請求書控え(写し)とは、原本のコピーとして使用するものです。取引のあった事実を証明するため、発行者が手元に保管する必要があります。この記事では、請求書控えの概要や保存方法、管理をする際の注意点などを解説します。請求業務を電子化すべき理由も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
請求書の法的な位置づけ
法律上、請求書は債権の発生を証明する効力をもつものです。金額や支払い内容などが記載されており、代金の支払いを請求するために使用できます。ただし、権利を行使できることを知ってから、5年以上経過すると消滅時効が成立します。請求書は領収書と違い、発行者に発行義務はありません。決まった形式もなく、請求書作成ソフトやエクセル、手書きなどでも作成できます。
請求書の記載内容と意味
請求書の記載内容は、以下のとおりです。
- 請求書の題目
- 宛名
- 発行年月日
- 発行者の氏名もしくは名称
- 請求金額
- 振込先
- 入金期日
- 取引年月日
- 取引内容
- 消費税/源泉徴収
上記は、最低限必要な記載項目です。請求書の発行日は、取引のあった事実を記録する意味合いがあります。税務申告や年次・月次の決算などを証明するための基礎資料ともなります。入金期日は、契約を交わした時点での取り決めをもとに記載するものです。取引先や取引条件などによって異なりますが、支払い能力や信用力を確認して記載する必要があります。
請求書控え(写し)とは
請求書控え(写し)とは、取引先に送付した原本とは別に、発行者が手元に保管するものです。原本のコピーとして控えを残しておくことで、客観的に取引のあった事実を証明できます。取引先や取引月ごとにファイリングすると、取引内容を確認する際に役立ちます。
請求書控えには発行義務がないため、取引の際に必須ではありません。しかし、請求金額の誤りをはじめとしたリスクを考慮して、手元に保管しておくことをおすすめします。
発行した請求書控えの保存はコピーでOK!
発行した請求書の控えは、コピーを取って保管できます。必ずしも原本で保存する必要がないため、コピーを保存しても問題ありません。また、法人税法や所得税法上、控えの発行自体にも義務はありません。ただし、請求書の控えを発行した場合、保存する義務が発生する点に注意が必要です。
インボイス制度では適格請求書の控えの作成および保存が義務
2023年10月以降、インボイス制度において、適格請求書の控えの作成および保存が義務化されました。請求書を発行した側も控えを保存する義務があるため、注意しましょう。
インボイス(適格請求書)とは、従来の区分記載請求書に、登録番号をはじめとした項目を追記するものです。書類は原本ではなく、コピーでも保存が可能です。また、項目の記載を確認できる一覧表や明細表などでも問題ありません。
法人は7年間・個人事業主は5年間の保存が原則
発行した請求書控えは、一定の期間の保存義務があります。原則として、法人は7年間・個人事業主は5年間の保存が義務づけられました。インボイス制度において、適格請求書発行事業者も同様に保存の義務を負います。それぞれの保存期間は、確定申告書の提出期限の翌日から起算します。個人事業主の場合、青色申告と白色申告どちらも5年間の保存が義務です。
受領した請求書は原本の保存義務がある
受領した請求書には、原本の保存義務があります。原則として、コピーを作成して保存することは認められていません。税務調査が入った場合、偽造や不正会計などの疑いをかけられる可能性があるためです。控えを発行した場合は、受領した請求書および発行した請求書の控えを保存しておく必要があります。控えを発行していない場合は、受け取った分のみを保存しておきましょう。
請求書控えを管理する際の注意点
請求書控えは、確認しやすいように保管することが大事です。ここでは、管理する際の注意点を解説します。
未入金のものと入金済みのものを分けて管理する
請求書控えは、入金の有無で分けて管理する必要があります。自社が発行したものは、取引先からの入金を確認する必要があるためです。請求書を入金の有無で分類すると、取引の状況を把握しやすくなります。請求した金額の回収状況もわかりやすくなるため、未入金のものと入金済みで分けて管理することが大事です。
未入金のものは支払い期日によるファイリングが重要である
未入金のものは、支払い期日でファイリングしましょう。支払いの期限がわかるように日付の順番で管理することで、期日を過ぎたものに督促の連絡を入れやすくなるためです。取引先の入金状況の確認と、入金を予定している日付などを確認しましょう。取引先から入金があった場合は、入金日を追記して入金済みのファイルに移動させてください。
請求業務を電子データで管理すべき理由
請求業務は手間や負担がかかるため、効率化する必要があります。ここでは、電子化するべき理由を解説します。
企業間取引を効率化できる
企業間取引は、電子化によって効率化できます。電子化したデータのやり取りによって、印刷せずに送信ができ、郵送の手間の削減も可能です。たとえば、印刷や封入、郵送など多くの作業負担の軽減につながります。取引先に届くまでのタイムラグもないため、請求内容を修正する際の時間や手間も削減できます。
電子データで取引できる書類は、見積書や契約書、領収書などです。企業間取引で使用するさまざまな書類業務は、電子化することで業務効率化が向上します。
文書管理・保管を効率化できる
書類を電子化することで、文書管理・保管の効率化が可能です。電子データで保存するため、紙を保管するためのスペースは必要ありません。印刷用の紙やインク、キャビネットなども必要なくなるため、文書管理・保管のコストの削減にもつながります。
ただし、電子化するデータを使用する際は、同じツールで送受信と保管をすることが必要です。別のツールを使用すると、業務効率が低下する可能性があるためです。効率化のため、事前にプラットフォームの仕様を確認しましょう。
テレワーク促進に有効である
書類の電子化は、テレワーク促進にも有効です。オンラインで書類の発行や修正などの対応ができるため、在宅勤務での業務にも対応できます。クラウド上でデータを管理するため、請求書を共有すればインターネットを介してアクセスができます。また、書類の印刷や捺印のために、出社する必要がない点もメリットです。
オンライン上で承認のフローを構築することで、請求業務への対応が可能です。上長や経理担当者が不在でも、業務を円滑に進められるでしょう。
建設業に特化した「ANDPAD請求管理」は電子帳簿保存法にも対応
「ANDPAD請求管理」は、毎月の請求管理業務の負担を解消できる管理システムです。建築業界に特化した性能が特長で、特有の要件を満たした請求管理ができます。書類が自動システムで振り分けられるため、現場ごとに仕分ける作業や郵送作業などが不要になります。
電子帳簿保存法にも対応しているため、毎月の請求管理業務の効率化が可能です。データの検索も簡単にできるため、データ管理の業務効率も向上します。
「ANDPAD請求管理」の活用事例
友渡建設様は、「ANDPAD請求管理」を活用して請求書業務を大幅に削減しました。たとえば、振り分けや査定、保管などをその場で完了させ、作業・移動にかかる時間の大幅な削減につなげています。
また、職人だけでなく、経理担当の作業の負担も削減しています。現場ごとの書類の振り分けや目視での確認など、さまざまな業務の負担を抑えました。今後も業務のDXを進め、関係者全員が効率よく働ける環境づくりに意欲を示しています。
まとめ
請求書の控えは、取引の事実を客観的に証明できるものです。発行の義務はありませんが、原本のコピーを残しておくと、万が一のトラブルにも対応できます。書類の電子化や請求管理ソフトを使用すると、業務負担の軽減につながるためおすすめです。
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