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未成工事受入金

未成工事受入金とは?前受金との違いや消費税・建設業会計での仕訳を解説

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見積・請求・契約
前受金 建設業会計

未成工事受入金とは、建設業特有の工事完了前に受け取る代金です。一般会計における前受金と同じ扱いですが、建設業では計上するタイミングが異なります。この記事では、未成工事受入金の概要や仕訳例、勘定項目、注意点などを解説します。建設業向け会計ツールを導入するメリットや選ぶポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

未成工事受入金とは?基本知識を解説

未成工事受入金とは、工事が完了する前に受け取る工事代金です。たとえば、工事開始の前段階の「手付金」や工事途中の「中間金」などが該当します。建設業の会計は一般の会計と異なる処理をするため、未完了の段階でも代金を支払います。未成工事受入金は代金を一時的に預かると見なされるので、貸借対照表では負債として扱われます。

未成工事受入金と前受金の違い

未成工事受入金は建築業特有の会計処理をするため、一般会計で処理する前受金とは異なります。前受金は、商品やサービスを納品する前に受け取る手付金や内金などです。たとえば、申込料金や予約販売の代金といったものが該当します。前受金の消費税は、受け取った段階では課税されず、売上に計上した時点で課税されます。

消費税の取り扱い方

未成工事受入金の消費税も前受金と同じく、売上に計上したタイミングで「仮受消費税」として課税されます。受け取った場合はそのまま記帳し、売上の振替処理をする際に消費税の処理をします。工事の進捗で収益や費用を認識する「工事進行基準」の場合、状況に応じて仮受消費税の処理が可能です。

未成工事受入金を計上するタイミング

基本的に、未成工事受入金は売上を計上したタイミングで処理しますが、工事の進捗状況によって異なる場合があります。収益認識のための会計基準をもとに、特定の条件を満たす場合に計上します。適切な時点で計上のタイミングを判断するためには、明確な進捗率や収益・費用を測定することが必要です。

未成工事受入金の仕訳例

未成工事受入金は、工事完成基準と工事進行基準で仕訳が異なります。それぞれの仕訳例を解説します。

工事完成基準

工事完成基準とは、工事が完了して引き渡しが終わった時点で計上する方法です。以下、5,000万円の建設工事(頭金:500万円、中間金:1,000万円)の仕訳例です。

【頭金受領時】

借方貸方
現預金:5,000,000円未成工事受入金:5,000,000円

【中間金受領時】

借方貸方
現預金:10,000,000円未成工事受入金:10,000,000円

【工事完成時】

借方貸方
完成工事未収入金:40,000,000円完成工事高:50,000,000円
未成工事受入金 :15,000,000円仮受消費税:5,000,000円

工事進行基準

工事進行基準とは、進捗状況で完成工事高を計上する方法です。工事完了前を含めて、工事の収益総額と工事原価総額の基準日における進捗の見積もりをします。以下、1億円の建設工事(頭金:2,000万円、中間金:2,500万円、決算時の工事進捗度:60%、消費税は税抜処理)の仕訳例です。

【頭金受領時】

借方貸方
現預金:20,000,000円未成工事受入金:20,000,000円

【中間金受領時】

借方貸方
現預金:25,000,000円未成工事受入金:25,000,000円

【決算時】

借方貸方
完成工事未収入金:21,000,000円完成工事高:60,000,000円
未成工事受入金 :45,000,000円仮受消費税:6,000,000円

未成工事受入金に含まれる勘定項目

未成工事受入金は、工事が完成する前に受け取った代金を処理するための負債科目です。建設業会計に特有のもので、一般会計の「前受金」に対応します。

代表的な勘定項目の関係は以下のとおりです。

  • 完成工事高(一般会計の売上高に相当)
  • 完成工事原価(一般会計の売上原価に相当)
  • 未成工事未収入金(売掛金に似た性質を持つ。ただし、より正確に売掛金に対応するのは完成工事未収入金)
  • 未成工事支出金(仕掛品に似た性質を持つ。ただし、より正確に仕掛品に対応するのは未成工事原価)
  • 工事未払金(一般会計の買掛金に相当)
  • 未成工事受入金(一般会計の前受金に相当)

つまり、未成工事受入金は「工事代金を前もって受け取った金額」を記録するもので、工事が完成するまで一時的に負債として処理されます。

未成工事受入金の仕訳の注意点

仕訳の記録方法を誤ったり、計上漏れを起こしたりすると、財務状況の誤認や税務調査での指摘につながります。ここでは、未成工事受入金に関する仕訳上の注意点を解説します。

取引内容を正確に記録する

未成工事受入金は、工事の頭金や中間金など複数回に分けて受け取ることが多いため、受領ごとの仕訳漏れが発生しやすい科目です。入金はされているのに仕訳が起票されていない、あるいは誤って収益に含めてしまうといったケースは典型的なミスです。決算時にまとめて確認するのではなく、都度正確に処理し、契約書や請求書などの証憑に基づいて記録することが重要です。

ケースに応じて会計基準を選択する

未成工事受入金は、工事完成基準でも工事進行基準でも発生します。完成基準はシンプルで扱いやすい一方、利益や損失が完成時まで明確にならないデメリットがあります。進行基準は収益と費用をより適切に対応させられますが、進捗率の算定に客観性が求められます。企業の契約形態やプロジェクト規模に応じて、どちらを採用するかを慎重に判断することが必要です。

建設業向け会計ツールを導入するメリット

未成工事受入金の仕訳は、建設業向けの会計ツールの導入が有効です。ここでは、ツールを導入するメリットを解説します。

現場ごとの会計処理に対応している

建設業向け会計ツールは、現場ごとの会計処理に対応しているため、複数の現場の会計処理を効率化できます。工事台帳機能や現場登録機能を搭載しており、工事名や請負金額などの一元管理が可能です。各現場の原価を自動計算するため、現場ごとの進捗状況や利益も把握しやすくなります。

複雑な勘定科目を処理できる

建設業界の会計業務における複雑な勘定科目は、会計ツールで自動処理ができます。勘定科目が事前に組み込まれているため、項目を入力する手間を減らして、ミスの防止にもつなげられます。会計ツールのなかにはリカバリー機能を搭載しているものもあり、サポート体制を活用できる点もメリットです。

業務効率化ができる

建設業向けの会計ツールは、担当者の負担を減らして業務効率化ができます。テンプレートを活用したり、1回データの入力をしたりするだけで、それ以降の入力の手間がかからなくなります。会計の専門知識なしで扱えるため、業務の属人化も防げて、組織全体で会計業務の効率化につなげることが可能です。

建設業向け会計ツールを選択する際のポイント

建設業向け会計ツールを選ぶ際は、対応できる範囲を明確にしましょう。ここでは、ツールを選択する際のポイントを解説します。

業界特有の勘定科目に対応している

建設業向け会計ツールは、未成工事受入金をはじめとした特殊な勘定科目に対応するものを選びましょう。建設業では一般企業では使わない勘定科目を扱うため、仕訳の複雑化や追加作業などが発生するケースがあります。ツール導入前に「建設業の勘定科目に標準対応」と明記されているか確認する必要があります。

直感的に操作できる

直感的に操作できるツールを導入すると、現場の定着率や業務効率が向上します。機能が充実していても、操作が複雑な場合は業務負担を増やすため避けましょう。操作が簡単で、会計の専門知識がない人でも扱えることが、ツールを選ぶ際のポイントです。振替伝票と同じ形式の画面レイアウトの仕様をはじめとした、わかりやすさを重視することが大切です。

サポート体制が充実している

会計ツールを選ぶ際は、サポート体制も確認しておきましょう。万が一トラブルが起こった際でも、サポート体制が充実していると迅速に問題を解決できます。また、問い合わせ対応のスピードや質も重要なポイントです。専任スタッフによるサポートがあるツールを選ぶと、安心してツールを導入できます。

複雑な仕訳処理を自動化したいなら「ANDPAD請求管理」がおすすめ

「ANDPAD請求管理」は、建設業に特化した請求管理システムです。請求書受領から査定業務、書類の保管までを電子化し、毎月の請求管理業務の負担を解消します。現場ごとに書類を自動で処理ができ、振り分けや郵送作業などの手間や負担がなくなります。

電話・メール・チャットでの受付に対応しており、協力会社からの問い合わせも可能です。導入前だけでなく、導入後も継続的にツールの利用をサポートするため、業務の効率化に貢献できます。

まとめ

未成工事受入金は、建設業特有の工事完了前に受け取る工事代金です。一般会計の処理とは、売上を計上するタイミングなどが異なります。建設業向け会計ツールを活用して正確な金額を計上し、複雑な処理を効率化することが大切です。

クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD(アンドパッド)」は、シェアNo.1サービスです。未成工事受入金をはじめとした、会計処理を効率化する機能が豊富にそろっており、業種を問わず、数多くの企業・ユーザーが利用しています。年間数千を超える導入説明会を実施しており、手厚いサポートも特長です。ぜひ利用をご検討ください。

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