解体業においても、人材不足により業務効率化が求められている。今回、高い技術力を持ち少数精鋭でプラント解体等の監理と実施工を手掛け、全国をまたに駆けて活躍するヒラキン興産株式会社に、建設 DX による現場管理について取材した。
少数精鋭による解体管理と施工スキルの二刀流
ヒラキン興産は、岡山県に本社を構える総合リサイクル企業だ。各種解体工事に精通しており、特に工場プラントの解体に強みを持つ。施工計画から各種届出書の提出、日々の現場施工とその管理まで、全社員で力を合わせて業務に臨む。管理や事務・コンプライアンス対応の能力の高さに加え、オペレーション技術を楽しみつつも真剣に競う De-1 グランプリでも、トップクラスの技能を示す兵(つわもの)だ。
若い後輩が先輩のオペレーションやスキルを実際に見て、繰り返し能力を伸ばしてきた。コロナ禍で現場入場が制限される中、ANDPAD と出会い、リモートでの工事管理を目的に導入を決定。ANDPAD を通じて、次の時代に合った若い社員を育成し、成長の糧にしていこうとの強い思いがある。特に、少人数でかつ、全国に現場があり出張業務も多いため、管理・実務等すべての面で見える化を実現できるところに魅力を感じたという。

アルコールチェック・勤怠・アスベスト調査など、報告をペーパーレスに。作業効率も上がった。
アルコールチェックやアスベスト報告、 出退勤など日々の報告をペーパーレスに
ANDPAD 導入から 2 年近くが経ちかなりの効率化が果たせたと感じているという。スマホと PC 両方で利用でき、様々な現場情報がリアルタイムに確認できる。完工時の報告も含め、あらゆる業務で計算や手書きの作業が必要なくなった。報告や出退勤はもちろん、毎朝のアルコールチェックも、現場に入る全員の行動や業務スケジュールが瞬時に、スマホ一つで、いつでもどこでも確認できるようになった。写真の管理の面でも効果を感じているという。お客さんに施工写真を提出する際、写真台帳の作成も即座にできる。写真の数は、この 2 年で 4 万枚以上になっている。ANDPAD で撮影するとすぐに全員に共有できるなど、利便性と使いやすさを感じている。
いつでも必要な情報を確認でき、電話の回数が激減
ANDPAD の導入で、電話の回数が圧倒的に減ったという。必要な時に写真や日報の情報、また過去の案件情報を簡単に検索でき、施工計画の作成でも工数や作業員の人数、工期等の考案を効率的に行えるようになり、準備や確認の時間が大きく削減された。協力会社や場合によっては元請も ANDPADに招待し、情報共有している。現場内での情報伝達の不備が抑えられて、作業の誤りや無駄が減り、安全面、意思疎通や管理者としての統率にもとても役立っている。福島県での大規模プラント解体では工期が 1 年 3 カ月ほどに及んだ。広い敷地で、かつ重機が 30 ~ 40 台ほど入るなど関係者も多い複雑な現場だったが、ANDPAD を効果的に使うことにより、迅速な進捗管理・情報共有ができたとともに、社員の成長にもつながったという。

写真撮影から台帳作成まで、大幅に効率化。関係者全員が確認でき、検索もスムーズ。
システム導入の決め手は、使いやすさ
システム導入の際、現場施工の管理のしやすさを重視し、ANDPAD を選定したという。PC だけでなく、スマホで対応できること、サポート体制も柔軟で追加設定など各人が使いやすいように変更できる。
また、ANDPAD に多く写真が届くため、SNS で解体現場のかっこいい写真を投稿するなど広報活動にも活用しているという。
業務の見える化・効率化で、 残業時間や有給取得にも良い変化
社員のスケジュール・稼働管理には、オプション機能である「ANDPAD ボード」を現在活用している。かつてはホワイトボードに記載し、それを撮影し共有していた。社員それぞれ遠隔地で働いていることも多く、最新状況がわからず予定が調整しにくいなど課題があった。
ANDPAD ボードに変えてからは、各自のスマホから予定が確認でき、急な予定の調整などもスムーズに行えている。個々人の予定と仕事の進み具合や期日、残業時間の状況把握などが共有でき、有給休暇も以前と比べて取得しやすくなったという。報告事項が速やかに携帯に入ってくるのも魅力で、突発的な事項にも対応しやすい。安全管理も、写真や作業内容の報告から、現場にいない場合も外部から危険予知や留意事項の周知につなげられる。ミスや無駄が減り、工期短縮にもつながる。
ヒラキン興産では「ANDPAD」の活用は、技術・技能のさらなる向上にもつながっている。技術力を活かし、サーキュラーエコノミーの実現に向け、環境、安全を何より優先して工事に取り組んでいる。
会社概要
会社名:ヒラキン興産株式会社
所在地:岡山県岡山市
代表:代表取締役 仙波泰三
設立:昭和 57 年 10 月
プラント等の解体工事業を営む。金属リサイクルの平林金属㈱やグループ最大拠点の株式会社ヒラキン、リサイクル用産業機器の設計・製作等を担うヒラキンテック株式会社と共に、ヒラキングループの一翼を担う。従業員数 10 名の少数精鋭組織で、各人が解体施工現場のリーダーとして管理・監督全般を担いつつ、重機のオペレーションや各種解体スキルを備えた「二刀流」の強者集団だ。
(本記事は、新解体/建設リサイクル(2025年9 月1日発行)に掲載されたものの転載になります。)