図面電子化により業務効率化やコスト削減が期待できます。この記事では、図面電子化の概要やデジタル化との違い、電子化の方法について解説します。図面電子化に成功した事例についても解説するので、担当者は参考にしてください。
図面電子化の概要
図面電子化とはどのようなものか、概要とデジタル化との違いについて解説します。
図面電子化とは
図面電子化とは、紙の図面データをデジタルのデータとして扱うことです。管理はコンピューター上で行うため、紙で管理していたものを電子媒体として利用可能です。
電子化とデジタル化の違い
電子化とデジタル化は、目的が異なります。電子化の目的は、効率的に業務を進めるために自動化を進めたり、利用しやすい形式のデータに変換して管理しやすくしたりすることです。
一方デジタル化は、電子化したデータを業務効率化や分析、改善、新たな発見などのソースとして役立てることが目的です。
図面電子化のメリット
図面電子化により、業務効率化やコスト削減につながります。ここでは、メリットを3つに分けて解説します。
業務効率化ができる
図面を電子化することで、紙の図面を1枚ずつファイルに挟んだり、バインダー上にまとめたりする手間がなくなります。また、印刷の手間も省けます。電子化された図面は、パソコンやタブレットといったデバイス上で仕分けや図面共有が可能になるため、業務の手間を減らせます。
紙の図面と異なり、ファイル名や図面番号、管理者などから瞬時に欲しい図面を検索できるため、業務効率が低下する心配も減らせます。
コスト削減につながる
紙の図面は、ファイルやバインダーで綴じて物理的に管理する必要がありました。図面をまとめる手間と合わせて、収納棚を用意する必要があり、状況によっては、専用の保管庫を借りたり、社内スペースを確保したりしなければなりません。一方、図面電子化により物理的な図面棚が不要になるだけでなく、印刷や郵送のコストも削減できます。
スムーズな情報伝達が可能になる
電子化された図面データはファイル共有サービスや電子メールなど、データのままやり取りが可能です。そのため、取引先とのデータのやり取りや情報の共有をスムーズに行えます。また、複数人での閲覧も可能です。図面データは、個別にアクセス権限を設定できるため、誤った情報の共有や伝達漏れなどの課題も解決しつつ、セキュリティにも配慮可能です。
図面電子化のデメリット
図面電子化はメリットだけでなくデメリットもあります。ここでは、コスト面、セキュリティ面のデメリットについて解説します。
システムの導入やスキャンにコストがかかる
図面電子化に図面管理システムを利用する場合、コスト面にも配慮しなくてはなりません。初期投資が高くなることが多く、維持費用やサポート費用も別途かかります。一方、自社でスキャンして電子化する場合、相応の時間がかかり、自社の従業員に負担がかかります。専用のスキャンサービスを利用する場合は、費用を無視できません。
セキュリティ対策が必要
図面を電子化することでアクセス性が高まることはメリットですが、セキュリティ対策や従業員のセキュリティ教育は必須です。データの流出や誤送信などのトラブルは、業務効率の低下を招くだけでなく、取引先からの信頼失墜につながります。データの漏洩を防ぐために、閲覧権限を設け、機密性を担保することが重要です。
図面電子化を進めるうえでの注意点
図面電子化は業務効率化やコスト削減につながる施策の1つです。進めるうえで、注意すべき点を把握しておきましょう。
法律を遵守する
図面電子化の際は、電子帳簿保存法やe-文書法などの法令対応を怠ってはなりません。社内文書であっても、内容によっては、保存義務が定められているものもあります。また、2024年1月からは、電子取引のデータは電子保存することが義務化されています。電子取引のデータを書面に出力して保存することは認められないため、注意が必要です。
運用ルールを明文化する
図面電子化において、情報漏洩リスクを抑制するためにアクセス権限を明確に定義しましょう。管理者やデータ入力担当者などを決め、運用ルールを明文化することでスムーズな運用体制が構築できます。明文化したルールは文書化して、社内に周知しましょう。
管理方法を決めておく
電子化した図面の管理方法や保存場所を事前に決めておくことが重要です。無秩序に図面を電子化していると、必要なデータをスムーズに見つけられなくなります。管理方法のほか、データの形式や解像度も事前に決めるとよいでしょう。
図面電子化の方法
紙の図面を電子化する方法として、CAD、図面管理システム、スキャニングがあります。それぞれについて解説します。
CAD
CADは、「Computer Aided Design」の頭文字を取った言葉で、紙の図面やPDFファイルをCADソフトで編集可能なデータ形式に変換する手法です。専用のシステムを導入する、ソフトウェアを使用する、オンラインサービスを活用するなどの方法で変換が可能です。
図面管理システム
図面管理システムは、Word、Excel、PowerPointなど、さまざまな形式で作成した図面や文書を一元管理できるシステムです。図面データを保存、管理するだけでなく図面の検索や破棄、CADデータの取り込みやPDF変換などにも対応可能です。実務に役立つ機能が備わっています。
スキャニング
スキャニングとは、紙の図面をスキャナーで読み取り、データ化する方法です。フラットベッドスキャナー、シートフェッドスキャナー、大判スキャナーなどのタイプから、図面のサイズに応じたスキャナーを選びスキャニングします。自社で対応するほか、専門業者に委託することも可能です。
図面管理システムの選び方
図面電子化にあたり、図面管理システムの導入を考えている人もいるでしょう。ここでは、図面管理システムの選び方を解説します。
必要な機能があるか
図面管理システムは、自社の課題を解決できる機能を備えたものを選びましょう。導入前にデモ版で使い勝手はよいか、必要な機能が備わっているかを確認することをおすすめします。
カスタマイズできるか
スムーズな運用には、自社の業務に合わせてカスタマイズできるかも重要です。自社の業務内容に応じて柔軟に対応できれば、業務効率化につながります。図面管理システムをカスタマイズしないまま導入した場合、独自のワークフローや押印ルールなどに対応できないため、従来の運用ができず現場が混乱することも考えられます。
オンプレミスかクラウドか
図面管理システムは、オンプレミス型とクラウド型に分けられます。オンプレミス型はカスタマイズ性が高く、既存システムの連携に適しています。一方、クラウド型は初期費用が抑えられる、利用場所を問わないためスムーズに共有できるといったメリットが挙げられます。
OCRに対応しているか
紙の図面や画像の読み込みが多い場合、OCR機能(光学的文字認識)に対応したシステムを導入することで自動読み込みが可能になります。紙の図面や画像の読み込みが多い場合、手書きや紙ベースのデータをデジタル化するOCR機能を利用することで手入力の手間が省けます。
図面電子化に成功した事例
図面電子化に成功し、業務効率化などにつながった企業の事例を2つ紹介します。導入の参考にしてください。
株式会社市村工務店様
株式会社市村工務店様は、部門間で、写真や資料の保存・共有システムが異なっており、システムの統一化を検討していました。また、工事写真の撮影や管理方法が属人化し、台帳作成の際に共有や検索に時間がかかっていたことや紙で検査の指摘事項を運用していたことで、手書きによる印刷やチェック漏れが起きていた点も課題でした。
ANDPAD図面を導入したことで、指摘場所・指摘内容・是正写真が電子化でき、記入漏れやチェック漏れなどが軽減しました。稼働中から竣工まで一貫してANDPADを活用し、関連部門すべてが現場情報を共有できるようにしたことで、システムの連絡・共有にかかる時間や手間の削減にもつながっています。
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アーバンライフ株式会社様
アーバンライフ株式会社様では、是正箇所の写真と図面の整合に多くの時間を要していました。また、文字だけで伝えることが多く、協力会社側が是正したポイントを見つけにくいという課題もありました。ANDPAD図面を導入したことで、図面に写真を添付できるようになり、是正を素早く確認でき、工事の抜け漏れも減りました。
ANDPADのチャット機能を活用し、ミスの内容や防止ポイントをリアルタイムで共有できたことも、ミス削減の要因です。
関連記事:ANDPAD図面がもたらした「デスクワーク削減」と「施工品質の向上」
図面電子化にはANDPAD図面がおすすめ
図面電子化には、ANDPAD図面がおすすめです。ANDPAD上に最新の図面を格納することで、関係者への共有がスムーズになり、手戻りを防げます。現場で撮影した写真や図面に指示を書き込み、PDFやExcelファイルとして、指示書が作成可能です。一覧でステータス管理もできるため、協力会社への指示や共有もリアルタイムで可能です。
図面から検査に必要な情報を自動で読み取り試験表を作成する「性能検査」機能やBluetooth機器と連携して、測定値を自動でANDPADへ取り込む機能など、便利な機能も備わっています。
まとめ
図面電子化により、紙の図面をデータとして保管することで管理や共有が容易になります。図面管理システムを導入する際は、必要な機能はあるか、カスタマイズ性に富んでいるかなどを加味して選定しましょう。
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