複合単価とは、材料費と工賃をまとめた工事単価で、主に公共工事で利用されます。この記事では、複合単価方式と原価公開方式のメリット・デメリットについて解説します。建設業の見積業務で赤字を防ぐための注意点も解説しているので、建設業で見積業務を実施する際に参考にしてください。
複合単価とは
複合単価は、材料費と工賃を含む工事単価で、主に公共工事の積算に用いられます。都道府県ごとの労務費に材料費を加えて算出され、労務費は国土交通省の「標準歩掛」に基づいて計算されます。「公共建築工事標準単価積算基準」は国土交通省のサイトで確認できます。
参考:公共建築工事標準単価積算基準(令和7年改定)|国土交通省
建設業における見積方式の種類と特徴
建設業では、工事内容や発注者の方針に応じて、いくつかの見積方式が採用されます。以下で、詳しく解説します。
複合単価方式
複合単価方式は、労務費や資材費など複数の費用をまとめて評価する見積方式です。例えば、作業にかかる人件費や資材の購入費、機械の使用料や仮設工事に関わる費用などが対象となります。複合単価は、人件費と材料費を合算して求め、人件費は作業量に標準的な作業量(歩掛)と単価を掛けて算出します。
原価公開方式
原価公開方式とは、元請が工事にかかるすべての費用を契約段階から発注者に開示し、第三者の立場から妥当性を判断してもらう見積方式です。工事の原価だけでなく、元請や協力会社への報酬も含めて提示されることから、「コスト+フィー方式」とも呼ばれています。
複合単価方式と材工分離方式の違い
材工分離方式では、「材料費」「労務費」「機械使用料などの直接経費」をそれぞれ分けて計算し、見積書には項目ごとに行を分けて記載します。一方で、複合単価方式はこれらの費用をあらかじめ一体化した単価としてまとめて記載する方式で、費用の内訳が見積書上では分かりにくくなるという違いがあります。
複合単価方式の基本的な計算方法
複合単価方式では、材料費や労務費などを含めた単価(複合単価)を使い、直接工事費を算出します。計算式は、以下の通りです。
- 直接工事費=数量×複合単価
複合単価は、歩掛に加えて、材料単価、労務単価、機械器具費、仮設材費、その他の費用を合算して算出します。
複合単価方式を活用するメリット・デメリット
複合単価方式を活用するメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
メリット
複合単価方式のメリットは、主に3つあります。
- 価格の比較を簡単にできる
- 万が一のトラブルにも備えて、リスク対応費用を見込みやすい
- 一定の精度で積算ができる
複合単価方式では、作業ごとの単価が明確に分かれているため、複数の協力会社から提示された見積もりを比較しやすくなります。そのため、発注先を選びやすくなり、相見積もりの比較が円滑に進みます。
また、工事中に予想外の対応が必要になっても、あらかじめ費用を見込んでおけるため、大きな追加予算が発生しにくい点もメリットです。さらに、労務費さえ正しく算出すれば、仕入れ値の多少の変動の影響を受けにくく、正確な積算が可能です。
デメリット
複合単価方式のデメリットは、主に3つあります。
- 見積もり作成に時間がかかり、詳細な分析が求められる
- 複雑な作業や条件が多い工事には適していない
- 一括評価のため、単価が高めに設定される傾向がある
複合単価方式は、総費用を算出する際に細かな検討や分析が必要で、協力会社がコスト管理に時間を割く必要があります。そのため、手間や費用がかかる場合があります。また、条件が多様な工事では単価の設定が難しく、複雑な案件にはあまり向いていません。
さらに、複数の作業をまとめて評価するため、特に高額な作業項目があると、全体の単価が上がりやすいという特徴があります。
原価公開方式を活用するメリット・デメリット
原価公開方式を活用するメリットとデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
メリット
原価公開方式には、次の2つのメリットがあります。
- プロジェクトにかかる費用の内訳が明確になる
- 請負業者に対して妥当な報酬を支払いやすい
原価公開方式では、材料費や人件費、機械の使用料など、実際のコストを明らかにした上で見積もりが行われるため、発注者は費用の根拠を確認しながら判断できます。これにより、進行中の意思決定にも具体的なデータを活用できるのが特徴です。
また、価格の構成がオープンになることで、公正な取引が促進される点もポイントです。特に価格交渉が必要となる建設業の契約においては、透明性の高さが信頼関係の構築につながり、協力会社側にも適切な賃金が行き渡りやすくなります。
デメリット
原価公開方式のデメリットは、主に2つあります。
- 自社のコスト構造を外部に知られるリスクがある
- 柔軟な価格調整が難しい
原価公開方式では、材料費や人件費といった詳細な費用情報を発注者側に開示する必要があるため、企業の内部情報が外部に漏れる懸念があります。特に、同業他社にコスト構造を把握されることを避けたい企業にとっては、導入のハードルが高いかもしれません。
さらに、あらかじめすべての費用が明示されるため、契約時に価格の調整がしにくく、状況に応じた柔軟な交渉が難しくなるケースもあります。
建設業における見積書の作成方法
建設業で見積書を作成するには、エクセルを使う方法と、建設業向けの専用ソフトを使う方法の2つがあります。以下で、それぞれの方法について解説します。
エクセル
エクセルは、導入コストが低く、操作に慣れている人が多いため手軽に使える見積書作成ツールです。関数やテンプレートを活用すれば、自社に合った見積書も作成できます。一方で、手入力が中心となるためミスが起きやすく、作成が属人化すると非効率になることもあります。複数人での管理にも不向きで、効率や正確さでは専用ソフトに劣ります。
建設業向け見積ソフト
建築見積ソフトは、見積業務の効率化を目的とした建設業向けの専用ツールです。積算データの活用や過去実績の引用、複数人での作業分担が可能で、ミス防止や業務の負担軽減にもつながります。導入には費用と操作習熟が必要ですが、使いやすい設計や手厚いサポートがある製品なら、スムーズに導入できます。
建設業の見積業務で赤字を防ぐための注意点
建設業の見積業務で赤字を防ぐためには、気をつけるべき点があります。以下で、2つの注意点について解説します。
階層構造を意識して内訳を作成する
見積書を作成する際は、内訳に階層を持たせることで内容が整理され、読み手にとって理解しやすくなります。階層とは、作業ごとにカテゴリを分け、その下に具体的な作業項目をまとめる構成のことです。「外構工事」の下に「ブロック積み」「フェンス設置」「舗装工事」などの作業を並べると分かりやすくなります。
関連する作業をまとめて記載することで、全体の流れが把握しやすくなり、ただ項目を並べるよりも見積書に一貫性が生まれます。内容が整理されている見積書は、発注者にとっても納得感があり、信頼性の向上にも役立ちます。
計算ミスを防ぐために丁寧に確認する
見積書を提出する前には、計算ミスがないか必ず確認しましょう。単価や数量の誤りは金額に影響し、信頼を損ねたり損失を招いたりする可能性があります。訂正には手間がかかり、取引先に迷惑をかけることもあります。計算ミスを防ぐには、建築見積ソフトの活用も有効です。正確な見積書の作成には、計算式の確認が欠かせません。
まとめ
複合単価方式は、材料費と工賃をまとめて管理でき、効率的に見積もりを作成できます。原価公開方式は費用の内訳を詳しく開示し、透明性と公平性を高めます。両方式のメリット・デメリットを理解し、状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
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