人材不足や業務の属人化を背景に、DXに取り組む動きが広がっている。盛岡市内を中心に建築塗装を手がける川上塗装工業もその一社だ。
同社では、展示会で知ったANDPADを活用し、現場情報の整理を起点にDXを進めることで、働き方や社内のコミュニケーションに変化が生まれている。今回、専務取締役の川上冴華氏、営業部長の柳舘正志氏、施工管理担当の佐々木繁氏の3人に導入の背景や効果、伴う働き方の変化を聞いた。
―貴社の事業内容と強みについてお聞かせ下さい。
川上氏「当社は建築の外装を中心に、戸建て住宅から集合住宅、各種改修工事まで幅広く手がけています。創業以来、20年以上にわたり地域に根差し、品質を重視した施工を行なっています。
事業を続ける中で情報の煩雑な管理や業務の属人化といった課題が見えてきました。会社の規模が大きくなるにつれ、これまでのやり方では対応しきれないのではないかという意識が強まり、DXを決意しました。」
分散情報の探索が課題
―業務面では、どのような課題を抱えていましたか。
柳舘氏「現場写真や書類、見積情報などが紙や個人のパソコンに分散しており、必要な情報を探すのに時間がかかっていました。過去の施工写真を確認する際に、事務所のパソコンや個人のフォルダを1つずつ探さなければならず、電話で確認する場面も少なくありませんでした。その結果、状況を把握している担当者に問い合わせが集中し、業務が特定の人に偏ってしまう状況も生まれていました。
また、外付けのハードディスクで管理しており、ハードが壊れると情報が全て無くなってしまうリスクもありました。」

ANDPADで情報整理
―どのように改善を進めてきましたか。
川上氏「以前は別のソフトを使っていたのですが、システム構築までのハードルが高く、結局属人化していました。そんな時に展示会でANDPADの説明を受け、建築業に特化し、現場写真や工程、原価等の課題を整理しやすいツールだと感じ、導入を決めました。数年前からはIT導入補助金を活用し、オプション機能も導入しています。」
―ANDPAD導入後の変化についてお聞かせ下さい。

佐々木氏「現場の写真や進捗状況が協力会社と簡単に共有できるようになり、現場も管理も負担が軽減されました。定期点検の写真や結果も一括管理でき、アフターメンテナンスにも役立っています。受発注に関しても、「ANDPAD引合粗利管理」で請負金額の計算を含め、受発注まで5分程度で完了するケースもあります。以前は同様の確認や計算に30分ほどかかっていたため、業務効率が向上しました。」
柳舘氏「会社全体の情報が可視化され、各案件の工期や進捗状況、対応履歴、売上が一目でわかるようになりました。見積りの精度もあがり、項目ミスや金額ズレといったトラブルも削減されました。
川上 現在は過去の顧客情報や案件のデータもANDPADに移管し、全ての情報を一元管理する体制づくりを進めています。」
DXが働き方改善に
―働き方や社内の雰囲気はいかがでしょうか。
柳舘氏「弊社の平均年齢は35歳と比較的若く、DXには前向きな雰囲気で、活用もスムーズに進んでいます。ANDPADが知識のベースにもなっていて、例えば、未経験の事務員がスムーズに工事のフローや自身の業務の流れを把握できるようになるといった育成面での効果もあります。私自身も時間に余裕ができたので、若手の職人向けのマニュアル作成にも取り組みたいです。」
川上氏「現在は在宅勤務も可能にしており、昨年には完全週休2日制を取り入れましたが、売上は前年比102%を維持できました。DXを通した業務整理の途中ですが、働き方を見直せるきっかけになっています。」
―週休2日を導入しても売上を維持できている点は、DXの成果を示す指標の一つですね。最後に、DX推進を通じて今後目指している姿を教えてください。

川上氏「当社は子育て世代も多く、長く続けていける環境づくりが大切だと考えています。人材育成に関しては、人との関わりが重要だと考えています。DXで工数を減らし、生まれた時間を使って社内外の人とのコミュニケーションの時間を生み出したいと考えています。
DXは完成形ではなく、人を育て、現場を続けていくためのプロセスです。当社は、その歩みを一つずつ積み重ねています。」
―ありがとうございました。
(塗料報知 2026/1/27号掲載記事の転載)



