株式会社親広産業のご紹介
群馬県高崎市の本社を拠点に、不動産事業・太陽光事業・農業事業などを多角的に展開している株式会社親広産業。なかでも太陽光事業においては、群馬県内に450カ所以上の太陽光発電所を所有し、県内トップクラスの自家発電所総容量を誇る企業として注目を集めている。
「群馬県独自の地域新電源を創造する」をビジョンに掲げ、群馬県の再生可能エネルギー事業をリードしている同社は、太陽光発電所のメンテナンスにおいてANDPADを活用している。今回は、株式会社親広産業 笠原様、棒屋様、福田様、熊野様にインタビューを実施。ANDPAD導入前の経緯や現在の運用体制、導入後の変化について詳しくお話を伺った。
群馬県における太陽光発電事業のリーディングカンパニー
1996年の設立以来、不動産事業を主力事業としてきた同社。群馬県内の土地・店舗・アパート・駐車場・倉庫など、幅広い物件を取り扱い、不動産の有効活用に取り組んできた。そんな同社は、2013年ごろに太陽光事業に参入。まずは、参入のきっかけについて伺った。
「当時、土地の仕入れを行うなかで、土地や物件の所有者様から『耕作放棄地を所有しているがどうにかならないか』といったご相談が多く寄せられるようになりました。そこで、弊社の代表が所有者様のご要望に応えるべく有効活用の方法を模索し、行き着いたのが『太陽光発電』でした。耕作放棄地を太陽光発電所として活用すれば、土地の所有者様にも、地域の皆様にも貢献できると考えたのです。」(笠原様)
それから約10年、同社は群馬県内に450カ所以上の太陽光発電所を所有するまでに事業を拡大している。ここまで急速に成長を遂げた要因はどこにあるのだろうか。
「太陽光事業は、土地があって初めて成り立つ事業です。ですから今まで当社が長年にわたって築いてきたネットワークが大きな強みになっていると感じています。土地の所有者様とのつながり、不動産会社との関係性から多くの情報が入ってきますので、その情報を活用しながら、現在も太陽光発電所の新規開発を継続しています。」(笠原様)
太陽光発電所のメンテナンス履歴が十分に把握できない状態だった
太陽光発電所は、発電効率を維持するためにも定期的なメンテナンスが欠かせない。太陽光パネルが日陰にならないように樹木を伐採したり、草刈りをしたり、パネルを洗浄したりする必要がある。また、パネルの破損といったトラブルへの迅速な対応も重要だ。同社は、これらのメンテナンス作業を協力会社に依頼しているが、以前は各発電所のメンテナンス状況や作業履歴の把握に苦労していたという。
「以前は、メンテナンスに関わるデータの保存先がバラバラで情報を確認するのに手間がかかっていました。例えば、草刈り完了後の写真はオンラインストレージに、協力会社からの報告はグループウェアに、作業指示はスマートフォンのコミュニケーションアプリにと分かれていて、作業履歴や故障対応の把握に時間がかかり、協力会社や所有者様からの問い合わせにすぐにお応えできませんでした。作業報告の内容にもばらつきがあり、協力会社に適切な作業指示を出すのが難しい状況でした。」(棒屋様)
「発電所で草刈りに関わる作業を年5回程度実施していますので、当社が管理する作業件数は2,000件以上にのぼります。数が膨大なこともあって、これまでは各発電所のメンテナンス状況を一元管理できておらず、どこの発電所で作業を実施するべきかを把握するのが難しい状況でした。土地の所有者様や近隣の方々から『草が伸びている』『管理は大丈夫か』とご指摘をいただくこともありました。」(笠原様)
こうした課題の解決に向けて、同社はANDPADの導入を決定。そこには、こんな背景もあったという。
「管理を一元化しようと、新たな取組への前向きな意見に社員一同がすぐに一致しました。ところが、数あるツールの中から弊社の事業にマッチするものを探すのは難題でした。そんな中、弊社常務がこのANDPADを探し出し、提案してくれたのです。なぜANDPADにしたのか…常務の直感ですね。いち早く解決の糸口を見出していただきました。」(笠原様)
導入後、まず目標に掲げたのは、自社の太陽光発電所の情報をANDPADに集約し、誰でもすぐに情報を確認できる状態を作ることだ。また、ANDPADでの情報管理によって適切にメンテナンスを実施して作業品質を向上し、クレームの削減を目指した。
粘り強く協力会社に働きかけて利用を浸透させた
ANDPADの運用開始後、社員の方々はスムーズにANDPADの操作に慣れ、早い段階で利便性を実感されたという。ただ、協力会社はANDPADの利用に苦戦。年齢によって利用頻度にばらつきが出たり、「前の方が慣れていてよかった」との声も上がったりしたというが、どのように対応したのだろうか。
「マンツーマンで粘り強く操作方法をお伝えしました。ただ操作方法を教えるだけではなく、『ANDPADを使えばお互いに情報の確認がスムーズになり、請求までの流れがスピーディになる』など、利用の目的や意義もあわせて説明し、協力会社に納得感を持ってもらえるように心がけました。また、協力会社ごとに『請求チェック担当』を決め、請求書とANDPADに格納されている作業写真を照らし合わせる運用を開始しました。写真がきちんとアップされていない場合は、担当者から協力会社に声がけをし、ANDPADへの写真アップに慣れていただきました。」(棒屋様)
「公図やストリング図、完成図書など、発電所に関わる資料も基本的にANDPADに格納するようにしました。他には保存しないようにしてANDPADを見る習慣を自然と根づかせました。」(福田様)
ANDPADで発電所の情報を一元管理、クレームが半減
現在、同社は450カ所以上の太陽光発電所の情報をすべてANDPADへ移行。協力会社との資料受け渡し、作業指示、写真管理、作業完了報告、作業実績管理など、太陽光発電所のメンテナンスに関わるすべての情報をANDPADで管理している。現在の運用方法についても伺った。
「これまで各ツールに分散して保存されていたクレーム情報を集約し、ANDPADに保存している写真上に注意事項や指示を書き込んで対応マニュアルを作成しています。また、ANDPADの報告機能に草刈りやパネル洗浄といった作業ごとのテンプレートを作成して、協力会社から写真付きの報告を上げてもらい、草刈りやパネルの状況を把握できるようにしました。」(熊野様)
「草刈りは、協力会社に作業していただく回数を年間で決めています。協力会社は前回の作業日を考慮して現場へ行き、状況を見て草刈り作業を実施します。当社は、協力会社が作業を実施した日をマイルストーンで管理し、全発電所での草刈り・メンテナンス実施状況を一元管理しています。」(笠原様)
取り組みの結果、「発電所の状況をリアルタイムで把握できるようになったことが大きな変化」だと、みなさんは話す。協力会社への適切な指示出しが可能になり、発電所のメンテナンス品質を同じレベルで保てるようになり、クレームは以前と比べて40〜50%減少。土地所有者様からも「土地管理体制が向上している」「前よりきれいになった」といった言葉が寄せられるようになったという。
「問い合わせを受けたり、確認事項が出てきたときにANDPADを開けばすぐに情報がわかるようになったのは便利です。作業効率も大幅に上がりました。」と棒屋様も話す。
協力会社からの作業内容と現場写真、請求内容をANDPADで照らし合わせて確認できるようになり、コスト削減も実現している。
「ANDPADでの一元管理によって請求内容の確認がスピーディになり、請求の誤りにもいち早く気づけるようになりました。写真で現状を確認できるので、『次回は草刈りではなく除草剤で対応してください』といった適切な指示が出せて不要な作業がなくなりました。草刈りにかかる作業コストも削減できています。」(熊野様)
ANDPAD図面の画像ピンを活用し、作業効率が向上
さらに同社では、太陽光発電パネル洗浄の作業管理でANDPAD図面も活用。太陽光パネルの航空写真をANDPAD図面にアップして写真上に画像ピンを設定し、洗浄前・洗浄後の写真を記録して作業状況を明確化している。
「協力会社には発電所ごとに4〜5か所の写真を撮影してもらっていますが、それらの写真は時間順にフォルダに追加されるため、同じ場所の洗浄前・洗浄後の写真を見比べるには、フォルダの中を行ったり来たりしなければなりませんでした。作業自体は負担ではなかったのですが、比較したい写真を探すのに手間がかかっていたため、効率化したいと考えていました。ANDPAD図面を活用するようになってからは、撮影場所の写真をピンで設定できるようになったため、特定の撮影場所を選択して確認すれば洗浄前・洗浄後の写真をすぐに比較できるようになり、作業時間が短縮できています。協力会社も積極的にANDPAD図面を利用してくださっていて助かっています。」(福田様)
ANDPAD図面の運用後、太陽光パネル洗浄の状況確認にかかる作業時間は半減。故障やトラブルがあった場合には、ピンの色を変えて状況を入力してもらい、スピーディな故障・是正対応へとつなげている。また、ANDPAD図面を太陽光発電所のケーブルなどの防犯対策に活用することにも挑戦中だ。
「各エリアの航空写真をANDPAD図面にアップし、個々の発電所の防犯対策状況を色分けをして管理しています。被害に遭いやすい立地、効果のある防犯対策の統計を取るために運用の改善を重ねています。」(福田様)
土地活用と地域貢献を大切に、さらなる事業拡大を目指す
ANDPADの運用によってデータの一元管理と作業効率向上を進め、クレーム削減を実現した同社。社員の方々も残業せず定時に退社できるようになり、休日出勤も発生していないという。「今後はリフォーム事業でもANDPADの活用を進めたい」と、多岐にわたる活用に意気込む同社社長岡田様に、今後の展開について伺った。
「『土地を売りたくても売れない・手放したくても手放せない』といったご相談が当社には多く寄せられています。そういった土地をどのように有効活用するかが、当社が今後も取り組んでいくテーマだと考えています。太陽光発電や農業だけではなく、空き家を民泊施設にリフォームしたりと、土地所有者様にご提案できる選択肢を増やしていきたいです。また、地域貢献にもより一層力を入れていく所存です。現在、農業事業では、子ども食堂や児童養護施設に食材を寄付したり、子どもたちと一緒に野菜を育てるような取り組みをはじめています。そのほかにも、地域の学校に仕事体験プログラムを提供し、将来的には学生の就職につながるような流れも生み出していけたらと考えています。今後も土地活用を軸に、地域に根差した活動を広げていきたいです。」(代表取締役 岡田広行様)