質の高い作業完了報告書を作成するにあたって、なぜ作成するのか、目的を理解したうえで作業を行う必要があります。本記事では、作業完了報告書の概要をはじめ、作成目的やメリット、注意点などについて解説します。作業完了報告書を作成する具体的な方法も一緒に取り上げるため、興味を持った方はぜひ最後までご覧ください。
作業完了報告書とは
作業完了報告書とは、その日の作業内容を社内や取引先などに報告するための書類です。作業日に誰がどのような作業をして、最終的にどうなったのかを記載し、作業内容の伝達や、見直しのために活用されます。
業務報告書・稼働報告書との違い
作業完了報告書と混同されやすい書類として、業務報告書と稼働報告書が挙げられます。以下では、それぞれの書類と作業完了報告書との違いについて解説します。
関連記事:【建設業】作業日報の目的やフォーマットとは?記載内容やメリットについても解説
業務報告書との違い
業務報告書とは、業務内容や重要事項を共有するために作成する書類です。報告の対象や記述する内容など、作業完了報告書との違いはさまざまですが、より明確な違いとして業務ごとにまとめる点が挙げられます。業務報告書は業務日報やクレーム報告書など、種別に作成してまとめるのが一般的です。
稼働報告書との違い
稼働報告書とは、稼働時間をはじめとする稼働状況についてまとめた報告書です。作業完了報告書と異なり、稼働時間内の行動のみならず、非稼働の時間や理由についても記載します。なお、稼働時間中にどのような作業をしていたかも記載する関係上、作業報告書と同じような扱いを受けるケースも少なくありません。
作業完了報告書の目的
そもそも作業完了報告書とは、どのような目的で作成する書類なのか、以下で詳しく解説します。
透明性の確保
作業完了報告書は、透明性を確保するために作成されます。透明性は仕事上の信頼関係を構築し、他者に対してオープンな姿勢を示すためにも重要なポイントです。作業完了報告書を作成すれば、作業の進捗状況や完了状況が明確になるため、取引の透明性を確保できます。
トラブルの防止
作業完了報告書を作成する目的の1つとして、トラブルを防止することが挙げられます。作業完了報告書が作成されていない場合、どの作業を実施したかがわからず、発注者と請負業者の間でトラブルが発生するリスクが高まります。
法的証拠
作業完了報告書は、法的な証拠としても役立つ存在です。トラブルが発生した場合、作業完了報告書は契約履行の証拠として有効であり、必要に応じて法的手続きの際に使用されます。
品質管理
品質管理も、作業完了報告書を作成する目的の1つです。作業完了報告書には、業務に関するさまざまな情報が記載されています。その情報をもとに、業務が問題なく行われ、品質も一定レベルを保っているか否かが判断できます。
作業完了報告書の記載項目
作業完了報告書の作成経験がない場合、何を記載すればよいのかわからない方もいるでしょう。以下では、作業完了報告書に記載する基本的な項目について解説します。
作業者氏名
作業者氏名は、作業を行った人物の名前を記載する項目です。複数人で作業を実施した場合は、代表者1人の名前を記載するか、全員分の名前を記載します。
例文:作業太郎 |
作業実施日
作業実施日は、作業を開始した日、および作業が完了した日を記載する項目です。場合によっては、日にちだけでなく作業にかかった時間をはじめ、より詳細なタイムスケジュールを記載することもあります。どのような形式で記載するのか、あらかじめ書式を確認しておきましょう。
例文:20××年×月×日、8時から17時まで |
作業内容
作業内容は、実際に行った作業の内容を記載する項目であり、作業完了報告書の肝となる部分です。作業内容がしっかり書けていないと、作業完了報告書としての役割を果たせません。具体的かつ簡潔に書くなどして、読み手にとってわかりやすい文章を心がけましょう。
例文:本日は仮設工事を実施。途中担当者とのミーティングも挟む。 |
作業進捗
作業進捗は、実際の作業の進捗状況について記載する項目です。1日だけで終わらない作業の場合、どこまで進んだか詳細に記載し、スムーズに引き継げるようにする必要があります。遅延が発生しているときは、予定からどの程度遅れているか、リカバリーはできそうかまで記載してください。
例文:本日予定していた作業は完了。予定どおり明日作業工程の完了を目指す。 |
特記事項・連絡事項
特記事項および連絡事項は、作業に関する連絡事項を記載する項目です。主に次回以降の作業の内容や時間について記述するケースが多いですが、単発作業の場合は何も書かないこともあります。
例文:明日仮設工事が終了次第、担当者が別件で相談があるとのこと。 |
作業完了報告書のメリット
以下では、作業完了報告書を作成することで、どのようなメリットを享受できるかについて解説します。
進捗を把握しやすい
作業完了報告書を作成すると、作業の進捗状況を把握しやすくなります。作業の進捗状況が把握できていないと、万が一作業に遅れが発生した場合、プロジェクト全体の遅れや品質の低下につながりかねません。作業完了報告書には、業務の進捗や達成されたタスクなどが記載されており、問題が発生したときもスムーズに対応できます。
生産性が向上する
生産性の向上が期待できる点も、作業完了報告書を作成するメリットの1つです。作業完了報告書に記載された内容は、社内外の関係者に共有できます。共有した情報をもとに作業の分析を行えば、業務効率の改善、生産性の向上が目指せます。生産性が向上すれば、競争力が高まるほか、コストの削減、人材不足の改善なども期待できるでしょう。
作業内容の振り返りと改善がしやすい
作業完了報告書を作成するメリットとして、作業の振り返りや改善がしやすくなることも挙げられます。振り返りは過去の出来事を評価し、自己理解を深めるためにも重要です。過去を正確に評価できれば、正面から課題や弱点と向き合えるため、ステップアップするチャンスにつながります。
その日行った業務内容のみならず、反省点や改善点についても記載された作業完了報告書を見返せば、成長のヒントを多数得られるでしょう。
作業完了報告書を作成する際の注意点
作業完了報告書を作成する際は、どのような点に注意すればよいか、以下で解説します。
数字やデータで伝える
作業完了報告書を作成する際は、数字やデータを積極的に用いるようにしましょう。作業完了報告書をはじめとする書類において重要なのは、主観的な意見にもとづく情報よりも、数字やデータなどの客観的な情報です。客観的な数字やデータをもとにした作業完了報告書を作成することで、相手に確かな情報を伝えつつ、報告の信頼性も向上するでしょう。
要点をまとめる
要点をまとめることも、作業完了報告書を作成するときに押さえておきたいポイントです。作業完了報告書を作成するにあたって、多くの情報を記載しようとする人もいますが、文字量が多すぎると重要な情報がわかりにくくなります。どこが重要なポイントなのかすぐにわかるように、冗長な表現を避け簡潔にまとめるようにしましょう。
わかりやすさを意識する
作業完了報告書において、わかりやすさも重要なポイントです。作業完了報告書は作成者以外も目を通すため、万人にとって読みやすく、わかりやすい書類でなければなりません。先に結論を持ってくる、必要に応じて図や表を用いるなど、何度も読み込まなくても理解できる工夫をしましょう。
作業完了報告書を作成する方法
作業完了報告書を作成する方法として、テンプレートを利用する方法、アプリやソフトを利用する方法の2つがメジャーです。両者の特徴について、以下で詳しく解説します。
テンプレートを利用する
テンプレートを利用した作業完了報告書のメリットとして、初期費用の安さが挙げられます。テンプレートには、オンライン上で無料で公開されているものも多く、自社に適したものを簡単に探せます。また、テンプレートを活用すれば、都度作業完了報告書をゼロから作成する手間も省けます。
参考になるテンプレートは、以下のとおりです。
複数の作業日を記入できる作業完了報告書テンプレート|bizroute
こちらは表に複数の作業日を記載できる作業完了報告書テンプレートです。ファイルタイプはExcelを採用しています。
参考:bizroute
作業完了報告書・Excel|bizocean
こちらもExcel版の作業完了報告書のテンプレートです。オーソドックスな書式で記述がしやすいだけでなく、無料でダウンロードできます。
参考:bizocean
業務報告書(日報・週報)|Microsoft
こちらは業務日報と週報がセットになったテンプレートです。直接入力はもちろん、印刷して手書きで記述することもできます。
参考:Microsoft
関連記事:【建設業向け】作業日報のテンプレート3選!役割や運用方法、ポイントまで解説
アプリやソフトを利用する
初期費用にある程度余裕がある場合は、アプリやソフトを利用するのがおすすめです。昨今は、作業完了報告書の作成ができるアプリやソフトが多数登場しています。アプリやソフトによっては、作業完了報告書の作成以外の機能も充実しており、作業効率をさらに向上させることも可能でしょう。

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まとめ
以上、作業完了報告書の概要をはじめ、メリットや注意点などについて取り上げてきました。作業完了報告書の作成は、透明性の確保やトラブルの防止など、作成目的を意識しながら行うと質の高い書類が完成します。また、最近では作業完了報告書の作成を補助するソフトやアプリも登場しているため、必要に応じて利用してみましょう。
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