電気工事に関する見積書の作成には多くの手間がかかり、作成方法の知識も必要です。この記事では、作成する手順やポイント、見積書の作成を効率化するソフトのメリット・選び方などを解説します。業務で見積書の作成に関わるため、知識を得たいと考える人はぜひ参考にしてください。
電気工事における見積書の作成方法
電気工事において、見積書はどのように作成するのでしょうか。おもな6つの工程を解説します。
類似案件の収集
見積書の作成を始める前に、類似案件の収集を実施します。過去のデータに似たような案件があると、見積書を1から作成する必要がなくなるためです。積算時の過去データは建設物の規模や用途をもとに探し、見つかった際は材料費や人件費の変動を考慮しましょう。
単価は、国土交通省が発表している「公共建築工事標準単価積算基準」や市販の積算マニュアルを参考にします。
工事概要の把握
見積書の作成を始める前に設計図や仕様書を見て、工事概要を把握しましょう。工事で使用する材料や物品、納期、最新の法律を確認して必要な届出や法律への対応も手配しましょう。確認が不十分だと、施工開始後に物品や法対応が不足し、納期を守れないリスクが発生します。
設備の把握
顧客から提供を受けた図面を参考に、建物の用途や規模に合わせた必要な設備を把握します。受電方式や建物特有の設備があるか否かをチェックし、不十分な設備や改修が必要な設備がないかも確認します。建築基準法や消防法、自治体の条例の改正情報もチェックし、違法工事とならないよう対応しなければなりません。
材料費の算出
設計図や施工図を参考に、必要な部材を把握し材料費を算出します。電気工事の設計図や施工図は設備や部品の配置場所や配線を系統ごとに表記しているため、他の工事と比較して複雑です。また、部材ごとの単価の拾い出しは手間と時間がかかります。工事受注後に間違いが発覚すると赤字につながる恐れがあるので、慎重に対応しましょう。
施工費・労務費の算出
施工費とは、工事を実施するために必要な技術的な費用で、材料費とは異なるものです。作業員ごとの労務単価を計算して工事全体での費用を算出します。労務単価とは、工事内容に応じて作業員に支払う報酬の単価です。一般的に「公共工事設計労務単価」を参考にします。施工費は、労務費に分類される場合があります。
経費の算出
経費には共通仮設費や一般管理費、現場管理費、法定福利費が含まれます。
- 共通仮設費:工事に関する仮設建物や道路、環境や安全対策費
- 一般管理費:現場技術者の給与、現場事務所の通信費や交通費
- 現場管理費:請け負った企業の管理部門の給与や光熱費、通信費、広告料
- 法定福利費:法律に基づいて企業が従業員に提供する保険や費用
経費は公共工事には規定があるものの、民間工事には基準はありません。ただし、民間工事でも内訳を明示する必要があります。
電気工事における見積書作成のポイント
電気工事において見積書を作成する場合、以下の4つのポイントを確認しましょう。
過去データの参照
過去のデータを参照すると、見積書を効率よく作成できるでしょう。電気工事の場合、規模や使用する部材が類似した工事が参考になります。ただし、歩掛は変動している可能性があるため、積算における最新情報を確認しなければなりません。見積ソフトであれば過去の類似案件をもとに、見積書を容易に作成できます。
適切な価格設定
見積書を作成する際は内容や部材の種類・数などを明確に記載し、適切な価格設定をしましょう。見積もりは、高すぎても安すぎても顧客を不安にさせる可能性があります。適切な価格設定をすることで顧客の信頼につながり、受注に結びつきます。また、分かりやすい見積書にするために、工事の内容や流れが理解できるようにしましょう。
内訳を詳細に記載
見積書において、内訳が詳細に記載されていることは重要です。材料の名称や規格、品番などの記載があれば、顧客が自身で調べられます。「〇〇一式」のように詳細が分からない記載方法では、顧客にとって内容が分かりづらく、不安を与える場合があります。。各項目の内容を詳細に記載することで顧客の信頼につながるため、可能な限り詳細に記載しましょう。
見積書の作成コストの検討
工事費用を算出する際は、見積書の作成コストも検討する必要があります。積算が必要な見積書の作成は集中力が求められる細かい作業であり、時間の制約があるケースもあります。見積書の作成は担当者に大きな負担がかかるため、コストを削減できる見積ソフトの導入がおすすめです。
見積ソフトを導入するメリット
見積ソフトを導入すると、見積書の作成が容易になります。その他の、おもな2つのメリットを解説します。
正確な見積もりを算出できる
電卓やExcelを使用して見積書を手作業で作成すると、入力や計算、材料の拾い漏れなどが発生しやすくなります。見積ソフトを導入すると、ヒューマンエラーを防ぐことができ、正確な見積もりを算出できます。正確なだけでなく、積算の作業をスピーディに進められる点もメリットです。
電気工事業に対応した書類作成ができる
汎用ソフトでは対応が難しい工事台帳をはじめとする電気工事業に必要な書類にも、見積ソフトなら対応できます。実行予算書や工事台帳など作成に時間のかかる書類も、作成が容易になります。また、書式を統一できる点や、複合単価と材工別単価の切替など汎用ソフトでは対応の難しい機能がある点もメリットです。
見積ソフトの選び方を解説
見積ソフトの導入を決めたとしてもさまざまな種類があり、どれを選ぶべきか分からないこともあるでしょう。5つの側面から選び方を解説します。
導入する目的と合っているか
導入する目的と、ソフトに搭載されている機能が合っているかは重要です。見積ソフトには多くの機能があります。自社に不要な機能が多く搭載されたソフトを導入してもあまり意味がありません。効率化させたい作業を洗い出し、自社で必要な機能は何かを明確にして、目的に合った機能が搭載されているソフトを導入しましょう。
既存システムとの連携は可能か
既存のシステムと連携が可能かも、重要なポイントです。自社で使用する会計ソフトや原価管理システムなど、既存のシステムとの連携が可能であればより業務効率を向上させられます。見積業務だけでなく管理業務全体を効率化したい場合は、既存のシステムと連携が可能かをあらかじめ確認しましょう。
ソフトの提供形態は自社のニーズに適しているか
見積ソフトの形態には、おもにインストール型とクラウド型があります。インストール型は、パソコンに専用ソフトをインストールして使用します。インターネットに接続しなくても利用でき、通信状態の影響を受けないため処理スピードが落ちることはありません。
クラウド型は、インターネットに接続して利用します。専用ソフトのインストールが不要で、即座に利用できます。また、インターネット環境があれば、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末からも利用可能です。そのため、リモートワークやテレワークにも対応できます。
電気工事専門に特化しているか
電気工事の見積ソフトには、多くの機能が搭載されています。おもに、見積書の自動作成機能、歩掛の管理機能、配線図の作成機能、電力計算機能、データベース管理機能などです。電気工事に関する機能を備える見積ソフトは、一般的な見積ソフトと比較してコストがかかることもありますが、正確かつ効率的に見積書を作成する上では特化していることが重要です。
アフターサービスや保証は充実しているか
トラブルが起きた場合に備え、サポート体制が整った見積ソフトを選ぶと安心です。また、操作方法が分からなくなると業務に支障が発生します。サポート体制が整ったソフトであれば、メールや電話で解決できるため安心です。使用者のスキルに合ったサポート体制のあるソフトを選びましょう。
まとめ
電気工事の見積書を作成するには、適切な工程を理解することが重要です。また、ポイントを押さえることで効率が向上し、顧客からの信頼獲得につながるでしょう。見積ソフトを導入すると積算時のミスをなくし、正確な見積書の作成に役立ちます。
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