住宅用太陽光発電システムの施工・販売を一貫して行うティ・アイ・エスは、大胆な営業方針の転換によって受注件数を拡大中だ。
成長を支えるバックオフィスの業務改革について、詳しく話を聞いた。
営業スタイルの転換で急成長、一貫したサービス提供に強み
福岡市で昨年、設立30周年を迎えたティ・アイ・エスは、FA(ファクトリーオートメーション)事業、エコシステム事業、サービス事業という三本柱で事業を展開している。経営を多角化するため、約20年前に住宅用太陽光発電システムを販売・施工するエコシステム事業を始めた。当初、既存住宅をターゲットに訪問販売を行っていたが、FIT制度の開始前年に業態を転換。工務店などのハウスビルダーが新築住宅を提案する際に、同社の太陽光発電システムを組み込む営業スタイルにシフトした。これによって太陽光発電システムの受注件数が飛躍的に拡大。累計の施工件数は約5000件に上る。
新築住宅の着工件数は全国的に減少しているが、九州北部で事業を営む同社は、1年間に約1000件の新規受注を獲得している。その秘訣について、取締役エコシステム事業部長の平川裕介氏は「太陽光発電システムの提案から、施工、各種申請までの一貫したサービスを提供するにあたって、現場と事務所のコミュニケーションを大切にしています」と話す。
ペーパーレス化と業務効率化、組織を拡大する判断が可能に
住宅用太陽光発電システムの申請では、膨大な書類を管理しなければならない。受注件数の増加に伴って、事務所のキャビネットはファイルで埋め尽くされていった。また、本社のサーバーに社外からアクセスできず、現場のメンバーが不明な点を電話で問い合わせることも多かった。現場のメンバー・総勢20名からの電話対応に追われていたという。
そこで、同社はクラウド型の建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を導入。施工マニュアルなどをアップロードして現場でも確認できるようにした。これによって、電話対応の時間が大幅に削減された。写真の管理、連絡ツールなどもANDPADに一元化したことで、部署間の情報共有や、各種申請書類の作成・管理もスムーズになった。ペーパーレス化もでき、書類を保管するスペースの懸念も払拭できたという。「さらに受注を伸ばすため、ANDPADでの稼働管理も予定しています。ANDPADによるDXに取り組んだことで、新規採用をする経営判断につながりました」と、平川氏は笑顔で展望を語った。
ティ・アイ・エス 会社概要
九州北部エリアを中心として、住宅用太陽光発電システムの販売から施工、各種申請まで一貫して行うのが同社の強みだ。
株式会社ティ・アイ・エス
取締役 エコシステム事業部長
平川 裕介氏
(ソーラージャーナル 2024年 4月30日号 掲載記事の転載)