建設業向けクラウドサービスとは、建設業に重点を置いたクラウドシステムのことです。この記事では、建設業に特化したクラウドサービスの機能や導入するメリット、クラウドサービスの選び方について解説します。クラウドサービスを取り入れたい担当者は、参考にしてください。
建設業で使えるクラウドサービスとは?
建設業で使えるクラウドサービスとは、業界に特化した機能やシステムがある、クラウドベースの管理システムです。クラウドサービスとは、インターネットを経由して、ソフトウェアやインフラなどの各種機能を利用できるサービスのことです。
建設業のクラウドサービス機能
建設業に特化したクラウドサービスには、建設業に便利な機能が備わっています。サービスによって提供される機能は異なりますが、ここでは、クラウドサービスの主な機能を10個解説します。
図面・写真・資料管理
図面・写真・資料管理などの機能は、図面や写真のアップロード、共有、バージョンの管理などが可能です。関係者や自社の従業員とのスムーズなデータ共有により、設計のミスや再設計の負担を減らせるでしょう。
資材管理
資材管理には、資材の発注、在庫管理、納品スケジュールなどの機能が含まれています。これらの機能を活用することで、資材の過不足を適切に管理することができ、結果としてコストの削減につながります。
財務管理
財務管理の機能として、予算計画、経費追跡、予算レポートなどがあります。プロジェクトの財務状況の全体を把握できるため、コストや工事費が超過するリスクを減らせます。
協力会社管理
協力会社管理の機能に含まれるものは、協力会社の選定、支払処理、パフォーマンス評価などです。協力会社とのスムーズな連携ができるため、トラブル防止、工事の品質向上につながります。特に、複数の会社が関与するプロジェクトでは、協力会社との連携やトラブルの未然防止に活用できるでしょう。
安全管理
安全管理として、事故報告、安全教育の管理、安全チェックリストなどの機能があります。安全管理機能を活用することで、安全を確保し、事故や違反を未然に防げます。
工程管理
工程管理の機能として、プロジェクトの進捗管理、スケジュール管理、タスクの割り当てなどが挙げられます。工程管理機能を活用することで、リアルタイムでの情報共有が可能になり、プロジェクトの運用効率化、コミュニケーションの強化につながります。
案件管理
案件管理の機能を活用することで、案件ごとに担当者を決めて工程表や計画書、資料などをまとめられます。リアルタイムで、進捗情報を共有できます。
チャット
チャット機能により、担当者と協力会社、担当者同士など、チャットでのコミュニケーションが可能です。写真や動画の配信やファイルの共有もできるため、現場から離れていても、現場の状況を確認できます。
報告書作成
報告書作成機能により、日報や完了報告書などをテンプレートから簡単に作成できます。連絡や報告、情報の共有が効率的に行えるため、手間がかかる報告書作成業務の負担軽減が期待できるでしょう。
顧客管理
顧客管理機能は、顧客のプロフィール情報や進捗情報、訪問履歴などを管理できます。顧客情報を細かく分けて管理することで、さまざまなニーズに対応できるため、顧客満足度の向上やマーケティング活動の最適化につながります。
建設業のクラウドサービスの導入目的
建設業でクラウドサービスを導入する目的はさまざまです。ここでは、目的を3つに分けて解説します。
スムーズな情報共有のため
建設業のクラウドサービスは、スムーズな情報共有に必須なツールです。従業員の情報共有にクラウドサービスを活用することで、リアルタイムでの情報伝達が可能になり、負担軽減につながります。
アナログな手法では、情報共有に必要以上の工数がかかることが懸念されます。実際に対面で話して情報共有をしたり、事務所に戻って、必要な情報を伝達したりする必要があるためです。クラウドサービスを活用することで、情報伝達が簡素化でき、効率的な業務遂行につながります。
ミスを削減するため
クラウドサービスは、時間や場所、デバイスなどに関わらず、インターネットに接続できる環境であれば、いつでもアクセスが可能です。入力した情報をスムーズに共有できるため、手作業による記録や、伝達に伴うミスを減らせるでしょう。システム化され、一貫したデータ管理になることで、作業の信頼性を高めることができます。
残業対策(残業上限規制)のため
クラウド型の勤怠管理は、リアルタイムに労働時間の把握が可能です。建設業でも、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されたことにより、残業時間を適切に管理する必要性が高まっています。クラウドサービスで、労務情報を管理することで、時間外労働の状況を一覧表示できるようになります。これにより、従業員1人ひとりの労働時間が把握できるようになるため、残業対策に役立つでしょう。
建設業向けのクラウドサービスを活用するメリット
建設業向けのクラウドサービスを活用することで得られるメリットを、3つに分けて解説します。
業務効率化につながる
クラウドサービスを活用することで、資料や写真をリアルタイムに共有したり、プロジェクトの進捗状況を管理できりため、業務効率化につながります。作業にかかる時間を削減できるため、残業対策にも期待が持てます。また、伝達や共有の手間が省けるだけでなく、急な仕様変更にも遅延なく情報共有できるため、作業のやり直しや遅延も防げるでしょう。
コスト削減につながる
クラウド型のシステムは、オンプレミス型と比べてコスト面でのメリットがあります。オンプレミス型とは、自社サーバーにソフトウェアをインストールして運用する従来の方式です。クラウド型では自社サーバーの購入・維持が不要なため、初期投資と運用コストを抑えられます。さらに、機能を活用することで、資材や人件費の管理を最適化し、無駄な支出を防ぐことができます。
拡張性が高い
クラウドサービスは、拡張性が高く、プロジェクトの規模や企業のニーズに合わせて、サービスを自由にカスタマイズできるメリットがあります。企業の成長に合わせて、必要な機能を追加することもできます。また、複数名が同時にアクセスした場合、一時的にサーバーの機能を向上させ、処理に対応することも可能です。
一方、オンプレミス型で機能を向上させるためには、一からサービスの再構築が必要となり、手間がかかります。
建設業向けのクラウドサービスを導入する前に確認すべきポイント
建設業向けのクラウドサービスを導入する前に、確認しておきたいポイントを解説します。
コストがかかる
クラウドサービスは、コストの削減につながる一方で、導入には初期費用や月額費用などのコストが新たに必要になります。また、多くのクラウドサービスが従量課金を採用しており、毎月の利用料金は、利用量によって変動することが一般的です。そのため、予算の予測が立てにくいことが懸念点に挙げられます。
機能を追加したり、ユーザー数が増加したりすると、それに伴い追加費用がかかることもあります。
オンプレミス型に比べると、セキュリティリスクが高い
多くのクラウドサービスが、データの暗号化やバックアップ、災害復旧計画などの機能を提供しています。自社内にサーバーを構えるオンプレミス型に比べると、セキュリティリスクや有事の際の対応力は高いといえるでしょう。
建設現場では、図面データや写真などさまざまなデータを扱うため、情報漏洩のリスクに気を配り、セキュリティ対策を適切に行うことが求められます。場合によっては、追加でセキュリティ対策に費用をかける必要があるでしょう。
インターネット環境が必要となる
クラウドサービスは、インターネット上で構築されています。そのため、インターネットに接続していなければ、利用ができません。インターネットにつながりにくい山間部での作業や地下鉄での移動中などは、利用が制限されることもあるため注意が必要です。
建設業のクラウドサービスの選び方
建設業向けのクラウドサービスには、さまざまなものがあります。自社に導入する際に、確認しておくべきポイントを4つに分けて解説します。
自社に必要な機能があるか
図面管理、工程管理、チャット機能など、自社の業務に必要な機能があるかを確認する必要があります。過不足のない機能を備えたクラウドサービスを選ぶことで、複数のツール導入による無駄なコストを避けることができます。
操作は直感で使いやすいか
クラウドサービスは、誰でも使いやすく、簡単に操作できるものがおすすめです。使いやすいUI/UX、機能があるクラウドサービスを選びましょう。現場の全員が使えることが、条件の1つです。直感で操作できるものなら、トレーニングコストや操作ミスのリスクが減らせるでしょう。
セキュリティ対策が整っているか
セキュリティ対策がなされているかも重要なポイントです。クラウドサービスにより、セキュリティ対策の手段は異なります。導入予定のツールが国際セキュリティ資格を取得しているか、どのような対策をとっているかなどを事前に確認しましょう。
サポート体制は手厚いか
使い方がわからない、エラーが発生したなどのトラブルへの対応方法も事前に確認しておくべきです。トラブル対処に必要な費用もあわせて確認しましょう。運用におけるアドバイスや研修などが受けられる体制であれば、社内への浸透もスムーズです。
建設業向けのクラウドサービスの導入手順
建設業向けのクラウドサービスを導入する際は、現状を把握するところから、運用に至るまで5つの手順を踏みましょう。それぞれの手順を詳しく解説します。
1. 現状を把握し、目標を設定する
自社の現状を把握し、クラウドサービスを導入することで期待できる効果を明確にしましょう。解決したい課題や達成したい目標など、ゴールを決めることが重要です。
2. 要件を詳細に定義する
導入するクラウドサービスに必要な機能、セキュリティ要件などを詳細に定義します。利用するユーザー数や権限の範囲など、できるだけ具体的に設定することで、自社に合ったクラウドサービスの選定に役立ちます。
3. クラウドサービスを比較検討する
価格、機能などを総合的に判断して、導入するサービスを決めましょう。その際、長期的な運用コストも考慮します。
4. どのように導入するかの計画を立てる
導入するクラウドサービスが決まったら、導入スケジュール、担当者の割り当てなどを決めます。システムのテスト期間や本格運用開始時期も細かく決めることが大切です。
5. テストを繰り返し、運用をする
運用前のテストを行い、システムが正しく機能するかを確認します。問題が発見された場合は速やかに修正し、問題が無くなるまでテストを繰り返しましょう。問題が無くなり次第、クラウドサービスの運用を開始します。
建設業におけるクラウドサービスの導入事例
クラウドサービスを導入して成功した建設業の事例を3社紹介します。
やり直し工事を削減し大規模リフォーム案件で粗利率5%UPを実現
株式会社カスケホーム様では、電話やFAXによる情報伝達に頼っていたため、共有が遅れ、工事の手戻りが発生し、利益を圧迫していました。また、図面を紙で管理していたため、古い図面で作業を進めていたことも、手戻りの原因となっていました。
クラウドサービスの導入後は、撮影した写真はすぐにクラウドに格納することで、リアルタイムで写真をチェックできるようになっています。その結果、撮り直しの指示や、プランや仕様の変更の情報共有がスムーズになり、工事のやり直しが減少し、利益率上昇につながりました。「ANDPAD(アンドパッド)」に工程表を入れておくことで、上司へのメール送付の手間も解消できています。
参考:株式会社カスケホーム様のクラウドサービス導入事例|ANDPAD(アンドパッド)
一人当たりの担当棟数が1.6倍に、施工管理と受発注管理システムを統一
株式会社北洲様は、これまで、現場から事務所に戻って発注書や報告書を作成しなければならず、残業を減らせないことに頭を悩ませていました。クラウドサービスを導入することで、工程表や報告書の作成時間の削減につながっています。
以前は、Excelで作成した書類をPDF化し、システムにアップして確認してもらうという工数のかかる電子受発注システムを利用していました。そのため、業務の効率化にはつながらず、従業員の負担になっていました。ANDPAD受発注を活用するようになってからは、1件当たりの受発注関連書類が8割ほど減少し、1人の現場監督が1年間で担当できる棟数が1.6倍に増加しています。
参考:株式会社北洲様のクラウドサービス導入事例|ANDPAD(アンドパッド)
写真整理の時間が半減、撮り直しや資料共有の手間も大幅に改善
株式会社松田組様では、写真データを夕方事務所に戻ってパソコンに取り込むため、時間がかかるうえ、タイムラグが発生していました。現場は次の工程に進んでおり、撮り直しができないことも懸念点でした。また、毎週、上司に工程表をメール添付して送る手間も発生していました。
クラウドサービスを導入してからは、撮影した写真はすぐにクラウドに格納できるようになりました。これにより、パソコンに取り込む時間がゼロになったうえ、リアルタイムで写真をチェックでき、撮り直しの指示もスムーズになっています。「ANDPAD(アンドパッド)」に工程表を入れておくことで、上司へのメール送付の手間も解消しました。
参考:株式会社松田組様のクラウドサービス導入事例|ANDPAD(アンドパッド)
建設業向けのクラウドサービスなら「ANDPAD(アンドパッド)」がおすすめ
建設業向けのクラウドサービスなら、工程表・写真・図面などの最新情報をクラウドで一元管理できる、「ANDPAD(アンドパッド)」がおすすめです。案件ごとに、工程表、資料、写真、報告など必要な情報をまとめて管理できるため、個別で行っていた煩雑なやりとりが一本化でき、漏れやミスを防げます。
案件に関するお施主様の情報や注意事項、近隣情報なども閲覧できるため、メンバー間での認識違い防止にもつながるでしょう。スマートフォンで撮影した写真をクラウド上で管理でき、共有も可能です。案件ごとにメンバー全員が参加できるチャットルームを活用できるため、スムーズな進捗状況の確認、報告などが可能です。
まとめ
建設業にクラウドサービスを導入することで、業務効率化やコスト削減につながります。自社に必要な機能を洗い出し、適した機能を持つクラウドサービスを導入しましょう。必要に応じて、カスタマイズできる範囲や費用、サポート体制についても事前に確認しておくことが重要です。
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