電気工事における人的コストは「1人工(にんく)」と表してカウントします。これは職人が1日8時間労働した場合の人件費を指しています。この1人工の単価は地域によって異なります。この記事では、電気工事における1人工の単価の目安や、作業内容別の電気工事に必要な1人工の単価相場などを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
電気工事における1人工の単価の目安は?
電気工事における1人工の単価の目安について解説します。
「1人工(にんく)」とは
電気工事における「1人工」とは、通常「1日(8時間)の職人1人の労務費用」を指します。電気工事や建設現場では、作業量に基づいて単価が決定され、報酬は時給ではなく「人工」で報酬が計算されます。ただし、すべての作業に均一な単価を適用すると、難易度の高い作業の評価が低下する恐れがあるため、作業ごとに適切な価格設定が行われます。
地域で異なる単価(2025年3月~都道府県別の電気工事士の単価)
都道府県ごとに電気工事における1人工の単価は異なります。以下、一部の都道府県をピックアップして単価を解説します。
- 北海道:27,600円
- 青森県:25,400円
- 新潟県:26,600円
- 東京都:32,600円
- 神奈川県:29,800円
- 埼玉県:29,300円
- 千葉県:29,700円
- 静岡県:27,800円
- 愛知県:26,400円
- 大阪府:26,600円
- 兵庫県:25,100円
- 広島県:24,700円
- 高知県:24,200円
- 福岡県:26,500円
- 鹿児島県:24,600円
- 沖縄県:21,600円
参考:国土交通省 資料
【作業内容別】電気工事に必要な1人工の単価相場
作業の内容別に、電気工事に必要な1人工あたりの単価を、それぞれ解説します。
防犯カメラやセンサーの設置
防犯カメラや人感センサーの設置費用は一般的に5万円からですが、使用する機器や施工方法によっては、10万円を超えることもあります。これらの装置は一般家庭でも人気があり、建築中の住宅だけでなく既存の住宅からの依頼も多くあります。
照明器具やスイッチの取付・交換
照明器具の取付費用は、電気コンセントや分電盤への設置費用を含めると、一般的には2万円程度からとされています。設置する場所によって配線が長くなり、材料費が増えることがあり、その結果工事費用も上がる可能性があります。
また照明を増やす場合、新たにスイッチを増設する必要が生じることがあります。この際、既存の配線やスイッチとの兼ね合いで、単に増設するだけでなく既存のスイッチ自体を交換する必要が生じることもあります。このようなケースでは、正確な費用を算出するためにも、より詳細な見積もりが必要です。
コンセント・ブレーカーの設置
コンセントの追加工事は、一部の企業では約5,000円から提供される場合もありますが、ブレーカーなどとの組み合わせによっては、10万円以上の費用がかかることもあります。一般家庭や企業からは、コンセントの増設を依頼するケースもあるかもしれませんが、コンセントの増設は容易ではなく、工事の内容によっては10万円以上の費用が発生することもあります。
パソコンの配線・LAN工事
パソコンの配線やLAN工事の価格は、規模や内容によって大きく異なります。小規模なオフィスや一般家庭であれば数万円から、大規模なネットワーク構築や複雑な配線工事であれば15万円を超えることもあります。また、利用するパソコンやLANの規模に応じて、必要な工事内容も変わるでしょう。
電気工事の費用計算に関連する4つの要素
電気工事の費用を計算する際は、複数の要素が影響を及ぼします。ここでは、電気工事の費用を計算する際に関連する4つの要素を解説します。
労務費(労務単価=1人工)
労務単価とは、労働者1人あたりにかかる費用を示す指標であり、給与だけでなく福利厚生費や社会保険料なども含まれます。労働者が実際に手にする賃金とは異なり、法定福利費(健康保険料や厚生年金保険料など)を加えた8時間労働の基準で算出されます。
公共工事では、国土交通省が定める「公共工事設計労務単価」が使用され、民間工事でもこれを基準にするケースがあります。
材料費(資材・部品)
材料費とは、作業に不可欠な機材の費用を示します。材料費は、単純に「材料の価格×必要な数量」で算出できます。
運搬費(交通費)
運搬費や交通費は料金に含まれています。作業が遠い場所で行われる場合、これらの費用が増えるため、料金もそれに応じて高くなります。さらに、大型機材を使用する場合は、運搬費が増加する可能性があります。
歩掛(ぶがかり)
歩掛とは、各作業の手間を数値化したもので「ぶがかり」と読みます。歩掛により、作業ごとに適切な価格を計算します。すべての作業に一律の歩掛を適用すると、複雑な作業ほど手間がかかり、単価が低下する可能性があります。国土交通省は、作業ごとに適切な歩掛を設定しており、これにより作業に対する適正な単価を確保しています。
電気工事における1人工の単価を上げる方法
電気工事における1人工の単価を上げる方法は、労務費が高い地域で開業することや、専門資格を取得することなどです。それぞれの方法について、詳細を解説します。
第1種電気工事士などの専門資格を取得する
第1種電気工事士の取得は、作業の多様性が広がり、その結果として単価が上昇する可能性があります。第1種は第2種よりも幅広い作業が可能であり、より高額な作業ができるため、同じ労力であっても単価が向上することがあります。具体的に、第1種電気工事士と第2種電気工事士の主な違いは、以下の作業内容にあります。
- 第1種電気工事士:第2種の範囲に加え、最大電力が500kw未満のビル・工場などの設備工事が可能
- 第2種電気工事士:一般住宅や小規模な店舗など、600V以下で受電する設備の工事が主な業務
電気工事で1人工の単価を上げる際の注意点
電気工事で1人工の単価を上げる際には、いくつかの注意点があります。それぞれの注意点について解説します。
単価が上がると税金も増える
電気工事の料金を引き上げると、収入が増えるため税金も増える可能性があります。収入が増加すると税率も上昇し、税負担が想定以上に増えることがあります。具体的な増税リスクとしては以下が考えられます。
- 法人税率の増加:中小企業向けの税率優遇を超えると税率が上昇する
- 消費税の増加:インボイス制度により、消費税の課税事業者の納税額が増える
- 個人事業主の所得税増加:個人事業主の収入増加で、累進課税により所得税が上がる
これらの増税リスクに対応するためには、高単価の地域での仕事や資格取得などの工夫が必要です。
1人親方の常用契約締結は法律違反になる
1人親方が電気工事の単価を引き上げようとして常用契約を結ぶと、思わぬ問題が生じる可能性があります。常用契約は、特定の時間労働者を派遣する契約形態であり、雇用保険の加入が義務付けられています。もし1人親方がこの契約を結んだ場合、実態は雇用関係であるにもかかわらず個人事業主として扱われている「偽装1人親方」とみなされ、雇用保険への未加入が法律違反となります。したがって、1人親方は労働時間ではなく成果に対して報酬が支払われる請負契約を選択すべきです。
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まとめ
電気工事や建設現場では、作業量に基づいて単価が決定され、時給ではなく人工(にんく)で報酬が算出されます。労務費(労務単価)が高い地域で開業・受注したり、第1種電気工事士などの専門資格を取得したりすることで、電気工事における1人工の単価を上げられます。
また、電気工事における単価の管理には、ぜひクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」をご検討ください。