昨今は、さまざまな企業が請求書の郵送を廃止しています。そこで本記事では、請求書の郵送が廃止される理由や、廃止によって得られるメリットなどについて解説します。また、請求書の郵送を廃止するにあたり、押さえるべきポイントも取り上げるので、興味を持った人はぜひ最後までご覧ください。
請求書の郵送の廃止が進む背景
請求書の郵送の廃止が進む背景として、デジタル化の普及が挙げられます。以下のように、現在さまざまな企業が請求書の電子化を進めています。
- 大手通信キャリア
- クレジットカード会社
- 電力・ガス会社
ただし、電子化を進める一方で、紙の請求書の発行を続けている企業もあります。紙の請求書は、発行にコストがかかるのが一般的です。
請求書の電子化に関わる法律
請求書を電子化するにあたって、いくつか押さえておきたい法律が存在します。それぞれの法律の詳細は、以下のとおりです。2023年に開始されたインボイス制度への対応においても、電子的な保存体制の整備が求められるため、電子帳簿保存法などのルールを押さえておくことが重要です。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法とは、国税に関連する帳簿や書類の電子保存について規定する法律です。この法律が施行される以前は、国税関係書類は原則として紙媒体での保存が義務付けられていました。しかし、現在ではルールに従えば、取引データを電子化することが可能です。ただし、電子データのデータ保存の要件に従った保存が必要な点に注意が必要です。
e文書法
e文書法とは、会社法や法人税法などで保存が義務付けられている文書について、電子化して保存することを認める法律です。電子帳簿保存法は、会計帳簿やその裏付けとなる証憑書類の電子化を認めています。一方のe文書法は、電子帳簿保存法よりも適用範囲が広く、多種多様な法定文書の電子化を認めているという違いが存在します。
請求書の郵送を廃止して電子化を進めるメリット
ここでは、請求書の郵送を廃止して電子化を進めることで得られるメリットについて解説します。
コスト削減
請求書の郵送を廃止するメリットとして挙げられるのが、コストの削減です。紙の請求書を郵送する場合、印刷費や輸送費など、さまざまなコストがかかります。また、請求書の数が増えると、請求書の保管スペースを確保するための費用も必要です。請求書の郵送を廃止することによって、郵送や保管にかかるコストが削減できます。
業務の効率化
業務の効率化も、請求書の郵送を廃止するメリットのひとつです。紙の請求書を郵送する場合、封筒に書類を入れる、投函するといった手間のかかる作業をしなければなりません。請求書を電子化すれば、これらの作業をせずに済み、メールやチャットで完結できます。また、電子化によって業務フローの見直しをすることで、作業効率の向上も期待できるでしょう。
安全性の確保
請求書の郵送を廃止することで、安全性の確保もできます。紙の請求書は、第三者による盗み見や改ざんがしやすいため、セキュリティ上のリスクが高まります。請求書をPDF化すれば、容易に改ざんができなくなります。また、権限機能を利用して閲覧者を制限すれば、請求書の内容の流出も防げます。
郵送以外の請求書の送付手段
郵送を廃止した場合は、どのようにして請求書を送付するのでしょうか。ここでは、主な送付手段と特徴について解説します。
ビジネスチャット
請求書を送付する代表的な方法として、ビジネスチャットが挙げられます。ビジネスチャットにはファイル送付機能が搭載されており、電子化した請求書を送付できます。また、ビジネスチャットの多くは、高度なセキュリティ機能が搭載されています。そのため、情報漏洩のリスクも最小限に抑えられます。
電子請求書システム
電子化した請求書を送付する際には、電子請求書システムを活用する企業が増えています。電子請求書システムとは、電子化した請求書の発行や送付、管理などを一元化する専門システムです。導入にあたって初期費用がかかる点がデメリットですが、業務工数の削減やコスト削減、ヒューマンエラーの減少といったメリットもあります。
メール
メールは、請求書を送付する手段として一般的な方法のひとつです。無料で利用できるものも多く、その場合はコストがかかりません。また、同時に複数の相手に送れる、相手の時間を拘束しないといったメリットもあります。ただし、誤送信による情報漏洩のリスクもあるため、ファイルはパスワード付きにする、暗号化通信を利用するなどの工夫が求められます。
請求書の電子化に対応する流れ
請求書の郵送を廃止して電子化するには、段階を踏んで進める必要があります。ここでは、導入の基本的な流れについて解説します。
導入目的の整理
請求書の電子化にあたっては、電子化の目的を明確にしましょう。なぜ電子化をするのか、そのためにはどのようなシステムが必要であるかを事前に考えないと、導入そのものが目的になりかねません。時間や労力を費やして請求書の電子化を進めても、期待していた効果が得られない可能性があります。
予算とスケジュールの確認
導入目的を明確にしたら、予算とスケジュールを確認しましょう。専用のシステムを導入する場合、初期費用と月額の運用費用が発生します。赤字を出さないためにも、あらかじめ予算を決めておく必要があります。また、同時にシステムの運用開始時期も、把握しておきましょう。そこから逆算して、取引先に伝えるタイミングや、従業員の教育を完了させる時期を決定してください。
サービスの選定と導入
予算とスケジュールまで決まったら、サービスを選定して導入します。サービスを選ぶ際には、以下のポイントに注目しましょう。
- どの程度コスト削減が見込めるか
- 電子帳簿保存法に対応しているか
- セキュリティ対策に問題はないか
- 複雑な操作は必要ないか
- UIはわかりやすいか
絞りきれない場合には、お試し期間を利用して、実際の使用感をチェックすることをおすすめします。
請求書の郵送を廃止するにあたって押さえるべき注意点
請求書の郵送を廃止する場合に注意すべき点について、以下で詳しく解説します。
改ざんしにくいデータで送る
請求書を電子化する場合、データ形式に注意しましょう。データ形式によっては、請求書の内容を改ざんされかねません。おすすめなのは、編集が困難なPDF形式です。また、同時にパスワード設定や電子署名によって、セキュリティを高めるとさらに安心です。WordやExcelなどは、請求書の内容を容易に改ざんできるため、電子化には適していません。
セキュリティ対策に気を配る
請求書を電子化するにあたって、セキュリティ対策は必要不可欠です。請求書に記載されている顧客情報や取引情報が漏洩すると、自社に対する信頼が失われかねません。セキュリティ対策としては、暗号通信の利用、セキュリティソフトウェアの導入などが挙げられます。また、オンライン上にデータを保存するクラウドシステムもおすすめです。
電子化する旨を取引先に伝える
請求書を電子化する場合は、取引先に周知しなければなりません。以下の点について情報を共有しましょう。
- いつから請求書の電子化を開始するのか
- なぜ請求書の電子化をするのか
- 電子化によって取引先にどのようなメリットがあるのか
なお、取引先によっては、保管方法の関係や商習慣などから、紙の請求書を必要とするケースもあります。その場合は、請求書を電子化するだけではなく、請求書の原本も郵送しましょう。
取引先に伝える案内文テンプレート
参考として、案内文のテンプレートを紹介します。
拝啓
平素よりお世話になっております。
このたび弊社では、業務の効率化や環境への配慮などを目的に、請求書の電子化を進めることとなりました。つきましては、◻︎月⚪︎日のご請求分より、請求書の送付を電子データにて行わせていただきたく、ご案内申し上げます。
貴社におかれましては、より早く確実に請求書内容をご確認いただけるほか、過去1年分の請求書をいつでも確認・ダウンロードできるようになります。なお、貴社の電子請求書のご利用は無料です。
お手数をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具 |
請求書の郵送の廃止に関するよくある質問
請求書の郵送の廃止に関して、よくある質問について述べます。
請求書の原本の郵送は必要?
原本の送付を求められた場合には、郵送をしなければなりません。原本が必要か否かは、取引先によって異なるため、スムーズに業務を進めるには、事前の確認が重要です。
電子化した請求書は法的に有効?
電子化した請求書は、法的に有効です。ただし、電子帳簿保存法で定められている要件を満たしていることが条件です。また、紙の請求書と同様に、7年間の保存が求められます。
建設業の請求書電子化を進めるなら「ANDPAD請求管理」の利用がおすすめ
請求書の発行や改修はもちろん、工事ごとの振り分けや出来高査定、相殺なども可能です。電子帳簿保存法にも対応しており、毎月の請求管理業務の効率化が目指せます。
資料の無料配布も実施しているため、興味を持った人はぜひメールで問い合わせてください。
まとめ
紙の請求書の廃止は、コスト削減や業務効率の向上など、企業にとってさまざまなメリットがあります。ただしそのためには、計画を入念に立て、適切なシステムを導入しなければなりません。
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