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図面拾い出しのコツは?精度と効率を上げる実践テクニックを徹底解説

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見積・請求・契約
図面拾い出し 図面管理 積算 見積書

図面の拾い出し作業をおこなう際、拾い漏れやミスが心配になっていませんか?電気配管から構造材まで、複数の工種を効率的に積算するには正しいコツと手順が欠かせません。この記事では、正確な数量算出をおこなう基本的な手順からミス発生を防ぐコツまで、網羅的に解説します。

これらのコツを実践すれば、作業時間を大幅に削減しながら正確な数量算出ができ、周囲から信頼される積算担当者として成長できるでしょう。図面の拾い出しのコツを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

図面の拾い出しとは?

図面の拾い出しとは、建設プロジェクトの初期におこなう重要な作業です。各種設計図書から、工事に必要な資材の種類と数量を正確に読み取り、部位や工種ごとに一覧表へ集計していきます。

この作業は、工事費全体を算出する積算業務の根幹をなすもので、拾い出しの精度がプロジェクトの採算性や成否に直接影響します。まずは、以下3つの項目にわけて拾い出しの基礎を理解しましょう。

  • 図面の拾い出しの目的
  • 図面の拾い出しの流れ
  • 建築積算数量の拾い方

なお、積算(せきさん)とは、拾い出した数量に、材料単価や労務単価を掛けて工事費を算出する作業のことです。

関連記事:積算とは?見積もりとの違いや仕事内容、積算の流れ・コツをわかりやすく解説

図面の拾い出しの目的

拾い出しの目的は多岐にわたりますが、主に以下3つにわけられます。

目的具体的な役割と効果(メリット)
1. 工事費の精度向上

・正確な数量にもとづく、信頼性の高い見積書を作成できる

・精度の高い実行予算を策定でき、プロジェクトの採算性を管理しやすくなる

・適切な利益を確保し、赤字工事のリスクを低減する

2. 資材管理の最適化・必要な資材の過不足ない発注が可能になる
・現場での資材の余剰(コスト増)や不足(手待ち発生)を防ぎやすくなる
・資材搬入のタイミングを計画しやすくなり、保管スペースの問題を軽減する
3. 工程管理の円滑化

・必要な作業量(労務量)を予測し、適切な人員配置の計画に役立つ
・資材不足による工事の中断を防ぎ、計画通りの工期遵守に貢献する
・手戻りや追加発注といった非効率な作業を削減し、生産性を向上させる

これらは相互に関連し、プロジェクト全体の品質と利益を確保するために、どれも不可欠なものです。拾い出しは単なる数量計算ではなく、コスト・モノ・時間のすべてを管理するための基盤となる作業といえます。

図面の拾い出しの流れ

拾い出し作業は、体系的な流れに沿っておこなうことで効率を高められます。一般的には、以下にあげる準備・実作業・確認の3つのフェーズで構成されます。

フェーズ主な作業内容
1. 準備

・図書の読込み:意匠図や構造図、設備図などに目をとおし、工事の全体像と仕様を把握する
・道具の準備:三角スケールや各種マーカー、関数電卓など必要なものを準備する
・ルールの確認:社内の拾い出しルールや、適用する積算基準を確認する

2. 実作業・数量の計測・計算:図面から寸法を読み取り、部位別・工種別に数量を計算する
・マーキング:拾い出した箇所をマーカーで色分けし、拾い漏れや二重計上を防ぐ
・拾い出し表への記録:算出した数量とその根拠(図面名・計算式など)を正確に記録する
3. 確認

・自己チェック:計算ミスや転記ミス、拾い漏れがないか、自身で見直しをする
・ダブルチェック:他の担当者による客観的な視点でのクロスチェックを実施する

・チェックリストの活用:拾うべき項目をリスト化し、網羅されているか最終確認する

これらを円滑に進める業務フローを構築しておくことで、プロジェクトが滞りなく進行しやすくなるでしょう。

建築積算数量の拾い方

建築積算の数量拾いは、専門的な知識と技術を要します。

まずは、各種図面が持つ情報の違いを理解し、それらを組み合わせて建物を立体的に捉えることからはじめます。一例として、意匠図における図面の種類と、読み取るべき情報をまとめました。

図面の種類主に読み取れる情報

 

平面図・配置図

 

部屋の配置、面積、壁・柱の位置と長さ、建具(ドア・窓)の位置と数

 

立面図

 

建物の高さ、外観デザイン、外部仕上げ材の範囲・面積、窓の高さ

 

断面図

 

階高、天井高、天井裏や床下の構造、基礎の形状・深さ、断熱材の仕様

次に、部位・工種ごとの拾い方を確認しましょう。部位や工種ごとに特有の拾い方や注意点が存在するため、それぞれのルールを理解しなければなりません。

たとえば、コンクリートは体積(㎥)、壁や床は面積(㎡)で算出するなど、部材の特性に合わせた単位を使う必要があります。これらの作業は国土交通省の「公共建築数量積算基準」などの業界標準ルールに則っておこなうことが基本です。一定のルールを設けることで、関係者全員が共通の認識を持てるようになります。

実務に役立つ図面の拾い出しのコツ

ここでは、実務に役立つ拾い出しのポイントを4つ紹介します。

  • 図面を徹底的に読み込む
  • 明確なルールを統一して進める
  • マーカーで色分けする
  • 集計表と連動させながら拾う

以下で詳しくみていきましょう。

図面を徹底的に読み込む

拾い出しのコツは、設計図書全体を俯瞰し「建物のストーリー」として読み解くことです。

図面は意匠図・構造図・設備図などが密接に関連しています。ひとつの側面にとらわれず、全体を総合的に解釈することで設計者の意図を深く理解でき、拾い出しの精度が向上しやすくなります。作業前にすべての図面に目を通し、各図面の整合性をチェックする時間を設けるのがおすすめです。

明確なルールを統一して進める

拾い出しの品質を保つには、客観的な計測ルールを決めておくことが肝心です。

また、作業の抜け漏れを防ぐための手順に関するルールも文書化し、チーム全員で共有しましょう。ルールがないと担当者ごとに判断がばらつき、見積もりの信頼性が低下します。文書化されたルールがあることで属人化を防ぎ、新人教育にも役立ちます。

マーカーで色分けする

マーカーを用いた色分けは、判断ミスを減らす戦略的なテクニックです。一例として、以下のように色分けするとわかりやすいでしょう。

色分けを使うシーン色分けの具体例
作業フェーズ管理作業中:黄色
保留:水色
作業完了:緑色
部材の分類コンクリート:青色
木部材:茶色
鉄骨:紫色

色分けにより、作業の進捗や部材の種類などが直感的に把握でき、拾い漏れや二重計上といったヒューマンエラーを削減できます。

集計表と連動させながら拾う

拾い出した数量をエクセルなどの集計表に入力し、自動計算機能を活用することで工事全体の作業がスムーズに進みます。

オンラインで連携していれば、リアルタイムで社内全体と情報共有できるため、作業の透明性も高められます。自動集計できる集計表を使うことで、手作業による計算ミスを軽減できる点もメリットです。

スムーズな拾い出し作業のために、入力しやすく集計も容易にできる管理表を準備しておくとよいでしょう。

図面の拾い出し(積算)を効率化する方法

図面の拾い出し(積算)を効率化するためには、以下3つのポイントをおさえておきましょう。

  • 過去データを分析しノウハウを蓄積する
  • 積算ソフトを導入する
  • 積算業務を専門業者へ依頼する

以下で詳しく解説します。

過去データを分析しノウハウを蓄積する

業務の精度と効率を持続的に高めるには、過去のプロジェクトデータを分析し、得られた知見をノウハウとして組織内に蓄積・共有することが重要です。

過去のミス事例や成功例を分析することで、同様のミスを減らせるようになるでしょう。また個々が持つ知識を言語化し、組織の共有財産にすることで属人化の防止にもつながります。現場で役立つ情報を各従業員が把握しておくことで、企業全体の業務効率化にもつながります。

積算ソフトを導入する

積算ソフトを導入すると、拾い出しから見積書作成までの効率と精度を飛躍的に高められます。

CAD図面から数量を自動算出する機能や、複雑な計算を代行する機能により、担当者は単純作業から解放されます。自社の業務内容や課題を明確にし、最適なソフトを選ぶことが導入成功の鍵です。

なお、近年では3Dモデルで建物を設計するBIM(Building Information Modeling)から直接数量を算出する手法が注目されており、拾い出し業務のあり方を大きく変えつつあります。

参照:国土交通省「BIM/CIM 活用ガイドライン(案)

建設業に活用できるIT技術は、日々進化しています。自社の業務効率化に役立つツールがあれば、ぜひ導入を検討してみましょう。

関連記事:BIMデータとは?活用するメリットや作業の流れなどを解説!

積算業務を専門業者へ依頼する

社内リソースが不足する場合や、より高度な専門性が求められる際には、積算業務を専門業者へアウトソーシングするのも有効な手段です。

専門業者は豊富な経験と専門知識を活かし、迅速かつ高精度な積算結果を提供してくれるでしょう。

結果として、自社の社員はコア業務に集中でき、組織全体の生産性向上に貢献します。専門業者に依頼すると当然費用はかかりますので、かけられるコストや、社内の業務負担を総合的に把握したうえで判断することがおすすめです。

図面の拾い出し作業の注意点

拾い出し作業における、主な注意点は以下の3つです。

  • 拾い漏れを防ぐ
  • 計算や転記ミスをなくす
  • 属人化させない

それぞれを詳しくみていきましょう。

拾い漏れを防ぐ

数値の拾い漏れは、工事費の過少見積もりや資材不足を招く深刻なミスです。これを防ぐには、設計図書全体を網羅的に確認することが欠かせません。

また、拾い出すべき項目を網羅したチェックリストの活用や、拾い出した箇所をマーカーで色分けするなどの対策も有効です。さらに、別の担当者によるダブルチェック体制を確立することで、客観的な視点からミスを発見しやすくなります。

計算や転記ミスをなくす

計算ミスや転記ミスは、積算金額を大きく狂わせます。

拾い出しにおける計算ミスをなくすためには、あらかじめ計算式が組み込まれたテンプレートを使うことがおすすめです。また、数値を転記する際は、必ずもとの数値と見比べるダブルチェックを徹底しましょう。

属人化させない

業務が特定の担当者に依存する属人化は、担当者の不在時に業務が滞るリスクを生みます。

属人化を防ぐためには、具体的な手順やルールを定めたマニュアルを整備し、誰でも参照できるようにしておくことが肝心です。また、誰でも使える積算ソフトを導入することで、特定の人のスキルに依存せず業務を遂行できるようになります。

図面の拾い出しに関するよくある質問

最後に、拾い出しに関するよくある質問に回答します。

  • 積算ソフト選びで失敗しないコツは?
  • 積算のスキルを上げるにはどうすればいい?
  • 長時間作業でも集中力を保つ方法は?

拾い出しの作業開始に伴い不明点があれば、早い段階でほかの従業員に確認をとりましょう。誤解したまま作業を進めるとミスやトラブルの原因となるため、早期解決が肝心です。

積算ソフト選びで失敗しないコツは?

積算ソフト選びに失敗しないためには、自社の課題と導入目的を明確にすることが重要です。

たとえば、計算ミスが多い、入力に時間がかかるなど、具体的に解決したいことを書き出します。そのうえで、候補となるソフトにこれらを解決できる機能が備わっているかを確認しましょう。無料トライアルやデモを積極的に活用し、実際の操作性をチェックすることも大切です。

関連記事:図面管理とは?3つの方法や注意点、図面管理システムの選び方・活用事例も紹介

積算のスキルを上げるにはどうすればいい?

まず、公共建築数量積算基準の理解など、基礎知識をしっかり身につけることが不可欠です。

次に、多様な案件を通じて実践経験を積み重ね、応用力を磨きましょう。常に学び続ける姿勢を持ち、経験豊富な上司や先輩から積極的にレビューをもらうことで、スキルは飛躍的に向上します。

長時間作業でも集中力を保つ方法は?

集中力を保つには、ポモドーロ・テクニックのように、計画的に休憩を取り入れることが不可欠です。※ポモドーロ・テクニックとは「25分集中し、5分休憩する」というサイクルを繰り返す方法のこと。

また、質の高い睡眠やバランスの取れた食事といった、日頃からの心身のコンディション管理も集中力の基盤となります。整理整頓された作業しやすい状態であるかどうかも大切であるため、職場環境の見直しも検討してみましょう。

まとめ

この記事では、図面の拾い出しにおける基礎知識から、実務で役立つ具体的なコツなどを多角的に解説しました。

正確な拾い出しは単なる数量計算ではなく、プロジェクトのコスト管理につながる大切な工程です。今回紹介した、明確なルールの設定やマーカーでの色分けといったテクニックは、業務の属人化を防ぎ、組織全体の生産性を高めるための有効な手段です。

また、積算ソフトの導入や専門業者への依頼といった選択肢も視野に入れることで、業務プロセスを抜本的に改善できる可能性があります。拾い出し業務の品質向上は、プロジェクトの成功確率と利益率を高めるための確実な一歩となるでしょう。

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