足場の積算を正確に行うことは、適正なコスト算出、安全性の確保につながります。この記事では、足場の積算方法を計算例と合わせて提示するとともに、役割や重要性、足場の種類などについても解説します。施工管理を行う建設会社の担当者は、参考にしてください。
建設業における足場とは
建設業における足場とはどのようなものか、役割と重要性も含めて解説します。
足場とは
足場とは、作業をする際の仮の作業床とそれを支える仮設物を指す言葉で、作業員が足をつける場所としての役割を担います。建設現場においては、作業する場所に接近するために必要な設備で、新築工事や解体工事など工事の種類に限らず、さまざまな現場で使われています。
足場の役割と重要性
足場の役割は、作業員の安全性の確保です。安定した足場を設置することで、転落や工具の落下といったトラブルを防止できます。作業員が安心感を持って作業できることも、期待できる効果のひとつです。
安全かつ効率的に作業を進められるため、ミスが減り、品質も高まります。また、足場に飛散防止ネットを張れば、ホコリや粉塵の飛散を防げるため、周囲の環境配慮にも役立つでしょう。
足場の積算方法
見積もりや費用を算出する際には、工事費とは別に足場費用も明らかにしなくてはなりません。必要なパイプや板の量が変わるため、外周や面積を正確に把握することが求められます。外周の計算式、足場面積の計算式それぞれについて、解説します。
足場の外周の計算式
足場の外周を求める際は、建物外周に、建物の外壁から足場の中心までの距離分の長さを足さなくてはなりません。足場は、建物の四辺を覆うように設置する必要があります。そのため、足場の外周を計算する場合、建物の横の長さと奥行の長さ、それぞれに0.3~0.5mを足し、2倍します。
- (横の長さ+0.3~0.5m)×2
- (奥行の長さ+0.3~0.5m)×2
数値の合計が外周となります。
足場の外周を計算する際の注意点
足場は、建物の外壁から少々距離を取って設置するため、外周を計算する際は建物の各辺に0.3~0.5mを足します。足場と外壁の距離が近すぎると、作業がしにくくなってしまいます。同様に、あまりに遠すぎても作業ができません。外壁と足場の距離は0.3~0.5mほど取ることが一般的ですが、建物や現場の状況により、距離は変動します。
足場面積の計算式
足場面積は「外周×高さ」で計算します。足場の高さは、建物よりも0.5mほど高く設置しましょう。先ほど提示した足場の外周の計算式と合わせると、足場面積の計算式は以下のとおりです。
- (横の長さ+0.3~0.5m)×2+(奥行の長さ+0.3~0.5m)×2×(建物の高さ+0.5m)
坪数あたりの足場面積と足場料金の相場
足場の価格は、後述する足場の種類や延べ坪面積や階数などによる足場面積の差により、大きく変わります。足場の種類や坪数あたりの足場面積を把握し、足場にどれくらいの費用がかかるかを把握しておきましょう。なお、足場代の一般的な施工単価は700円/m2~1,100円/m2です。以下の表は、単価1m2あたり800円で計算した際の足場料金を示したものです。
坪数 | 足場面積 | 足場料金 |
20坪 | 155~169m2 | 12万4,000~13万5,200円 |
25坪 | 170~184m2 | 13万6,000~14万7,200円 |
30坪 | 185~199m2 | 14万8,000~15万9,200円 |
35坪 | 200~214m2 | 16万~17万1,000円 |
40坪 | 215~229m2 | 17万2,000~18万3,000円 |
45坪 | 230~244m2 | 18万4,000~19万5,000円 |
足場面積の計算例
足場面積の計算例を2つ紹介します。
例1:横の長さ15m・奥行の長さ10m・高さ8mの建物で、足場と建物の距離が0.5mの場合
- (15+0.5)×2+(10+0.5)×2×(8+0.5)=442.0m2
例2:横の長さ10m・奥行の長さ8m・高さ10mの建物で、足場と建物の距離が0.3mの場合
- (10+0.3)×2+(8+0.3)×2×(10+0.5)=390.6m2
足場の数量計算について定めた「公共建築数量積算基準」とは
公共の建築工事の工事費用は「公共建築数量積算基準」を使って算出します。「公共建築数量積算基準」では、足場の数量計算についても定義されています。「公共建築数量積算基準」は、工事の透明性と公平性を維持するために定められたものです。
足場の設置面積や使用する材料の種類など、費用を計算する方法が詳細に決められています。足場については、記載されている部分を一部抜粋します。
- 足場の中心は、作業幅を考慮し、構築物等の外壁面から1.0mの位置を標準とする。
- 一側足場の場合は安全手すりの高さに変えて、構築物等の上部までの高さに1.0mを加算した高さを足場高さとする。
外壁・屋根塗装工事で使用する足場の種類
外壁・屋根塗装工事で使用する足場の種類を解説します。
クサビ(ピケ)足場
現代の建設現場において、もっとも使われている足場です。クサビ足場の単価相場は、600~1,200円/m2です。
クサビ足場では、幅の広い板をはめ込んで設置するため、足場スペースを広く確保でき、安定性が保てます。設置や解体は容易ですが、ハンマーを使用するため、周囲には大きな音が響きます。また、足場の空間が狭かったり形状が複雑だったりする建物には不向きです。
単管足場
鉄パイプを2本使った足場で、古くから活用されています。単管足場の相場は、400~800円/m2です。
鉄パイプのみで構成されているため、狭い場所でも設置しやすく、形を臨機応変に変えられます。ほかの足場と比べてコストが安く済む点も特徴です。しかし、安全性に劣り滑りやすいことから、現在ではあまり使われていません。
単管ブラケット足場
単管足場にブラケットと呼ばれる金具で足場となる板を固定したもので、単価相場は、600~1,000円/m2です。足場が安定するため、安心して作業できるうえ、柔軟性が高いというメリットがあります。ただし、金具が緩むと足場が揺れやすくなるため注意が必要です。また、設置には時間がかかります。
足場面積の積算のポイント
足場面積の積算は、正確性が求められます。ここでは、3つのポイントについて解説します。
現地調査をしっかり行い、外周と高さを正確に把握する
足場の積算では、設計図をもとに建物の外周や高さなどを調査します。工事の内容によっては、正確な数値を把握するために現地調査が必要になる場合があります。足場の積算は工事費用の重要な部分のため、建物の外周と高さは正確に測定しなければなりません。
設計図やCADデータを参考に、建物の寸法を正しく把握しましょう。実際の現場と図面が異なる場合もあるため、特にリフォームや解体工事では現地調査が欠かせません。
拾い出しソフトを活用する
足場の積算を手作業で行うとミスが発生しやすくなるうえ、作業に多くの時間を要します。足場の積算に拾い出しソフト(積算ツール)を導入することで、正確で効率的な積算作業が実現します。
PDF図面やCADデータを取り込むことで、建物の外周や面積などの数値を自動で拾い出してくれます。また、自動計算機能により、人為的なミスを最小限に抑え、迅速かつ正確に見積もりの作成が可能です。拾い出しソフトは、自社の業務内容や規模に適したものを選びましょう。
第三者に確認してもらう
建物は形が複雑であればあるほど計算工程も増えます。ミスも発生しやすくなるため、ダブルチェックを行うことが重要です。特に、外周の測定を1人で行うのであれば、測定後の数量計算だけでも、第三者に依頼しましょう。
足場積算に関するよくある質問
足場積算に関するよくある質問と回答をまとめました。
- 足場を使わずに工事は可能か
原則として、高所作業を伴う工事では、足場の設置が必要です。ただし、昨今は足場を使わない「無足場工法」が注目を集めています。
- 建物の図面がない場合でも、足場の積算は正しく行えるか
図面がない場合も積算は可能です。ただし、精度は下がります。現地調査を行い、正しい外周や高さを計測しましょう。
- 足場単価が施工会社によって異なるのはなぜか
足場単価設定の考え方や、足場の種類、工事の規模や条件、解体の手間、運搬距離、労務費などが異なるためです。
- リフォームと新築工事で足場の積算費用が異なるのはなぜか
リフォームでは、既存の建物の形状や高さに合わせて足場を組む必要があり、新築工事の場合と比べて均一的な足場を組むことが困難です。近隣との距離が狭い場合は特殊対応が必要になることもあり、足場の積算費用は新築工事よりもリフォームの方が高くなる場合があります。
- 足場業者を決めるポイントはなにか
足場業者を決める主なポイントは以下のとおりです。
- 安全対策を徹底しているか
- 適切な保険に加入しているか
- 実績や得意分野、周囲からの評判はどうか
まとめ
足場の積算は、足場の外周に高さを掛けた足場面積から求められます。ダブルチェックや拾い出しソフトの活用、現地調査などを行い、正確に進めましょう。積算結果の共有や現場の進捗管理など、現場の業務全体を効率的に管理するには、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」がおすすめです。
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