株式会社岳塗装のご紹介
2004年創業の株式会社岳塗装(静岡県浜松市)は、外壁・屋根塗装工事、防水工事、リフォーム工事、雨とい・板金工事などを手掛けている。営業エリアは浜松市内一円、主な顧客は一般個人で、対象物件は既存の戸建てやアパートなどの住宅、倉庫など。施工件数は年間100件ほどだ。
代表取締役の辻村岳様は、地元の塗装会社に勤める友人の誘いで、塗装業界に飛び込んだ。そこで10年ほど経験を積む中で、「いつかは自分で事業を立ち上げたい」という思いを募らせて独立。最初は1人で塗料関係の大企業の下請から始めた。アパートやマンション、工場、大型の公共事業までBtoBで幅広く手掛けていたが、やがてBtoCに転換した。その理由について、辻村様は「仕様が決まっているBtoBと違い、BtoCならお客様の要望を直接聞いて、自分たちの手でそれを叶えられるから」と話す。
案件が増えるにつれて仕事をする仲間も増えていった。今では塗装職人8名、営業・経理1名、事務1名の計10名の社員と、板金工事、足場組み、シーリングなど塗装以外の専門工事の協力会社が12社の施工体制となった。だが業務拡大の裏で、写真管理や施工管理、コミュニケーションなどで課題が浮き彫りになってきた。そんな中、ANDPAD導入に至ったのはなぜか。その経緯と成果について、辻村様にお話を伺った。
「その日の写真はその日のうちに」を習慣づけてトラブル回避
写真については、顧客からの問い合わせが来たら辻村様が現地調査し、1棟当たり100枚ほど撮影する。見積もり提出後、契約に至ると、現調の写真をもとに注意事項などを記した指示書を作り、職人に見てもらう。現場が始まると施工経過を撮影し、作業日のうちにすべて整理する。現場によるが、施工期間は1棟当たり2~3週間ほど。その間、板金、足場、塗装などで計100枚ほど撮影する。つまり、写真総数は現地調査から施工完了までで計200枚以上にのぼる。この流れはANDPAD導入前から変わらない。
創業当初は、朝礼で職人にデジタルカメラを貸し出して撮影してもらい、その日のうちにカメラを返却。SDカードの画像データを、辻村様が自分のパソコンに保存していた。だが、それだとカメラの受け渡しやフォルダ整理に時間がかかる。そのため、SNSの発達に伴いメッセンジャーアプリで案件ごとにグループチャットを作り、写真をやりとりするようになったが、きちんと整理できず管理が難しかった。そこで別の写真管理ソフトを導入してみたものの、やはり使いづらく、顧客管理や施工管理も含めてすべてを1つでできるソフトを探していた。そんな折、知り合いの塗装会社からANDPADを紹介され、使い勝手が良さそうだと判断して導入を決めた。
「写真は多ければ多いほどいい」というのが、創業時からのポリシーだった。特に、施工途中に担当の職人が、雨どいの割れなど予期せぬ不具合を発見した場合、すぐに写真を辻村様に送って報告するようにしているが、その不具合がこちらの過失なのか、現調時点でもともとあったものか、写真さえあればすぐに証明できてトラブル回避になるからだ。昔は現場で不具合を発見しても、情報共有のタイミングが翌日の朝礼時になっていた。
だがANDPAD導入後は、各職人が不具合に気づいたら、写真をANDPADに当日すぐアップするよう習慣づけたことで、報告を翌日に持ち越すことなくリアルタイムでの素早い対応が可能になった。また写真が案件ごとにきちんと整理されるため、過去の分まで容易に検索できる。さらに施工日に写真をアップするルールにしたことで、撮り忘れも解消。以前は撮り忘れが発生したら、電話で都度確認する手間が発生していたが、それが無くなった。
工事の全体像を把握しやすくなり、作業日程から逆算した素早い人員手配が可能に
施工管理については、昔は表計算ソフトで工程表を作成していた。当時課題だったのが、案件フォルダごとに工程表のファイルが保管されており、パソコン上で現在請け負っているすべての工程を一気に見渡せないことだった。ANDPADの導入によって、工程一覧が自動作成されるようになり、全体像を把握しやすくなった。
他の工程を把握しておく必要があるのは、職人の手配に関わるからだ。現在、辻村様と事務担当の2人で手配しているが、ANDPADによって全体像を容易に把握できるようになったことで、「月曜日に足場組みだから、この職人さんならこの日に手配できる」といった、作業日程を逆算した素早い人員手配が可能になった。
また、自社の職人は「この現場が大変そうだから自分も手伝いに行こう」といった具合に、常に工事全体を考えながら動いている。あらかじめ工程を一覧化して印刷しておけば、それで把握ができるが、表計算ソフトだと一覧化する手間がかかる。現在はANDPADの横断工程表で、関係者全員がいつでもどこでも全体像を把握できるようになり、意見も出しやすくなった。
自社職人や協力会社が少ないうちは、全体像を見なくても、1件ずつ記憶をたどって思い返すだけで現場は回せていた。だが、事業拡大に伴って仕事に関わる人数が増えてくるにつれ、全体像の把握漏れで人員の手配ミスなどが起こり、現場を回せなくなるというトラブルが生じる懸念が出てきた。それもANDPAD導入の要因の1つだった。
現場の場所の共有も、ANDPAD導入以前は手間がかかっていた。施主の名前と住所、現場の写真、工程表などをFAXやメッセンジャーアプリなどで送っていたからだ。「地図をFAXしてほしいという人がいると、インターネットで広域地図と拡大地図の2パターンを印刷して送っていましたが、地図を探す手間も通信費もかかって大変でした」と辻村様は振り返る。今は現場が決まると、ANDPADに招待すれば写真も工程表も地図もすべて簡単に確認できる。そのため、地図を印刷して共有する手間が一切なくなった。
必要な人だけに必要な情報を届けられ、コミュニケーションが改善
関係者間のコミュニケーションの改善にもANDPADは寄与している。メッセンジャーアプリや写真管理ソフトなどと違い、自社職人だけでなく、外部の協力会社にも案件ごとに選んで招待できるため、必要な人だけに必要な情報をリアルタイムで届けられるからだ。
例えば「ここの箇所の施工に気を付けて」といった注意点について、ANDPADなら写真付きで説明できる。「メッセンジャーアプリだと、すべてチャットをさかのぼって探さなければならなかった。今はANDPADのチャット機能で、案件ごとに情報がまとまり、必要な人に見てほしい情報をピンポイントで送れるのが大きなメリットです。また、案件に関わっていない外部の協力会社は、余分な情報を見なくて済みます。」と辻村様は話す。
顧客対応も効率化された。例えば、戸建て住宅の外壁塗装の見積もりをする際、和風か洋風か、下地がサイディングかモルタルかといったことで、仕様や金額が異なってくる。以前はパソコンのフォルダの案件名から、建築様式や下地材まで探し出すのが難しかった。ANDPADなら、写真を見ながら過去の案件データを容易に検索できるため、見積もり段階で工法を考える時間の短縮につながっている。
また、顧客への完了報告もしやすくなった。以前からのサービスとして、施工が完了したら、洗浄や塗装などの作業風景を7~8分の動画にまとめて渡している。それを以前はSDカードで管理していたが、そのデータもANDPADにすべて入れて管理しやすくなった。
動画撮影の必要がないような小さな現場は、簡単な作業報告書を作って渡している。以前は辻村様が1人で表計算ソフトを使って作業報告書を作っていたが、工事件数が増えてきたため、その作業を回せなくなってきた。ANDPAD導入後は、データ共有が容易になり、事務担当と2人で作業できるようになったため、辻村様の負担が大きく減った。小さな案件でも、報告書の作成に表計算ソフトだと1件当たり30分ほど要していたが、ANDPADなら数分でできるようになり、作業時間が大幅に削減された。
地元密着の塗装会社として施工の「丁寧さ」「情熱」「技術」「出来栄え」にとことんこだわっている岳塗装様。ANDPAD導入で、各担当者が自身の担当現場の進捗を都度確認しながら、職人配置の相談や顧客への連絡がしっかり行える風通しの良い社内環境を整えている。現場管理のレベルアップを図り、施工品質と顧客満足度のさらなる向上を追求し、“塗り替えのプロ”としての矜持を示している。