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MTBF(平均故障間隔)の正しい読み方|数値に表れない現場のリスクと活用のコツ

公開日:
建物・設備管理
予防保全 保守点検
目次
  1. MTBF(平均故障間隔)とは?
    1. MTBFはどれくらい壊れにくいかを示す指標
    2. MTBFが使える設備と使えない設備の違い
  2. MTBFでとくに多い3つの誤解
    1. MTBFはこの時間で壊れるという意味ではない
    2. MTBFが高くてもトラブルが減るとは限らない
    3. 数値だけを見ると現場の実感とズレやすい
  3. MTBFの計算方法
    1. 基本的には「総稼働時間÷故障回数」
    2. どこまでを稼働時間に含めるかの判断基準
    3. 実務でよくあるMTBFの計算ミス
  4. MTBFと混同しやすい2つの指標
    1. MTBFとMTTFの違い
    2. MTBFとMTTRの違い
  5. MTBFと稼働率や可用性の関係
    1. MTBFは壊れにくさだけを表す指標
    2. 稼働率や可用性は壊れにくさ+直しやすさで決まる
  6. MTBFを活用すべき場面
    1. 故障の起き方に傾向があるかを確認したい場合
    2. 点検周期や保全方針を見直す根拠が必要な場合
    3. 社内や顧客に信頼性を説明する必要がある場合
  7. MTBFだけを見た判断が危険な理由
    1. 実際のトラブル発生状況を見落としやすい
    2. 点検や保全の優先順位を誤りやすい
    3. 運用改善や環境要因の影響が見えなくなる
  8. MTBFを改善につなげる考え方
    1. MTBFは上げるより使い方を見直すことが重要
    2. 故障の種類ごとに改善策を切り分けて考える
    3. 保全・交換・冗長化を目的別に使い分ける
  9. MTBFを正しく読み取るために大切なこと
    1. MTBFは数値だけ見ても判断できない
    2. 導入時の情報が保全判断の出発点になる
    3. 点検や故障の履歴が判断の精度を高める
  10. まとめ

設備管理において、機械がどれくらい安定して動いているかを測る際、代表的な目安のひとつとなるのがMTBF(平均故障間隔)です。

しかし、MTBFの数値が良くなり、故障の間隔が長くなったからといって、現場の負担が必ずしも軽くなるとは限りません。故障の頻度が減っても、一度の復旧に多大な時間を要するようでは、生産計画へのダメージはむしろ深刻になることもあるからです。

「数値上は壊れにくくなったはずなのに、現場の状況が良くならない」といった事態は避けなければなりません。

そのためには、MTBFを単なる計算結果として眺めるだけでは不十分です。数字の裏側にある現場の実態や、他の指標とのバランスをあわせて読み解く視点が欠かせません。

本記事では、MTBFの基本的な考え方はもちろん、実務で混同しやすい指標との違いを整理します。その上で、数値を具体的な改善につなげるためのポイントも解説します。

MTBF(平均故障間隔)とは?

MTBF(平均故障間隔)という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、その役割を一言でいえば「設備の健康状態」を測るためのものさしです。

まずは、MTBFが何を意味し、どのような設備に対して使われる指標なのかを正しく理解することからはじめましょう。

MTBFはどれくらい壊れにくいかを示す指標

MTBF(平均故障間隔)とは、設備やシステムが故障してから次に故障するまで、どのくらいの期間動いていたかを平均値で表したものです。

日本語では「平均故障間隔」と呼ばれ、その設備がどれだけ安定して動いているか、つまり壊れにくさを数値で把握するための目安として使われます。

注意したいのは、これが「次にいつ壊れるか」を予知するための数字ではない点です。また、製品がどれくらい長くもつかという寿命や耐用年数とも意味が異なります。

あくまで、動いている期間の平均を見ている指標だと捉えておきましょう。

MTBFが使える設備と使えない設備の違い

MTBF(平均故障間隔)の指標を使うときには、対象となる設備が修理して使い続けるものである必要があります。

たとえば、製造ラインの機械やサーバーのように、一部が故障しても部品を交換すれば再び動き出すようなシステムにはMTBFが非常に有効です。

一方で、電球のように一度切れたら交換するしかない使い切りの製品や、修理ができない小さな部品には適していません。

このように修理が可能であることが、MTBFを活用する際の大前提となります。

MTBFでとくに多い3つの誤解

MTBF(平均故障間隔)は指標となる数値が明確に表れるため、その値の良し悪しだけで設備の状況を判断してしまいがちです。

しかし、数値の表面的な推移だけを捉えていると、現場の実態を見誤るリスクもはらんでいます。ここでは、実務においてとくに陥りやすい3つの誤解について解説します。

MTBFはこの時間で壊れるという意味ではない

MTBFをその時間が経過すれば必ず故障するという予兆のように捉えるのは誤りです。

MTBFはあくまで過去の故障実績に基づいた平均値であり、次回の故障時期を具体的に保証するものではありません。

たとえば、MTBFが1,000時間の設備であっても、実際には100時間で停止することもあれば、2,000時間以上稼働し続けることもあります。

そのため、この数値は将来を予測するタイマーではなく、これまでの稼働の安定性を評価するための「ひとつの目安」として活用するのが適切です。

MTBFが高くてもトラブルが減るとは限らない

MTBF(平均故障間隔)の数値が向上し、故障の間隔が長くなったとしても、必ずしも現場の負担が軽減されるとは限りません。

故障の頻度が低くても、一度の故障に対する復旧作業に多大な時間を要する場合、生産計画への影響は深刻になるためです。

壊れにくさを追求するだけでは、トラブルへの対応力を見落とす恐れがあります。

MTBFの改善とあわせて、故障時の影響範囲や復旧の迅速さについても注視することが、安定稼働を維持する上で有効な考え方といえます。

数値だけを見ると現場の実感とズレやすい

データ上ではMTBF(平均故障間隔)に問題がなくても、現場の作業員からは最近よく止まると不満が出るケースは珍しくありません。

これは、数値の集計ルールと現場の感覚が一致していないときに起こる現象です。

なぜその数値になったのか、どのような故障をカウントしているのかといった背景まで確認しなければ、現場の改善に役立つ正しい判断を下すのは難しくなります。

MTBFの計算方法

MTBF(平均故障間隔)を実務で活用するためには、正しい計算方法を理解しておくことが欠かせません。

計算式自体は非常にシンプルですが、正確な数値を導き出すためには、どの範囲をデータとして扱うかという事前のルール作りが重要です。

ここでは、計算の基本から現場で迷いやすい判断基準まで、具体的な手順を確認していきます。

基本的には「総稼働時間÷故障回数」

MTBF(平均故障間隔)を算出する式は、対象期間の「総稼働時間」を「故障回数」で割るというシンプルなものです。

たとえば、合計で1,000時間動いた機械が、その間に2回故障したのであれば、MTBFは500時間となります。

MTBF=1,000時間÷2回=500時間

式自体は算数レベルの簡単なものですが、いざ計算するとなると、何を稼働時間としてカウントするかが、数値の信頼性を左右します。

どこまでを稼働時間に含めるかの判断基準

MTBF(平均故障間隔)の計算をはじめる前に決めておきたいのが、稼働時間の定義です。

たとえば、機械が停止している夜間の時間や、あらかじめ決まっていた定期点検の時間を、稼働に含めるかどうかで、MTBFの値は大きく変動します。

もし現場ごとにこの基準がバラバラだと、設備同士を比較しても意味がなくなってしまいます。

組織内で「どこからどこまでを稼働とするか」を統一しておくことが、信頼できるデータを作る第一歩といえるでしょう。

実務でよくあるMTBFの計算ミス

現場で頻繁に見受けられるのが、再起動ですぐに復旧するような軽微なトラブルを記録から漏らしてしまうミスです。

再起動すれば直るような軽微な停止をカウント漏れにすると、故障回数が少なくなり、実態よりもMTBFがよい数値に見えてしまいます。

また、稼働時間の測り方が担当者の主観に頼っている場合も、数値にばらつきが出る原因になります。

誰が計算しても同じ結果になるよう、入力のルールを明確にしておくことが大切です。

MTBFと混同しやすい2つの指標

MTBF(平均故障間隔)と似たような場面で使われる言葉に「MTTF」や「MTTR」があります。これらはアルファベット1文字の違いですが、管理上の役割は大きく異なります。

正しく使い分けができていないと、設備の評価や改善の方向性を誤るリスクがあるため、それぞれの定義と実務での活用シーンを詳しく確認していきましょう。

MTBFとMTTFの違い

MTTF(平均故障寿命)は、修理をせずに使い切る製品の寿命を測るために使われる指標です。

電球や電子部品のように、一度故障した際に修理ではなく交換を選択せざるを得ない消耗品的な製品が対象となります。

実務においては、修理可能な設備本体にはMTBFを用い、その内部にある使い切りの部品にはMTTFを適用するといった使い分けが必要です。

どちらも次の故障(停止)に至るまでどれくらいもつかを数値化する点は共通していますが、その後の対応が、修理して再稼働なのか、廃棄して交換なのかという点に明確な線引きがあります。

この違いを理解することで、予備品の在庫管理や交換サイクルの最適化に役立てられます。

MTBFとMTTRの違い

MTBF(平均故障間隔)が壊れにくさをあらわすのに対し、MTTR(平均修復時間)はどれくらい早く直せるかをあらわす指標です。

MTBFが故障と故障の間の時間を指すのに対し、MTTRは故障が発生してから復旧するまでの停止時間の平均を意味しています。

この2つは、現場で取り組むべき作業内容がまったく別物です。

MTBFを延ばすためには、壊れないようにするための事前の点検や部品交換などの予防活動が中心となります。

一方で、MTTRを短くするためには、壊れた後の修理マニュアルの整備や工具の配置、作業員の訓練といった復旧作業の効率化が必要です。

故障を減らしたいのか、それとも止まっている時間を短くしたいのかという目的を混同してしまうと、現場で優先すべき対策を見誤る恐れがあります。

設備の安定稼働を目指す上では、この2つの指標のバランスをどう取るかが重要といえるでしょう。

MTBFと稼働率や可用性の関係

設備の安定性を測る際、MTBF(平均故障間隔)とあわせて検討されるのが稼働率や可用性という指標です。

これらは互いに深く関連していますが、MTBFの数値が良好であればすべての運用が円滑であるとは限りません。

数値の背景にある運用実態を正確に捉えるために、それぞれの指標がもつ役割と相互の関係性について確認しておきましょう。

MTBFは壊れにくさだけを表す指標

MTBF(平均故障間隔)が算出するのは、ある故障から次の故障が発生するまでの時間です。

これは、一度機械を動かしはじめたら、途中で止まることなく何時間連続で稼働し続けられるか、という「持続力」に焦点を当てたデータといえます。

そのため、一度停止した際にどれほどの時間現場が止まったのか、あるいは復旧にどれほどの労力を要したかといった情報は含まれません。

たとえば、朝にスイッチを入れてから1週間一度も止まらずに動き続ける機械があれば、その間のMTBFは優秀な結果となります。しかし、もし一度止まったときに海外から部品を取り寄せる必要があり、復旧に1か月を要するとしたら、年間の稼働実績としては不十分です。

このように、故障が発生しない期間の長さにのみ注目していると、いざ止まった際の影響の大きさを見落とす恐れがあるため注意が必要なのです。

稼働率や可用性は壊れにくさ+直しやすさで決まる

実務で重要視される稼働率や可用性は、故障の間隔だけでなく、復旧に要する時間も含めて判断されます。

設備がどれだけ壊れにくいかという点と、万が一止まった際にどれだけ早く復旧できるかという、ふたつの側面をあわせて考えることで、設備が実際に稼働可能な時間の割合が見えてきます。

たとえば、故障の頻度が多少高くても、現場の修復スキルが高く数分で再稼働できるのであれば、全体の稼働率は大きく下がりません。

反対に、MTBFの数値だけを追っていると、修理体制の不備や予備品の不足といった、復旧プロセスの課題に気づくのが遅れる場合があります。

設備全体の運用状況を正確に把握するためには、故障の間隔と修復時間の双方をセットで確認する視点が欠かせません。

MTBFを活用すべき場面

MTBF(平均故障間隔)は単なる集計データではなく、現場の管理レベルを向上させるための有力な情報源となります。

数値としての管理が定着することで、日々の点検業務や社外への説明において、客観的な裏付けを持った運用が可能になります。

具体的にどのような場面でこの指標が役立つのか、代表的な3つの活用シーンを見ていきましょう。

故障の起き方に傾向があるかを確認したい場合

故障の発生傾向を把握したいとき、MTBFは現状を整理するための有効な手掛かりとなります。

現場で感じている、最近トラブルが増えた気がするといった曖昧な感覚を、過去のデータと比較可能な数値に置き換えることで、故障頻度が実際に変化しているのかを客観的に判断できるためです。

個人の感覚に頼るのではなく、データとして現状を可視化できれば、問題が深刻化する前に適切な対策を検討しやすくなるでしょう。

突発的な故障に振り回されるのではなく、計画的な設備管理を行うための第一歩として活用できます。

点検周期や保全方針を見直す根拠が必要な場合

MTBF(平均故障間隔)は、定期点検の頻度や部品交換のタイミングを検討する際の判断材料として活用できます。

たとえば、数値が安定していれば点検の間隔を延ばして効率化を図り、逆に出現頻度が高まっているようであれば点検回数を増やして未然にトラブルを防ぐといった、データに基づいた判断が可能です。

こうした運用を取り入れることで、特定の担当者の経験則や勘に頼る状態を解消する効果も期待できます。

客観的な指標を介することで、チーム全体が納得感を持って保全活動に取り組めるようになります。

社内や顧客に信頼性を説明する必要がある場合

社内の決裁時や顧客に対して設備の品質を提示する際、MTBF(平均故障間隔)は客観的な裏付けとして機能します。

単に壊れにくいと言葉で伝えるよりも、具体的な数値を提示するほうが、相手に対してより正確な情報を共有できるためです。

とくに高い信頼性が求められるビジネスの現場では、共通の尺度を用いた説明が欠かせません。品質を数値で証明するひとつの指標としてMTBFを用いることで、社内外のコミュニケーションをより円滑に進めることが可能になります。

MTBFだけを見た判断が危険な理由

MTBF(平均故障間隔)は設備の安定性を測る上で便利な指標ですが、その数値だけを鵜呑みにしてしまうと思わぬリスクを招くことがあります。

数字の良し悪しだけに注目していると、現場で起きている本当の課題を見落としてしまいかねません。

なぜMTBF単体での判断が危険なのか、実務で起こりがちな3つの理由を解説します。

実際のトラブル発生状況を見落としやすい

MTBF(平均故障間隔)はあくまで故障の間隔を示すものであり、一度故障した際にどれだけの時間設備が停止したかまでは教えてくれません。

そのため、故障の頻度が低くても、一度止まると大きな損害が出るケースを見落としてしまう可能性があります。

たとえば、年に1回しか故障しない設備があるとしましょう。MTBFの数値だけを見れば非常に優秀ですが、もし一度壊れた際に復旧まで丸1日を要するのであれば、その日の生産計画は完全にストップしてしまいます。

このように、停止時間の長さや現場への影響度を無視して数値だけを評価するのは、運用上のリスクが高いといえるでしょう。

点検や保全の優先順位を誤りやすい

MTBF(平均故障間隔)の低い設備を「改善が必要なもの」高い設備を「安心なもの」と単純に分類してしまうと、本当に対策すべき設備を後回しにしてしまうことがあります。

なぜなら、事業への影響度は、故障の回数だけでなく、復旧にかかる時間との兼ね合いで決まるためです。

たとえば、5分で復旧する軽微な停止が頻発する設備と、ほとんど止まらないが一度止まると半日復旧しない設備を比較してみましょう。

MTBFだけを見ると頻繁に止まる設備ばかりに目がいきがちですが、組織としてより警戒すべきは後者の設備です。

数値だけに頼った判断を続けると、効果の薄い点検に工数を割く一方で、重大なリスクを放置してしまうことになりかねません。

運用改善や環境要因の影響が見えなくなる

MTBF(平均故障間隔)は結果を数値化したものであり、なぜ故障が増えたのか、あるいは現場でどのような使い方の変化があったのかという背景までは示してくれません。

稼働時間の変化や負荷の増大、作業手順の変更といった現場特有の事情を考慮せずに数値だけを追っていると、変化の兆しを見逃す恐れがあります。

夜間運転の増加や作業負荷の変動があっても、MTBFの低下を「たまたま起きた偶然の故障」として片付けてしまうと、本質的な改善のヒントを失うことになります。

数字の裏側にある現場の動きまで注意を払うことが、適切な設備管理には不可欠です。

MTBFを改善につなげる考え方

MTBF(平均故障間隔)の数値を算出すること自体は、ゴールではありません。大切なのは、得られた数値をどのように分析し、実際の設備運用やメンテナンスの質を向上させるかにあります。

ここでは、数値を成果に結びつけるための基本的な考え方を整理します。

MTBFは上げるより使い方を見直すことが重要

MTBF(平均故障間隔)の数値を向上させること自体を目的にしてしまうと、本来不要な部品交換や過剰なメンテナンスを招くことがあります。

重要なのは、現在の数値が自社の運用ルールや生産目標に対して妥当であるかどうかを判断し、改善の方向性を決めることです。

数値を追うことよりも、その数値を判断材料としてどう活用し、現場の負担をどう減らしていくかという視点が、実務における本来の目的といえます。

故障の種類ごとに改善策を切り分けて考える

故障には、導入初期に起こりやすいもの、偶発的に発生するもの、あるいは経年劣化による摩耗が原因のものなど、いくつかの種類があります。

MTBFが悪化した原因がどの種類に該当するかを見極めることで、取るべき対策は大きく変わります。

原因を特定せずに一律の対策を講じるのではなく、故障の性質にあわせて「点検を強化するのか」「部品の仕様を変えるのか」といった切り分けを行うことが、無駄なコストを抑えた効率的な改善につながるのです。

保全・交換・冗長化を目的別に使い分ける

すべての故障をゼロに抑え込むことは、コストや技術的な面からも現実的ではありません。そのため、単に壊さないための点検を増やすだけでなく、万が一壊れてもシステム全体を止めないための工夫を組み合わせる視点が重要です。

たとえば、身近な例でいうと「車のスペアタイヤ」や「2つ持っておく仕事用のペン」のような考え方です。故障すると作業全体が止まってしまうような重要な箇所には、あらかじめ同じ機能をもつ予備機を並列に設置しておく「二重化」という手法があります。

メインの機械が止まっても、すぐにもう一方の予備機が動いて役割を引き継ぐ仕組みがあれば、設備単体のMTBF(故障の間隔)が多少短くても、生産ライン全体が長期間止まってしまう事態は避けられるでしょう。

このように、故障を減らすための点検と、故障の影響を最小限に抑えるためのバックアップ体制を、目的に応じて使い分けることが、安定稼働を実現する上での現実的なアプローチとなります。

MTBFを正しく読み取るために大切なこと

MTBF(平均故障間隔)という指標を正しく扱うためには、単なる計算結果を見るだけでなく、そのデータの根拠をセットで確認する習慣が重要です。

計算の土台となるルールが曖昧だと、数字だけが独り歩きしてしまい、現場の実態に合わない判断を下すことになりかねません。ここでは、数値を正しく評価し、運用の改善につなげるためのポイントを解説します。

MTBFは数値だけ見ても判断できない

MTBF(平均故障間隔)は、それ単体では十分な判断材料にはなりません。算出の根拠となった稼働時間の決め方や、何を故障としてカウントしたかという背景がわからないと、数値の比較に意味がなくなってしまうからです。

たとえば、ある工場では「1分以上の停止」を故障としているのに対し、別の工場では「部品交換を伴う停止のみ」を故障としている場合、出てくるMTBFの数値はまったく別物になります。

数値を評価する際は、必ずその裏側にある集計のルールや他の指標とのバランスを確認し、多角的な視点から現状を捉える姿勢が求められます。

導入時の情報が保全判断の出発点になる

設備が導入された際や、建設時の設計条件に関する情報は、その後のMTBFを読み解くための重要な基準点となります。

そもそもその機械が、どのような環境で、どの程度の負荷に耐えるよう設計されたものかが分からなければ、現在の故障頻度を正しく評価できないためです。

新品の時点での性能や、メーカーが想定していたメンテナンス頻度などの基礎データが整理されていることが、その後の故障が増えたのか減ったのかを正しく判断するためのものさしとなります。

点検や故障の履歴が判断の精度を高める

MTBF(平均故障間隔)という指標が本当に役立つのは、日々の点検や修理の記録が蓄積され、計算で出た数字の理由がはっきりしたときです。

単に数字の上下に一喜一憂するのではなく、「いつ、どの部品が、どんな状況で壊れたか」という記録と照らしあわせることで、具体的な対策が見えてきます。

たとえば、MTBFが急激に悪化した場合、記録がなければ「機械が古くなったからだ」と漠然とした理由で片付けてしまいがちです。

しかし、詳細な履歴を振り返ってみると「実は特定の時間帯に、不慣れな担当者が操作していたときにだけトラブルが起きていた」といった、数字だけでは見えない真実が見つかることも少なくありません。

計算して終わりにするのではなく、日々の変化をメモし、後からその原因を探れる状態を作っておくことが大切です。

この積み重ねがあってはじめて、MTBFは単なる計算結果ではなく、現場のトラブルを未然に防ぎ、無駄な作業を減らすための確かな根拠となります。

まとめ

MTBF(平均故障間隔)は、設備の安定性や壊れにくさを評価するための指標です。

しかし、数値だけに依存するのではなく、修復時間(MTTR)や現場の運用実態と組み合わせて多角的に捉えることが、正しい設備保全の第一歩となります。

データの背景を読み解き、現場の改善に活かすための共通言語として、MTBFを正しく活用していきましょう。

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