1級電気工事施工管理技士は、電気工事分野において高い専門性が求められる国家資格です。しかし、「合格率はどれくらいなのか」「本当に自分でも合格できるのか」と不安に感じる人は少なくありません。
本記事では、最新の公式データをもとに一次・二次検定それぞれの合格率を整理し、その違いや難易度の特徴をわかりやすく解説します。
さらに、受検制度の改正内容や合格に向けた対策、資格取得後の活かし方まで網羅的に紹介しますので、受検を検討している方は参考にしてみてください。
1級電気工事施工管理技士の合格率はどれくらい?
1級電気工事施工管理技士の試験は、合格率の数字だけを見ると難易度が高いように感じられます。しかし、一次検定と二次検定では合格率の水準が大きく異なり、その仕組みを理解することが重要です。
令和6年度からは受検制度が改正され、第一次検定は年齢要件のみで受検できるようになりました。まずは、公式に公表されている最新データをもとに、試験の合格率について、全体像を確認していきます。
過去の合格率と受検者数
過去3年間の合格率と受験者数は以下のとおりです。
| 年度 | 一次検定合格率 | 一次検定合格者 | 二次検定合格率 | 二次検定合格者 |
| 令和7年度 | 41.5% | 10,290名 | 69.6% | 6,607名 |
| 令和6年度 | 36.7% | 8,784名 | 49.6% | 4,093名 |
| 令和5年度 | 40.6% | 6,606名 | 53.0% | 4,527名 |
| 令和4年度 | 38.3% | 6,458名 | 59.0% | 4,537名 |
公式発表によると、令和6年度の第一次検定は受検者23,927名、合格者8,784名で、合格率は36.7%でした。およそ3人に1人が合格している計算になります。
一方、令和7年度の公式発表では、受検者9,494名のうち6,607名が合格し、合格率は69.6%でした。
過去3年分の結果を見ても、二次検定は一次検定の合格者など受検資格を満たした人が対象となるため、合格率は一次より高い水準になっています。
参照:令和7年度 1級電気工事施工管理技術検定 結果表
参照:令和6年度 1級電気工事施工管理技術検定 結果表
参照:令和5年度 1級電気工事施工管理技術検定 結果表
合格率は一次と二次で大きく異なる
第一次検定と第二次検定では、合格率に大きな差があります。
1級電気工事施工管理技士の一次検定は幅広い分野から出題される学科試験であり、基礎知識から専門知識まで総合的に問われます。
一方で、第二次検定は記述式が中心で、実務経験を踏まえた施工管理能力が評価されます。受検者が一次合格者などに限定されるため、結果として合格率は高めに出る傾向があるのです。
合格率が上下する要因
年度によって合格率が変動する背景には、受検者数の増減や出題内容の違いがあります。受検者が増加すれば、受検者全体の学力分布も変化するため、その影響が合格率に表れることがあります。
さらに第一次検定には科目ごとの基準が設けられており、一定の得点を満たさなければならない条件があるため、全体の得点が基準に達していても、特定科目で基準を下回ると不合格となる仕組みです。
このような採点基準の特徴も、年度ごとの合格率の変動につながっているといえます。
合格率だけで難易度を判断してはいけない
合格率の数字は試験の目安にはなりますが、それだけで難易度を判断することはできません。
令和6年度以降、第一次検定は19歳以上であれば受検できるようになり、受検者層が広がっています。
さらに、制度改正に伴う経過措置も設けられており、一定期間は旧制度にもとづく受検も可能です。このような制度の変化によって受検者の状況は毎年異なっており、それが合格率にも影響を及ぼしています。
ゆえに重要なのは、合格率の高低に一喜一憂するのではなく、自分が受検する段階や条件を踏まえたうえで、計画的に準備を進めることです。
1級電気工事施工管理技士の一次・二次で合格率はどう違う?
1級電気工事施工管理技士の試験は、第一次検定と第二次検定の二段階で構成されています。それぞれの検定は目的が異なり、求められる力も変わります。
第一次検定は、施工管理に必要な基礎知識や法規、電気工学などの理解度を確認する試験です。一方、第二次検定は、実務経験を前提として、現場での対応力や判断力を文章で示す試験となっています。
このように、試験の役割が異なり、一次と二次では準備の方向性も変わります。ここでは、それぞれの合格率と難易度の特徴を整理します。
一次検定の合格率と難易度の特徴
第一次検定は、最初の関門となる試験です。令和6年度の公式発表によると、受検者23,927名のうち合格者は8,784名で、合格率は36.7%でした。
出題範囲は広く、電気工学、法規、施工管理など複数分野にわたります。知識量が求められるだけでなく、分野ごとの理解度も問われる構成です。
また、科目ごとに基準が設けられており、一定の条件を満たさなければ総合得点が基準に達していても不合格となる仕組みになっています。そのため、特定分野に偏った学習では対応が難しい試験ともいえるのです。
二次検定の合格率と難易度の特徴
第二次検定は、第一次検定の合格者など受検資格を満たした人が対象となります。令和7年度の公式発表では、受検者9,494名のうち6,607名が合格し、合格率は69.6%でした。
試験は記述式が中心で、自身の実務経験をもとに施工管理上の課題や対応内容を文章で示す形式です。知識を問うだけではなく、現場での判断や対応を論理的に説明できるかどうかが評価されます。
受検者が限定されていることもあり、一次検定より合格率は高い水準となっていますが、求められる能力の性質は大きく異なります。
1級電気工事施工管理技士は何年で合格できる?
1級電気工事施工管理技士は、第一次検定と第二次検定の二段階で構成されています。そのため、合格までにかかる年数は受検の進め方によって異なります。
また仕事と両立しながら受検する人が多い資格であるため、自分の状況に合った計画を立てることが重要です。
受検方法としては、一次と二次を同じ年度に受けて最短での合格を目指す方法と、まず一次に合格し、その後に二次へ進む方法の大きくふたつに分けられます。
ここでは、それぞれの特徴を確認していきます。
一次・二次を同年受検した場合
第一次検定と第二次検定を同じ年度に受検することも可能であり、この場合は、1年で最終合格を目指します。
ただし、一次検定は幅広い知識を問う学科試験であり、二次検定は記述式で実務経験をまとめる試験です。求められる対策の方向性が異なるため、同時並行で準備を進める必要があります。
学習時間を十分に確保できる人にとっては効率的な方法ですが、仕事が繁忙期に入ると負担が大きくなる可能性があります。
そのため、同年受検は短期間での合格を目指す人にとっては有効な選択肢ですが、学習時間や仕事との兼ね合いを十分に考慮したうえで判断することが求められるのです。
一次合格後に二次へ進む場合
第一次検定に合格した後、翌年度以降に第二次検定を受検する方法もあります。この場合、一次対策と二次対策を分けて考えられるため、学習の負担を抑えやすくなるのがメリットです。
とくに、二次検定では経験記述の準備が重要になります。時間をかけて自身の工事経験を整理できます。
そのため、短期間での合格を目指す方法と比べると時間はかかりますが、無理のないペースで着実に合格を目指せる進め方といえます。
1級電気工事施工管理技士の受検資格はどう変わった?
令和6年度(2024年度)から、1級電気工事施工管理技士の受検資格は見直されました。
これまで重視されていた実務経験の要件が整理され、第一次検定については受検条件が大きく変わっています。
ここでは一次検定と二次検定の変更内容について、詳しく見ていきます。
一次検定は年齢要件のみで受検できるようになった
令和6年度以降、第一次検定は試験年度の末日時点で満19歳以上であれば受検できるようになり、学歴や実務経験の要件は設けられていません。
この改正により、これまで実務経験を積むまで受検できなかった人も、早い段階で第一次検定に挑戦できるようになりました。
そして第一次検定に合格すると「技士補」の資格が与えられます。技士補は、監理技術者などの指導のもとで施工管理業務を補佐できる立場を示す資格です。
そのため、実務経験を積む前の段階でも、自分の知識がどの程度通用するかを確認できる仕組みとなっています。
二次検定は実務経験が必要で経過措置が設けられている
一方、第二次検定を受検するには、引き続き一定の実務経験が必要です。実務経験とは、電気工事の現場において施工管理に関わった期間を指します。
また、制度改正に伴い、令和10年度(2028年度)までは経過措置が設けられており、旧制度にもとづく受検資格を一定期間認める措置です。
実務経験の内容や期間によっては、適用される制度が変わる場合があります。そのため、自身の経歴がどの基準に該当するのかを事前に整理しておくことが求められます。
1級電気工事施工管理技士に合格するための対策
1級電気工事施工管理技士は、第一次検定と第二次検定で求められる力が異なります。
そのため、試験の特徴を踏まえたうえで、段階的に準備を進めることが重要です。
ここでは、それぞれの検定に応じた、具体的な対策について解説していきます。
一次検定の合格率を意識した勉強法
第一次検定は出題範囲が広く、複数分野にわたる知識が求められます。さらに、総合得点だけでなく科目ごとの基準も設けられているため、特定分野で大きく失点すると不合格となる可能性があります。
対策としては、まず過去問題を解き、自分がどの分野で得点できていないのかを把握することが重要です。いきなりテキストを読み込むのではなく、問題を通じて出題傾向と頻出論点をつかむことで、学習の優先順位が明確になります。
そのうえで、得点しやすい分野を安定した得点源に育てる一方、苦手分野は基準を下回らない水準まで引き上げることを目標とします。完璧を目指すのではなく、合格基準を安定して超える得点配分を意識することが現実的な方法です。
また、時間内に解き切る練習も欠かせません。本番と同じ時間配分で過去問題を解くことで、知識だけでなく処理スピードも身につきます。
このように出題傾向を把握したうえで、得点源を確実にしつつ、弱点を補強していくことが一次対策の基本となります。
二次検定で差がつく記述対策の進め方
第二次検定は記述式が中心で、実務経験を踏まえた説明力が評価されます。令和7年度の第二次検定の合格率は69.6%でしたが、受検者は第一次検定の合格者などに限られており、一定の知識水準を満たした人が対象となっています。
二次検定で重要になるのが経験記述です。自身が関わった工事について、発生した課題に対してどのような対応を行い、どのような結果につながったのかを論理的にまとめる力が求められます。
対策としては、まず自分の担当した工事をいくつか書き出し、その中から試験で使いやすい事例を選ぶことからはじめます。
次に、「工事概要」「課題」「対応」「結果」という流れで構成を固定し、何度も書き直すことで文章の精度を高めていくのです。
また、経験記述では内容そのものだけでなく、書き方にも注意が必要です。抽象的な表現が多く具体的な数値や状況が示されていない記述や、「気をつけた」「努力した」といった感想にとどまる表現は、評価につながりにくい傾向があります。
さらに、課題と対策、結果のつながりが明確でない場合や、主語があいまいで自身の役割が分かりにくい記述も注意が必要です。
経験記述では、「どのような状況で」「何が課題となり」「自分がどう対応し」「その結果どうなったのか」を一貫した流れで示すことが重要です。事実と行動を具体的に整理しておくことで、本番でも落ち着いて記述しやすくなります。
仕事と両立しながら合格を目指す学習計画
1級電気工事施工管理技士の受検者の多くは、現場業務と並行して学習を進めています。そのため、短期間に詰め込むよりも、生活リズムに合わせた学習設計が求められます。
たとえば、平日は30分から1時間程度を目安に過去問題や一問一答に取り組み、休日にまとまった時間を確保して理解を深める方法があります。学習時間を「確保する」のではなく、「生活の中に組み込む」という意識を持つことが継続のポイントです。
繁忙期には無理に学習量を増やすのではなく、過去問題を一定数解くなど、感覚を維持するための学習に切り替えることも有効です。完全に学習を止めてしまうよりも、短時間でも継続するほうが再開しやすくなります。
また、一次検定と二次検定では準備内容が異なるため、一次対策に集中する時期と、記述対策へ移行する時期をあらかじめ決めておくと計画が立てやすくなります。
このように段階ごとに目標を設定し、無理のないペースで積み重ねていくことが最終合格につながっていくのです。
1級電気工事施工管理技士を取得するメリットと注意点
1級電気工事施工管理技士は、電気工事の施工管理において重要な役割を担う国家資格のひとつです。一定規模以上の工事に関わるために必要とされる場面もあり、取得することで業務の幅が広がる可能性があります。
その一方で、合格までには計画的な準備と継続的な学習が求められます。
ここでは、1級電気工事施工管理技士を取得するメリットと注意点について、具体的に見ていきます。
1級電気工事施工管理技士を取得するメリット
1級電気工事施工管理技士を取得すると、一定規模以上の工事において監理技術者として配置される資格要件を満たせます。
監理技術者は、元請として大規模な工事を施工する際に必要となる技術者であり、工事全体の技術管理を担う立場です。
そのため、会社内で任される業務の幅が広がる可能性があります。また、資格手当の支給や評価制度に反映されるケースもあり、待遇面に影響することもあります。
さらに、転職市場においても有資格者として応募できる求人の幅が広がります。施工管理技士の配置が必要な現場は多く、資格の有無が条件となる場合も少なくありません。
このように、1級電気工事施工管理技士の取得は、業務の範囲や選択肢を広げる要素のひとつといえます。
1級電気工事施工管理技士を目指すうえでの注意点
一方で、合格までには一定の学習時間と継続的な取り組みが求められます。仕事と両立しながら準備を進める必要があるため、計画的な学習が欠かせません。
とくに、第一次検定と第二次検定では対策内容が異なります。一次対策に集中しすぎて二次準備が遅れると、記述対策の時間が不足する可能性があります。段階ごとに学習内容を整理し、次の検定を見据えて準備を進める視点が欠かせません。
また、受検までの期間が長くなる場合には、モチベーションの維持も課題となります。
短期間で成果を求めるのではなく、日々の業務や生活とのバランスを保ちながら、無理のないペースで継続できる環境を整えることが大事です。
資格取得は大きな目標ですが、業務や生活とのバランスを保ちながら取り組むことが前提となります。
1級電気工事施工管理技士の資格を活かすために
1級電気工事施工管理技士の資格は、担当できる業務の幅が広がるだけでなく、給与面などの待遇も変わる可能性があります。
ただし、資格を取得しただけでは待遇や役割が自動的に変わるわけではありません。重要なのは、その資格を適切に評価してくれる環境に身を置くことです。
ここでは、資格を活かすためにはどうしたらいいのか、見ていきます。
資格を正しく評価してくれる職場を選ぶ
同じ1級電気工事施工管理技士の資格を持っていても、任される業務や評価は企業によって大きく異なります。たとえば、資格手当の金額や支給の有無だけでなく、監理技術者として実際に配置される機会があるかどうか、担当できる工事規模がどの程度かといった点にも差があります。
また、評価制度に資格がどのように反映されるかも重要な視点です。資格を取得しても業務内容が変わらない場合もあれば、役職や責任範囲が明確に広がるケースもあります。
そのため、現在の職場が自分の資格や経験を十分に活かせる環境かどうかを一度整理してみることが大切です。担当できる案件の規模、評価基準、将来的なポジションなどを客観的に見直すことで、今後のキャリアの方向性が見えやすくなります。
転職では施工管理に強い専門サイトを活用する
現在の環境が自分の資格や経験を十分に活かせていないと感じた場合、働く場所を見直すという選択肢もあります。その際には、施工管理職に特化した専門サイトを活用するのもひとつの手段です。
一般的な求人サイトでは職種が幅広いため、施工管理技士の配置が前提となる求人や、1級取得者を優遇する案件を探しにくい傾向があります。
一方で、施工管理に強い専門サイトであれば、資格を条件とする求人や、大規模工事を担当できるポジションが整理されているケースも少なくありません。
さらに、業界に詳しい担当者によるサポートがあるサービスでは、自身の資格や経験がどのように評価されるのかを客観的に把握しやすいという利点もあります。資格取得後は、その価値をどのような環境で活かすかまで視野に入れることが、納得のいくキャリア選択につながるはずです。
1級電気工事施工管理技士の転職活動にはビルダーワークがおすすめ!
施工管理に特化した転職支援サービスのひとつとして、ビルダーワークがあります。建設業界に強みを持ち、電気工事関連をはじめとした施工管理の求人を中心に扱っている点が特徴です。
1級電気工事施工管理技士の資格を持つ人を対象とした求人や、監理技術者の配置を想定した案件が掲載されることもあり、資格を活かした転職を検討する際の情報収集先のひとつとなります。
また、業界事情に詳しい担当者から求人の詳細や企業の評価制度について説明を受けられる場合もあるため、自身の資格や経験がどの程度評価されるのかを具体的に確認しやすいです。
資格取得後は、その価値をどのような環境で発揮するかまで視野に入れることが、より納得のいく働き方につながります。転職を前提としない場合でも、市場の動向を把握する目的で情報を集めてみるのもひとつの方法です。
まとめ
1級電気工事施工管理技士の合格率は、一次と二次で大きく異なります。数字だけを見ると難しく感じるかもしれませんが、試験の仕組みや合格基準を理解し、段階的に対策を進めることで現実的に目指せる資格です。
また、制度改正により受検のハードルは以前より整理され、挑戦しやすい環境も整っています。資格取得はゴールではなく、その後の働き方やキャリアの選択肢を広げるための手段のひとつです。
まずは自分の受検条件を確認し、無理のない計画から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

