請求書は、取引における重要な証票書類であり、適切な管理が求められています。この記事では、請求書管理について、保存期間や方法、システムを導入するメリットや選び方のポイントなどを解説します。業務効率化を図りたい会社や、請求書管理の改善を検討している担当者におすすめの内容です。ぜひ参考にしてください。
請求書管理の必要性とは
請求書は、重要な会計書類の1つです。税務申告の根拠資料となるため、法人税法や消費税法、所得税法などの法令遵守の観点からも、適切な管理・保存は必須です。
さらに、2023年10月からはインボイス制度がはじまり、2024年1月からは電子帳簿保存法により、電子取引の請求書のデータ保存が完全義務化されました。こうした状況から、税務調査に備えた管理体制の構築が重要です。
請求書の保存期間
請求書の保存期間は、法人と個人事業主で異なります。また、適格請求書(インボイス)の場合は特別な規定があるため、併せて以下で確認しましょう。
個人事業主
個人事業主の場合、所得税法に基づき請求書は原則5年間の保存が必要です。この期間は、請求書の発行日からではなく、確定申告期限の翌日(通常は3月16日)から数えます。ただし、消費税の課税事業者となっている場合は、仕入税額控除のために7年間の保存が求められます。青色申告・白色申告にかかわらず保存義務があるため、安全を考えて7年間保存することが望ましいでしょう。
法人
法人の場合、法人税法に基づく請求書の保存期間は原則7年間です。個人事業主同様、請求書の発行日からではなく、事業年度の確定申告期限の翌日から計算します。繰越欠損金が生じた事業年度については、2018年4月1日以降は10年間の保存が必要です。そのため、法人の場合は請求書を10年間保存しておくと安心です。
適格請求書の場合
適格請求書は、法人・個人事業主を問わず、7年間の保存が義務付けられています。受領側だけでなく、発行側も控えの作成・保存が必要です。保存期間の起算日は、その請求書が関係する課税期間の確定申告期限の翌日からとなります。消費税の簡易課税制度を選択している事業者であっても、適格請求書を発行する場合は控えの保存が必要です。
請求書の管理・保管方法
請求書の管理・保管方法は主に3つあります。ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。
紙で管理・保管する
紙で受領・発行した請求書は、紙のままファイリングして保管できます。取引先や月ごとに分類し、必要なときに迅速に取り出せるよう整理することが重要です。従来の方法で複雑でない点がメリットですが、保管場所の確保やファイリングの手間、過去の請求書を探す際の時間がデメリットです。取引先が少ない小規模事業者に適しています。
スキャンして管理・保管する
紙の請求書を電子化する方法として、スキャンによるデジタル化があります。この方法では、保管場所の節約やペーパーレス化の促進、必要な請求書の検索性向上などのメリットがあります。ただし、専用の機器が必要なことと、電子帳簿保存法が定める要件を満たす必要がある点に注意が必要です。なお、スキャン後の紙の原本は処分が可能です。
電子データのまま管理・保管する
メールの添付ファイルや取引先のシステムから電子データでやり取りした請求書は、2024年1月以降、原則として電子データのままの保管が法律で義務付けられました。紙に出力して保管することは認められていません。迅速な検索性や保管場所の節約、ペーパーレス化の促進などがメリットですが、保存時は改ざん防止策と検索機能の整備が必要です。
【発行側】請求書の管理方法
発行した請求書は適切に管理し、入金状況を把握しましょう。以下では、発行者側の管理方法について解説します。
1. 入金ベースで分ける
請求書発行後は、「入金待ち」と「入金済み」で分類します。入金待ちは期限順に整理し、入金確認後は入金日を記入して「入金済み」ファイルへ移動させます。データで管理する場合は、専用フォルダと一覧表を作成すると効率的です。入金ベースでの分類方法により、未入金の請求書を見落とすリスクを防ぎ、入金状況を正確に把握できます。
2. 月ごと・請求先ごとに分ける
入金済み請求書は「月ごと」または「請求先ごと」に分類します。取引先が少ない場合は、入金月別の管理が適しています。一方で取引先が多い場合は、請求先ごとの管理が効果的で、取引実績や金額推移を確認しやすくなります。適格請求書発行事業者は、控えの保存が義務付けられているため、法定保存期間を守りましょう。
【受領側】請求書の管理方法
受領した請求書は支払い漏れを防ぐため、適切な管理が必要です。ここでは、受領側の管理方法について解説します。
1. 支払いベースで分ける
請求書受領後は、「未払い」と「支払い済み」に分類します。未払いの請求書は支払期限順に整理し、支払い完了後は日付を記入して「支払い済み」ファイルへ移動させます。データで管理する場合は、ステータスを明確にした一覧表が便利です。支払い遅延は取引先との信頼関係に影響するため、正確な管理が重要です。
2. 月ごと・請求元ごとに分ける
支払い済み請求書は「月ごと」または「請求元ごと」に整理します。取引先が少ない場合は、月別の支出把握に役立つため、月ごとの管理が適しています。一方で取引先が多い場合は、請求元ごとの分類が効果的で、各社との取引実績を一目で確認できます。支払い済み請求書も、法定保存期間内は適切に保管しましょう。
請求書管理システムを導入するメリット
請求書管理システムを導入すると、業務改善に多くのメリットがあります。ここでは、主な4つのメリットについて解説します。
業務を効率化できる
請求書管理システムは、作成から送付、入金管理までの業務を自動化します。たとえば、取引先情報や取引内容をあらかじめシステムに登録しておけば、請求書作成時に自動入力され、同じ情報を何度も入力する手間が省けます。過去の請求履歴も容易に参照できるため、業務時間の大幅削減が可能です。
コストを削減できる
請求書管理システムの導入は、複数の面でコスト削減の効果をもたらします。例えば、紙の請求書を電子化することで、印刷費用、封筒代、郵送料などの直接の削減が可能です。また、請求書作成から発送までの作業が自動化されるため、人件費削減にもつながります。宛名書きや封入作業が不要になり、保管スペースも削減できるため、総合的なコスト効率が向上します。
人的ミスを防げる
請求書管理システムは、人的ミスの発生を軽減できます。誤入力や計算間違いといったヒューマンエラーの防止には、事前に登録した情報から自動入力される機能が便利です。また、未請求と請求済みの件数が画面上で明確に表示されるため、請求漏れも防止できます。訂正や削除、再発行も素早く対応できるため、取引先との信頼関係を守ることができます。
データの一元管理ができる
請求書管理システムの活用により、請求書の作成から承認、送付、入金確認までの一連のプロセスを一元管理できます。これにより、複数の部署が同じデータにアクセスでき、情報の一貫性を保てます。また、見積書や納品書も同一システム内で作成でき、データの連携もスムーズです。検索性が向上し、監査や法的規制への対応も容易になります。
請求書管理システムを選ぶポイント
以下では、多くの請求書管理システムのなかから、自社に最適なものを選ぶための判断ポイントについて解説します。
機能が自社に見合っているか
請求書管理システムを選ぶ際は、自社の業務フローに必要な機能が揃っているかを確認しましょう。請求書作成・発行、ステータス管理、自動作成予約など、効率化に必要な機能を検討します。また、月間の発行数や取引先数に合ったシステムを選ぶことも重要です。既存の会計ソフトとの連携が可能かも確認し、データの二重入力を避けられるものを選びましょう。
コストは妥当であるか
システムの多くは、初期費用と月額費用がかかります。クラウド型の請求書管理システムには、月額費用のみで利用できるものもあります。自社の請求書発行数やユーザー数に対して、料金プランが適切かを判断しましょう。試算は、追加オプション費用やデータ容量拡張費用など、総コストで考えます。費用対効果を見極め、自社予算に合ったものを選びましょう。
法律や税制に対応しているか
請求書の記載項目は法改正の影響を受けるため、システムが法制度に柔軟に対応できるかどうかを確認することが重要です。特に適格請求書への対応や電子帳簿保存法に準拠しているかなど、最新法令への対応状況を確認します。導入後も法改正に随時対応できることが多いクラウド型システムなど、将来の制度変更にも柔軟に対応できるものを選びましょう。
サポートが充実しているか
導入後のサポート体制も重要な選定ポイントです。トラブル時の対応や操作方法の問い合わせなど、適切なサポートが受けられるかを確認しましょう。複数の問い合わせ方法があるか、対応時間は自社業務に合っているかなどをチェックします。請求書発行は、毎月特定の時期に集中するため、繁忙期の不具合に迅速に対応してもらえるサポート体制が重要です。
建設業の請求書管理なら「ANDPAD請求管理」がおすすめ
建設業界では、多くの取引先や複数の現場が関わり、現場ごとの請求書仕分けや出来高査定、立替経費の相殺など、特有の作業が発生します。「ANDPAD請求管理」は、こうした建設業特有の要件に対応した専門システムです。請求書の回収から工事ごとの振り分け、出来高査定、相殺処理、承認、保管までの一連のプロセスを電子化し、日々の経理業務を効率化します。
まとめ
請求書管理は、会社にとって重要であり、適切な体制が求められます。特に近年は、法改正やデジタル化の流れも受け、効率的かつ法令に準拠した請求書管理の仕組みづくりが重要です。
建設業界でも請求書管理は課題となっていますが、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」は、請求書管理を含めた建設プロジェクト全体の効率化をサポートします。使いやすいUIと充実した機能で、業種を問わず多くの企業に利用されているシェアNo.1サービスです。
年間数千を超える導入説明会を実施するといった、手厚いサポート体制も整っています。請求書管理の改善を考えている企業担当者は、ぜひ下記からお問い合わせください。