山積み工程表は、建設プロジェクトの効率的な管理に欠かせません。この記事では、山積み工程表の概要やメリット、作成方法、注意点を解説します。エクセル以外のツールや活用事例も紹介するので、工程管理の最適化を目指している担当者は、生産性向上の参考にしてください。
表計算ソフトによる工程表の作成・修正に時間がかかる、最新の工程表が共有されず社内の案件進捗状況がわからない、などを解決する「ANDPAD工程表機能」について下記で詳しくご紹介しています。
関連記事:工程表アプリならANDPAD(アンドパッド)|工程表作成・修正を誰でも簡単に、リアルタイムな情報共有・把握も可能
山積み工程表とは
山積み工程表とは、横軸に時間(月・週・日)を、縦軸に人員や資材などの資源量を棒グラフで表した工程表です。山積み工程表の作成によって、効率的な資源配分と工程管理を可能にします。リソースヒストグラムや要員負荷ヒストグラムとも呼ばれます。建設業において、各工程に必要な人員や資材の事前計画に活用されています。
山積み工程表を使うメリット
山積み工程表の活用には、生産性向上、効果的な進捗管理、効率的なリソース配分、適切な負荷調整など、多くのメリットがあります。各メリットについて、具体的に解説します。
作業の偏り防止による生産性向上
山積み工程表を活用することで、人員や資材の配置を適切に行い、円滑な工程管理を実現することができます。この工程表により、各時点での必要資源量が明確になるため、特定の期間への業務集中を事前に把握し、防止することが可能です。作業量の平準化は、時間外労働の削減にも直接的につながり、結果としてプロジェクト全体の生産性が向上します。
進捗管理と問題の早期発見
山積み工程表を用いることで、工程計画の全体像を視覚的に把握でき、現在の進捗状況も容易に確認することができます。たとえば横軸で時間軸を示すことで、全体の工期と現在の段階を即座に把握できます。
この視覚化により、プロジェクトの各段階における進捗状況と必要リソースの関係を明確に示すことができ、潜在的な問題や遅延のリスクを早期に特定することが可能になります。
人員などリソース配分の効率化
山積み工程表は、各期間におけるリソースの過不足を可視化することで、効率的な配分を可能にします。人材や資材の余剰期間と不足期間を容易に識別し、適切な再配分を促すことができます。特に長期にわたるプロジェクトでは、工程表の活用で人員や資材の管理が容易になります。効率的なリソース配分により、コスト削減や利益率の向上につながります。
目標達成に向けた負荷調整
山積み工程表を事前に活用することで、能力線を基準に、作業負荷のピークを平準化する「山崩し」を効果的に実施できます。能力線は、各時点で投入可能な最大リソース量を指します。仕事量と生産能力を比較することで、納期までの適切な作業計画を立てることができます。
さらに、プロジェクトが進行中でも、随時負荷配分の見直しや調整ができ、目標達成の確実性が高まります。
山積み工程表の管理方法
山積み工程表には、フォワード方式とバックワード方式の2パターンがあります。それぞれの特徴と選び方を解説します。
フォワード式
フォワード方式の山積み工程表は、プロジェクトの開始から終了まで、作業負荷を順に積み上げていく方法です。最終納期の予測や受注前の大まかな納期見積もりに特に効果的で、プロジェクトの全体像を把握しやすいという利点があります。余裕を持った発注作業が可能となり、リソースの確保に十分な時間をとることができます。順行負荷法とも呼ばれます。
バックワード式
山積み工程表のバックワード方式は、プロジェクトの納期から逆算して、作業完了日から開始日に向かってリソースを配分する方法です。この方式の大きな利点は、無駄な在庫が発生しにくい点です。そのため、発注済みで納期が決まっている案件に適しています。逆行負荷法とも呼ばれますが、負荷の移動や調整が多い場合は計算が複雑になる傾向があります。
どちらの方式を選ぶべきか?
受注前や納期予測が必要な場合、または急な変更や新規受注への対応が求められる場合は、フォワード方式が適しています。一方、納期が確定している受注済み案件には、バックワード方式が効果的です。比較的容易に負荷配分を行うならフォワード方式、より精密な調整が必要な場合や、リソースの無駄を最小限に抑えたい場合は、バックワード方式が推奨されます。
山積み工程表のエクセルでの作り方
山積み工程表を効率的かつ正確に作成するには、主に、エクセルを使用して一から作成する方法と、無料で提供されているテンプレートを活用する方法の2つがあります。それぞれの手順やコツを解説します。
エクセルを使った効率的な表作成
エクセルを使用して山積み工程表を作成するには、以下の手順で行います。
新規ワークシートを開く。
A列の2行目以降に工数・能力の項目を入力し、1行目のB列から右へ期間(週や月)を入力します。
各セルにデータを入力します。
入力したデータを選択し、「挿入」タブから「グラフ」を選びます。
ヒストグラムを選択すると、山積み工程表が作成できます。
生産能力を示す横線を追加して、各期間の負荷が生産能力を超えていないかを視覚的に確認できるようにするとよいでしょう。
関連記事:工程表はエクセルで作れる?作成できる工程表の種類や作成方法などを徹底解説!
無料テンプレートの活用方法
エクセル操作に不慣れな場合や、短時間で山積み工程表を作成する必要がある場合は、無料でダウンロード可能なテンプレートを利用するのが効果的です。Webサイトから、プロジェクトの規模や特性に合った山積み工程表のテンプレートをダウンロードして、使用しましょう。
テンプレートを使用することで、複雑なフォーマット設定やグラフ作成の手間を省き、データ入力に集中できます。多くのテンプレートでは、横軸の時系列欄に、各作業項目の予想工数を入力すれば、自動的に山積み工程表が完成します。
関連記事:工程表テンプレートを活用しよう|活用の注意点・メリット・選び方を解説
エクセルで山積み工程表を作成する際の注意点
エクセルを用いて山積み工程表を作成する際は、属人化のリスク、入力ミスの可能性、複雑な工程管理における作業の煩雑さといった注意点があります。それぞれの注意点について解説します。
属人化のリスクがある
エクセルは汎用性の高いツールですが、その操作スキルには個人差が見られます。そのため、エクセルを使用した山積み工程表の作成や管理においては、操作に長けた特定の人物に作業が集中し、負担が偏るおそれがあります。この属人化により、担当者が不在の際には工程表の作成や更新ができなくなり、プロジェクト全体の進行に遅れが生じかねません。
データ入力ミスが発生する
エクセルでは、手作業によるデータ入力が必要となります。手動入力のプロセスは、人為的なミスを引き起こしやすい性質があります。さらに、エクセルは編集が容易であるという特性上、誤って既存のデータや様式を変更してしまうリスクも高まります。入力ミスにより工数の正確な把握が困難になると、適切な資源配分や納期管理に支障をきたします。
複雑な工程の管理作業が煩雑になる
エクセルの山積み工程表の場合、データの修正や更新の際に、数値の再入力やグラフの再作成が必要となり、時間がかかります。急な注文変更や納期変更が発生したら、元データの変更から始める必要があり、作業が煩雑になります。他のプロジェクトのファイルを誤って変更してしまうようなリスクがあるため、ファイルの保管や名称管理には厳密なルールが必要です。
エクセル以外の山積み工程表作成ツール
山積み工程表はエクセル以外でも作成できます。ここでは2種類のツールについて解説します。
作成ソフトやアプリ
専用の工程管理ソフトやアプリを使用することで、山積み工程表の作成とガントチャートなどとの連携が可能になります。専用のソフトやアプリにはタスク管理機能を備えたものが多く、視覚的にわかりやすい工程表を作成でき、管理効率の向上につながります。
自在なカスタマイズをしたい場合は、オンプレミス型のシステムが適していますが、初期コストやランニングコストがかかる点はデメリットです。
クラウド型の管理ツール
クラウド上で山積み工程表を管理できるツールを使用すると、データの消去リスクは低減され、情報共有は容易になります。クラウド上のデータは複数の端末からアクセスが可能なため、大規模工事や複数の協力会社が関わる工事などに効果的です。インターネット環境さえあれば即座に導入できる手軽さがあります。
クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を活用した事例
クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を導入し、リソースや進捗状況などの管理効率が改善した事例を紹介します。
中日コプロ株式会社 様
中日コプロ株式会社様では、導入後に管理職による全体把握が可能となり、作業員の仕事量のバランス調整が容易になりました。従来のホワイトボードや紙ベースの管理から脱却し、リアルタイムでの情報共有が可能になった点が変化の1つです。予定確認の電話は3分の1に減少し、ホワイトボードへの書き出し作業も不要となり、結果的に残業が削減されました。
緊急対応時の迅速な差配や車両管理の効率化が実現したり、過去の案件検索が容易となったことで見積もり作成時間が短縮したりしています。
電気硝子建材株式会社 様
電気硝子建材株式会社様では、導入により、従来の表計算ソフトによる管理から脱却し、リアルタイムで全社的な情報共有が可能になりました。職人の重複予約や情報伝達ミスが解消され、工程管理の効率化により1件あたりのリードタイムが30%削減されています。協力会社との電話連絡は70%減少し、残業時間も20%削減されました。
現在は、効率化によって生まれた時間を営業活動に充て、事業拡大を目指しています。
稼働管理・人員手配を効率化するなら「ANDPADボード」
「ANDPADボード」は、建設現場の稼働管理と人員手配を革新的に効率化するアプリです。直感的なカレンダーインターフェースによって、複数の現場と作業員の管理を容易にします。リアルタイムで情報を共有し、手配のバッティングを防止します。モバイル端末にも対応しているため、外出先での利用も可能です。
まとめ
山積み工程表の活用は、建設現場における人員や資材などのリソースを適切に管理できるだけでなく、進捗管理を行いながら、問題点の早期発見も可能にします。エクセルでの作成は手軽にできる方法の1つではありますが、クラウド型アプリを導入することで属人化による作業効率の低下や入力ミスを防ぎ、データの修正や更新が容易になります。
クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」は、シェアNo.1サービスとして、業種を問わず、数多くの企業・ユーザーが利用しています。使いやすいUI・UXを実現する開発力と、年間数千を超える導入説明会を実施といった手厚いサポートが特徴です。効率的なリソース管理に、一度ANDPADをご検討ください。