※本記事は新建ハウジング2020年9月30日 部数拡大版10月号【健康・エコな家づくり特集】
「withコロナで考える”本物の住まい”~快適で健康的な住宅のあり方とはー心にも体にも心地いい住宅ー」において、ANDPAD導入企業である有限会社ハンズ/ARCH 様へのインタビュー記事の転載となります。
滋賀県東近江市の建設会社であるハンズの注文住宅事業「ARCH(アーチ)」。年15 棟の高性能で美しい住まいを丁寧につくりながら、施工管理、品質検査、現場美化などさまざまな挑戦を休みなく行っている。2019 年には施工管理アプリ「ANDPAD」を導入。その活用方法も工夫がみられた。石井悟志社長に話を聞いた。
意識しているのは「いままでにない工務店」
ARCH ってどんな会社ですか? そう聞くと、石井社長からは「いままでにない工務店、他がやらないようなことに挑戦する工務店だと思います」との答えが返ってきた。丁寧なライフプラン提案と資金計画に始まり、HEAT20G1グレード以上の高い駆体性能、機能的な美しさ、居心地のよさにとことんこだわり、全棟で構造計算や気密測定、施工検査を実施。そして、引き渡し後の「一生のお付き合い」を誓い、アフターに最も力を入れる。
根っこにあるのは「日本の家づくりと住宅業界を変えたい」「ARCH に関わるすべての人に幸せになってほしい」という真っ直ぐな想いだ。
専任現場監督入れずANDPAD で現場管理
若い頃に現場監督を経験し、協力業者との情報共有の難しさ、電話・FAX対応のわずらわしさをイヤというほど経験してきたという石井社長。現場管理の改革にもいち早く取り組んだ。
ARCH を立ち上げた2016 年当初から、専任の現場監督を置かず、設計と大工が現場管理の役目を分担。情報のやり取りはすべてプライベート用の無料チャットアプリで行ってきた。全職人にスマホを持ってもらい、現場ごとにグループを組んで工程表・地図・図面を共有し、1日の作業終了後に工事報告や写真をあげることをルール化。スマホやアプリの初心者でもすぐに操作に慣れ、現場のコミュニケーションに不可欠なツールとなった。しかし、手がける物件数が7棟を超えたあたりから、課題が見えてきたという。
まずは、セキュリティ面での不安。ほかにも、有効期限がくると共有したPDF形式の図面や工程表が閲覧不可となり、ファイルの再アップに手間がかかることが課題だった。また、個人登録したアカウントを使うため、社名・氏名が表示されず、だれの発言かが分かりにくい。決定的な不具合はないものの「変え時」だと判断した。
「いろいろなシステムを比較検討し、最後に残ったのがANDPAD。実際に使うスタッフ・職人たちに意見を求めたところ『工務店に特化したアプリのほうが圧倒的に使いやすい』という声が多かったことが決め手になった」と話す。
工程表共有、次工程への引き継ぎがスムーズに
同社は、2019 年に施工管理アプリ「ANDPAD」を導入。すでに現場のデジタルシフトと情報伝達の一本化が浸透していたため、新しいアプリも抵抗感なく受け入れられた。大きな変化は2つあるという。「1つは、工程表の共有が格段に楽になったこと。もう1つは、チャット機能で作業報告をすることで、次の業者への引継ぎの手間がなくなったこと」。
以前はエクセルで工程表を作成し、変更がある度に書き換えてPDF で保存、それをチャットアプリで共有していたという。ANDPAD の場合は、クラウド上で管理するため、工程表の作成・変更・保存・共有が同時に完了。常に最新の工程表をスマホで共有できるため、どのファイルが正しいか分からなくなった、急な予定変更に手間取っているうちに行き違いが生じた、といったミスを回避できるようになった。「丁寧な図面とANDPAD さえあれば、現場に急行するような問題は基本起こらない」という手応えを感じている。
ANDPAD 使った「全棟自主検査」へ
さらに同社は今秋、新しい挑戦を始める。ANDPAD を活用した「全棟自主検査」だ。
石井社長は、第三者機関による全棟施工検査を長年にわたって実施し、品質向上にこだわり続けてきた。しかし最近は、品質管理の方法について改めて模索し始めていた。
後押ししたのは、新型コロナの問題だという。「外出自粛要請が出るなか、現場に行く回数をいかに抑えて、施工品質を上げるかを考え抜いた結、職人自ら検査を行い、それを社内でチェックして品質管理を徹底する仕組みをつくればいい、という答えに行き着いたんです」。
そこでANDPAD に協力を要請。現在は、自主検査に向けたルールづくり・資料整備を社内一丸となって進めている。職人は今後、このルールに従い、ANDPAD を使って写真提出と検査報告を行っていく。
なぜ、ここまで施工品質にこだわるのか。石井社長は「自分たちでつくったものを自分たちで検査して品質を担保するのは当たり前のこと」だと言い切る。「今年4月の民法改正以降、図面・契約書通りの仕事がきちんと行われているかどうかが重視されるようになったうえ、職人の意識やスキル、現場の生産性を上げる意味でも自主検査は必須の取り組み。何より、検査はお客様の安心につながるので、やらない理由が見つかりません」。
めざすは「滋賀で一番」他にも挙げるとキリがないが、20 代スタッフによる顧客サービスプロジェクト「おもてなし委員会」、紹介受注が取れるくらい安全で美しい工事環境をめざす「現場美化プロジェクト」など、ユニークな仕掛けを企画し、実践している。10 月には、石井社長自ら抜き打ちで現場に赴き、厳しい目で作業環境や施工品質をチェックする現場パトロールを始めたばかり。ここでも進捗把握のためにANDPAD が活躍する。
「日本中の人に躯体性能の高い、快適で健康に暮らせる家に住んでほしいというのが僕らの願い。それを叶えるために、滋賀県ナンバーワンの会社になるつもりです。これからますます難しい時代に入りますが、工務店がすべきは本業への集中。そのとき助けになるのがANDPADだと思います」。
※新建ハウジング2020年9月30日号 部数拡大版10月号【健康・エコな家づくり特集】
「withコロナで考える”本物の住まい”~快適で健康的な住宅のあり方とはー心にも体にも心地いい住宅ー」より