情報共有の手間を劇的に削減 施工管理できる件数が最大2倍に
太陽光発電設備には、まれに緊急事態が発生することがある。その際、初動のスピードが何よりも重要だ。例えばパワーコンディショナなどに不具合があると、販売店を通して動力に連絡が入る。どのメーカーの機器で、どんな工事をしたか。ANDPAD導入以前は、数年前の顧客だと記憶を辿れず、過去の案件ファイルや画像データを検索するのに1時間かかることもあった。それだけ顧客へのレスポンスが遅れ、後手になった。
現場写真は1物件当たり30枚ほど撮影する。以前はデータを外付けハードディスク(HDD)に保存していたが、機器がどんどん増えた。中身もフォルダに正しく案件名が付されてないなどブラックボックス状態だった。 また、同社には多くの協力会社がいる。協力会社が現場で機器マニュアルを確認したいというとき、以前は協力会社が自らメーカーのウェブサイトで探したり、同社の現場監督から事務員に連絡して検索してもらったりしていた。
協力会社との資料などのやりとりで、1案件につき5〜10件程度、メールを送付。1人の現場監督が抱える案件数が増えるほどメールの量も増え、確認漏れが発生してトラブルの種になることもあった。 こうした課題を解決すべく、2018年にANDPADの導入を決めた。主に住宅用太陽光発電の施工を年間2000件近くこなす中で、資料や写真の共有、施工後の報告などをANDPADで一貫してできるようになり、大きな成果を得られた。
アプリ上で機器マニュアルをメーカーごとに格納し、写真データも案件ごとに整理、顧客情報も顧客名を入力すればすぐさかのぼれる。社員も協力会社も容易に情報を検索できるようになり、検索時間が大幅に削減された。
施工管理できる件数も増えた。以前は1人当たり最大月10件ほどだったところ、今は業務時間を増やさずに20件ほどまで管理を依頼できる状況になったのだ。
「ANDPAD導入後、体感でいえば粗利益率は5%ほど上昇したように感じています。会社全体で、少ない手数で最大限の成果を上げるよう努力しており、その方針に見事にマッチングするツールでした」と同社中・西日本営業部統括部長の平田誠氏は話す。
今やANDPADなしでは仕事が回らないと感じるほど、なくてはならないツールとなった。
動力様ご紹介
2008年設立、2015年東京証券取引所TOKYO PRO Market上場。ゼロ・エネルギー・ハウスに関わるスマートアイテム全般の販売・施工を手掛ける。多くのビルダー、ハウスメーカーが主要取引先。足場組立、屋根工事、設備工事、電気工事、足場解体の施工作業を一括管理する。太陽光発電の取付金具を独自開発するなどメーカーの顔も持つ。
撮影/松尾夏樹 取材・文/大根田康介
※本記事は2022年4月発行「SOLAR JOURNAL」において掲載された記事の転載となります。