株式会社ユウマペイントのご紹介
2008年創業の塗装会社である株式会社ユウマペイントは、受注の9割ほどが住宅向けの外壁塗装工事で、残りの1割は法人の物流倉庫や工場の塗装、損害保険に関わる補修工事などを手がけている。主な営業エリアは千葉県北西部、茨城県と埼玉県の南部、東京都の東部などで、施工件数は年間約700件ほど実施している。21年4月に船橋店、23年4月に市川店を新たに開設し、これからも店舗数は順次増やしていく方針を打ち出している。
同社には、現場監督が所属し施工管理などを行う工事部(生産管理課・品質管理課)、顧客との接点となる営業部、集客と広報を兼ねる販売企画部、事務作業に携わる総務部がある。約30名のメンバーのうち、、自社職人は大工と塗装で4人、また協力会社を70社ほど抱えている。そんな同社は、写真管理と現場とのコミュニケーションに課題があった。ANDPADを導入した経緯と成果について、市川店店長の眞田裕幸様、工事部品質管理課課長の前田治様、販売企画部課長代理の戸塚朝美様に聞いた。
写真管理で「容量不足」「区別がつかない」などの問題が発生
同社の仕事は顧客の問い合わせから始まる。問い合わせがあると営業担当者が現場調査へ行き、写真を約50枚ほど撮影する。その後、見積もりを取って契約に至ると工事の指示書を作る。実際に工事が始まると、工事部の工事担当者や協力会社などが外壁塗装工事だけで約100枚、屋根工事やコーキング工事などの付随工事があればプラス約100枚ほど撮影する。
また施工から3カ月後、1年後、2年後、3年後、他に製品保証が切れるタイミングなどで定期点検に入る。1件当たり平均6回ほどで、こちらは営業担当者も工事担当者も携わり、1回当たり20~30枚ほど撮影する。そのため、現場調査から施工完了、その後の定期点検までを含めると、撮影枚数が1件当たり300枚を超えるケースも多い。
ANDPAD導入以前、それらの写真は自社サーバーに保管していた。決算期ごとに管理していたため、例えば創業10年目なら「10期」というフォルダがあり、その中に50音順のサブフォルダがある。その中に、営業担当者が問い合わせ段階で「顧客名・住所」の案件フォルダを作り、さらにその中に「現場調査」「施工中」「定期点検」など工程ごとに区切ったフォルダも作っておく。その後、営業担当者や工事担任者がデジタルカメラで撮影し、写真データを本社のパソコンで各自フォルダに振り分けていた。
だが枚数が多いため、サーバーの容量不足問題が発生していた。サーバーに入らなくなると古い画像から消さざるを得ず、その作業を総務部などの内勤スタッフが担当していた。だが、中には「今後ホームページに施工事例として写真を掲載するからこのフォルダは消さない」といった、各担当者にしか判断がつかないケースがあり、それを都度確認しながら削除するなど余分な手間がかかっていた。
また、社内で「顧客名・住所」の案件フォルダ名のルール化もされていなかったため、例えば営業担当者が「佐藤様・青葉台」など、名字だけで入力するケースもあった。その場合、後で内勤スタッフが写真を整理する際、「佐藤様・青葉台の案件が複数件あるけど写真を見ても区別がつかない」(眞田様)といった課題も抱えていた。
定期点検の準備と対応の時間が短くなり、業務効率化につながった
ANDPAD導入後は、画像データがクラウド保存されサーバーの容量不足問題は解決した。写真の保存方法もルール化して、顧客の氏名や住所と紐づけられるようになったため、フォルダを手探りで検索する手間もなくなった。
定期点検については、点検時の写真と見比べて、製品保証の範囲内の無償工事なのか、顧客の過失による有償工事なのかの判断が必要となる。ANDPAD導入以前は、現場で有償・無償の答えを出せなければ、撮影したデータを社内にいったん持ち帰り、点検時の写真と比較して判断するという手間があった。その際、顧客との次の打ち合わせにも数日間待ってもらうこともあり、タイムロスが発生し、対応までのスパンが長くなるケースもあった。
ANDPAD導入後は、点検時に見つかった不具合の写真、その後の補修状況の写真なども、すべて同じ案件フォルダで一括管理できるため、次回の点検時はタブレット一つで過去のデータと簡単に比較できるため、「有償・無償の判断が素早くできるようになった」(戸塚様)という。それにより対応スピードがアップした。
その分、定期点検の準備も効率化された。担当者が点検に行く際には、過去にどんな工事をしているか把握しておく必要がある。そのため、ANDPAD導入以前は、内勤スタッフが顧客の過去の工事データを個別に用意していた。それが現在は、写真に加えて製品保証期間が書かれた指示書などの書類も、ANDPADで一元管理しているため、それを基に担当者がすぐ点検にとりかかれるようになった。
同社は損害保険会社の指定工務店として、災害などによる住宅破損の現場調査をして、写真撮影などをおこなっている。その際に、鑑定人から「保険会社に出す報告書を作る必要があるため現場写真のデータが欲しい」と依頼されることがある。ANDPAD導入以前は、会社にいったん写真データを持ち帰り、表計算ソフトで写真台帳を作り、後日鑑定人に渡していた。それが現在は、ANDPAD上でデータを確認しながらPDF化して、現場でデータを直接鑑定人に渡せるようになり、業務効率化につながっている。
社員や協力会社とのコミュニケーションが改善され、顧客満足度もアップ
ANDPAD導入以前、同社ではいろいろな施工管理ソフトを試してみたが、十分な機能が備わっておらず、うまく使いこなせなかった。また社員や協力会社との指示書や施工状況のやりとりはメッセンジャーアプリを使っていたが、見落としなども生じていた。
工程表は表計算ソフトで作成し、パソコン上のフォルダにすべて入れていたが、他の社内メンバーが見たいという場合、「工程表の作成者がパソコンの共有フォルダに入れ忘れていると、その人しかデータを持っていない状態になり、他の人が確認できないといった問題があった」(前田様)。
こうした情報共有の課題もANDPAD導入で一気に解決した。ANDPADで工程表を作っておけば、招待されたユーザーなら誰でも閲覧できるため、情報共有が簡単になったのだ。また表計算ソフトよりも工程表が簡単かつ素早く作れるようになり、従来は30分以上かかっていた作業時間が、ANDPADで15分ほどまで短縮できた。
社員や協力会社とのコミュニケーションも、ANDPADのチャット機能により改善された。チャットは材料の納品、足場の設置など、おもに施工に関する現場とのやりとりで使う。メッセンジャーアプリだと大量のメッセージが流れてしまうため、過去にどんなやりとりをしたか、さかのぼるのが大変だった。ANDPAD導入後は、チャットの確認機能などで、必要な人だけにメッセージが届くようになり、メッセンジャーアプリは一切使わなくなった。
さらに顧客のクレーム対応のスピードもアップした。例えば、顧客から「『たなかまさお』(仮名)という職人が作業しに来るはずなのに来ない」という問い合わせがあった場合、ANDPAD導入以前はメッセンジャーアプリの名前だけでは、どの職人に連絡すればいいのか分かりづらかった。なぜなら職人の数が多い上に、ニックネームで登録されているケースもあり、その人が「たなかまさお」本人かどうか分からなかったからだ。
その場合、電話を受け付けた担当者が、周りの社員に聞いたり、それでも分からない時は、前田様や眞田様に確認を取り、2人の手が空いたタイミングで折り返してもらう必要があったため、当日中に対応できないこともあった。ANDPAD導入後は、案件ごとに担当職人がすぐ分かるため、本人に直接状況確認が取れるようになった。それにより顧客対応のスピードが格段に上がった。その積み重ねで類似のトラブルはほぼ解消され、顧客満足度の向上につながっている。
株式会社ユウマペイントは、「ちゃんとした技術集団」を強くイメージした地元密着の塗装会社として設立された。「私たちに関わる全ての人達に幸せを提供できる企業を目指します」という経営理念の下、建物を「守る」ことに強いこだわりを持ち続けている。ANDPAD導入により、顧客や取引先への対応をよりきめ細かにして、安心で安全な暮らしを守り続けていく。