株式会社彩Finishのご紹介
2003年10月創業、07年2月に法人化した株式会社彩Finish(大阪府大阪市)は、建築塗装、防水工事をメインに、打ちっ放しコンクリートの改修、雨漏り修理、特殊なすべり止めの施工などを手掛けている。営業エリアは大阪市を中心にした近畿一円で、対象物件は戸建て住宅、マンション、大型のビルや工場まで幅広い。
施工件数は大型案件で月3~4件、その他の細かい案件も合わせると月計10~15件。最近は戸建て住宅が減り、大型案件がメインとなっている。他業種から戸建て塗装への参入が相次ぎBtoCビジネスの競合が激しくなる中、少しでも販促費用を抑えるためBtoBビジネスに重きを置く経営戦略へ転換している。
今回取材した代表取締役の大山 哲央様は、高校卒業後、18歳で電気卸売問屋に就職。その後、塗装会社の友人から紹介されてアルバイトとして塗装職人を始めたという経歴の持ち主だ。最初から塗装職人を目指したわけではなかったが、9年間働いて塗装の腕に自信がつき、30歳で独立を決意した。2023年で創業20周年の節目を迎える。
そんな業界を熟知する大山様が、なぜANDPADを導入するに至ったのか。写真管理や施工管理における課題を克服し、どんな業務効率化を果たしたのか、お話を伺った。
社長1人で写真管理をしていたことで対応が後手に回ることも
塗装工事には、足場組み、高圧洗浄工事、シーリング工事、外壁塗装工事、防水工事などいくつかの工程がある。この間、同社の専属職人や協力会社がコミュニケーションを取りながら工事を進めていく。社員2名の他に、専属の職人6名と、足場や防水などの協力会社10社ほどで仕事を進める。
工期は大きな現場でおおむね3~4カ月だ。工程ごとに撮影する写真枚数は、1つの現場で戸建てなら100枚程度、大きな現場なら300~400枚撮影する。各工程の中で写り方がいい写真を厳選し、保存枚数を3~4割、数十枚まで絞っていく。撮り忘れをなくすため、「とにかくたくさん撮影してほしいと、職人さんや協力会社には伝えている」と大山様は話す。
創業当初はインスタントカメラで撮影していたため、カメラを買ったり現像したりするコストがかかっていた。また1台当たりの撮影可能な枚数が24枚、36枚などと限られていた。その写真は元請けに報告用として提出していたため、提出後は手元に残らない。撮り忘れがあると再撮影するのも難しく、さかのぼって状況を把握しにくい状態にあったため、写真管理で頭を抱えていた。その後、デジタルカメラの普及で枚数制限や現像、保存の問題は解消されたが、今度はSDカードでデータ管理するようになったことで、職人が現場から戻って大山様がカードを受け取り、パソコン上でフォルダ整理して工程写真帳として残したり、バックアップとして外付けハードディスクに写真データを移す作業が新たに発生した。写真の絞り込み作業も以前は大山様が1人でこなし、1現場当たり早くて15分、場合によっては1時間ほどかかる時もあった。
またデジタル化しても、撮り忘れがゼロになることはなかった。撮り忘れがあったら、大山様が「この先はどうなっている?」などと職人に電話で都度問い合わせていたが、なかなか電話がつながらず対応が後手に回るケースも多かった。メッセンジャーアプリでのリアルタイム管理も模索したが、枚数が多く案件ごとに整理されないため、さかのぼって検索するのに限界を感じて断念した。
写真の撮り忘れがなくなり、顧客満足度の向上につながった
少しでもこうした手間を減らすため、ある施工管理ソフトを導入してみたものの使いづらく、別のソフトを探していた。そんな矢先、得意先の不動産会社がANDPADを導入するという話を聞き、「うちでも導入すれば施工管理にちょうどいいし、得意先からの仕事も増えるかもしれない」と感じた大山様は、渡りに船で早速ANDPADを取り入れた。導入当初は、新しいシステムに抵抗を示す職人も多く、なかなか利用が進まない面もあった。そこで、大山様がリーダーシップを発揮し、ANDPADでの作業に切り替えるよう促したことで、一気に利用が浸透し、今ではみんな普通に使えるようになった。
ANDPADの導入後、すぐに業務効率化の面で変化が出てきた。まず1現場当たり15分から1時間を要していた写真管理が、ANDPADなら1日5~10分でできるため、大幅な時間削減が可能になった。また写真をリアルタイムで把握できるようになったため、撮り忘れがあればすぐにチャットで確認できるため、撮り忘れがなくなり、電話で都度確認する手間も省けた。
写真管理が簡単になったことで、以前は大山様が1人でこなしていたフォルダ整理やデータ移行を、今は事務員でもできるようになった。大山様が最初にANDPAD上で、案件ごとに「足場組み」「高圧洗浄工事」などの施工別フォルダを作成しておくだけで、現場が終わったら写真を事務員が順次整理できる体制になり、顧客からの問い合わせがあってもすぐに検索ができ、素早い対応が可能になった。
そうしたことが顧客満足度の向上にもつながっている。写真の撮り忘れがあると、元請けから「この箇所は撮っていないのか?」というクレームにつながることもある。ANDPADならリアルタイムで写真を確認できるため、「この先はどうなっている?もしなければ撮影してほしい」と大山様が即座に指示を出すことで撮り忘れがなくなり、クレームの発生がほぼなくなった。
コミュニケーションの改善で要件の伝え忘れがなくなり、施工品質も向上
紙資料を電子化したことで、紙の使用量とやりとりにかかる時間が減ったのも大きな成果だった。塗料の色、量など細かい数字を示した「工事仕様説明書」を電子化してペーパーレス化。他にも「この面は塗らない」「この面は施工しにくい」といった注意点を、赤字で書き込んだ図面を、以前は紙で印刷して手渡していた。だが、職人がその図面を紛失してしまうこともあった。その場合、また印刷して取りに来てもらう必要があるが、往復で2時間かかるケースもあった。今は図面をPDFで電子化し、ANDPADにアップしておくことで紛失がなくなり、図面を探したり、受け取りのための往復時間がなくなった。
またANDPAD導入前は、図面と一緒に現場の地図も印刷して渡していたが、今はANDPAD上の案件情報を確認すれば、スマホで現場の地図情報も閲覧できるため、現場へ行くのがスムーズになった。
さらに、コミュニケーションの改善が施工品質の向上にもつながっている。職人と電話でやりとりしていた時代は、お互いに要件を伝え忘れることもあった。ANDPADのチャット機能を使えば、ゆっくりまとめて考えてから相手に送信できるため、要件を正確に伝えられる上に、やりとりの履歴が残るため、後から内容の振り返りがしやすい。さらに、写真付きで指示を伝えることが可能なため「あそこが塗りにくい」「ここの塗装が難しい」と口頭で伝えるよりも、具体的な指示を伝えやすくなり、施工状況も大幅に把握しやすくなった。
実際に現場へ行ってみないと、図面だけでは施工環境が分からない。例えば、屋根の塗装工事で「今日は霜が下りているが、施工しても大丈夫か?」といった連絡が入ることがある。その際は、送風機(ブロワー)で霜を飛ばして施工をおこなう。そうした作業は見積もり段階では予測できないため、とにかく気になることがあれば写真やチャットを送ってもらうように、全職人へ伝えている。「ANDPADのおかげでコミュニケーションの早さと正確性が上がり、伝え忘れがなくなったことで、施工品質の向上につながった」と大山様は評する。
彩Finish様は、「正直な技術と施工を提供し、心が通う真のサービスを目指す」ことを経営理念として掲げている。その実現のため、ANDPADの活用でさらなる施工品質の向上を追求していく。