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アスベスト調査義務化

アスベスト調査義務化はいつから?対象工事や資格・罰則、2026年義務化も解説

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アスベスト調査義務化

アスベストはかつて多くの建物に用いられていました。しかし、健康被害の原因となることが明らかになり、現在では工事前の事前調査が必要となっています。この記事では、アスベストの基本情報から健康被害、調査義務化などについて解説します。業務でアスベストについての知識が求められる人は参考にしてください。

アスベストとは

アスベストは天然に産出される繊維状の鉱物で、日本語では「石綿(せきめん、いしわた)」と呼ばれています。アスベストは熱や摩擦、酸、アルカリに強く、かつ丈夫で扱いやすい素材です。また安価なため、断熱材や保温材、防音材などとして幅広く使用されています。

アスベストは6つの種類があり、そのうち日本で建材などとして使用されているものはクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)です。

アスベストの健康被害

建材メーカーの労働者や工事周辺住民によって健康被害が訴えられ、1960年代にはアスベストの有害性が明らかになりました。アスベストの繊維は肉眼で確認できないほど細く、たとえばクリソタイルの直径は0.02~0.08μmです。

飛散すると空気中に浮遊しやすい性質があり、体内に入ると肺に蓄積されます。また、潜伏期間が長いことも特徴で、中皮腫は35年前後で発病するとされています。アスベストによって、悪性中皮腫のほかに石綿(アスベスト)肺や肺がんなどを発症する恐れがあります。

アスベスト問題

アスベストが肺がんなどの健康被害を引き起こすリスクがあることから、アスベストが0.1重量%を超えて含有される場合、2006年9月以降、製造・使用ともに禁止されました。また、この問題に対して社会での認知度が上がるなかで石綿健康被害救済制度が設けられ、石綿健康被害救済基金から補償が受けられるようになりました。

アスベスト調査の義務化はいつから?

2021年4月より、工事前にはアスベスト含有の有無を調べる事前調査が義務付けられました。また、2022年4月1日以降は、アスベスト事前調査の結果を地方公共団体に報告することも義務付けられています。

参考:工事の元請業者のみなさまへ | 石綿総合情報ポータルサイト
参考:4月1日から石綿の事前調査結果の報告制度がスタートします ~3月18日から電子システムによる報告ができます~ | 報道発表資料 | 環境省

アスベスト調査義務化の背景・目的

アスベストの事前調査が義務化されたのは、アスベストが原因で起きた健康被害が社会問題化したためです。病気の発症まで潜伏期間が長く、また発症すると治療が困難という問題もあります。

事前調査の目的は、作業員のばく露防止、周辺環境への飛散防止、適切な処理の実施の3つです。これらの目的を達成することで、アスベストによる健康被害を未然に防ぐことを目指しています。

アスベスト事前調査に必要な資格と取得方法

2023年10月1日から、アスベスト事前調査は有資格者によって実施することが義務付けられました。事前調査に必要な資格は、特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)、一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)、一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)の3種類です。

上記の資格を取得するには、各資格に応じた登録講習機関が提供する講習を受講し、修了しなければなりません。

参考:石綿総合情報ポータルサイト

特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)

大規模な事務所や商業施設、公共施設などの特定建築物が対象の資格です。広範囲の構造物に対応可能な知識と技能が求められます。大規模工事を手がける事業者には不可欠な存在です。

一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)

特定建築物以外の建築物に対応する資格です。中小規模のビルや工場などが調査対象で、幅広い現場に対応可能です。解体や改修を多く扱う施工会社に不可欠な役割で、特定建築物以外ではこの資格が中心となります。

一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)

戸建住宅や共同住宅の住戸内部に対応する資格です。比較的小規模な解体やリフォーム工事に適しており、住宅系の工事を多く扱う会社が活用します。住環境に直結するため、精度の高い調査で安全性を担保する役割を担います。

工作物石綿事前調査者(工作物調査者)

工作物のアスベスト調査を行うにあたり、新たに設けられた資格です。工作物とは、電柱や信号機、鳥居、トンネルなど土地に定着する人工物のうち、建築物を除いたすべてのものを指します。これらの構造物の解体や改修工事を行う場合、工作物石綿事前調査者による事前調査が必要です。

アスベスト事前調査の対象となる工事

アスベストの事前調査は、原則すべての建築物が調査対象です。事前調査及び報告が必要な建築物と工事内容は、以下のとおりです。

  • 解体部分の床面積が80m2以上の建築物の解体工事
  • 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
  • 請負金額が税込100万円以上の工作物の解体工事・改修工事

上記は調査に加えて、労働基準監督署と建物を管轄する地方自治体の両方へ報告することが必須です。上記に該当しないものは、「調査のみ」でよいとされます。具体的には、解体工事とは「建築物の壁や柱、床を同時に撤去する工事」で、改修工事とは「建築物に現存する材料に何らかの変更を加える工事」を指します。

参考:石綿総合情報ポータルサイト

2026年1月1日から一部の工作物も義務化対象

2026年1月1日から配管や電気設備、ボイラーなど一部の石綿事前調査において「工作物石綿事前調査者」の有資格者による事前調査が必要となります。従来の「建築物石綿含有調査者」では調査不可の範囲が生じるため、業務で必要な場合は「工作物石綿事前調査者講習」を受講し工作物石綿事前調査者を取得しましょう。

アスベスト事前調査および報告が不要な建築物と工事

資格保有者による事前調査および報告が不要な建築物と工事は、以下のとおりです。

  • 対象の建築物に使用されている建材が木材やガラス、金属のみで、アスベストが含まれていない建材であることが判明している場合
  • 釘やビスによる固定や抜くだけの取り外しなど、アスベストの飛散リスクが極めて低い作業である場合
  • アスベストが混合されたプレートや建材などでも、損傷させずに取り外しが可能で飛散リスクが極めて低い作業である場合

アスベストが使われていなかったり、飛散する可能性が低かったりする場合は、事前調査なしに解体・改修工事を進められます。

アスベスト事前調査における対応の流れ

アスベスト事前調査は、書面調査、目視確認、分析、報告書作成の順で行います。書面調査と目視確認は必須の調査方法で、書面がない場合を除いて両方行うことが必須です。それぞれの工程を詳しく解説します。

1. 書面・図面調査

分析調査を実施する前に、設計図や竣工資料、改修履歴などを確認し、アスベストが使用されている箇所があるか特定します。書面情報が不足している場合や、建材名が略称となっている場合があるため、発注者へしっかりとヒアリングしたり現場記録を確認したりします。

書面を確認する際は新築工事の着工日を確認し、2006年9月1日以前であった場合は、建築物や工作物にアスベスト建材が含まれるかどうか確認しましょう。

2. 現場の目視確認

書面調査を終えたのち、現場で建築物や工作物の目視確認を実施します。アスベストは他の建材と特徴が似ており、目視だけで正確に判断するのは困難です。この調査での大きな目的はアスベストを現場で見分けることではありません。

この調査の目的は、対象の建築物や工作物などが図面通りになっているか、図面で確認できない部分がどうなっているかを確認することです。図面を確認すればどの建材がどの部分に使用されているか分かるため、アスベストが使用されている場所も判明します。

3. 分析

書面調査や目視調査でアスベストが使用されているか判断できない場合は、分析を実施する必要があります。石綿取扱作業従事者や事前調査を実施する資格保有者が採取をしたり、分析会社が現地にて採取したりします。採取した試料は、アスベストの分析が可能な専門機関に提出しましょう。

分析調査には、アスベストを含有しているか確認する定性分析と、アスベストを含有している場合に量を測定する定量分析の2種類があります。事前調査では、まずアスベストを含有しているかを確認する定性分析が重要となります。

4. 報告書作成・報告

事前調査の結果が判明したのち、報告書を作成し、所轄の労働基準監督署と建物を管轄する地方公共団体に報告します。報告書には調査概要、採取箇所、分析詳細などを記載します。

報告書は安全で適正な解体・改修工事の根拠となり、関係機関への提出にも用いられる公式記録です。事前調査の結果は3年間保管する義務があります。報告は書面以外に、石綿事前調査結果報告システムからオンラインでも実施できます。

参考:工事の元請業者のみなさまへ | 石綿総合情報ポータルサイト

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h2:まとめ

現在は原則すべての建築物がアスベストの事前調査の対象です。事前調査は有資格者が正しい手順で実施する必要があり、その後報告書を作成して報告まで確実に実施しなければなりません。

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