株式会社はなおか様のご紹介
徳島県において、注文住宅事業を展開している株式会社はなおか様。県内の地元住宅会社の中で、15年連続で注文住宅着工棟数第一位を達成している地域密着の工務店である。この実績を支えているのは、家づくりに携わる人たちの人間力。経営理念の「正直に王道を行く」、社訓の「親切に丁寧にきっちりと」、社風の「自由・活発」。これらの理念を基に人材育成に積極的に取り組み、社員のみならず専属の大工さんを抱えて、教育することで、本当にお客様の要望に答える品質の高い家づくりを実現させている。
今回は、はなおか様において、注文住宅の提案営業を担当している営業部の花岡様と、専属大工58名を束ねる建築部の柳澤様に、ANDPAD導入のきっかけや、導入後の変化について伺った。
営業部の花岡様
職人さんに使ってもらうために、使いやすさにこだわった
土地の開発・分譲から注文住宅の設計・施工まで対応する自社一貫体制のもと、自由度の高い家づくりを行っているのが、はなおか様の特徴だ。社内全体に経営理念・社訓・社風が浸透しており、それがお客様に向き合う誠実な姿勢に表れていることが、はなおか様の大きな強みとなっている。
そして、もう一つの特徴が、理想のプランを具現化する、腕と人柄の良い専属大工を抱えていることだ。はなおか様は20年以上にわたり、専属大工を集めた建築会議を月1回開催し、現場の良い事例・悪い事例や、想い・方向性を共有してきた。その他にも、各地の現場を見学する年1回の大工パトロール、バス旅行 などを実施。お互いの親睦を深め、知識・技術を高め合いながら、施工品質の向上に努めている。
一方で、現場における課題はまだ山積みだったという。2年半前にIT企業から地元に戻り、入社された営業部の花岡様はその状況にカルチャーショックを受けたと言う。
「紙の資料や付箋、FAXを普通に使っている社内を見て、前時代的だと感じたのが正直なところです。情報連携が不十分でトラブルも起きていましたし、煩雑な業務が多いと感じていました。しかし、この課題を改善すれば、当社にはまだまだ成長の余地があると思ったんです。」と花岡様は語る。
特に懸念していたのは最新図面がどれか分からなくなるといった事態。協力業者の手元にある図面に仕様変更が反映されておらず、その度に現場監督が事務所に戻って図面を印刷し、再度持参するといった手間が発生しており、とても非効率的だったという。 また、営業部や設計部、工務部の間のやりとりも口頭ベースだったため、詳細な情報が現場に伝わっていないというケースもあった。当時導入されていたITツールといえば、Excelでの情報管理、メール、お客さまとのやり取りで個人向けのチャットアプリを使っていた程度だったという。
そこで、花岡様は「ITを活用して手戻りとミスをなくし、より品質の高い住まいを提供する」ことを目標に掲げ、社内へのITツール導入に動き出し、以前提案を受けていたANDPADをはじめ、複数社の施工管理ツールの検討を開始した。
検討にあたっては現場に馴染むための『アプリの使いやすさ』と、前職でIT企業に勤められていた経験から花岡様は『アプリを開発するエンジニアを大切にする会社かどうか』を最重要視されたという。
「当社を含め、住宅業界は働いている人たちの年齢層が幅広く、ITリテラシーの差も激しいです。ですから全員に使ってもらうためには、ITに苦手意識がある人でも問題なく使えることが一番でした。また、開発会社がエンジニアを大切にしているか、という点も重視していました。エンジニアがのびのびと働けていれば、開発スピードも速くなりますし、ユーザに寄り添った良いサービスが生まれます。これは、私がITエンジニアとして働いていた時に肌で感じていたことです。このポイントを考慮した上で、私はANDPADが最適だと感じ、社内で提案しました。」
一方で、コストの面でもう少し安い別のサービスを支持していた部署もあり、社内全体ですぐに納得が得られたわけではなかったという。こうした状況でも花岡様は粘り強く交渉されたという。
「実際にアプリを触ってもらえば分かると思っていたので、複数社のサービスを各部署の代表者に使ってもらい、その意見を集約しました。各部署の社員のANDPADの操作性が最も良いという声を説得材料に、最終的に承認を得ることができました。」
専属大工を束ねる柳澤様
現場レベルの底上げのため検査機能を導入
こうしてANDPAD導入は決定したが、「現状より手間がかかって面倒になるのでは」という印象を持った社員や、協力業者からの反発もあったという。花岡様はその根底に、ITへの苦手意識があると感じていたという。
「苦手意識を取り払ってもらうためにも、何度も工務部に足を運んで話を聞いたり、使い方を教えたりしていましたね。こうして使ってもらう内に慣れてきて、自然とANDPADのログイン頻度が上がり、ほとんどのメンバーが案件情報を閲覧してくれるようになっています。」
50名以上の専属大工を束ねる建築部の柳澤様は、大工さんたちの利用状況も徐々に高まっているという。
「専属大工の約7割の方は意欲的に取り組んでくれている印象です。70代で初めてスマートフォンを購入したという人もいましたし、年齢に関わらず、ANDPADを活用しようとしていますね。現場監督はだいぶ使いこなしてきていますし、若手の職人はこまめに報告を上げてくれています。ITに苦手意識のある職人さんは、まだ直接電話で連絡してくることが多いものの、案件の情報をアプリで見てくれてはいるので、活用が徐々に進んできています。こうした苦手意識のある職人さんたちがより活用してくれれば、これからさらにANDPADの評価が高まっていくのではないかと思います。」と柳澤様。
また、ANDPADのオプション機能である「検査機能」を、現場監督の教育に活用する新たな取り組みも始まった。現場同行だけでは伝えきれない知識を共有するために、ANDPADの検査機能を使い、施工現場でのチェックポイントを設定している。新卒社員でも施工品質をベテラン社員と同じ観点で確認できるようにすることで、工務部全体のスキルレベルの底上げを図っている。
この取り組みはANDPADの運用を推進されている花岡様に、工務部の若手社員から「こんな機能はないか」と相談があり、スタートしたという。当初、導入に対して少なからず反発があったものの、現在では現場にいる工務部の方々が率先してANDPADを有効活用しようと取り組まれている。花岡様が粘り強く運用を推進された結果である。
オンラインでインタビューに答えてくださった花岡様
今後の10年、20年を見据えてIT化をさらに推進していきたい
はなおか様では、徐々にANDPAD導入の効果を感じているという。営業部に所属する花岡様は、現場との距離がぐっと近くなったと実感されているそうだ。
「図面や写真を案件別にクラウド上で管理できるので、現場監督との情報共有は大きく改善されましたね。当社は注文住宅を中心に手がけているので、お客様の要望によって工事中に仕様が変わることもよくあります。今までは、変更の度に図面を印刷して現場へ持って行ったり、電話でイメージを伝えたりしていたのですが、今はANDPAD上の最新情報を見ながら、明確に伝えることができるようになりました。最新の図面が分からないという当初感じていた課題も解消されつつありますし、社内間の伝言ゲームがなくなって、本来の業務に集中できるようになりました。お客様から現場の状況を聞かれた時に、すぐに写真でご説明できるようになったのも、営業として非常にありがたいです。」
また、専属大工や協力業者とのコミュニケーションも効率化されてきた。
「今まで口頭で伝えていたことがANDPADに記録されますし、最新図面がすぐに現場でも閲覧できるので、無駄な問い合わせや煩雑な作業はだいぶ削減されましたね。」と柳澤様。
新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言が発令された状況下では、社内や現場での密を避けなければならなかったため、ANDPADの写真・資料管理やチャットは大きく役立ったという。専属大工を集めて行う、月1回の建築会議も開催できなくなってしまったが、ANDPADに「建築会議」という案件を立ち上げて、会議で使う資料を展開し、個々で確認してもらうようにしたそうだ。
こうした変化への対応も柔軟に行うことで、コロナによる影響は想定よりも小さかったと花岡様は語る。
「当時は、本社と別館にオフィスを分けて業務を行っていました。対面でのやりとりや現場に行く回数を減らしていたので、ANDPADを導入していなかったら、社内外のコミュニケーションはもっと大変だったと思います。コロナによって資材の調達に一部影響を及ぼしましたが、危機的状況下におけるBCP(事業継続計画)を以前から策定していたため、スピーディに初動対応を進めることができました。結果、お客様に一切迷惑をかけることなく、全棟予定通りに引き渡しを完了できました。」
ステイホーム期間を経て、あらためて住まいの重要性に気づいた人も多かったのだろう。緊急事態宣言が明けた後は、はなおか様への新規問い合わせは以前より増え、契約数も伸びているという。この状況をチャンスととらえ、花岡様はさらに社内のIT化を進めていきたいと意気込む。
「10年、20年先を見据えた時に、IT導入は避けて通れないものです。今の段階で会社全体のスキルレベルを上げ、競合他社との差別化を図っていきたいです。ITに苦手意識がある人にも、まずは操作性の高いANDPADを使ってもらって成功体験を積み重ねてもらい、社員のITリテラシーを向上させていきたいですね。」
今後はANDPADを軸に、すべての情報を一元管理する構想を描いている花岡様。ANDPADのオプション機能の追加や、クラウドサイン・セールスフォースとの連携も検討されているそうだ。今後のはなおか様の実績も、ITの積極的な導入によって一層盤石なものとなりそうである。