アーバンライフ株式会社のご紹介
1970年7月創業のアーバンライフ株式会社(大阪府大阪市)は、新築分譲マンションのデベロッパーとして事業を開始、兵庫県芦屋市での第一号物件の開発・販売から始まった。その後、2018年9月に三菱地所グループ入りするにあたり、本格的に買取再販事業を始めた。
買取再販事業とは、既存マンションの有効活用を目的として中古物件を取得し、時代やユーザーニーズにマッチするよう間取り、壁紙、水回り設備を一新するなどの新たな付加価値を創造(リノベーション)して再びエンドユーザーに販売する事業である。三菱地所グループに入った後は、この買取再販事業がメインとなった。70平米前後、3LDKの部屋をメインに取り扱い、当初は年間50戸程度だったが、22年度は200戸程度を見込むなど年々供給戸数を伸ばしてきた。
リノベーション事業を本格化するにあたり、施工品質上の問題点として、是正箇所を示した図面の精度向上と情報共有が課題となっていた。リノベーション事業部の作井様、野村様、西浜様に、ANDPAD図面を導入するまでの経緯と成果についてお話を伺った。
是正箇所の写真と図面の整合に多くの時間を要していた
買取再販の基本的な流れは、まずリノベーション事業部営業推進課担当が仲介会社を通じて物件の情報提供を受け、販売価格等を試算する。条件が合えば、取得契約に向けて交渉し、契約を結ぶ。
その後、物件を内覧して工務店に見積もり依頼を行い、見積もりが固まれば工事を発注する。工事完了後、まず工務店が検査して、その後、アーバンライフ社が施主検査を実施。それに合格すれば販売に移る。その際にステージング(家具・設備等設置)をして、営業推進担当が仲介会社を通じて再びエンドユーザーに販売するという流れだ。
施主検査で是正の指摘を行うことがある。その際、是正箇所を図面に落とし込むわけだが、ANDPAD図面の導入以前、検査報告書や図面は紙ベースで管理していた。写真は現場に行く担当者が撮影していたが、画像のデータが重くてメールで送れず、帰社してパソコンにデータを取り込んでいた。
図面のやりとりについては、工務店担当者が、是正箇所が発生するたびに、図面を作り直し出力して持って行くなど、何度も往復することがあった。
図面データをメールで送受信することもできたが、職人がデジタル端末を持っておらず、現場で図面を見られない状況だった。そのため、工務店の営業担当がわざわざ図面データを紙に出力して職人に伝えるという状態だった。
また、是正箇所の写真と図面の整合にも、かなり時間がかかっていた。施主検査時に手書きで「1番、壁クロス、傷」と図面に記し、写真を撮影。その写真をPDFにして図面のデータに貼り付ける。ただ、部屋の風景だけでは是正箇所が分かりづらいことがあり、図面と写真の照合に多くの時間を要していた。
チェック時間の大幅な削減により、より多くの業務をこなせるように
問題解決の方法を探っていたところ、ANDPAD図面の存在を知り、施主検査に活用できそうだと考えた。いざ使ってみると、現場で図面にチェックポイントを書き込み、それをリアルタイムで是正指示として図面上にアップできるところにメリットを感じた。それがきっかけで導入を決めた。
ANDPAD図面なら、タブレットで写真を撮影すれば、そのまま図面上に登録される。「どの場所で写真を撮影したか、すぐにわかってとても便利になった」と野村様は話す。検査中に写真と図面の整合もすべて終わるため、会社に持ち帰る作業がなくなった。
また、デスクワークの時間が大幅に減った。例えば、1日2件の図面をチェックするとして、1件当たり約90-120分を要していた。それが一切なくなり、1日のデスクワークを約3~4時間短縮でき、その時間を他の業務にまわすことができるようになった。
1件約90-120分というのは、図面のチェックだけにかかる時間だ。加えて、パソコン上で写真データに案件名や番号を付けたり、フォルダ分けしたり、写真データを出力して図面上に貼り付けたりといった作業が重なると、さらに時間を要する。
導入にあたり、自社で使わない機能についてはアンドバッドの担当者に相談し、活用する機能をシンプルにしたことで使いやすくなった。今では、施主検査だけでなく、買い取り時の現地調査時も使っている。
買い取り時の現地調査では、計画課が現場に行って写真を撮影し、図面に落とし込む。画像ピンを使って、部屋ごとに写真を追加していけるため、迷うことなくどの部屋がどういう状態か分かりやすい。しかも、その情報をタイムリーにみんなで確認できる。そのため、見積もりにかかる時間も削減された。
「是正箇所はどこ?」と職人が混乱する事態がなくなった
リノベーションや是正の工事でミスが発生したとき、すぐに情報共有するようになったことで、施工品質の向上にも寄与した。
ANDPADのチャット機能を使えば、ミスの内容と防止のための大事なポイントをリアルタイムに全員と共有できる。取引会社全員が参加しているチャットで、内容を共有するようにして、周知の徹底に努めている。
是正の指摘で多いのは、壁のクロス、建具の枠といった、人がぶつかりやすい場所の傷だ。ANDPAD図面の導入前は、3~4カ所で壁のクロスの是正が必要だった場合に、そのうち1カ所を是正し忘れるというケースがあった。
また以前は、図面に手書きで「1番、壁のクロス、床から200ミリに傷、部屋の右側」のように文字だけで伝えることが多かった。工事が完了すればすぐに販売開始のため、是正箇所に付箋を貼ることはせず、図面上のチェック番号だけで直すようにしていた。そのため現場の職人が、是正箇所が分からず混乱するケースがあった。
是正工事は工務店の受注状況によって、1カ月かかることもあれば、すぐに直せることもある。紙の図面をチェックするだけでは、いつ手直しが完了したのか、計画課の方で完全に把握できないという問題があった。ANDPAD図面の導入後は、図面に写真を付けるのが簡単で、きちんと直しているかどうか素早くチェックできるようになり、問題が一気に解決した。また、是正箇所ごとに対応履歴をたどれる機能があるため、工事の抜け漏れがなくなった。
アーバンライフ社は、これからも三菱地所グループの一員としてさらなる成長を目指すため、ANDPADを活用した情報共有を徹底し、品質管理のクオリティを高める努力を惜しまない。