平松建築(静岡県磐田市)は2009年に創業。大工出身の平松明展社長が展開するYouTube、SNS戦略が幅広いユーザーに支持され、年間50棟ペースで新築案件の受注・完工をクリアしている地域ビルダーだ。DXにも力を入れており、「ANDPAD」を基盤としたデータ経営を推進することで業務効率の向上を目指している。25年から「ANDPAD遠隔臨場」も導入。現場の生産性と品質を高めるためにどのように運用しているのか、レポートする。
2025年より「ANDPAD遠隔臨場」を導入
平松建築では、2025年より「ANDPAD遠隔臨場」を導入した。もともと地元である磐田市を中心に新築案件を受注する体制を築いていたが、近年は静岡市、隣県の愛知県豊橋市へも対応エリアが広がっているという。
同社の現場監督は4人。工務を統括する課長の和田朋大さんは常に10棟前後の現場を見ており、エリア拡大で「現場への移動時間が課題になっていた」と話す。

そこで着目したのが「ANDPAD遠隔臨場」だ。現場カメラ連携やビデオ通話の機能を持ち、ANDPADの各案件情報と紐付けがされるため現場に行かなくても協力会社を含め、現地の状況確認や指示出しができるようになる。
平松建築の場合は、定点カメラをすべての現場に設置。現場の仮設電柱に取り付け、敷地内の外回りの確認に用いる。タイムラプス形式で撮影されるため、いつ、どの施工業者が来ているか、工事車両の駐車方法に問題はないか、不審者が侵入していないか、といったことが把握できる。360度カメラは、各現場を仕切る常用の大工に支給し、工程毎に撮影しアップロードしてもらう形で運用。広角で内装全体を確認できるため、工程ごとの進捗状況や配線・収まり、清掃状況などの確認に活用している。定点カメラと360度カメラを使い分けることで、より効率的な遠隔管理を実現している。
和田さんとともに現場管理に取り組む野口将邦さんは毎朝、自分の担当する現場の様子をカメラを通して確認しているという。「ANDPAD内の工程表と見比べながら進捗をチェックしています。また地域ごとの天候がわかるのもいいですね。雨や風の影響次第で現場に行かないといけないのか、遠隔で指示を出せば良いか判断できます。見える化することで現場の盗難対策や美化にも繋がり、近隣住民の方からの目もありますし、クレーム対策の効果も感じています。」(野口さん)。

また360度カメラの画像は、施工状況の進捗を確認するためだけでなく、工程が進むと隠れてしまう部分の記録としての意味も持つ。「撮影を依頼する大工には、“どんな仕事をしているのか、きちんと記録に残すため”と伝えています。実際、若手の大工に技術を継承するための教材にもなると思います」(和田さん)。大工には撮影の手間賃を別途支払い、ANDPADにアップロードする頻度を表彰するなど、現場管理に参加するモチベーションを高める工夫もしている。
若手の指導にも役立つ
導入して半年が経過した現在、特に大きなメリットに感じられるのが「電話がかかってこないこと」だと和田さんは話す。
和田さんは現場管理を統括する立場上、社内外の関係者からひんぱんに問い合わせを受けることが多い。「ANDPAD遠隔臨場」導入以前は、電話の応対に追われ、半日以上、身動きもとれない状態になることもあったという。「いまは図面など現場関連の資料はANDPAD内のフォルダに収納されているし、現場の様子も映像で確認できる。施工者も社内のスタッフもANDPADにアクセスすれば、私に問い合わせしなくても自分で情報をチェックできるようになったのは大きいですね」(和田さん)。
現場訪問回数も1現場に対し毎週訪問していたものが、現在は地鎮祭なども含めてトータルで2.3回まで削減した。以前は何かあるととりあえず現場に直行していたが、現在は「ANDPAD遠隔臨場」で状況を確認。現場の状況がリアルタイムでわかり指示出しも正確にできる。前後の工程の作業の準備もしやすくなり、工程管理の質の向上につながっているという。

また、野口さんは経験の浅い若手に対しても指導がしやすくなった点も評価する。「若手には常にカメラを見るように伝えており、気付いたことは報告してもらうようにしています。カメラの情報を共通認識に、具体的な箇所や工程に対し指導ができるため、コミュニケーションも取りやすくなりました。」(野口さん)。
撮影した画像、映像は、後からANDPADで見直すことも可能だ。「お施主様との打ち合わせ時に現場のタイムラプス映像をお見せすると、喜んでいただけます。信頼獲得にも繋がっていると思います。今後、引き渡し後のアフターメンテナンスでも役に立つはず。点検、補修時に施工時の様子が見返せるのは助かります」(和田さん)。

同社では今後、都内へのエリア拡大も目指す。遠隔地でも平松建築らしい家づくりを実現するために、「ANDPAD遠隔臨場」の活用を進める。
(新建ハウジング 2026/6/10号掲載記事の転載)



