一般的な商取引において、請求書の発行が求められます。企業の商習慣や取引の証明、トラブルを防止するためなど、発行する理由はさまざまです。この記事では、請求書発行が必要な理由や保存方法を解説します。保存期間や業務効率化のポイントなども解説するため、ぜひ参考にしてください。
請求書発行は義務?
法律上、請求書を発行する義務はありません。一般的に、買い手と売り手が同じ場所にいる場合、請求書の発行なしに買い手が支払いを行い、売り手がレシートや領収書などを発行します。請求書を発行する場合は、フォーマットや請求内容に法的な定めはありません。デジタルと紙の媒体の指定もなく、どちらで発行しても請求書として扱われます。
請求書発行が必要な理由
請求書発行に義務はありませんが、事実上発行が求められます。ここでは、発行が必要な理由を解説します。
商習慣や慣例で作成する
商習慣や慣例に則って、請求書の発行が必要とされます。書面として取引の内容を残し、商品やサービスなどの対価を請求するためです。たとえば、「月末締め翌月払い」のように取り決め、多くの企業が請求書を発行しています。取引先との信頼関係を維持するためにも、請求書を作成するとよいでしょう。
請求の証明や経理業務のため
請求書は、商品やサービスの請求を証明できます。取引や契約の成立を証明する「証憑書類」として、書面に残すことが求められます。経理業務を正確にするためにも、支払い金額や時期などの記載が必要です。書面だけでなく口頭での請求もできますが、内容の食い違いの原因となるため避けましょう。
請求に関するトラブルを防止する
請求書を発行すると、トラブルの防止につながります。たとえば、税務調査が入る際に、取引の事実を証明できます。支払いや金額などのトラブルがあった場合でも、裁判の証拠書類として提出可能です。取引情報を変更する場合は、修正した内容がわかる請求書を保存しておくとよいでしょう。
請求書に必要な記載項目
請求書に必要な記載項目は、以下のとおりです。
- 請求書番号
- 発行者の氏名もしくは名称
- 発行年月日
- 取引の内容
- 取引の金額
- 発行相手の氏名もしくは名称
- 支払い期限
- 振込先
一般的に、請求先の締め日にあわせて請求書を発行します。取引先によって請求内容や条件が異なるため、振り込み手数料や消費税の端数などを確認しましょう。請求書を作成した後には、記載項目の確認も必須です。
インボイス対応に必要な記載項目
インボイス対応の請求書には、以下の記載項目が必要です。
- 適格請求書発行事業者の氏名もしくは名称
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 取引年月日
- 取引内容
- 税率ごとに分類した金額と税率
- 税率別の消費税の金額
- 請求書を受け取る側の会社名もしくは氏名
適格請求書発行事業者は、免税事業者でも課税事業者として扱われます。ただし、インボイス登録していない場合、適格請求書の発行ができません。
請求書を発行してくれない場合に必要なもの
取引先によっては、請求書を発行してくれない場合があります。ここでは、請求を証明できるものを解説します。
領収書
領収書は、支払いを受けた相手が発行する書類です。以下4つの項目を満たす場合、法的な効力をもちます。
- 取引相手の氏名もしくは名称
- 日時
- 取引内容
- 金額
請求書の発行に対応できない場合、上記の必要な項目を満たす領収書を発行してもらいましょう。記載項目を満たす場合、レシートでも問題ありません。税申告において、それぞれを証憑書類として提出できます。
通帳・クレジットカード利用明細など
通帳やクレジットカード利用明細なども、取引を証明できます。ネットショッピングなど、店舗での取引がない場合に有効です。ただし、それぞれ取引内容の詳細は記載されていません。税務調査を行う際も取引内容がわかれば問題ありませんが、帳簿に取引について記載することをおすすめします。
請求書の保存義務
請求書を作成・受領した場合、どちらも保存義務が発生します。受領した請求書は、原本で保存することが義務です。2023年以降のインボイス制度の導入によって、適格請求書発行事業者は、請求書の控えの作成と保存が義務化されました。
請求書の保存方法
紙と電子の請求書は、保存方法が異なります。ここでは、それぞれの保存方法を解説します。
紙の請求書の保存方法
原則として、紙の請求書は原本を保存する必要があります。不正会計や改ざんなどを防ぐために、コピーの保存は禁止されています。ファイリングやタグ付けなどを行い、保管庫に保存するとよいでしょう。取引の証明の効力を保つために、信憑性の高い原本を保存することが求められます。
電子請求書の保存方法
電子請求書は、電子データのまま保存することが義務です。電子データを紙に出力しての保存は認められていません。電子帳簿保存法において、受け取った請求書が「電子取引」に該当するためです。電子請求書を保存する際は、「真実性の確保」および「可視性の確保」の要件を満たす必要があります。
請求書の保存期間
請求書の保存期間は、以下のとおりです。
- 法人:原則7年
- 個人事業主:原則5年
請求書を発行した年の提出期限を起点とし、それぞれの期間の保存義務があります。2018年4月以降、発生した欠損金の繰越控除がある場合、期間は10年間となります。起点にする日が、発行日や受領日ではない点に注意が必要です。
個人事業主は、売上高が1,000万円を超える場合、期間が7年に延長されます。売り上げによって、法人と同じ「消費税課税事業者」として扱われるため事前に確認しましょう。
請求書発行の業務を効率化するポイント
請求書の発行には手間や時間がかかります。ここでは、業務を効率化するポイントを解説します。
請求書の電子化(ペーパーレス化)を推進する
電子化(ペーパーレス化)は、業務の手間を大幅に削減します。たとえば、印刷や封入などの手間がなくなり、オンライン上で対応することが可能です。電子上でやり取りするため、受取や確認、保存作業の負担も軽減できます。紙を保存する物理的なスペースも必要なくなり、オフィス空間も有効に活用できるでしょう。
代行サービスに依頼する
代行サービスに依頼すると、作成や封入、発送などの業務負担を軽減できます。自社の従業員が対応するよりも、業務効率を向上させられるでしょう。ただし、業務を運用する際のルール作成や、従業員の教育などの手間がかかります。代行サービスの利用料や保証料をはじめとした固定費もかかるため、費用対効果を検討する必要があります。
請求管理システムを導入する
請求管理システムを導入すると、書類作成やデータ管理、共有などをスムーズにできます。ペーパーレス化だけでなく、入力作業の負担やミスを軽減し、業務効率化につなげられます。また、インボイス制度や改正電子帳簿保存法など、法改正への対応も可能です。サポート体制が整っているシステムを導入すると、トラブル発生時でも安心して利用できます。
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電子帳簿保存法にも対応しており、毎月の業務の負担を軽減することが可能です。データの検索も簡単にでき、請求管理の業務効率化を実現できます。
まとめ
請求書の発行は義務ではありません。ただし、商習慣や取引の証明などのために、事実上作成が求められます。請求書作成の手間や負担を減らすには、管理システムの導入がおすすめです。ペーパーレス化や作業の自動化など、さまざまな機能を活用して業務効率化につなげられます。
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