斜線式工程表とは、施工位置と時間の関係を斜線で表す工程表です。トンネル工事や道路工事など、施工場所が移動する工事で活用されています。 一方で、「斜線の傾きや交差をどう読み取ればよいのか」「どのような手順で作成するのか」と疑問に感じる方もいるでしょう。
本記事では、斜線式工程表の特徴や見方、具体的な作り方をわかりやすく解説します。メリット・デメリットやほかの工程表との違い、工程管理を効率化する方法も取り上げるため、ぜひ参考にしてみてください。
斜線式工程表とは?
斜線式工程表とは、横軸に施工距離や区間、縦軸に日数などの時間を取り、作業の進み方を斜線で表す工程表です。「座標式工程表」とも呼ばれ、主にトンネル工事や道路工事など、施工場所が一定の方向に移動する工事で使われます。
斜線式工程表では、各作業の開始・終了時期と施工位置を線で結び、いつ、どの場所で作業を行うのかを表します。作業の進行速度や、複数の作業がどのような位置関係にあるのかを一枚の工程表で確認できるのが特徴です。 なお、斜線式工程表をグラフ式工程表と同じ意味で扱う資料もありますが、両者を区別する場合もあります。名称だけで判断せず、縦軸と横軸が何を表しているかを確認するとよいでしょう。
工程表には斜線式以外にもさまざまな種類があります。基本的な役割や種類について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:効率的な現場管理のための工程表とは?役割や種類、効果的な作り方などを徹底解説
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斜線式工程表の特徴
斜線式工程表は、作業を行う時期と施工位置を一枚の図で確認できる点が特徴です。主に以下の3つが挙げられます。
- 時間と施工位置を同時に把握できる
- 作業の進行速度を斜線で確認できる
- 複数作業の干渉を把握できる
時間と施工位置を同時に把握できる
斜線式工程表では、作業を行う時期だけでなく、施工位置も同時に把握できます。 たとえば、全長1,000mのトンネル工事で、掘削作業が10日目に200m地点、20日目に400m地点まで進む計画だとします。斜線式工程表なら、日付と施工距離を対応させて表示できるため、いつ、どの地点まで施工する予定なのかが明確です。
作業期間だけを示すバーチャートでは、20日目に掘削作業を実施していることはわかっても、400m地点まで進む計画かどうかは読み取れません。 施工位置を把握できれば、特定の区間で別の作業をはじめられる時期や、資材を搬入するタイミングを検討する際にも役立ちます。
作業の進行速度を斜線で確認できる
斜線式工程表では、斜線の傾きによって作業の進行速度を表せます。 たとえば、トンネルの掘削作業で10日間に200m進む計画なら、1日あたりの施工距離は20mです。一方、同じ200mを20日間かけて施工する場合は、1日あたり10mとなります。
縦軸を時間、横軸を施工距離とした工程表では、前者は水平に近い斜線、後者は垂直に近い斜線で表される仕組みです。 また、斜線の傾きが途中で変わる場合は、施工速度が変化する計画であることを示します。たとえば、地盤条件が悪い区間で掘削速度を落とす計画なら、該当区間の斜線の傾きも変わるため、ほかの区間との速度の違いがわかります。
複数作業の干渉を把握できる
斜線式工程表では、先行作業と後続作業の位置関係から、作業が重なる可能性のある箇所を把握できます。 たとえば、道路工事で舗装の下地を整える作業と、アスファルトを敷く作業を順番に進める場合です。後続の舗装作業が、先行する下地作業に追いつく計画では、同じ区間に作業員や重機が集中するおそれがあります。
両方の作業を斜線で表すと、線の間隔から作業同士が近づく区間を確認できます。ただし、斜線が近づいたり交差したりしても、必ず干渉が発生するわけではありません。 実際に作業が重なるかどうかは、使用する重機や作業スペースなども踏まえて判断することが大切です。
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斜線式工程表の見方
斜線式工程表を読む際は、縦軸と横軸の意味を確認したうえで、各作業の斜線を順番に追っていきます。基本的な確認手順は以下の4つです。
- 縦軸と横軸を確認する
- 斜線の始点と終点を読み取る
- 斜線の傾きから進行速度を読み取る
- 斜線の間隔や交差を確認する
縦軸と横軸を確認する
斜線式工程表を読む際は、最初に縦軸と横軸が何を示しているかを確認します。一般的には、縦軸が時間、横軸が施工位置を表す形式です。 それぞれの軸には、主に以下の情報が記載されています。
- 縦軸: 工事開始からの経過日数、施工日、週数など
- 横軸: 施工開始地点からの距離、施工区間、測点など
たとえば、横軸に「0m・100m・200m・300m」、縦軸に「1日目・5日目・10日目・15日目」とあれば、横方向が施工距離、縦方向が時間を示しています。 横軸に「No.10」「No.20」などと記載されている場合は、道路工事などで使われる測点を示している可能性があります。測点は施工位置を表す目印で、測点間の距離は工事の設定によって異なるため、図面などで確認する必要があるでしょう。
なお、工程表によっては縦軸と横軸が逆になっている場合もあります。まずは軸の名称と単位を確認し、時間と施工位置を取り違えないことが大切です。
斜線の始点と終点を読み取る
斜線の始点と終点からは、作業の開始・終了時期と施工区間を読み取ります。 たとえば、トンネルの掘削作業を示す斜線が「5日目・100m地点」から「15日目・300m地点」まで伸びている場合、以下の計画を表しています。
- 作業開始: 5日目、100m地点
- 作業終了: 15日目、300m地点
- 作業期間: 10日間
- 施工距離: 200m
読み取る際は、斜線の両端から縦軸と横軸に向かって、それぞれの数値を確認する方法が基本です。端点が目盛りの途中にある場合は、前後の目盛りを参考にして日数や距離を読み取ります。 ただし、図の左側や下側が必ず作業開始地点とは限りません。時間軸が進む方向を確認したうえで、始点と終点を区別しましょう。
斜線の傾きから進行速度を読み取る
斜線の傾きから施工速度を読み取るには、施工距離を作業日数で割って計算します。 たとえば、掘削作業が「5日目・100m地点」から「15日目・300m地点」まで進む計画なら、10日間で200mを施工することになります。 1日あたりの施工速度は、以下の計算で求められる仕組みです。
200m ÷ 10日 = 20m/日
一方、同じ200mを20日間かけて施工する場合、施工速度は10m/日となります。縦軸が時間、横軸が距離の工程表では、20m/日の作業のほうが水平に近い斜線です。 また、斜線が途中で折れ曲がっている場合は、施工速度が変わる地点を示している可能性があります。折れ曲がる前後で施工距離と日数を確認し、それぞれの速度を計算すると、どの区間で施工速度が変わるのかを把握できるでしょう。
斜線の間隔や交差を確認する
複数の斜線がある場合は、先行作業と後続作業が同じ施工位置に到達する時期を比較します。 たとえば、道路工事で路盤を整える作業が200m地点に到達するのが10日目、後続の舗装作業が同じ地点に到達するのが12日目なら、両作業の時間差は2日間です。 さらに、300m地点での時間差が1日間に縮まっていれば、後続作業が先行作業に近づいていると判断できます。 斜線同士の関係を読み取る際は、以下の3点を確認するとよいでしょう。
- 同じ施工位置での時間差: 先行作業から何日後に後続作業が入るか
- 同じ日時での位置の差: 作業同士が何m離れているか
- 斜線の交点: 2つの作業が同じ日時・施工位置に達する計画になっている箇所</li
斜線が交差する場合は、作業同士が同じ日時・施工位置に重なる計画になっているため、施工内容を確認する必要があります。ただし、交差しただけで必ず干渉が発生するわけではなく、作業範囲や使用する重機などを踏まえた判断が必要です。
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斜線式工程表の作り方
斜線式工程表は、工事区間と作業内容を整理し、時間と施工位置を示す軸に各作業の進行を描いて作成します。基本的な手順は以下の5つです。
- 工事区間と作業内容を整理する
- 縦軸と横軸を設定する
- 各作業の開始・終了位置を決める
- 作業の進行を斜線で描く
- 作業同士の間隔や干渉を調整する
工程表の基本的な作成手順や、作成時の注意点については、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:【建築業】工程表の書き方4ステップ|工程表の種類や作成する手段・注意点も解説
工事区間と作業内容を整理する
まず、工事全体の施工範囲を確認し、工程表に記載する作業を洗い出します。 たとえば、全長1,000mのトンネル工事であれば、起点から終点までの施工区間を確認したうえで、掘削や覆工などの作業を整理する流れです。覆工とは、掘削したトンネルの内側をコンクリートなどで覆う作業を指します。 作業を整理する際は、以下の項目を確認するとよいでしょう。
- 工事全体の起点と終点
- 工程表に記載する作業の種類
- 各作業を行う施工区間
- 作業を進める順序
- 先行作業が完了しないと着手できない作業
なお、すべての作業を斜線で表す必要はありません。施工位置がほとんど変わらない作業まで記載すると、線が増えて工程表が見づらくなるため、施工区間に沿って進む作業を中心に整理することがポイントです。
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縦軸と横軸を設定する
次に、工程表の縦軸と横軸を設定します。一般的には縦軸に時間、横軸に施工距離を取り、工事全体を収められる範囲に目盛りを設定する方法です。 たとえば、全長1,000m、工期100日の工事なら、以下のように設定できます。
- 縦軸: 0日目から100日目まで、10日間隔で目盛りを付ける
- 横軸: 0m地点から1,000m地点まで、100m間隔で目盛りを付ける
目盛りが粗すぎると、作業の開始時期や施工位置を正確に描きにくくなります。一方、細かすぎると数字が増えて見づらくなるため、工事の規模や管理したい期間に合わせて調整するとよいでしょう。 また、横軸を測点で表す場合は、測点間の距離が正しく反映されるように設定します。軸の名称と単位も忘れずに記載しておくことが大切です。
各作業の開始・終了位置を決める
軸を設定したら、作業ごとの開始日・終了日と施工位置を決めます。 たとえば、トンネル工事の掘削作業を「5日目に100m地点から開始し、15日目に300m地点まで進める」と計画した場合、以下の情報を整理します。
項目 | 設定内容 |
作業名 | 掘削 |
開始日 | 5日目 |
開始位置 | 100m地点 |
終了日 | 15日目 |
終了位置 | 300m地点 |
各作業の期間を決める際は、施工数量と1日あたりに進められる距離をもとに、必要な日数を見積もります。 たとえば、200mの区間を1日20mずつ施工するなら、単純計算で10日間です。ただし、実際の工事では休日や資材の搬入、設備の点検などで作業できない日もあるため、施工条件を踏まえて期間を設定する必要があります。
作業の進行を斜線で描く
各作業の開始・終了時期と施工位置が決まったら、工程表に斜線を描きます。 たとえば、掘削作業が「5日目・100m地点」から「15日目・300m地点」まで進む場合は、以下の手順です。
- 縦軸の5日目と横軸の100m地点が交わる位置に始点を打つ
- 縦軸の15日目と横軸の300m地点が交わる位置に終点を打つ
- 始点と終点を直線で結ぶ
- 斜線の近くに「掘削」と作業名を記入する
ほかの作業も同じ方法で描き、工程表にまとめていきます。 ただし、作業の進行速度が途中で変わる場合は、始点と終点を一本の直線で結ぶだけでは正確に表せません。速度が変わる地点にも点を打ち、区間ごとに線をつなぐと、実際の施工計画に沿った工程表になります。
作業同士の間隔や干渉を調整する
すべての斜線を描いたら、先行作業と後続作業の間隔を確認し、必要に応じて工程を調整します。 たとえば、道路工事で路盤を整える作業と舗装作業を順番に進める場合、後続の舗装作業が先行する路盤作業に近づきすぎると、同じ区間に重機や作業員が集中するおそれがあります。 工程表では、以下の点を確認するとよいでしょう。
- 先行作業が終わる前に後続作業が同じ場所へ入っていないか
- 作業同士に必要な時間差や施工距離を確保できているか
- 斜線が交差する箇所で、作業範囲が重ならないか
- 作業の開始時期や施工速度を変更しても、全体の工期に収まるか
問題が見つかった場合は、後続作業の開始日を遅らせたり、施工速度を調整したりして、作業同士の間隔を見直します。 ただし、斜線が交差しているだけで、必ず干渉が発生するとは限りません。使用する重機や施工方法なども確認し、実際に同時施工できるかどうかを判断することが大切です。
斜線式工程表が向いている工事
斜線式工程表は、施工場所が一定の方向に移動する工事に適しています。とくに、距離に沿って複数の作業を進める以下の工事で活用されます。
- トンネル工事
- 道路工事
- 鉄道・管路工事
トンネル工事
トンネル工事では、掘削や覆工など、坑口から奥へ向かって進む作業の工程管理に斜線式工程表が適しています。
たとえば、掘削作業を進めながら、掘り終えた区間で覆工コンクリートを施工する場合です。掘削が500m地点まで進んだ時点で、覆工が300m地点まで完了する計画なら、両作業の進行状況を施工距離と日数で表せます。
トンネル内は作業スペースや重機の通行経路が限られるため、掘削と後続作業の位置関係を把握しておくことが大切です。斜線式工程表を使えば、後続作業が先行作業に近づく時期や区間を確認でき、作業場所の調整にも役立ちます。
道路工事
道路工事では、路盤工や舗装工などを施工区間ごとに進める際に、斜線式工程表が役立ちます。
たとえば、全長2kmの道路を500mずつ4区間に分け、路盤の整備が終わった区間から舗装作業を進める場合です。各区間の着手日と完了日を斜線で表せば、どの区間で路盤工を行い、どこから舗装工をはじめるのかを整理できます。
また、道路工事では、交通規制を行う区間や期間を考慮する必要があります。施工位置と作業日程を対応させることで、交通規制の切り替え時期や、施工区間を移動するタイミングを検討しやすくなるでしょう。
鉄道・管路工事
鉄道工事や管路工事では、線路や配管の経路に沿って施工を進める場合に、斜線式工程表が活用されます。
たとえば、鉄道の軌道工事では、路盤の整備やレールの敷設などを施工区間に沿って進める場合があります。斜線式工程表なら、先行する路盤整備がどの地点まで完了したら、レールの敷設をはじめられるのかを確認できるのが特徴です。
一方、水道管などの管路工事では、掘削・管の敷設・埋め戻しといった作業を順番に進めます。各作業の施工位置と日程を斜線で表すことで、掘削した区間を長期間開放したままにしないよう、後続作業との進行状況を管理しやすくなるでしょう。
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斜線式工程表のメリット
斜線式工程表のメリットは、作業を行う場所と時期を一枚の図で確認でき、施工計画の調整や進捗管理に役立つことです。 主なメリットは、以下の6つが挙げられます。
- 時間と施工位置を同時に把握できる: いつ、どの区間で作業を行うのかを確認できる
- 作業の進行状況を視覚的に確認できる: 計画と実績を比較し、予定より進んでいる区間や遅れている区間を見つけやすい
- 作業の進行速度を把握しやすい: 斜線の傾きから、作業ごとの施工速度や区間による速度の違いを読み取れる
- 複数作業の間隔や重なりを確認できる: 先行作業と後続作業が、同じ区間に入る時期や時間差を確認できる
- 作業同士の干渉を把握しやすい: 作業が接近・交差する箇所を見つけ、施工順序や着手時期の見直しにつなげられる
- トンネルや道路など、施工位置が移動する工事を管理しやすい: 工事の進行に合わせて変わる作業場所を、日程と対応させて管理できる
たとえば、全長1,000mの道路工事で、路盤工と舗装工を順番に進める場合を考えてみましょう。 路盤工が予定より遅れた場合、工程表に実績の斜線を追加すれば、計画との差を施工位置ごとに確認できます。
さらに、後続の舗装工との間隔が縮まっていれば、着手日を変更するなど、作業が重なる前に対応を検討できるでしょう。 また、現場監督が作業員や協力会社に工程を共有する際にも役立ちます。
「来週はどの区間を施工するのか」「舗装工はいつから入れるのか」といった情報を、工程表上の位置と日付を示しながら伝えられるためです。 とくに、複数の作業班が施工区間を移動しながら作業する現場では、作業場所と日程を別々に確認する手間を減らせる点がメリットといえます。
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斜線式工程表のデメリット
斜線式工程表は、施工位置と時間の関係を把握しやすい一方で、作業の種類や工事の規模によっては使いにくい場合があります。 主なデメリットは、以下の5つです。
- 作業同士の複雑な依存関係を把握しにくい: 複数の作業がどのような順序や条件でつながっているのかを、斜線だけで表すのは難しい
- クリティカルパスを把握しにくい: 工事全体の完成時期を左右する一連の作業を、斜線式工程表だけで特定するのは難しい
- 施工位置が移動しない工事では特徴を活かしにくい: 建物内の設備工事など、同じ場所で複数の作業を行う場合は、施工距離を軸にした管理が適さないことがある
- 作業数が多いと斜線が増えて見づらくなる場合がある: 多くの作業を一枚に記載すると線が密集し、作業名や進行状況を読み取りにくくなる
- 工事によってはほかの工程表との併用が必要になる: 作業の前後関係や工期への影響を詳しく管理する場合は、ネットワーク式工程表などによる補完が求められる
たとえば、トンネル工事で掘削・覆工などの作業に加え、設備の設置や検査なども管理する場合です。斜線式工程表では各作業の施工位置と日程を表せますが、「どの作業が完了しなければ次の作業をはじめられないか」という条件までは、十分に表現できないことがあります。
また、クリティカルパスとは、遅れが工事全体の完成時期に直結する一連の作業のことです。斜線式工程表で個々の作業の遅れを確認できても、その遅れが最終的な工期に影響するかどうかは、別途確認する必要があるでしょう。
そのため、施工位置と時間の管理には斜線式工程表を使い、作業の依存関係や工期への影響はネットワーク式工程表で確認するなど、管理したい内容に応じた使い分けが効果的です。
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斜線式工程表とほかの工程表の違い
斜線式工程表とほかの工程表の主な違いは、管理する情報と適した用途です。斜線式工程表は施工位置と時間の関係を表すのに対し、ほかの工程表は作業期間や進捗状況、作業同士の前後関係などを把握するために使われます。
代表的な工程表の特徴を比較すると、以下のとおりです。
| 工程表の種類 | 主な特徴 | 斜線式工程表との違い |
| バーチャート工程表 | 作業ごとの開始日から終了日までを横棒で示す | 作業期間を把握しやすい一方、施工位置の移動は表しにくい |
| ガントチャート工程表 | 作業ごとの予定や進捗状況を横棒などで示す | 作業の進み具合を管理しやすいが、施工位置と時間の関係は把握しにくい |
| ネットワーク式工程表 | 作業同士の前後関係を矢印などで結び、作業の流れを示す | 作業の依存関係やクリティカルパスを把握しやすい |
| グラフ式工程表 | 時間の経過に対する出来高や進捗率などをグラフで示す | 作業量の変化を確認しやすいが、施工位置の把握には向かない |
曲線式工程表 (工程管理曲線・バナナ曲線) | 工事全体の累積進捗を曲線で示し、計画や管理基準と比較する | 工事全体の進捗状況を判断しやすいが、個々の作業位置はわからない |
たとえば、作業ごとの開始日と終了日を整理したい場合は、バーチャート工程表が適しています。一方、複数の作業がどのようにつながり、どの作業の遅れが工期に影響するのかを確認したい場合は、ネットワーク式工程表が有効です。
また、工事全体が計画どおりに進んでいるかを確認するなら、曲線式工程表が役立つでしょう。トンネル工事や道路工事のように、施工場所が移動する作業の日程と位置を管理したい場合は、斜線式工程表が向いています。
なお、工程表の名称や分類は資料によって異なり、バーチャートとガントチャート、グラフ式と曲線式が同じ種類として扱われる場合もあります。名称だけでなく、何を管理するための工程表なのかを確認して選ぶことが大切です。
工程表の種類ごとのメリットやデメリットを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:工程表5種類の特徴・メリット・デメリットとは|工程表の役割も解説
工程表を使った工程管理を効率化する方法
工程表を使った工程管理では、作成や修正だけでなく、関係者への共有や現場の進捗確認にも手間がかかります。作業を効率化するには、以下の3つの方法が効果的です。
- 工程表をデジタルで作成・修正する
- 最新の工程表を関係者で共有する
- 現場の進捗状況をリアルタイムで把握する
工程表を見やすく作成するコツや、ツール選びのポイントについては、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:見やすい工程表を作成するポイントとは?作成時の注意点やおすすめツールも紹介
工程表をデジタルで作成・修正する
工程表の作成や修正にかかる時間を減らすには、Excelや工程管理ツールを活用する方法があります。 手書きの場合、作業日程が変わるたびに線を引き直す必要があり、変更箇所が多いと工程表全体を作り直すこともあるでしょう。
一方、デジタルで作成すれば、日付や作業期間などを修正しやすく、変更前のデータも残せる点がメリットです。 とくに、斜線式工程表では、作業の開始日や終了日を変更すると斜線の位置も変わります。専用ツールを使う場合は、日程の変更に合わせて斜線を調整できるか、複数作業の表示に対応しているかを確認しておくと安心です。
なお、Excelでも図形やグラフを使って斜線式工程表を作成できますが、修正時に手作業で線を調整する場合があります。作業数や変更頻度を踏まえ、自社の運用に合った作成方法を選ぶことが大切です。
最新の工程表を関係者で共有する
工程表の変更内容を正確に伝えるには、現場監督や作業員、協力会社が同じ最新版を確認できる環境を整えることが大切です。 たとえば、雨天によって舗装作業を2日延期した場合、古い工程表を見ている協力会社が予定どおりに現場へ来てしまうおそれがあります。
紙の工程表を配り直したり、変更のたびに個別連絡したりする方法では、伝達漏れも起こりやすいでしょう。 クラウド上で工程表を管理すれば、関係者が同じファイルを確認しやすくなります。ただし、ファイルを保存するだけでは変更に気づかない場合もあるため、更新した日時や変更箇所をあわせて知らせる運用が効果的です。
また、古い工程表を誤って使用しないよう、最新版の保存場所を統一し、過去の工程表と区別して管理する方法もあります。
現場の進捗状況をリアルタイムで把握する
工程の遅れを早期に発見するには、現場の進捗状況をできるだけ早く把握できる仕組みが役立ちます。 たとえば、道路工事で300m地点まで路盤工を終える予定だった日に、実際には250m地点までしか進んでいなかった場合です。
予定と実績の差を当日中に把握できれば、翌日以降の作業計画を見直す判断につなげられます。 現場からの進捗報告に写真や施工数量を添えれば、事務所にいる担当者も作業状況を確認しやすくなるでしょう。スマートフォンやタブレットから情報を登録できるツールなら、現場で確認した内容を事務所へ戻ってから転記する手間も減らせます。
ただし、現場の状況が自動的に把握されるとは限りません。報告するタイミングや入力する項目を決め、最新の実績を工程管理に反映できる運用を整えることが大切です。
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工程管理の効率化なら『ANDPAD』
工程表の作成や修正、関係者への共有を効率化したい場合は、建設業向けの施工管理アプリ『ANDPAD』がおすすめです。 ANDPADの工程表機能では、工程表の作成・編集から共有までをクラウド上で行えます。現場監督や協力会社が同じ工程表を確認できるため、紙の配布やExcelファイルのメール送付にかかる手間を減らせるのが特徴です。 ANDPADの工程表機能を活用することで、以下のような業務の効率化が期待できます。
- 工程表の作成・修正を効率化: 工程の変更が発生した際も、デジタル上で日程を調整できる
- 最新の工程表を関係者で共有: 現場と事務所、協力会社が同じ情報を確認し、古い工程表による認識のずれを減らせる
- 工程管理に関する連絡の負担を軽減: 工程表を確認するための電話やメール、紙の配布を減らせる
たとえば、天候不良で作業日程を変更した場合も、工程表を更新して関係者に共有することで、変更内容を伝えやすくなります。工程表の修正や確認にかかる時間を減らせれば、現場の進捗確認や作業調整に時間を充てられるでしょう。
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まとめ
斜線式工程表は、施工位置と時間を斜線で表し、作業の進行状況や複数作業の位置関係を把握できる工程表です。とくに、トンネル工事や道路工事など、施工区間に沿って作業を進める工事に適しています。 作成する際は、工事区間と作業内容を整理し、各作業の開始・終了時期と施工位置を設定することが基本です。
斜線を描いた後は、作業同士の間隔や交差を確認し、必要に応じて工程を調整しましょう。 ただし、斜線式工程表だけでは、複雑な作業の前後関係やクリティカルパスを把握しにくい場合もあります。工事の内容や管理したい情報に合わせて、ほかの工程表と使い分けることが大切です。 また、現場の業務を効率化するには、施工管理アプリの活用も効果的です。
『ANDPAD黒板』では、電子黒板付き工事写真の撮影から写真の自動整理、写真台帳の作成までをまとめて行えます。工程管理だけでなく、工事写真の管理にかかる手間も減らしたい方は、ぜひ活用を検討してみてください。



