株式会社市村工務店のご紹介
公共施設・歴史建造物・福祉施設・個人住宅・土木・商業施設・医療施設・オフィス・リフォームなど、幅広い建設工事を行っている株式会社市村工務店様。現在は山形県と宮城県を中心に事業を展開している、創業130年を超える老舗総合建設業だ。
同社は、従来のシステムが全部門に浸透されず、写真管理や撮影方法、検査事項の管理が属人的になっていた。そのため、情報共有がうまくいかず、非効率な現場管理の課題を解決するためANDPADを導入した。
今回は、株式会社市村工務店 取締役兼社長室長 市村様を含めANDPADをご利用いただく5名の方に活用方法を伺った。内勤部門・施工部門・経営層など、社内関連部署を巻き込んで行っている工事案件情報の共有に注目だ。
全部門のシステム浸透を加速化
同社は、住宅部門・リフォーム部門・建築部門など工事を行う部門は複数あるものの、写真や資料の保存・共有のシステムがそれぞれ異なっていたため、全社で統一したシステムの運用ができていなかった。社員の部署異動の際、部門間を行き来するたびに、別々のツールを使用しなければならなかったのだ。部署移動の際、再度システムを使い方やルールを覚えたりする手間があるのはもちろん、会社としても全現場の管理がしにくい状況になっていた。
そこで、全部門のシステムをANDPADに一本化。ANDPADを導入することで、定量的な利用度の確認に加えて、定期勉強会が開催されるようになった。社員向けANDPAD勉強会や安全衛生協議会がおこなわれ、会社全体でのANDPAD運用施策を打てるようになった。
たとえば、現場で「誰がどれくらいチャット機能を使っているか」「写真撮影をしているか」「ログインしているか」など、すべて数値化して個人ごとにチェック。「誰が」「どの程度」「どのように」システムの機能を使っているのかを見れるようになったことから、使い方の方向性を決めやすくなった。数値化したデータをもとに、推進者と一緒に施策を打っている。
「ANDPADには、月1回の勉強会と月1回の定例会があります。管理者側と現場で2回の勉強会という継続したサポートがあるため、管理者と現場の両方でANDPADが浸透しています。」と社長室兼営業部課長 市村様は語る。
また、ANDPAD導入後は現場から積極的に声が上がるようになったという。
「現場の声を聞いてくれるのがANDPADのいいところ。こうしたいという内容にすぐに答えてくれるので改善ができます。現場の声が届くので、積極的に声が上がるようになりました。」
ANDPAD黒板の活用で、写真整理や台帳の作成時間を大幅に削減
これまで、同社はデジカメ・スマホによる撮影方法や、検査事項の管理方法を個人で対応していた。そのため、写真撮影・整理・台帳作成・検査指示の共有において非効率が発生していたのだ。たとえば、引き渡し間際になって、保存されている膨大な写真の中から必要な写真を選択するなど、業務に時間がかかっていた。また、検査指摘事項の共有にも時間がかかっていたという。
業務効率化を実現するために活用したのがANDPAD黒板。ANDPADアプリで写真を撮影すると、即座にクラウド上に共有される。写真を選択後はボタン1つで台帳作成が可能だ。電子黒板に記載する情報も自動で転記することもできる。黒板ごとに写真が自動で振り分けられ、必要な写真を探す手間が省けるようになったため、写真整理と台帳の作成時間を大幅に削減できるようになった。
これまで1日数時間かけて行っていた写真台帳の作成だが、ANDPADを活用することで作業時間は数十分に短縮されたという。
ANDPADの効果は、現場で活躍する社員からも届いている。
「若手の写真整理の業務が減って無駄な残業を減らすことができたと思うので、働き方改革にも繋がったと思います。ANDPADに資料が入っていれば、現場でスマホを開いて答え合わせができるので、現場事務所に戻って紙に出力して確認する手間がなくなりました。」と建築部 工事長 海野様は語る。
さらに、「黒板管理がとてもしやすくなったと思います。事前に黒板に情報を入れておけば、その情報が台帳に転記されます。時間の短縮になって非常にやりやすくなりました。」と住宅事業部 主任 佐藤様もANDPADの導入効果を感じている。
ANDPAD図面により検査指示の共有を効率化
ANDPAD図面を使うことで、電子化された図面上にタブを付け、指摘事項を一元管理できる。どの場所で、どのような指摘があり、どのタイミングで是正されたかが一目見ればわかる。図面上に是正指示を入力すれば、図面と指示一覧をエクセル形式の帳票として出力することも可能だ。
指摘場所・指摘内容・是正写真の電子化が実現したことで、手書きによる印刷やチェック漏れを軽減できるようになった。以前に比べて、明確なチェックと指示出しができるようになったのだ。
進捗確認・図面共有・チャットでのやりとりがスマホ1つで実現
現場に行かなければ実際の作業状況の把握が難しいこと、資料共有のたびにメール送付や手渡しが必要であったことが課題としてあげられた。複数人配属されている作業所内でも、コミュニケーションコストがかかっていたのだ。また、作業所内だけではなく管理職と内勤職員、内勤職員と現場、現場内と協力会社などでも、システムの連絡・共有に時間がかかっており、同様の課題が発生していたという。
そこで、ANDPADを活用し関連部門すべてが現場情報を共有できるように改善。住宅事業部・リフォーム部では、安全衛生協議会のパトロール時にチャットを利用している。スマホ1つで進捗確認・図面共有・チャットでのやりとりが可能になったのだ。ANDPADの多くの機能がチャットと連動性が高い点も便利だという。
「連絡・共有」に関するANDPADの導入効果について伺った。
「現場に若手社員が入っているときに、図面の指示出しもその場からできます。工事写真についても、若手社員が撮影してきたものを事務所のPCから確認できるため、撮影していない写真をすぐに伝えられるので撮り忘れを防ぐこともできます。」と建築部 工事長 海野様は語る。
「チャット機能がとても使いやすくなりました。各業者への連絡事項や返信も来るようになりました。」と語るのは、リフォーム部 課長 黒沼様。
「皆さんが活発にANDPADを利用しているので、現地調査のときに各自で資料を持ってきてくれるようになりました。以前は、こちらで資料を準備して現場で配っていました。それがなくなったのは、1年で大きな変化だと思います。」とリフォーム部 主任 飯尾様は語る。
竣工まで一貫してANDPADを利用、どこでも作業状況が把握可能に
現場サーバー・個人PC・部署別サーバーなど、データの保存先がさまざまだった同社。現場の所長ごとに保存先と保存ルールが異なり、竣工データの移行・整理に膨大な時間がかかっていたという。会社のサーバーに竣工データを保存するというルールがあったが、部署によってはサーバーに繋がるのが遅く、独自のサーバーに保存して管理することもあったのだ。
さらに、データの移行作業は各現場担当者が手動で行わなければならなかった。現場で一度データをまとめてから、会社のサーバーに整理し直すという二度手間が発生していたという。1物件のデータ整理や保存に対して、1日で終わらない現場もあるほど、多くの時間を費やしていたのだ。
そこで、稼働中から竣工まで一貫してANDPADを利用することに決めた。工事情報については、すべてANDPAD上で集約することができるようになった。協力会社から写真・報告をあげてもらうことで、現場にいなくても作業状況の把握が可能になったのだ。
各部門のデータは、ばらつきなくまとめられるようになったため、数日かかっていたデータ移行の手間が、今では0に近い状態になってきているという。「写真整理やデータ管理もANDPADに一本化できたことが導入した1番のメリットになったと感じています。」と取締役兼社長室長 市村様は語る。
施工管理ツールの統一化によるメリット
ANDPAD導入後、どのようなメリットを感じているかについて、取締役兼社長室長 市村様に伺った。
部署に関係なく、すべての案件を確認できるようになった
施工部門以外にも営業や設計も、ANDPADを閲覧できるようになっている。従来は「住宅部門は住宅の案件のみを見る」「建築部門は建築の案件のみを見る」など、部署ごとに情報の出入りが止まっていた。
「ANDPADに統一化することで、部署に関係なく全体で情報共有ができるようになりました。工事写真を撮影した瞬間に反映されるため、管理者はどの程度工事が進んでいるのか逐一確認できるようにもなっています。」
モデル現場を確認することで、事前に必要な撮影箇所の確認ができる
若手社員の場合、工事写真の撮影時に「どの工事で」「どのような」写真を撮る必要があるのかについて判断するのが難しい。これまでは、先輩社員に質問したり自分で調べたりして、撮影すべき写真を判断していた。
「ANDPADでは別の現場の写真を確認できるため、モデルになるような現場があれば参考にできます。どの工事で・どのような写真を撮るのかがわかるようになりました。調べる作業に費やしてた時間を別の作業に充てられたことで、時間の短縮を見込めるようになりました。」
他現場・他部署異動時でもシステムの習得は不要
「部署に関係なく同じシステムを使っているため、部署異動の際も別のシステムについて習得する必要がありません。これまで通りANDPADを使えばよいため、システムの変更なしで他部署への異動が可能になりました。」
経営層・部門長も案件進捗情報を随時確認できる
「ANDPADを導入することで、遠隔地の現場へ向かうことなく現場の進捗を確認できるようになりました。品質管理も、その場からできています。」
他にも、ANDPADの地図機能が便利という声があった。毎月2回実施している社長の現場訪問においても、ルート決めが簡単になったという。
三現主義×DX化で130年以上続いている施工技術・品質を伝承
現場至上主義を掲げる同社が目指すDX化。これまではそれぞれの現場を確認したいが、見れていなかった。しかし、ANDPADを導入することで、逐一現場の状況を把握できるようになったのだ。
「見る人・見る立場・置かれている環境によって、品質についての見え方は変わります。現場だけの視点ではなく、多角的な視点で品質の高いものをお客様に提供できる。そんな未来を創っていければと思います。」と最後に市村様は語る。
最高のものをつくり、伝える。
「現場」「現物」「現実」の3つを重視する「三現主義」の考えのもと、130年以上続いている施工技術・品質を伝承する株式会社市村工務店様。今後は、ANDPADとともに「三現主義×DX化」を目指す。