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BIM/CIMの基本|メリットや注意点・2023年の原則義務化についても解説

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これまで建設業のデジタル化といえば、CADの活用が中心でしたが、最近はBIM/CIMに注目が集まっています。公共事業においてBIM/CIMの原則適用が決定したことも、業界全体の大きな転機となりました。

この記事では、建築現場のDX推進に欠かせないBIM/CIMの基本や導入効果、取り組み事例を解説します。導入前に知っておきたいBIM/CIM義務化のポイントもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

建築現場のDX化に欠かせないBIM/CIM

建築現場のDX化に欠かせないBIM/CIM

BIM/CIMとは、3次元で建築モデルを作成する仕組みやツールのことです。従来は設計ソフトといえばCADが中心でしたが、BIM/CIMを使うことで、より多くの情報をデータとして保持できるようになりました。3次元CADと比べるとBIM/CIMの方がモデル作成も簡単です。

そして、BIM/CIMによって、建物に関する情報を一元管理することも可能になり、建築現場のDX化推進に大きく貢献しています。

BIM/CIMモデルを構成する3要素

BIM/CIMモデルは次の3要素で構成されています。

  • 3次元モデル:建物の形状や構造を3次元で立体的に表現した情報
  • 属性情報:部材等の名称、形状、数量などの情報
  • 参照資料:機械判読できない資料などの情報

2次元の平面図を書くところからスタートするCADと違い、BIM/CIMは3次元モデルが基本です。建物の属性情報や参照資料も管理されているため、設計からメンテナンスに至るまで幅広く活用できます。

2023年におけるBIM/CIM義務化のポイント

2023年1月19日に開催された第9回BIM/CIM推進委員会において、BIM/CIM原則適用に関する方針が発表されました。BIM/CIM義務化のポイントは、3次元モデルの活用目的の設定が「義務項目」「推奨項目」の2つに区分されたことです。項目の詳細は、次のとおりです。

測量

地質・土質調査

概略設計予備設計詳細設計工事

3次元モデルの

活用

義務項目
推奨項目

義務項目と推奨項目の設定は発注者が行いますが、実際に3次元モデルを作成するのは受注者となります。推奨項目については、受注者が1つ以上の項目に取り組むことが推奨されています。

もともとは2025年までにBIM/CIMを原則適用することを目標としていましたが、テレワークが急速に広まったことなどを背景に、2年前倒しで適用されました。

参考:【国土交通省】令和5年度BIM/CIM原則適用について

【分野が異なる】BIMとCIMの違い

BIMとCIMは、「3次元モデル」「属性情報」「参照資料」の3要素で構成されているところは共通していますが、対象とする分野や情報の内容が異なります。

建築分野はBIM

BIM(ビム)は「Building Information Modeling」の略で、ビルやショッピングセンターなどの建築分野が対象です。BIMで管理する情報は、構造物とそれに付属する情報となります。

土木分野はCIM

CIM(シム)は「Construction Information Modeling」の略で、ダムや道路、橋などの土木分野が対象です。ただし、海外では日本ほど明確な使い分けはされておらず、土木分野のモデル化をBIM for infrastructureと呼ぶこともあります。CIMでは、構造物だけでなく地形や地質といった周辺の状況も属性情報に加えます。

BIM/CIMの3つの導入効果

BIM/CIMの3つの導入効果

BIM/CIMを導入することで期待できる効果は、次の3つです。

  • 生産性向上につながる
  • コスト削減できる
  • 情報伝達が円滑になる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 生産性向上につながる

BIM/CIMの導入によって、生産性向上が期待できます。建設業の生産性を高める手法としては、次の2つが効果的です。

  • フロントローディング
  • コンカレントエンジニアリング

フロントローディングは、直訳すると「前に負荷をかける」という意味です。建築の現場では、設計・開発の初期段階で時間をかけてシミュレーションを行うことで、施工段階での負荷軽減を目指します。

コンカレントエンジニアリングは、直訳すると「同時並行技術」という意味です。BIM/CIMの活用により情報が一元管理されることで、複数の工程を同時に進行しやすくなり、全体の効率化が図れます。

2. コスト削減できる

現場の生産性が向上することで、コスト削減にもつながります。建設業では、工数が増えるほど人件費がかさむため、当初の予定通り作業を進めていくことが重要です。

たとえば、フロントローディングの手法を取り入れることで、修正や工事の遅れによるコストを抑制することが可能です。

3. 情報伝達が円滑になる

BIM/CIMツールを使えば正確で視覚的にも分かりやすい説明ができ、情報伝達も円滑に行えます。データは一元管理されているため、最新情報を常に関係者で共有できます。

3次元モデルを基本とするBIM/CIMは専門的な知識がなくても理解しやすいため、地域住民や自治体職員との情報共有にも向いています。

BIM/CIMの3つの活用シーン

BIM/CIMの活用シーンは、「設計」「施工」「維持管理」の3段階に分けられます。ここでは、具体的な活用シーンと期待できる効果を解説します。

1. 設計段階の活用シーン

設計段階では、建築現場付近の住民への説明会でBIM/CIMを活用できます。視覚的にわかりやすい資料を使うことで、スムーズに合意が得やすくなるでしょう。また、BIM/CIMの情報をそのまま説明資料に流用することで、準備の手間も削減できます。

2. 施工段階の活用シーン

施工段階では、施工手順を確認する際に活用できます。従来の2次元モデルと比べて、複雑な構造でもわかりやすく伝えられるため、確認作業の迅速化が期待できます。BIM/CIMを導入することで、合意形成が円滑に進みやすくなり、作業効率も向上するでしょう。

3. 維持管理段階でできること

維持管理段階では、現場での点検箇所の把握に活用できます。従来は、点検・補修の履歴が紙媒体や電子データなど異なる形式で管理されていることも多く、確認作業に時間がかかっていました。一方、BIM/CIMで管理する情報には点検に関するものも含まれているため、必要な情報が迅速に手に入り、作業の効率化が可能です。

BIM/CIMの取り組み事例

BIM/CIMの取り組み事例

2023年に義務化されたBIM/CIMですが、活用方法に悩んでいる企業は少なくありません。国土交通省が公表している、BIM/CIMの取り組み事例を参考に、自社に合った方法を見つけていきましょう。

参考:【国土交通省】BIM/CIM事例集 ver.2

1. 隣接既設構造物の把握、隔離確認【トンネル】

まずは、トンネル修正設計業務におけるBIM/CIMの活用事例です。この工事では、供中のI期線トンネルと計画中のII期線トンネルの両方を3次元モデル化しました。3次元モデルにしたことで、位置関係がわかりやすく表現され、近接影響の範囲が視覚的に確認できるようになりました。

2. 施⼯⽅法及び⼿順等の妥当性を⽴体的に検証【橋梁】

続いては、架橋の設計業務における活用事例を紹介します。この工事では、立体交差する鉄道や国道上の架設などを検証する目的でBIM/CIMモデルを作成し、施工ステップごとの実現性を確認しました。「大型クレーンの配置は妥当か」「国道の通行止めは必要か」などを設計段階で検証することで後工程の施工がスムーズに進行できるようになりました。

国土交通省のBIM/CIMポータルサイト

BIM/CIMへの理解を深めるための欠かせない情報源として、国土交通省のBIM/CIMポータルサイトが挙げられます。BIM/CIMの最新情報が網羅的に掲載されており、先ほど紹介した取り組み事例の閲覧ができます。BIM/CIMの概要や、基準や要領、研修に使える資料などが掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

BIM/CIM導入の注意点

BIM/CIM導入の注意点としては、「コスト」「人材」の2つがあります。これらの課題に関する対処方法を事前に検討することが大切です。

導入コスト・研修コスト

小規模工事を除くすべての公共事業でBIM/CIMが原則適用となったものの、CADと比べると普及率は高くありません。その大きな要因として、ツールの導入や研修にコストがかかることが挙げられます。BIM/CIMツールは、CADよりも割高な傾向が見られるため、活用シーンが少ないと費用対効果が感じづらくなります。

ツールを使いこなせる人材の確保

BIM/CIMツールは、CADとは操作性が異なるため、新たに専門知識のある人材を確保しなければなりません。ただし、使いこなせる人材は少なく、採用活動を行っても人が集まらない可能性があります。自社で教育することもできますが、時間とコストがかかります。

まとめ

BIM/CIMを活用することで、生産性向上やコスト削減が期待できます。また、「3次元モデル」「属性情報」「参照資料」の3要素で構成されるBIM/CIMは、設計から維持管理まで幅広く活用することが可能です。

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※本記事は2023年11月15日時点の法律に基づき執筆しております。

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