近年は工務店DXの導入が進んでいるものの、DXがどのようなものかわからず、導入をしていない企業も少なくありません。この記事では、工務店DXの基本情報から導入が必要な理由、メリット・デメリット、成功させる行動指針まで解説します。自社への導入に興味のある人は、ぜひ参考にしてください。
工務店DXとは?
工務店DXとはデジタル技術を活かし、業務の効率化や生産性の向上、新たな価値の創出を目指す取り組みです。工務店DXの具体例として、施工管理のデジタル化が挙げられます。システムを活用した施工管理によって、書類作成や情報共有、進捗管理などを効率化できます。
工務店DXによる業務効率の向上が、顧客満足度の向上や競争力の強化につながり、変化の激しい市場環境に適応する新しい価値を創出できるでしょう。
工務店DXの導入・推進が必要な理由
工務店DXの導入と推進が求められている、5つのおもな理由について解説します。
人手不足・人材不足を解消するため
現在の建設業界は、人手不足・人材不足が深刻化しています。そのため、従業員1人あたりの負担が増えて、対応の遅れや長時間勤務といった問題が生じています。DXの導入によるデジタル技術の活用で業務を効率化することで、従業員1人あたりの負担が減り、人員を増やさなくとも対応可能です。
オンライン化を進めるため
新型コロナウイルス感染症の流行が拡大していた時期は、営業活動が大きく制限されて、多くの人がリモートワークに移行しました。オンライン商談が増加したことで、オンライン化に対応できなければ、顧客のニーズに応えられないという状況が続きました。
現在も、打ち合わせを対面からオンラインに切り替えたり、訪問回数を減らしたりしているケースが少なくありません。オンライン化を進めるためには、業務フローやシステムの見直しが重要です。
顧客のニーズに合わせるため
インターネットやSNSが普及したことで、顧客の購買行動や企業とのコミュニケーション手段が多様化しています。工務店がDXを導入すると、遠方に住んでいる顧客も時間や手間をかけずに取引を進められます。それにより顧客の利便性が高まり、顧客満足度も向上します。
また、顧客情報をデジタルで管理することで過去の取引内容が確認しやすくなり、個々の顧客に合わせた丁寧な対応ができるようになります。
「2025年の崖」に対応するため
「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が「DXを推進できない場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と指摘した問題です。日本企業がDX戦略を進めなければ、世界における競争力が弱くなってしまうことを意味しています。
時代遅れになった既存システムを放置すると企業の競争力が弱まり、顧客対応の質が悪化する可能性があります。2025年の崖を乗り越えるためにも、早い段階からDXを導入し、活用することが重要です。
資材の高騰や市場の変化に対応するため
2021年の初め頃から、ウッドショックや世界情勢の変化により、資材などの物価が高騰しています。そのため、新築着工戸数が減少し、市場全体が縮小する傾向にあります。このような問題を解決するには、建材費以外のコストを抑えなければなりません。特に働く人の生産性向上はコストダウンに直結するため、DXの導入による業務の効率化は、人件費の削減につながります。
工務店DXのメリット
工務店DXには、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。
業務効率化を図れる
工務店がDXを導入するメリットとして、業務の効率化が挙げられます。デジタルツールを活用することで、情報の更新や共有、書類の作成など、1人あたりの業務負担が減り、対応の遅れ、漏れといったトラブルが防げます。また、多くの案件を抱えている従業員のストレスも軽減されて、やる気や満足度の向上につながるでしょう。
顧客満足度を高められる
工務店DXの導入は、顧客満足度の向上につながります。オンラインでの打ち合わせができるようになり、遠方に住む顧客とも、時間や手間をかけずに取引を進められます。また、顧客管理ツールを導入すると、顧客とのやり取りが記録できることから、ニーズや要望に沿った提案で信頼関係を築けるでしょう。
コスト削減を実現できる
デジタルツールを活用することで、資材管理や工程調整などの管理がしやすくなり、コストの削減が可能です。資材管理ツールの導入により、資材の在庫を正確に把握できて、無駄な発注も防げます。また、現場管理ツールを活用すれば、スケジュールを最適化できるため、遅延やコストの増加を防げます。
利益や生産性を高められる
顧客管理システムがあれば、顧客との打ち合わせをスムーズに進められます。対面で打ち合わせをする前に、オンラインやビデオ通話でヒアリングをしておくと、より細かなニーズに応えられたり、時間を短縮できたりします。従業員においても、場所や時間の制約が少なくなるため働きやすい環境となり、離職率の低下につながるでしょう。
新規顧客を獲得できる
DXの導入は、新規顧客の獲得にもつながります。近年は、見込み顧客の多くは事前にインターネットで情報を収集します。公式サイトやSNSなどに、自社の情報を公開することで、さらに認知度が高まるでしょう。また、オンラインでの商談が可能になれば、外出が難しい方や、遠方から引っ越してくる方が新規顧客となる可能性があります。
工務店DXのデメリット
工務店DXには多くのメリットがあるものの、デメリットもあります。ここでは2つのデメリットについて解説します。
導入や維持にコストがかかる
DX化を進めるにはデジタルツールやシステムの導入が必要になり、導入や維持にコストがかかります。また、導入初期はツールの操作や業務フローに慣れていないため、業務効率が下がる可能性もあります。導入のメリットを実感できるまでに時間がかかる場合もあるため、経営戦略が立てにくいというデメリットもあります。
従業員からの反対が起こり得る
DXの導入に対して、従業員から反対が起こる可能性があります。従来の仕事の進め方ややり方に慣れている従業員は、DXの導入を手間に感じて、反対の声をあげるかもしれません。DXを導入する際は、あらかじめ導入の目的やメリットを説明し、操作方法の説明や研修を実施して、従業員の理解を得ることが重要です。
工務店DXを成功させるための4つの行動指針
工務店DXを成功させるために必要となる、4つの行動指針について解説します。
1. Web集客に力を入れる
DXは、業務の効率化だけではなく、Web集客にも活用しましょう。顧客が求めている情報をわかりやすく伝える手段として、SNSやホームページの強化を図ります。具体的には、動画を活用したコンテンツの投稿、顧客が知りたい情報をまとめたコラム記事の掲載、PDF資料をスマートフォンの画面サイズに変更するといった方法があります。
2. 顧客管理システムを導入する
顧客管理システムの導入により情報を一括管理できるため、業務効率が向上します。商談の状況、顧客情報、見積り、顧客との連絡状況といった業務内容を社内で共有できるため、業務の属人化防止になります。また、過去に記録した顧客の情報も引き継げるため、担当者が変わってもスムーズに対応できるでしょう。
3. オンラインでの打ち合わせを実施する
オンラインでの打ち合わせは、インターネット環境があれば、場所を選びません。直接会う打ち合わせは、準備や移動に時間と手間が発生します。オンラインで気軽に打ち合わせができると、訪問営業で発生していた移動時間や交通費などのコストを削減できます。また、打ち合わせ回数を増やすことで業務効率化も期待できます。
4. VR展示場を導入する
VR展示場を導入することで、自宅に居ながら実際に展示場にいるような見学ができます。特に新型コロナウイルス感染症の影響で来場数が減り、現在も集客しにくい住宅展示場に有効です。また、VR展示場であれば、来場ができない方にもアプローチができます。事務所と展示場の距離が離れている場合の移動時間も削減できます。
工務店DX導入の成功事例
工務店DXの導入により、業務効率化や顧客満足度向上を実現した企業が増加しています。ここでは、実際にANDPADを活用してDXを成功させた工務店の事例を紹介します。
「情報共有を一元化し、現場への移動時間を削減。品質向上に取り組む時間を確保」株式会社石山工務店様
北海道旭川エリアで注文住宅やリフォーム事業を展開する株式会社石山工務店では、お客様の要望にとことん応えるという方針により、情報伝達ミスによるクレームや従業員の残業時間増加が課題となっていました。営業・設計・現場の情報共有が口頭やFAXに頼っており、仕様変更が現場に伝わらないまま施工が進むといった問題が発生していました。
ANDPAD導入後は、関係者全員がリアルタイムで情報を確認できる環境が整い、情報伝達ミスが大幅に減少しました。現場訪問の回数も削減され、その分の時間を見積作成や品質向上のための取り組みに充てられるようになっています。結果として、受注スピードが向上し、お客様により高品質なサービスを提供できる体制が実現しました。
「図面管理と工程調整をデジタル化し、手戻りとミスを削減。若手社員の教育にも活用」株式会社はなおか様
徳島県で15年連続注文住宅着工棟数第一位を達成している株式会社はなおかでは、最新図面がどれか分からなくなる、仕様変更が現場に反映されないといった情報管理の課題を抱えていました。また、営業・設計・工務の間のやりとりが口頭ベースだったため、詳細な情報が現場に伝わらないケースもありました。
ANDPAD導入により、図面や工程表をクラウド上で一元管理できるようになり、最新情報を関係者全員がリアルタイムで確認できる環境が整いました。さらに、検査機能を活用して施工現場のチェックポイントを設定し、新卒社員でもベテラン社員と同じ観点で品質確認ができるよう教育体制も強化。工務部全体のスキルレベルの底上げにも成功しています。
「プライベートアプリから工務店特化ツールへ移行し、情報管理の課題を解決」株式会社ARCH様
滋賀県で高性能住宅の設計・施工を手がける株式会社ARCHでは、当初プライベート用の無料チャットアプリで現場管理を行っていましたが、物件数の増加に伴いセキュリティ面や機能面での課題が顕在化していました。図面や工程表の有効期限切れによる再アップの手間、個人アカウント使用による発言者の特定困難など、業務効率を妨げる問題が発生していました。
ANDPAD導入後は、工務店に特化した機能により情報管理が大幅に効率化されました。セキュリティが強化され、図面や工程表の共有もスムーズになり、スタッフ・職人全員が使いやすいシステムとして定着。写真管理や情報共有の効率化により残業時間も大幅に削減され、若手人材の教育にも効果を発揮しています。
まとめ
工務店DXとはデジタル技術を活かし、業務の効率化や生産性の向上などを目指す取り組みで、コスト削減や新規顧客の獲得なども期待できます。コストや従業員の反対といった問題を解消できれば、自社に多くのメリットをもたらすでしょう。
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