工事積算は、材料費や労務費を正確に算出して工事費用を決定する重要な業務です。積算精度は会社の経営に直結するため、基本的な知識から効率化の方法まで幅広く理解しておく必要があります。この記事では、工事積算の基本概念から具体的な手順、費用項目の算出方法など、詳しく解説します。積算業務効率化の参考にしてください。
工事積算の基本知識を解説
工事積算は、会社の持続的な成長にも影響する業務です。ここでは、その概要を解説します。
工事積算とは?
工事積算とは、工事に必要な費用を予測し、それらを積み上げて工事全体にかかる費用を算出する業務です。設計図や仕様書を読み解き、工事に必要な材料、作業、人材などを拾い出し、その費用を1つひとつ積み上げて総費用を計算します。工事内容によってかかる費用は異なるため、工事ごとに積算を行わなければ、正確な工事費用を把握できません。
積算精度が経営に与える影響
積算の精度は、会社の経営に大きな影響を与える重要な要素です。たとえば材料費や労務費を過少に見積もると、赤字工事につながるリスクが生じます。一方で、積算精度が高ければ、適切な価格設定により顧客からの信頼獲得にもつながり、会社の持続的な成長を支える基盤となります。
工事積算の流れと手順
民間工事と公共工事の契約までの流れの違いや、基本的な積算の手順を解説します。
民間工事と公共工事の違い
民間工事と公共工事では、契約までの流れが異なります。民間工事は設計会社を選定後、設計・積算、見積作成、工事会社との協議・調整を経て発注・契約に至ります。一方で公共工事は資格審査、入札、発注・契約の流れとなり、競争入札が実施されます。公共工事は国土交通省の積算基準に基づき、予定価格を算出します。
図面から見積作成までの作業手順
積算業務は設計図書から見積書完成まで体系的に進めます。
1. 設計図書の読み取りと数量拾い出し
設計図書の読み取りは積算業務の第一歩です。設計図や仕様書を詳細に確認し、工事に必要な材料、作業、人材を拾い出します。数量拾い出しでは、施工に必要な材料や機材の数量を図面からカウントし、工種別や部位別にまとめます。この作業の精度が積算全体の品質を左右するため、丁寧に進めることが重要です。
2. 単価設定と費用計算
数量拾い出し後は、各項目の単価設定と費用計算を行います。建設物価調査会の「建設物価」や経済調査会の「積算資料」などを参考に、適切な単価を設定します。労務費は国土交通省の労務単価表を基に歩掛かりを使用して計算します。材料費は「数量×単価」、労務費は「人件費単価×人数」で算出し、直接経費を加算して直接工事費を求めます。詳しくは後述します。
3. 見積書・内訳書の作成
最終段階では、算出した費用を基に見積書と内訳書を作成します。内訳明細書には内訳書、明細書、仕訳表がツリー構造で記載され、各工事の規格、数量、単価を詳細に明記します。直接工事費に間接工事費を加算し、最終的に一般管理費と利益を上乗せして見積金額を確定します。正確な書類作成により発注者の信頼を得ることができます。
直接工事費と間接工事費については、このあと解説します。
積算の費用項目と算出方法
工事積算は複数の費用項目で構成されます。
直接工事費・間接工事費・諸経費の構成
工事費用は大きく直接工事費と間接工事費に分類されます。直接工事費は材料費、労務費、直接経費の3つから構成され、工事の施工に直接かかる費用です。間接工事費は共通仮設費と現場管理費に分けられ、施工そのものにはかかわらず間接的にかかる費用です。これらを合計した純工事費に一般管理費と利益を加算して見積金額を決定します。
材料費・労務費・機械経費の価格設定
前述のとおり、材料費は建設物価調査会の「建設物価」や経済調査会の「積算資料」を参考に「数量×単価」で算出します。労務費は国土交通省の労務単価表を基に、歩掛かりを用いて「人件費単価×人数」で計算します。機械経費は直接経費の一部として、建設機械の運転費用や賃借料を含めて算出し、工事内容に応じて適切に計上します。
積算業務を効率化する方法
積算業務の効率化は、企業の競争力向上に直結します。ここでは、効率化する方法について解説します。
過去データやノウハウの活用と共有
積算業務の効率化には、過去のデータおよび経験を蓄積・参照しやすくし、社内で共有することが重要です。情報の一元管理により、関係者全員が情報をオンライン共有し、必要なデータにすぐアクセスできる環境を整えます。専用システムの導入により、資料やデータの検索時間を短縮できます。
手作業の自動化とデジタル化
手作業によるデータ入力や反復作業を自動化することで、積算業務の効率化を実現できます。AI-OCRを導入することで見積書の読み込みを自動化し、入力作業を従来の3〜4割から2割程度まで削減することが可能です。資料やデータの管理方法を見直し、統一フォーマットを採用することで、情報アクセスがスムーズになり、作業ミスも防止できます。
積算ソフト・システムの導入メリット
積算ソフト・システムの導入により、材料の選択と数量入力を行うだけで自動計算が実現し、作業時間を大幅に短縮できます。計算ミスによる赤字工事のリスクを削減し、検索機能により目的の材料をスムーズに見つけることが可能です。市販の積算ソフトには公表されている単価データが入力されているため、単価拾い出し時間を削減し、正確な積算を行えます。
積算精度向上のポイント
積算精度を向上するために押さえておきたい2つのポイントを解説します。
施工計画の詳細化と事前準備
正確な積算のためには、施工計画の段階から工事内容をできるだけ具体的に明記しておくことが重要です。材料の種類や工法だけでなく、使用機械、仮設設備、安全管理、環境整備、廃棄物処理まで含めた詳細な施工計画書を作成することで、漏れのない積算が可能になります。積算用の工程表もこの段階で丁寧に整備しておくと、後の業務がスムーズになります。
現場条件の正確な把握
同じ工事内容でも、敷地の地形や気候、周辺環境などの条件によって必要な作業や資材、工期が変わります。現場の条件を正確に把握し、積算に反映させることが重要です。設計図や仕様書から読み取れない情報は、事前に現地確認や関係者へのヒアリングで補いましょう。季節要因による追加費用も忘れず考慮することが、精度向上につながります。
積算担当者に求められるスキル
積算担当者に求められる知識や技能、取得しておくと有利な資格について解説します。
必要な知識と技能
積算には、建築図面や仕様書を正確に読み解く力、建設材料の相場や工法に関する知識、数量計算のスキルなどが必要不可欠です。専用ソフトを使う場面も多いですが、基礎的な計算力と慎重さが求められます。また、多くの関係者との連携が欠かせないため、コミュニケーション能力や調整力も重要です。
積算に関連する資格
積算業務に必須の資格はありません。しかし、建築積算士や建築コスト管理士、建築積算士補のように、取得することで専門性を高められる資格はいくつかあります。社員の資格取得は、積算業務への理解を深めるだけでなく、業務を的確かつ効率的に行うことにも役立つでしょう。
建設業界と積算の最新動向
建設業界では積算業務を含めさまざまなデジタル化が加速し、効率化が推進されています。
公共工事積算基準の最新改定
令和7年度の国土交通省による公共工事積算基準の改定では、働き方改革推進の環境整備が重点項目となりました。熱中症対策や施工体制確保の改定に加え、営繕工事では現場実態に応じた歩掛かり見直しが実施されています。LED照明器具の制御機能や配管工事効率化への対応基準も新設されました。地方発注者協議会を通じ、全国的な統一運用が図られています。
参考:報道発表資料:令和7年度 国土交通省土木工事・業務の積算基準等の改定~公共事業の働き方改革を推進するための環境整備に取り組みます~ – 国土交通省
建設業界のデジタル化動向
建設業界では人手不足対応として、DX導入が急速に進展しています。国土交通省のi-Construction 2.0により2040年度省人化3割を目標とした施工オートメーション化が推進されています。BIM/CIM活用やICT建機導入に加え、協力会社間のクラウド情報共有システムが普及し、現場とバックオフィスのリアルタイム連携が実現しています。
まとめ
工事積算は、建設会社の経営に直結する重要な業務であり、正確な費用算出と効率的な業務プロセスが求められます。積算業務を効率化するには、過去のデータ活用、手作業の自動化、積算ソフトや専用システムの導入が効果的です。
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