勤車の申請が必要な場合もあるため、工事現場ごとに必要な書類を確認しましょう。
火気使用届
現場で火気作業を行う際に提出する申請書で、火器の使用場所や方法、管理方法を記載します。火気作業には事故のリスクがあるため、元請への周知が求められます。作業日時と内容を申請し、元請の許可を得る必要があることに留意しておきましょう。
安全書類の書式
安全書類の書式は、地域や事業所によって異なり、決まった書式はありません。ただし、作業効率を向上させるため、公表されている書式を有効活用することをおすすめします。例えば一般社団法人全国建設業協会では「全建統一様式」という書式を出しています。
一方で、元請によっては独自の書式を使用している場合があります。その際は、指定された書式に従いましょう。
安全書類の保存期間
安全書類の保存期間は、建設業法で定められています。すべての書類、帳簿、図面などは、原則として5年間保管しなければなりません。また、施工体系図や完成図書、打ち合わせ記録は、建物引き渡し後、10年間保管することが求められています。
保管場所が必須であるものの、労働災害の発生時に、安全教育や健康診断のデータを確認することが、原因の特定や再発防止につながります。また、法的トラブルを防ぐためにも、適切に記録を保存し、必要な時にスムーズに確認できるようにしましょう。
安全書類を作成する際の課題
安全書類は、正確で最新の情報を集めて作成し、保存する必要があります。情報が古いと現場の安全が確保できず、事故のリスクが増加するため、注意しましょう。
また、前述したとおり、共通の書式がないことも課題です。「全建統一様式」を使えば統一できますが、すべての事業者が採用しているとは限りません。独自の書式を用いている場合は、二重で入力する手間が生じます。
まとめ
安全書類は、建設現場で安全を確保するために必要な書類で、着工前に準備・提出が求められます。主な書類には、作業員名簿や工事安全衛生計画書、安全ミーティング報告書などがあります。保存期間は建設業法で定められており、書類の管理が重要です。
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