建設業の出勤簿は、エクセルのテンプレートを活用すると手軽に作成できます。ただし、法改正や現場ごとの勤務状況に応じて、プログラムを変更する必要があるため、デメリットを考慮しなければなりません。この記事では、出勤簿にテンプレートを活用するメリット・デメリット、注意点などを解説します。建設業の出勤簿を作成する際に、ぜひ参考にしてください。
建設業における出勤簿とは
出勤簿とは勤務時間を管理するもので、通常の勤務や時間外勤務などを記録する法定帳簿とされています。出勤簿をつけるのは、建築業に限らずすべての業種において義務です。違反した場合は、罰則を科される可能性があります。ただし、労働基準法では、出勤簿の記録について明記されていません。
参考:労働基準法施行規則第54条
参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
出勤簿と勤怠表の違い
出勤簿と勤怠表に、厳密な違いはありません。それぞれ勤務状況を管理するために使用します。企業によっては、出勤の確認と残業時間の算出に分けて、使用される場合もあります。
建設業におすすめの出勤簿テンプレート
厚生労働省は、出勤簿のテンプレートの参考例を公開しています。このテンプレートを活用すると、簡易的な出勤簿を手軽に作成できます。出勤簿に備考欄を追加すると、休日労働や年休取得日などを記載できるのでおすすめです。給与計算もスムーズになるため、各項目をエクセルに入力して作成するとよいでしょう。
参考:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう | 厚生労働省
出勤簿に記載する必須項目
出勤簿に記載する必須項目は、以下のとおりです。
出勤日
勤務日数
労働時間
日別の労働時間数
時間外労働の日付や時刻、時間数
休日労働(休日出勤)の日付や時刻、時間数
深夜労働の日付や時刻、時間数
出勤簿の書き方には、特定の形式がありません。簡易的な出勤簿であれば、テンプレートを活用するとよいでしょう。
【建設業】出勤簿をエクセルのテンプレートで作成するメリット
建設業の出勤簿は、エクセルのテンプレートで手軽に作成できます。ここでは、メリットを解説します。
コストを抑えられる
エクセルを使用すると、無料のテンプレートで出勤簿が作成できます。有料のソフトを購入する必要がないため、ソフトを導入するコストを抑えられます。テンプレートを活用することで、導入時だけでなく運営のコストも削減が可能です。エクセルにはあらゆる関数が用意されているため、給与計算の自動化もできます。
簡単に操作できる
エクセルは操作が複雑ではないため、簡単に出勤簿が作成できます。テンプレートを活用することで、操作に慣れていない人でも簡単に出勤簿の作成が可能です。日頃からエクセルを使っており、操作に慣れている人も多くいます。操作でわからない点があっても、インターネット上で簡単に操作方法を調べられます。
【建設業】出勤簿をエクセルのテンプレートで作成するデメリット
エクセルのテンプレートは、出勤簿に適していないケースがあります。ここでは、デメリットを解説します。
複雑な時間計算には向いていない
エクセルは複雑な計算や集計に対応したソフトではありません。建設業の出勤簿では、休憩時間や休日出勤、交通費などの計算が必要です。それぞれの複雑な計算に対応させるためには、関数を使用した計算式を組まなければなりません。エクセルのテンプレートを変更する際は、関数の知識を学ぶ必要があります。
エラーが発生する可能性がある
エクセルの関数を使用すると、エラーが発生する可能性があります。エラーが発生する原因は、数値を正しく入力できずに関数が反映されないためです。誤った数値や関数で給与計算をすると、金額がズレたり、未払いのリスクが高まったりします。エクセルを使用する際は、エラーを修正できる体制を整える必要があります。
セキュリティの問題がある
エクセルのファイルは、専用ソフトに比べてセキュリティ面が弱い点がデメリットです。個人情報を保護するために、パスワードの設定や共有サーバーの活用などが必要です。エクセルのファイルは、持ち出しやファイルの改ざんなどのリスクもあります。出勤簿には個人情報が記載されているため、管理を徹底しなければなりません。
【建設業】エクセルで出勤簿を管理する際の注意点
エクセルで出勤簿を管理する場合、ミスやデータの改ざんなどのリスクがあります。ここでは、注意点を解説します。
ヒューマンエラーの対処法を検討する必要がある
エクセルは自由に入力できるため、誤入力や計算のミスが発生しやすくなります。誤入力や入力漏れなどが起こると、勤務時間の把握も困難になります。テンプレートのデータを変更した場合、関数のミスをするリスクも高まるでしょう。エクセルを使用する際は、手作業によるヒューマンエラーを想定し、事前に対処法を検討することが必要です。
法改正に対応する必要がある
法改正が行われるたびに、建設業の出勤簿を変更しなければなりません。労働時間や労働環境などの法律は改正の回数が多いため、都度フォーマットの変更が必要です。エクセルには、専用ソフトのように自動更新の機能がありません。テンプレートで作成した出勤簿でも、法改正による計算式や項目の変更の対応が増えます。
データ改ざんのリスクに備える必要がある
エクセルを使用すると、不正な打刻が発生しやすくなります。自己申告で数値を入力する場合、正確な勤務時間を把握することが困難です。従業員だけでなく、管理職によってデータが改ざんされるリスクも高まります。勤務時間を少なく見せるケースもあり、それぞれ訴訟に発展する可能性があります。出勤簿を管理する際は、情報セキュリティのリスクに備えることが必要です。
適切な勤怠管理方法として認められない可能性がある
エクセルは自己申告制であるため、勤怠管理として認められない場合があります。2024年4月から、建設業の労働時間に上限が設けられました。エクセルは、客観的な記録に該当しない可能性に注意が必要です。客観的なデータは、パソコンの使用時間の記録やICカード、タイムカードなどによる記録が必要です。
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制|厚生労働省
建設業における出勤簿の課題
建設業の出勤簿は、労務や勤怠の管理が複雑になる点が特徴です。ここでは、出勤簿の課題を解説します。
直行直帰者の勤怠管理
建設業は、直行直帰の現場が多くある業種です。後日、勤務時間を申告するため、勤怠状況を正確に把握することが困難です。勤怠管理の担当者による、時刻の管理や間違いの確認などの負担が増えます。正確な時間を把握するには、タイムカードや電話連絡などによる確認が必要です。
労務管理
建設業の出勤簿は、労務管理体制が指摘されやすくなりました。2024年4月以降、労働時間の規制によって、週休2日制を実現するための指針が策定されたためです。エクセルやタイムカードの時間の申告では、正確性に欠けることを指摘される可能性があります。勤怠打刻や入退場の記録なども、データで管理する必要性が高まっています。
参考:建設業 時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省
出勤の打刻管理
建設業でタイムカードを利用した場合、打刻忘れや残業の超過などが起こるリスクがあります。タイムカードの準備や集計の業務もあり、担当者に大きな負担をかけます。従業員によっては複数の現場を回るため、1人ひとりの勤怠管理の把握が難しくなるでしょう。出勤の打刻管理の負担を減らすには、専用の管理システムが必要です。
建設業の出勤簿管理はクラウド型の管理サービスがおすすめ
建設業の出勤簿を管理する際には、クラウド型の管理サービスがおすすめです。リアルタイムで勤怠状況を把握でき、打刻漏れや残業の超過などを防ぎやすくなります。出勤簿をスマートフォンで管理できるため、直行直帰の多い現場にも対応が可能です。労務管理・シフト管理の業務効率化につながるため、出勤簿の管理の負担を減らせます。
まとめ
建設業の出勤簿は、テンプレートを活用するとコストや手間を抑えて作成できます。しかし、直行直帰の現場が多かったり、複数の現場を回ったりする場合、出勤簿の管理の負担が増えるでしょう。クラウド型の管理システムを利用し、管理の負担を減らすことをおすすめします。
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