1級電気工事施工管理技士は、電気設備工事の施工管理を行う技術者に必要な国家資格です。受験するには、定められた条件を満たす必要があります。
なお、近年の制度改正によって受験資格の仕組みが変わり、新制度と旧制度のどちらが適用されるのか分かりにくくなっています。受験できるまでに必要な実務経験年数や受験の流れが異なるため、自分の学歴や資格、経験に合った条件を確認することが重要です。
本記事では、1級電気工事施工管理技士の受験資格について、新制度と旧制度の違い、経過措置の内容を解説します。受験資格を確認したい方や受験を検討している方は、参考にしてください。
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1級電気工事施工管理技士の受験資格の全体像
1級電気工事施工管理技士は、電気設備工事の施工管理を行う技術者に与えられる国家資格です。「第一次検定」と「第二次検定」の両方に合格することで取得できます。
令和6年度(2024年度)以降は制度が見直され、第一次検定は年齢要件のみで受験できるようになり、早い段階から資格取得を目指せるようになりました。一方で、第二次検定を受験するには一定の実務経験などの条件を満たす必要があります。
また、制度改正前の受験資格を利用できる経過措置も設けられており、令和10年度までは旧制度による受験も可能です。新制度と旧制度では受験条件が異なるため、自分の学歴や保有資格、実務経験に応じてどの制度が適用されるのかを確認することが重要です。
なお、試験の難易度や合格率について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
関連記事:1級電気工事施工管理技士は難しい?合格率と最短合格の進め方をわかりやすく解説
2級電気工事施工管理技士との違い
電気工事施工管理技士には1級と2級があり、担当できる工事の規模や配置できる役割に違いがあります。2級は一般建設業の工事で主任技術者として配置できる資格です。1級を取得すると、特定建設業の工事にも対応でき、一定規模以上の現場で必要となる監理技術者として配置することが可能になります。
とくに、下請契約額が一定以上となる工事では1級資格者の配置が求められるため、より大規模な工事に携わるには1級の取得が重要です。1級は第二次検定の受験に実務経験が必要になるなど条件が厳しく、2級よりも上位資格として位置づけられています。そのため、まず2級を取得して実務経験を積み、その後に1級を目指す方が多い傾向があります。
2級電気工事施工管理技士の受験資格や条件について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて確認してください。
関連記事:2級電気工事施工管理技士の受験資格とは?新制度・経過措置・実務経験を解説
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令和6年度以降の1級電気工事施工管理技士の受験資格
令和6年度(2024年度)から施工管理技術検定の制度が見直され、1級電気工事施工管理技士の受験資格も大きく変更されました。
新制度では受験資格の条件が複数に分かれています。まずは、第一次検定と第二次検定の受験資格を順に見ていきましょう。
第一次検定の受験資格
令和6年度以降、1級電気工事施工管理技士の第一次検定は受験条件が大きく緩和されました。試験実施年度の末日時点で満19歳以上であれば、学歴や実務経験に関係なく受験可能です。
第一次検定では施工管理に必要な基礎知識や法規などが出題され、合格すると「1級電気工事施工管理技士補」の資格が与えられます。1級電気工事施工管理技士補は、監理技術者の補佐として配置できる資格であり、実務経験を積みながら第二次検定の受験資格を満たせます。
早い段階から資格取得を目指せる点が、新制度の大きな特徴です。
第二次検定の受験資格(新制度)
第二次検定を受験するには、第一次検定に合格したうえで一定の実務経験を満たす必要があります。新制度では複数の受験ルートが用意されており、保有資格や実務経験によって必要年数が異なります。
主な条件は以下のとおりです。
| 区分 | 条件 | 必要な実務経験 |
| 区分1 | 1級第一次検定合格者 | 実務経験5年以上 |
| 区分1 | 1級第一次検定合格者 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 区分1 | 1級第一次検定合格者 | 監理技術者補佐として1年以上 |
| 区分2 | 1級第一次検定+2級第二次検定合格者 | 実務経験5年以上 |
| 区分2 | 1級第一次検定+2級第二次検定合格者 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 区分3 | 1級第一次検定受験予定+2級第二次検定合格者 | 実務経験5年以上 |
| 区分3 | 1級第一次検定受験予定+2級第二次検定合格者 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 区分4 | 1級第一次検定+第一種電気工事士 | 実務経験5年以上 |
| 区分4 | 1級第一次検定+第一種電気工事士 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
| 区分5 | 1級第一次検定受験予定+第一種電気工事士 | 実務経験5年以上 |
| 区分5 | 1級第一次検定受験予定+第一種電気工事士 | 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
出典:令和8年度1級電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金
※いずれかの条件を満たせば第二次検定を受験できます。
特定実務経験とは、請負金額4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の建設工事において、監理技術者または主任技術者の指導のもとで施工管理を行った経験を指します。
また、監理技術者補佐としての経験とは、監理技術者の専任配置が必要な工事において、1級技士補として専任で補佐を行った実務経験のことです。単なる補助作業は対象にならないため注意が必要です。
取得している資格や実務経験によって最短で受験できるルートが異なるため、自分の経歴に当てはめて受験資格を確認しておきましょう。
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第二次検定の旧受験資格(経過措置)|令和10年度まで有効
令和6年度の制度改正後も、一定期間は従来の受験資格を利用できる経過措置が設けられています。原則として令和10年度までは、旧制度の「学歴+実務経験」または「保有資格+実務経験」による条件で第二次検定を受験可能です。
旧制度では、最終学歴や保有資格によって必要となる実務経験年数が細かく定められており、新制度より短い年数で受験できる場合があります。ここでは、旧制度が適用される対象者と実務経験年数の考え方を解説します。
旧制度が適用される期間と対象者
旧受験資格による経過措置は、令和10年度までの期間に限り適用されます。この制度では、第一次検定に合格している方、または技術士など一定の資格を取得している方が対象となり、制度改正前の条件で第二次検定を受験可能です。
旧制度では学歴や資格ごとに必要な実務経験年数が定められており、新制度より早く受験できる場合があります。とくに、指定学科卒業者や第一種電気工事士などの資格を持っている場合は、実務経験年数が短縮される特例が設けられています。
| 前提条件 | 内容 |
| 次のいずれかに該当 | ・1級第一次検定合格者 ・技術士(電気電子・建設・総合技術監理)合格者 |
| 受験できる期間 | 令和10年度まで |
| 受験条件 | 学歴・資格に応じた実務経験が必要 |
経過措置は期間限定の制度のため、該当する場合は早めに受験計画を立てることが重要です。
学歴別の実務経験年数
旧制度では、最終学歴や保有資格によって必要な実務経験年数が異なります。指定学科を卒業している場合は短い年数で受験できますが、指定学科以外の場合は長い実務経験が必要です。
資格を取得している場合は、実務経験年数が短縮される特例もあります。主な条件は、次のとおりです。
| 区分 | 学歴・資格 | 指定学科 | 指定学科以外 |
| 大学・専門学校の高度専門士 | 卒業後 | 3年以上 | 4年6か月以上 |
短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校の「専門士」 | 卒業後 | 5年以上 | 7年6か月以上 |
高等学校 中等教育学校 専門学校の専門課程 | 卒業後 | 10年以上 | 11年6か月以上 |
その他 | 学歴不問 | 15年以上 | 15年以上 |
第一種、第二種 または第三種電気主任技術者免状 の交付を受けた者 | 免状取得 | 通算6年以上 | 通算6年以上 |
第一種電気工事士免状 の交付を受けた者 | 免状取得 | 実務経験年数の条件なし | 実務経験年数の条件なし |
2級電気工事施工管理 技術検定第二次検定 (または旧実地試験)合格者 | 合格後 | 5年以上 | 5年以上 |
出典:令和8年度1級電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人建設業振興基金
上記は主な条件の一例であり、旧制度の受験資格は実務経験の内容や経歴によって細かく異なります。事前に「受検の手引(旧受検資格用)」を確認し、自分が該当する受験資格を正確に把握しておきましょう。
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新制度と旧制度の違い・選び方
新制度と旧制度では必要な実務経験年数や受験条件が異なるため、自分の経歴に応じて有利な制度を選ぶことが重要です。
制度の選び方は、以下の表を目安に判断すると分かりやすくなります。
| 条件 | 向いている制度 | 理由 |
| 早い段階で第一次検定を受けたい | 新制度 | 年齢要件のみで受験できるため |
| 実務経験が長い | 旧制度 | 実務経験年数で第二次検定を受験できる場合があるため |
| 指定学科卒・有資格者 | 旧制度 | 実務経験年数が短縮される可能性があるため |
| 実務経験が少ない | 新制度 | 第一次検定合格後に経験を積めるため |
| すでに2級施工管理技士や電気資格を持っている | 旧制度が有利な場合あり | 資格による受験要件短縮があるため |
実務経験が十分にある方や、第一種電気工事士・2級電気工事施工管理技士などの資格を持っている方は、旧制度の方が早く第二次検定を受験できる場合があります。
一方で、経験が少ない場合は新制度で第一次検定に合格し、1級電気工事施工管理技士補として実務経験を積みながら第二次検定を目指すルートが一般的です。どちらの制度が有利になるかは経歴によって異なるため、自分に合った受験ルートを選びましょう。
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実務経験として認められる工事・業務の範囲
第二次検定を受験するためには一定年数の実務経験が必要ですが、すべての電気関連業務が対象になるわけではありません。ここでは、実務経験として認められる業務と認められないケースを整理します。
具体的な作業内容
実務経験として認められるのは、電気工事の施工において管理・監督など技術的な立場で関わった業務です。単に現場作業を行うだけではなく、工事の進行や品質を管理する役割を担っていることが求められます。
主に対象となる業務は、以下のとおりです。
- 施工管理業務:工程管理・品質管理・安全管理など
- 現場監督として工事を指導した経験
- 発注者側として工事の監督・検査を行った経験
- 設計監理として工事内容を確認・管理した経験
- 受変電設備、照明設備、配線工事など電気工事の施工管理
- 工事計画の作成・資材手配・作業指示などの管理業務
このように、建設工事のうち電気工事に関する施工管理業務に関わり、施工を管理する立場で従事した経験が実務経験として扱われます。
実務経験として認められないケース
電気工事に関係する業務であっても、施工管理に直接関わっていない場合は実務経験として認められません。設計のみ・点検のみなどの業務は、対象外となるため注意が必要です。
実務経験として認められない具体例は、以下のとおりです。
- 基本設計や図面作成のみを行った業務
- 保守・点検・メンテナンスのみの作業
- 事務、営業、積算など現場管理を伴わない業務
- 軽微な工事のみを担当した場合
- 単純作業や補助作業のみの経験
- 研究・教育・行政など施工管理を伴わない業務
- 派遣として単純作業のみ行った場合
実務経験として認められるかどうかは、「施工を管理する立場で関わっていたか」が重要な判断基準になります。受験前に条件を確認しておきましょう。
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実務経験証明書の書き方
第二次検定を受験する際は、受験資格を満たしていることを証明するために「実務経験証明書」の提出が必要です。勤務先の証明をもとに作成する重要書類であり、内容に不備があると申込が受理されない場合があります。
ここでは、実務経験証明書に記載すべき項目と、不備になりやすいポイントを解説します。
記載必須項目
実務経験証明書には、受験資格を満たしていることが分かる内容を正確に記載する必要があります。施工管理に関わったことを客観的に確認できるよう、必要な情報を漏れなく記入することが重要です。
主な記載項目は、以下のとおりです。
- 勤務先名・所属部署・在職期間
- 担当した工事名・工事内容
- 工事の施工場所・工期
- 自分の立場:現場代理人、主任技術者、監理技術者など
- 担当した業務内容:工程管理・品質管理・安全管理など
- 実務経験年数の計算期間
- 勤務先の代表者等による証明・押印
上記の情報が不足していると、実務経験として認められない可能性があります。工事の内容や担当業務は、具体的に記載しましょう。
不備になりやすいケース
実務経験証明書は、記載内容が不十分だと審査で差し戻しや不受理となることがあります。施工管理に関わったことが読み取れない記載は、不備と判断されやすいため注意が必要です。
不備になりやすいケースは、以下のとおりです。
- 工事名だけで業務内容が記載されていない
- 「配線作業を担当」など作業内容のみが記載されている
- 設計・点検・保守など、施工管理を伴わない業務を記載している
- 実務経験年数の計算に誤りがある
- 勤務先の証明や押印が不足している
- 工期や担当期間の記載が曖昧になっている
証明書では、施工を管理する立場で関わっていたことを具体的に示す必要があります。提出前に記載内容を確認し、受験資格の条件を満たしているか丁寧にチェックしておきましょう。
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まとめ
1級電気工事施工管理技士の受験資格は、令和6年度の制度改正により大きく変更され、第一次検定は年齢要件のみで受験できるようになりました。一方で、第二次検定を受験するには実務経験が必要であり、新制度と旧制度では受験条件が異なります。
令和10年度までは経過措置として旧制度も利用できるため、学歴や資格、実務経験に応じて有利な受験ルートを選ぶことが重要です。受検の手引を確認しながら準備を進め、確実に受験資格を満たしておきましょう。
1級電気工事施工管理技士の資格を取得すれば担当できる工事の範囲が広がり、キャリアアップにもつながります。
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