豊開発株式会社のご紹介
大阪府大阪市に本社を置く豊開発株式会社は、建築物や土木構造物の建設に欠かすことのできない基礎工事を手がけている会社である。特に得意としているのが、地盤を補強する杭工事や、地下工事を進めるための仮設物設置・撤去に関わる山留工事だ。同社は、この分野において、計画立案から構造計算、図面作成、施工管理まで一貫して対応できる稀有な専門工事会社として、元請け企業から厚い信頼を獲得している。また、多くの協力会社と長年信頼関係を築いていることも同社の強みだ。工事内容や現場の状況に合わせて最適な会社とタッグを組み、多様なニーズに対応している。
同社の得意先は、関西に拠点を置く大手ゼネコンから鉄道関連の工事を手がける専門企業まで多岐にわたる。現場もビルやマンション、商業施設、公共施設、鉄道の駅舎、ダム、高速道路のインタ―チェンジまで多様で、対応エリアも関西から北陸、中国地方までと幅広い。
今回は、豊開発株式会社 代表取締役 清水勇輝様にインタビューを実施。ANDPAD導入のきっかけや導入後の変化から、清水様が取り組んでいる土木業界の活性化に向けた取り組みまで幅広くお話を伺った。
業務の属人化、紙での情報管理が課題に
清水様は、防犯セキュリティ事業を展開する企業にて、営業や経営企画、広報、M&Aなど幅広い経験を積んだ後、家業を継ぐために同社に2018年4月に入社した。初めて土木業界に飛び込んだ清水様は、「これまでとのギャップが大きく正直驚いた」と当時を振り返る。
「私が入社した当時は、すべての連絡が電話かメールで行われていました。社員の出退勤報告も電話で受けており、事務員がいちいちメモを取って社内に報告しているような状態でした。安全衛生会議などの資料も全部紙で回覧しており、誰が資料を持っているか分からない事態も起きていました。一番困ったのは、さまざまな情報が担当者レベルで止まっており、社内で共有できていなかったことです。工程変更があっても、工程表に手書きで修正が加えられているだけで状況が掴めませんでした。社員の『記憶』や『勘・経験・度胸』に頼った仕事をしていると、その社員が突発的なトラブルで出社できない時に業務がストップし、会社に損失が出ます。今後若手の育成に力を入れていくためにも、業務が属人化した状態から脱却しなければならないと考えました。」
工事の進捗状況や経営に直結する数値を把握するためにも、社内での情報共有が必須だと考えた清水様は、チャットツールの導入を検討。まずは、ビジネスチャットの利用をスタートした。プライベートでの利用率が高いメッセンジャーアプリに近いツールだったため、導入ハードルは低く、社員の方々もスムーズに利用ができたという。ただ「工程表の共有や施工記録のデータ保存まで対応できないのがネックだった」と清水様は語る。
「チャットだけではなく、案件情報を一元管理できるツールに変更したいと考え、再び検討を開始しました。当社には施工管理担当が10名おり、最大9〜10現場で工事が進行しています。複数のアプリを比較しましたが、全案件の工程や進捗状況を横断的に確認できるツールは、ANDPADしかありませんでした。案件ごとにチャットグループが作成されて、資料や写真が連動して保存できる点にも魅力を感じました。」
チャット機能に絞って利用を開始、若手社員がANDPADの運用推進に貢献
現在、同社で最も利用されている機能はANDPADチャットだという。ビジネスチャットからANDPADへの切り替えにあたり、ベテラン社員がスムーズに移行できるようにと、清水様がまずチャット機能に絞って利用をスタートしたからだ。
「ANDPAD導入を決めた当時は、50代を超えたベテラン社員が多く、若手がほとんどいない状況でした。一気にANDPADへの切り替えを行うと全員はついてこれないと考え、まずは無理なくスタートできるようにチャットだけに絞って利用をスタートしました。」
また、ANDPADの利用浸透にあたっては、若手社員が大きな役割を果たしてくれたと清水様は語る。
「当社では将来を見据えて3〜4年前から若手の採用を強化しており、20代・30代の社員も増えてきています。ANDPAD導入にあたっては、若手社員が説明資料を作ってベテラン社員に説明をしたり、質問に一つひとつ丁寧に応えてくれたりと、積極的にサポートしてくれて非常に助かっています。ANDPADに関する質問や相談を通じて、若手社員とベテラン社員の間のコミュニケーションが活性化したことは予想していなかった嬉しい成果です。」
現在は、バックオフィスで現場を支える若手社員が、ANDPADに案件を作成し、担当者をアサインして運用をサポートしている。出退勤報告のフォーマットも整えたことで報告が簡単にできるようになり、チャットのやりとりも活発になっているという。
最近では、ANDPAD運用の第二段階として、ANDPADでの工程表作成や更新、資料共有もスタート。将来的には電子黒板の運用、協力会社への展開も視野に入れて活用を進めていくという。
現場情報をリアルタイムで把握、工事品質・働き方も改善
次に、ANDPAD導入後の変化について清水様に伺った。
「紙での情報管理から脱却できたことが一番の変化だと思います。以前は工程表も資料も紙で管理していたため、会社や現場に行かないと内容が確認できませんでした。今はANDPADを開けば、工程や段取りの変更をリアルタイムで確認できます。案件ごとのフォルダで報告書や図面、現場の写真も見られるようになり、タイムロスが解消されました。また、今までは電話やメールで各担当者が1対1でコミュニケーションをとっていたので、担当外のことはお互いに分からない状況でした。ANDPAD導入後は、全員が確認できるチャットで工事の進行状況を共有できるようになり、『こうやって話を進めたほうが良い』『前に工事した時はこうだった』といったコミュニケーションが自然と生まれるようになっています。」
現場の最新状況に加え、各担当者が持つノウハウや経験値もANDPADで共有できるようになり、同社では段取りの抜け漏れが減少。「元請け企業への対応や工事の品質向上にもANDPADが役立っている」と清水様は話す。
「以前、重機に不具合が発生したときに、施工管理担当がすぐにANDPADで状況を報告し、今後の対策を共有しました。それを確認した営業が、お客様に第一報を入れたことで、クレームへと拡大せずにおさめることができました。気になった箇所は何でも写真に残しておくことで、関係者間の『言った・言わない』も減ってきています。」
また、働き方にも新たな変化が生まれてきたという。
「これまでは直行で現場に出勤しても、報告書作成や会議資料のとりまとめのために本社に寄ってから帰宅する社員が多くいました。今はANDPADから報告も資料共有もできるので、現場から直帰できるようになり、プライベートの時間も確保できるようになったと思います。」
土木業界の未来を見据え、若手の育成に力を入れる清水様。現在は、新卒社員とともに企画部署「あそ部(あそぶ)」を発足し、企業理念の見直しや研修の充実化、土木業界の魅力発信にも取り組んでいる。
「仕事もプライベートも“余裕=あそび”を持って楽しめる会社、また、自分たちがさらに成長していける“伸びしろ=あそび”がある会社でありたいと思い、『あそびを大切に』という価値観の浸透を進めています。当社が手がける基礎工事は、竣工後は地下に埋まってしまったり、撤去されたりして、目には見えなくなってしまうものです。ただ、私たちの仕事はたしかに社会を支えています。今後は、本業に邁進しつつ、土木工事・基礎工事の魅力を発信して業界を盛り上げ、一緒に働く人材を増やしていきたいです。」
最後に、ANDPAD導入を検討している土木業界の企業に対してメッセージをいただいた。
「最初は建築業界向けのアプリだと考えていたので、自社で上手く活用できるか不安もありましたが、ANDPADはサポートも手厚く細かいカスタマイズにも応えてくれるので、徐々に使いこなせるようになってきています。現場情報のデータベース、社員同士のコミュニケーションツールとして、土木業界でも役立つものだと思います。」