不動産SHOPナカジツ(愛知県岡崎市)は2010年に新築事業へ進出して以来、順調に成長を遂げ、昨年度の年間新築棟数は550棟だった。同社の品質管理に欠かせないのが、「ANDPAD遠隔臨場」だ。ANDPADの「施工管理」機能と連携し、業務効率化や品質向上、移動時間の削減につながる。同社の品質管理課の多田啓人課長に導入の経緯や実際の運用などについて聞いた。
「ANDPAD遠隔臨場」によって現場のチェック件数が倍増し品質向上
不動産SHOPナカジツの創業は1987年。2006年にリフォーム事業を始め、10年からは新築市場にも参入した。本社のある岡崎市を中心に商圏を広げ、愛知・岐阜・静岡のほか、福岡・熊本、千葉・埼玉にも進出。新築住宅は昨年度550棟、大型リフォームは500件弱という実績を挙げている。
同社では現場の自主検査の際、現場監督と品質管理課のスタッフ2人で確認を行うダブルチェック体制をとっている。現場監督とともに検査を担う品質管理課は、多田課長のもと、新築3人、リフォーム2人で構成。現在は1棟につき7回の検査をマストにしており、①基礎の配筋、②アンカーボルト、③金物、④防水紙、⑤胴縁、⑥断熱材、⑦外装など―の施工状況を確認する。
品質管理に見落としがないか管理する重要な仕事だ。「スタッフ全員が愛知県内で勤務しています。この人数で各地の現場を現地で立ち会うのはかなり厳しい。生産性を改善することが必要でした」(多田課長)。

品質管理課 多田啓人課長
そこで現在活用しているのが、「ANDPAD遠隔臨場」だ。多様な現場環境にも対応できるように複数のカメラが選択可能で、ビデオ通話、定点カメラ連携、360度カメラ連携の機能が備わっており、遠隔でも円滑な現場管理やコミュニケーションを推進するプラットフォームとなっている。
同社では現在、ANDPAD遠隔臨場の「ビデオ通話」機能を活用している。施工現場には担当の現場監督が立ち会い、「ANDPAD遠隔臨場」のビデオ通話を用いて品質管理課のスタッフが遠隔で映像を共有しながらチェックを実施する、という仕組みだ。従来のダブルチェック体制を維持しつつ効率化を実現しているという。

「ANDPAD遠隔臨場」の機能の一つビデオ通話機能
当初は、遠隔でも確認しやすい検査から実験的に活用スタート。現場監督の負担が増えないように注意しながら、徐々にビデオ通話による検査の範囲を広げていった。
その成果は明確に数字に表れている。導入前の2021年度には、品質管理課の新築担当は3人体制で年間1676件の検査を実施。対して遠隔臨場活用後の2024年度は、同じ人数で年間3685件の検査を実施できるようになり、以前のほぼ倍に。
「会社や現場にいなくても、移動中の自動車を停めてスマートフォンやタブレットでビデオ通話を起動すれば現場のチェックができるようになり、遠方の現場への移動に費やしていた時間が大きく削減できました」(多田課長)。

オフィスから遠隔で検査を行うことができる
データの一元管理で作業の手間を軽減
不動産SHOPナカジツでは従来から「ANDPAD」を導入しており、現場の関係者が同じ情報をリアルタイムで共有できる体制を構築していた。これが「ANDPAD遠隔臨場」のスムーズな導入につながったという。
「主な協力会社もすでにANDPADのアカウントを持っていたので、ANDPAD遠隔臨場の導入にあたっても新規でアカウント発行する必要がなく、円滑に対応できました。新しいDXツールを増やさずにすむというのは負担が少なくて助かります。機能面でも直感的に操作できる使いやすさがあるので、初めて利用する方もすぐに使いこなせました。通話時の画質も問題なく、書き込み機能など現場に必要なニーズが汲み取られています」(多田課長)。
「ANDPAD」内の図面等の案件情報は、遠隔臨場を利用する際も閲覧できる。ビデオ通話を用いて検査時に撮影した写真や是正指摘の記録、検査内容と是正履歴は「ANDPAD」に保存される。全ての情報を一か所で管理できるというメリットは大きい。
「施工管理アプリと遠隔臨場ツールが別のメーカーのものだと、情報の二重登録が発生してしまいます。ANDPADですべて管理できるのは、本当に楽です」(多田課長)。

現場監督からは「スマホ一つで確認が取れ使いやすい」と好評
生産性と作業効率、施工品質をDXで高めていく
ナカジツでは、2030年までに年商1000億円を目指す。エリアを拡大するとともに、共同住宅、オフィス、店舗、民泊施設なども手掛けて幅広い建築ニーズに対応していく予定だ。さらに現場数が増えていくことが予想されるだけに、品質管理部にかかる期待と責任も大きくなってきている。
「施工はきちんとできて当たり前。ミスをひとつでも見逃してしまうと、お客様にご迷惑がかかるとともに、当社のブランドイメージも大きく損なってしまう。拠点が広がるごとに目が届きにくくなりがちなので、ANDPADによるDXをさらに進めて、生産性と作業効率、そして施工品質を高めていきたい」(多田課長)。
住宅の性能と品質が厳しく問われる時代だ。今後さらなる成長を目指す自社の建物のクオリティを守るため、多田課長は「ANDPAD遠隔臨場」のさらなる活用を見据える。
この会社に聞きました
不動産ショップナカジツ
創業は1987年。2006年にリフォーム事業、2010年に新築事業に参入。愛知県岡崎市に本社を置き、福岡県や千葉県、静岡県、熊本県などに営業エリアを展開。「住まいの総合カンパニー」として、不動産売買仲介、新築住宅、リフォーム・リノベーション、中古再販などをワンストップで手掛けている。
https://nakajitsu.com/