QC工程表は、品質管理を目的として用いられる工程表です。この記事では、QC工程表の概要について知りたい人に向けて、QC工程表を作成する主な目的や必要な場面、作成方法、注意点などを解説します。QC工程表の基本知識を知りたい人はぜひ役立ててください。
QC工程表とは
QC工程表は、品質管理のために用いられる工程表の一種で、「QC工程図」とも呼ばれます。正式には「Quality Control Chart」といい、QCは「品質管理」を意味します。QC工程表には、原料入荷から製品出荷までの各工程における管理項目が、順を追って漏れなく記載されています。また、QC工程表は説明資料としても活用されます。
QC工程表と作業標準書の違い
作業標準書は、作業の手順や注意点などを記載したもので、品質そのものについては言及しません。一方で、QC工程表は、品質管理の特性や手法を視覚的に示したもので、作業標準書の作成に必要となる表です。通常、QC工程表をもとに、作業標準書が作成される流れとなります。
QC工程表を作成する主な目的
QC工程表を作成する主な目的は、2つあります。ここでは、2つの目的について解説します。
品質改善に活かす
QC工程表は、品質管理を可視化することで、品質改善に役立ちます。工程ごとに誰がどのように品質を管理しているのかが明確になり、管理がより分かりやすくなります。また、QC工程表を使うことで、各工程のムダや改善点を見つけやすくなる点も、QC工程表のメリットです。
外部に説明する
QC工程表は、適切な品質管理を実施している資料として外部に示せるため、取引先からの信頼につなげられます。ただし、通常はQC工程表を直接外部に見せるのではなく、有効な部分を抜粋して、別途資料を作成しておくのが一般的です。
QC工程表が必要とされる主な場面
QC工程表が必要とされる主な場面は、多岐にわたります。ここでは、4つの場面について解説します。
作業標準書を作成する
QC工程表は、作業標準書を作る際の指針となるものです。作業標準書は、各工程においてQC工程表に記載された管理基準や項目を遵守するように作成する必要があります。具体的には、各作業の手順や注意点を明確に記載し、全ての工程が一貫して実施されるようにすることが求められます。
不具合・不良の原因を調べる
QC工程表は、製造工程で発生した不具合・不良の原因を調べる際にも重要です。製造工程ではさまざまな問題が起きるため、どの工程や作業で基準をクリアできなかったかを確認する必要があります。
QC工程表には各工程のプロセス・管理基準が明記されているため、不具合・不良が発生した工程や作業を特定するために役立ちます。不具合の原因を特定し、改善策を実施することで、再発を防止できます。
設計変更に対応する
設計変更は、工程の見直しや材料の変化などの理由で必要になることがあります。QC工程表は、このような設計変更に対応するために役立ちます。具体的には、設計変更によって影響を受ける工程や新たな注意点を確認できるため、適切な品質管理を維持できます。また、QC工程表に設計変更を残すことで、変更の日時や理由が明確になります。
新人の教育をする
QC工程表は、工程全体の情報が記載されており、新人教育において重要な資料です。QC工程表と関連する資料を合わせて確認することで、全体の流れを把握できます。また、各工程の手順や注意点を確認できるため、効率的な教育を進めるための有効なツールとなります。
さらに、QC工程表の内容を理解することで、新人は前後工程の状況を考慮しながらスムーズに業務を進めることが期待できます。
QC工程表に記載すべき4つのポイント
QC工程表に記載すべきポイントは、明確に定められているわけではなく、製品や作業によってその内容は異なります。ここでは、最低限必要な内容について解説します。
工程
工程は、原材料の受け入れから製品の完成までのプロセスです。工程は主に加工、運搬、停滞、検査の4つに分けられます。それぞれの作業内容には大枠と細部があり、品質保証に必要な項目を適切に分類することが大切です。
工程はフローチャートで表し、各工程名と作業名を記載します。また、情報の記載には、JIS(日本工業規格)で規定されている記号を用いることで、外部に対しても共通の理解が得やすくなります。
管理点
管理点は、管理特性と品質特性を意味します。管理特性は品質に影響を及ぼす条件で、機械の回転数、加熱温度、電流などが対象となります。一方で、品質特性は工程によって生じる品質で、形状、重量、寸法などを記載します。
求められる品質を保つためには、管理特性と品質特性の基準を満たす必要があります。管理点を記載する際には、基準をクリアしているかの確認が大切です。
管理方法
管理方法は、品質を測定・管理する方法で、実際に作業するときに使用する測定器や測定方法、測定頻度などが含まれます。また、管理方法の違いによるばらつきを防ぐため、測定者や責任者を明確に定めることが重要です。さらに、異常発生時の処理や不良品の対処方法についても記載する必要があります。
製品・文書管理の情報
QC工程表には、製品および文書管理に関する情報も明記します。製品情報には、製品のコードや名称、形や大きさ、材質、機能などが含まれます。一方で、文書管理には、文書番号や作成日、改訂日・改定理由、作成者、承認者などの情報が必要です。また、関連文書として、各工程の作業標準書を示し紐づけることも重要です。
QC工程表の作り方
QC工程表を作る際には、6つのステップを踏む必要があります。ここでは、6つのステップについて解説します。
1. 様式を決める
QC工程表を作る際には、まず様式・フォーマットを決める必要があります。様式・フォーマットの決まりは特にないため、自社に適したものを選びましょう。一般的に、エクセルが広く使われています。エクセルは、コストをかけずに作成できるため、多くの企業で活用されています。
2. 工程の情報を集める
様式・フォーマットを決めたら、製品や工程の情報を集めます。各工程における具体的な作業を明確にし、品質に関する項目は漏れなく含めることが重要です。
3. 管理項目を明確にする
工程の情報を集めたら、管理項目を列挙しましょう。各工程の管理における重要な管理点について、保証すべき品質特性や基準を明確にします。QC工程表には、必要項目をすぐに理解できるようにするため、最低限の情報を簡潔に記載することが大切です。
4. 点検項目を明確にする
管理項目を明確にしたら、点検項目を明らかにします。具体的には、利用する機器や点検の頻度など、品質特性の確認方法を定めます。
5. 異常時の対処を明確にする
点検項目を明確にしたら、次に点検で異常を発見した場合の対処方法を明らかにしましょう。異常時の対応手順や責任者を定めることで、迅速かつ適切に対処できるようになります。
6. QC工程表を作成する
収集した情報をもとに、記載漏れがないように注意して、QC工程表を作成しましょう。品質管理部や品質保証部から承認を得たのち、正式な文書として発行します。
QC工程表を作成する際の注意点
QC工程表を作る際の注意点は、主に2つあります。ここでは、2つの注意点を解説します。
随時見直しをする
QC工程表は状況にあわせて、随時見直しながら精度をアップさせるものです。精度を高めることで不具合や改善点に気づき、修正・改善を重ねることで品質が向上します。QC工程表をブラッシュアップすることで、適切な品質管理を継続できます。
簡潔に記載する
QC工程表は、全工程を一覧できるのが大きなメリットです。ただし、冗長な内容や多すぎる枚数では、メリットが薄くなります。そのため、簡潔に記載して工程全体の流れを一目で把握できるようにすることが重要です。また、枚数も無駄に増えないように注意しましょう。
まとめ
QC工程表とは、品質管理を目的として使用される工程表を指します。QC工程表は、品質改善や外部への説明に役立ち、作業標準書や不具合調査、新人教育などに必要です。QC工程表を作る際には、情報を簡潔にまとめ、定期的に見直すことが重要です。
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