工事完了報告書の作成は義務ではないものの、元請けから提出を求められることがあります。この記事では、適切な工事完了報告書を作成したい担当者に向けて、作成方法や記載項目、注意点について解説します。最後に、工事完了報告書の作成を効率化する方法も紹介するため、参考にしてください。
工事完了報告書とは
工事完了報告書は、主に建設業で工事を担当した会社が、元請けなどに対して「工事の完了を報告する」書類です。工期や現場名、工事箇所などが明記されており、記載項目は元請けや工事により異なります。工事完了報告書の目的や作成義務については、以下で解説します。
工事完了報告書の目的
工事完了報告書の目的は、請負側と発注側で異なります。請負側の目的は、工事を無事完了している、契約通りに工事を進めていることなどを、発注側に説明することです。
一方で、発注側は、固定資産に計上する時期を示す書類として必要としています。また、万が一トラブルになった際の証拠にもなります。金融機関によっては、リフォームローンを利用する際に、請負側が作成した工事完了報告書を提出しなければならない場合もあります。
工事完了報告書の作成義務
工事完了報告書の作成には、法的な義務はありません。しかし、トラブルを避けるために作成することをおすすめします。また、官公庁からの受注に関しては、一般的に工事完了報告書の提出が義務付けられています。制定された書式は、各自治体をはじめとしたホームページで公開されているため、確認しましょう。
工事完了報告書を提出するまでの流れ
工事完了報告書を提出するまでの流れは、以下のとおりです。
工事を請け負う
工事を完了する
工事完了報告書を作成する
元請けに工事完了報告書を提出する
工事完了報告書を作成する方法
工事完了報告書を作成する方法は、主に3つあります。ここでは、3つの方法について解説します。
市販の書式を活用する
工事完了報告書の作成が手間に感じる場合、市販の商品を購入して作成する方法がおすすめです。自社に合った書式の工事完了報告書を購入し、必要事項を埋めて作成しましょう。
元請けの書式を使用する
元請けの書式を使用する方法もあります。元請けのなかには、専用の書式を使用している場合があるため、使用できるかどうかを事前に元請けに確認しましょう。専用の書式がある場合、元請けから受け取った工事完了報告書に沿って必要事項を記載し、作成します。
エクセルの無料テンプレートを使用する
無料テンプレートを使用する方法もあります。インターネット上で検索すれば、さまざまな書式のテンプレートを無料でダウンロードできます。マイクロソフトのエクセル(Excel)やワード(Word)などから、自社に合ったテンプレートを探し、活用しましょう。
工事完了報告書の記載項目
工事完了報告書の記載項目は、基本項目と必要に応じて記載する項目に分けられます。ここでは、基本の4項目と、必要に応じて記載する2項目について解説します。
工事完了報告書の基本項目
工事完了報告書の基本項目は、主に4つあります。ここでは、4つの項目について解説します。
工期
工期とは、工事を実施した期間のことです。複数日ある場合は、工事開始日と工事完了日を記載して、どの期間に施工したのかを明記します。
工事現場名
工事現場名には、現場の名称を記載します。実際に工事をした箇所について具体的に示しましょう。ショッピングモールなど大型の新築物件の場合、さまざまな会社が工事を担当するため、自社が担当した場所が正確にわかるように記載しなくてはなりません。
工事費用(請負金額)
工事費用(請負金額)には、契約時に定められた請負金額を記載します。請負金額は、元請けとクライアントで認識が異なるケースがあり、トラブルになりやすいため、注意が必要です。契約書の内容をもとに、細心の注意をはらって明記しましょう。
工事会社名・担当者名
工事会社名・担当者名には、工事会社と担当者の名前を記載します。複数人で現場管理をしている場合は、現場責任者の名前を記載すれば、問題ありません。なお、押印の義務はありませんが、会社の角印があれば、正式な文書の証明になります。
必要に応じて記載する項目
必要に応じて記載する項目は、主に2つあります。ここでは、2つの項目について解説します。
工事完了写真
工事完了報告書を提出する際に、工事完了写真を求められることがあります。そのため、工事中の写真を撮っておくと安心です。特に修繕工事や改修工事は、工事前と工事後の写真が必要となるため、覚えておきましょう。
材料や素材の詳細・費用の明細
使用した材料や素材の品質報告が求められる場合もあります。材料や素材は、施工する会社が仕入れます。指定の材料や商品が準備されているケースもありますが、細かい材料や素材などが必要であれば、購入する必要があります。そのため、材料や素材などの領収書・納品書は、保管しておきましょう。
工事完了報告書の注意点
工事完了報告書を作成するには、注意点も把握しておきましょう。ここでは、3つの注意点について解説します。
内容を確認しておく
工事完了報告書に記載するべき内容は、元請けにより異なります。そのため、事前に打ち合わせをする段階で、工事完了報告書に必要な内容を確認しておくことが大切です。特に、工事前の写真が必要かどうかの確認は必須です。
スケジュールに余裕を持って作成する
工事完了報告書には提出期限があるため、スケジュールに余裕を持って作成し、期限は必ず守ることが大切です。提出期限は元請けにより異なりますが、工事完了日から1週間〜1か月が一般的です。
工事の規模が大きくなるほど、報告書の作成に時間を要するため、工事中からメモをとり、報告書作成の準備を進めておくことをおすすめします。提出期限を過ぎると、企業の信用問題につながるため、注意しましょう。
5年を目安に保存する
工事完了報告書は、帳簿の保存期間に合わせて、5年を目安に保存することをおすすめします。後で確認できるよう、提出前に控えを用意して保存しておくとよいでしょう。ただし、工事完了報告書に法的な義務はなく、保存についても定められていません。
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ANDPAD施工管理:工程表や写真、図面、報告などをクラウド上で効率的に管理できる
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ANDPAD報告出力レイアウト機能:指定の書類フォーマットで報告書が出力できる
ANDPAD報告出力レイアウト機能を用いれば、報告書の内容を企業や行政から指定されたレイアウトで、PDFまたはExcelで出力できます。紙の報告書を、Excelに入力しなおす手間も解消できるでしょう。また、ANDPADの資料フォルダに自動で保存できるため、紛失のリスクも抑えられます。
まとめ
主に建設業で使われる工事完了報告書は、工事を担当した会社が、元請けなどに対して工事完了の報告をするための書類です。作成方法は、市販の書式や元請けの書式を活用する、エクセルの無料テンプレートを使用するなど、さまざまです。状況に合ったものを選択しましょう。
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