株式会社ナミキのご紹介
東京都板橋区成増に本社を構える株式会社ナミキ。東武東上線沿線を中心に東京都・埼玉県の一部で総合不動産建設業を展開し、1937年の創業以来、80年以上にわたり地域に根差した経営を志してきた。
ナミキグループの強みは、賃貸住宅の企画・設計・施工から、賃貸管理、不動産売買、建築資材供給、足場工事、清掃・設備保全、保険・保証まで、14社のグループ企業が一体となって、ワンストップでサービスを提供できる点にある。この総合力を活かし、「心地よい生活空間の創造」を掲げ、着実に成長を遂げている。
だが、長い歴史の中で、ナミキグループが直面してきた課題も少なくない。その一つが、建設業界特有の「アナログ管理体制」に起因する業務効率の低さだった。
中小建設・不動産企業は一般的にDX化が遅いといわれることが多いが、ナミキも例外ではなかった。そんな中、同社は時代の変化に対応することが業界内での強みになると考え、積極的にDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進。グループ全体での工程一元管理、電子受発注システムの導入を実現し、業務効率化だけでなく、働きやすい環境の整備にも成功している。
本記事では、ナミキグループの一員としてDX推進をリードするNFC株式会社の稲垣氏と、株式会社ナミキ建設技術部の統括部長である木明氏に、その取り組みと成果について詳しく話を伺った。
グループ横断での情報共有が抱えていた課題
ナミキグループは、土地の仕入れから設計・施工、入居者募集、賃貸管理までをワンストップで提供できる体制を整えている。しかし、複数の部門やグループ会社が関わる中で、情報の共有がうまくいかず、業務の非効率さが顕著になっていた。
「以前は、各部門やグループ会社がそれぞれ独自のフォーマットで情報を管理しており、リアルタイムでの情報共有が困難でした。設計変更が施工部門に適切に伝わらず、協力会社への対応が後手に回ることもありましたし、工程遅延が発生しても賃貸物件の広告出稿スケジュールに反映されないこともありました。」(稲垣氏)
情報共有の遅れは、現場の混乱やミスを招き、結果的に顧客満足度の低下にもつながる可能性がある。そこでナミキグループは、情報連携の抜本的な改革に着手した。
ANDPADを活用した業務改革
ナミキグループがDX推進の核として選んだのは、建設業向けのクラウド型施工管理システム「ANDPAD」だった。
「従来は紙ベースでの情報共有が主流で、変更があった際には各自が手作業で更新する必要がありました。そのため、伝達ミスや入力漏れが発生しやすかったのです。しかしANDPADを導入することで、情報の一元管理が可能となり、リアルタイムでの更新や共有が実現しました。」(木明氏)
ANDPADを本格運用するにあたり、ナミキグループは以下のような施策を実施。
プロジェクトチームの編成
・各部門の若手社員を中心にプロジェクトチームを結成し、運用開始から3カ月間は週1回の会議を実施しながら業務フローを改善。
徹底したサポート体制
・操作説明会の開催に加え、社内向けマニュアルや問い合わせ窓口を設置。
協力会社との連携強化
・スマートフォン操作が苦手な協力会社に対しては、現場での個別サポートを実施。マニュアル動画の配信も行った。
その結果、ANDPADのログイン率は97%、マイルストーン入力率100%を達成。グループ横断での情報共有がスムーズになり、業務の効率化が大幅に進んだ。
電子受発注で業務負担を軽減
もう一つの大きな変革が、受発注業務の電子化だ。
「ANDPAD導入以前は、月800枚以上の請求関連書類を紙でやり取りしており、建設技術部の事務員が一括で処理していました。しかし、ANDPADの電子受発注を活用することで、FAXや郵送の手間がなくなり、移動時間や手作業による負担が大幅に軽減されました。」(木明氏)
その結果、
現場監督の移動時間が1日2時間削減
年間着工棟数が39棟から51棟へ1.3倍に増加
ペーパーレス化によるコスト削減額740万円
と、目覚ましい成果を上げることができた。
働き方改革への貢献
DX推進の成果は、単なる業務効率化にとどまらず、社員の働き方改革にも大きく寄与している。
「ANDPAD導入後、着工数は増えたにもかかわらず、現場監督の残業時間は月20時間ほどまで削減され、年間休日も3日増えて116日となりました。現場の負担軽減が進んだことで、社員がより働きやすい環境になったと実感しています。」(稲垣氏)
また、入金・支払い管理もデジタル化され、お客様への対応スピードが向上。こうした改善は、社員満足度の向上だけでなく、顧客満足度の向上にもつながっている。
100年企業グループを目指して
ナミキグループのDX推進は、単なる旧体制の業務改善ではなく、社員、お客様、取引先、一人ひとりに寄り添い、心地よさも求める「魅力ある100年企業グループ」を目指すための大きな一歩だ。
「建設・不動産業界は、まだDXが進んでいない分野です。その中で、私たちは先駆けてデジタル活用を推進し、業界の未来を切り拓いていきたいと考えています。お客様、協力会社、そして社員にとって魅力的な企業であり続けるために、今後も挑戦を続けていきます。」(稲垣氏)
老舗企業でありながら、変化を恐れず、革新を続けるナミキグループ。その挑戦は、これからも続いていく。