見積書とは、請負側が発注側へ提示する書類の1つであり、内容は品目名や個数、単価や取引条件など、契約や取引などに関する情報です。契約を締結する前に詳細内容を確認したり、契約の可否を判断したりするのに用いられます。
この記事では、エクセルで見積書を作る方法や注意点、見積書への記載事項や発送方法などを解説します。見積書に関する情報が知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
以下、工事見積書に記載すべき必要12項目など、さらに詳しく解説していますのでよろしければ合わせてご覧ください。
関連記事:工事見積書とは?記載項目・内訳や作成方法、諸経費の相場についても解説
見積書とは?
見積書とは、正式に契約を締結する前に用いられる書類です。基本的に請負側から発注側に対して提示される物であり、品目名や個数、単価や取引条件などの詳細な情報を記載しています。
そして、発注側は見積書の内容を確認することで、契約や取引の可否を判断します。取引相手からの信頼を得て交渉を円滑にする役目を担っており、取引に欠かせません。
見積書への記載項目や追加事項
見積書は、記載が必要な項目と任意で追加できる事項があります。ここからは、それぞれの詳細について解説します。
記載が必要な項目
見積書の形式に決まりはありませんが、以下の項目は記載が必要です。
記載事項 | 詳細 |
タイトル | 見積書やお見積もりなど、見積書であることを示す |
宛先 | 取引先の会社名や住所、担当者の名前などを記載する |
見積書番号 | 自社で見積書を管理する際に使う通し番号をつけておく |
発行日 | 見積書の発行日がいつか把握する、有効期限を設定するのに必要 |
提出者 | 見積書を発行する会社の社名や住所、担当者や電話番号などを記載する |
合計金額 | 税込みの合計金額を記載する |
件名 | プロジェクト名やサービス名があれば記載する |
有効期限 | 見積書がいつまで有効かを示す |
見積明細 | 商品名や単価・数量など商品やサービスの詳細な項目を記載する 小計/消費税/合計金額:小計や消費税額、合計金額などを記載する他、必要に応じて、消費税率ごとの合計金額を記載する |
備考 | その他の取引条件や補足などを記載する |
必要に応じて追加する事項
見積書の目的や用途に合わせて、任意で事項を追加することもあります。追加で記載されやすい事項は下記の通りです。
記載事項 | 詳細 |
繰越金額 | 入金と請求の間に差額が出た際に繰越金額を記入する欄 |
値引き | 値引きへの対応を記入する欄 |
源泉徴収 | 取引先が法人ではなく、個人事業主の際は必要に応じて追加する |
承認欄 | 上司からの承認が必要な際などに用いられる |
印鑑・角印 | 見積書への押印は原則不要だが、社内の規則等への対応が必要な場合に欄を設ける |
インボイス制度に必要な事項
インボイス制度は適格請求書等保存方式とも呼ばれ、2023年10月1日から適用される制度です。インボイス制度は主に請求書に適用される制度ですが、見積書もインボイス制度に合わせた作りにすることをおすすめします。なぜなら、見積書を参照して請求書が作られたり、契約書類として見積書がそのまま使われたりするためです。
インボイス制度により明記が必要になる内容は、適格請求書発行事業者の登録番号と税率毎の消費税額および適用税率です。
また、インボイス制度に切り替わる前に実施されていた、軽減税率における区分記載請求書等保存方式における追加事項も、引き続き対応が必要になります。具体的には、軽減税率の対象品目の明記、税率毎の合計対価額の記載です。
見積書を発行する際の注意点
見積書を発行する際は、いくつか注意するべき点があります。代表的な注意点として、下記の5つが挙げられます。
有効期限を記載する
見積書を発行する際の注意点として挙げられるのが、有効期限を記載することです。時間が経つと原材料費の高騰や各種コストが変動する可能性があり、提供金額や取引条件の変更が必要になる場合があります。
しかし、見積書に有効期限を記載しておけば、提示している金額や条件が変わる可能性があることを明示できます。赤字発注とリソース不足を防ぐためにも、有効期限の記載は重要です。
取引条件を記載する
取引条件は明確に記載しましょう。なぜなら、契約の可否が検討しやすくなる他、認識の相違によるトラブルを防ぎやすいからです。
取引条件が分かりやすいと、相手からの印象が良くなり信頼を得やすくなります。加えて、取引がスムーズに進んで効率的に進められるようになるのも特徴です。
税込・税抜金額は両方記載する
見積書に、消費税や税込価格などを分けて記載する義務はありません。しかし、税込・税抜金額は両方記載した方がよいとされます。税抜の金額しか記載していないと、取引先が実際に支払う金額が分かりづらく、不親切な印象を与えてしまうでしょう。
また、税抜きだと思っていた金額が税込みだったなど、認識の相違によるトラブルの発生を予防するという観点でも、税込・税抜金額は両方記載するべきです。
支払いや納期についても記載する
支払いに関する期限や方法、納期などについて記載することも、見積書を発行する際の注意点として挙げられます。情報をオープンにすることで、取引相手が契約について検討しやすくなったり、信頼を得やすくなったりします。
支払いや納期についても記載する場合は備考欄に記入しましょう。なお、支払い期限や支払い方法、納期の記載自体は必須ではありません。
訂正する場合は再発行する
見積書の記載事項に誤りがあった場合は注意が必要です。見積書の内容を修正したり訂正したりする際は、原則として再発行による対応になります。
手書きで直接的に修正や訂正をするのは好ましくないですが、再発行自体は義務ではありません。そのため、取引相手から了承を得られれば、二重線を引くことで訂正とし、訂正印を押す場合もあります。
エクセルで見積書を作る方法
見積書は決まった形式がないため、エクセルで作ることも可能です。ここからは、エクセルによる作成方法について解説します。
テンプレートを活用する
エクセルで見積書を作る際は、テンプレートの活用がおすすめです。エクセル用の見積書テンプレートはさまざまな種類が公開されているため、自分の目的や用途に合わせて柔軟に選択できます。
また、テンプレートはそのまま使う以外にも、必要に応じて項目の削除や追加などをして使うことも可能です。
1から様式を作る
エクセルはレイアウトや計算式、書式設定などを自由にカスタマイズできるため、自分の目的や用途に合わせて1から様式を作ることもできます。デザインの自由度が高いため、自社のブランドイメージに合った見た目の見積書を作れるのも利点です。
各種エクセルの機能やマクロなどを活用すれば、見積書の自動化も図れるため業務効率の改善にも役立つでしょう。
エクセルで見積書を作る際の注意点
エクセルで見積書を作る際は、いくつか注意するべき点があります。具体的な注意点とそれぞれの詳細は下記の通りです。
入力ミスの発生に気をつける
エクセルで見積書を作る際の注意点として、入力ミスの発生が挙げられます。見積書は文字・数字などを記入する箇所が多く、調整が必要な部分も多々あります。そのため、手入力で見積書を作成する場合は、入力する内容の誤りや記入漏れに注意しましょう。
内容の誤りは、見積書の再発行・訂正などの要因となり効率や生産性の低下を招きます。さらに、取引相手からの印象も悪くなってしまうため、入力ミスには細心の注意を払いましょう。
形式や項目を統一する
見積書の作成を個別に任せている際は、一定の形式や項目へ統一するように指示しましょう。なぜなら、担当者によって見積書の仕様が変わると、さまざまなデメリットが発生するからです。
取引相手にとっては、担当が変わる度に内容を再度確認する作業が必要になり、負担となってしまいます。また、社内で管理するにあたっても、様式がバラバラだと確認作業に時間がかかり、効率的とは言えません。
エクセルで作成した見積書の送り方
エクセルで作成した見積書は、さまざまな方法で相手に送付できます。ここからは、3つの送付方法について解説します。
郵送で書類を送る
エクセルで作成した見積書をプリントアウトすれば、書類として郵送できます。郵送する場合は見積書と一緒に送付状を入れるのが一般的です。封筒は、表面の右下に赤色や青色で見積書在中と書き、その文字を長方形で囲みましょう。
また、見積書は信書に該当するため、メール便ではなく普通郵便・レターパック・スマートレターなどを利用しましょう。
電子メールなどで送る
見積書をPDFファイルといった形式に変換すれば、電子メールなどに添付して送れます。見積書であることが分かる件名にしたり、どの案件に関する見積書なのか明示したりすると、スムーズなやり取りに繋がります。
しかし、見積書は取引における重要な情報であり、第三者への流出は問題に発展しかねないため、誤送信には注意しましょう。
専用のツールを使って送る
受発注関連の作業に関する専用ツールの場合、取引相手に見積書を送れる機能が備わっていることが一般的です。見積書に限らず、納品や請求など受発注に関する一連の書類のやり取りにも対応していれば、スムーズな取引を実現できます。
また、経理担当者へ情報共有が可能なツールやアプリなら、営業と経理の連携強化による業務の効率化も狙えるでしょう。
まとめ
見積書は、形式やデザインなどに決まりがなく、目的や用途に合わせて自由に作ることができます。しかし、作成する際に用いられやすいエクセルは、内容の誤りやミスが発生しやすかったり、複数人で扱う際の管理が難しかったりするなど、デメリットもあります。そこでおすすめしたいのが、専用ツールによる効率的な見積書作成です。
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※本記事は2023年11月27日時点の法律に基づき執筆しております。