クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」の活用が、不動産業界でも広がっている。開発分野でも採用が進んでおり、その先駆となったのが横浜に本社を置くディベロッパー・フロンティアハウスである。同社は不動産投資物件の開発および賃貸管理を主軸とし、マンション、アパート、賃貸併用住宅、戸建て、土地売り、中古収益など幅広い不動産商品を手掛けていることを特徴としている。それらの多岐にわたるプロジェクトを「ANDPAD」を使うことで施工管理や原価管理・受発注業務の改善を図り、基幹システムとして運用しているという。
データの共有が進み、業務の連携がスムーズに
――「ANDPAD」をどのように活用していますか。
浅井 われわれは、土地を買って建物をつくることを基本に、投資用の1棟賃貸物件などを扱っています。そのため木造・非木造の新築プロジェクトにおける現場管理や、解体・造成・設計施工などの発注業務、原価管理などに利用しています。
――導入時期を教えてください。
浅井 2021年初頭です。その頃、扱う棟数がすごく増えており、これを機にDX化して、業務の改善や効率化に取り組もうと考えました。そこで「ANDPAD」なら、施工管理もさることながら、「ANDPAD引合粗利管理」という機能を持ち、当社で使用している会計ソフト「勘定奉行クラウド」とも連携すると聞いて導入に至りました。実は当社では、煩雑なお金回りの業務に課題感を抱えていたのです。
――課題といいますと。
浅井 以前使っていた原価管理ソフトが非効率で、発注書等を紙に印刷して郵送するなど、アナログな部分に手間と時間がかかっていました。また、共有データとして保存していてもデータを上書きしてしまったり、書類が紙なので紛失してしまうというリスクもあったのです。
――「ANDPAD」の導入で課題は解決されましたか。
浅井 はい。事業の情報が「ANDPAD」で一元管理されるため、工務の現場から経理、経営サイドまで、関係者はすぐにすべての情報を確認することができます。確実なデータの共有化が進んだことで、担当者が不在でよく分からないということもなくなり、他部署の人でも「ANDPAD」を見て即座に対応できるなど、いわゆる属人化が解消されました。それに、各業務が効率化されたことは、やはり生産性の向上にとって大きいですね。
――効率化された点についてお話しください。
浅井 当社には受発注全体の事業収支を管理するソリューションデザイン部があります。そこの担当者は、見積もりから請求管理、原価管理に至るまですべてのキャッシュフローがデジタルで可視化できるようになり、オンライン上で完結するため作業効率がかなり上がったと言っています。多部署への確認のため離席することもなくなったそうです。
増井 施工管理でも役立っています。今までは図面一式や工程表、デジカメなどを持ち歩いていましたが、すべての情報や機能が「ANDPAD」に入っているので、スマホ1台で事が足ります。竣工済み物件も含めすべての物件の情報はその場で閲覧でき、ペーパーレスになったことで書類の紛失がなくなり、職人さんや他のスタッフとの意思疎通も円滑で明確になりました。それに、遠隔でコミュニケーションができるので、現場と会社を行き来するための時間的なロスも減っています。
浅井 原価管理も、契約時から実行予算、生産完了まで節目ごとに一元管理されるので、粗利の推移を随時確認できます。また、「ANDPAD引合粗利管理」機能の導入時に、それまでの紙の書類のやり取りなどアナログな業務をデジタルに置き換え、プロジェクトの種別ごとのテンプレートをつくったのですが、これが既存業務を見直すきっかけとなり、ワークフローが合理化されたと感じています。
――今後「ANDPAD」をどのように活かしていきたいですか。
浅井 当社では「ANDPAD」を基幹システムに据えていますが、事業が多岐にわたるため、まだ運用していない部署や業務もあります。その社内連携をさらにスムーズにしていきたいですし、新規事業にも「ANDPAD」を利用したいと考えています。「ANDPAD」は今後も機能強化やサービスの拡充を図っていくということですから、我々の新たな要望にも応えていっていただければと期待しているところです。
株式会社フロンティアハウスのご紹介
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-7-1 オーシャンゲートみなとみらい8F
電話:045-319-6345
HP:https://www.frontier-house.co.jp
事業内容:収益物件の企画・開発・建築/不動産の売買・仲介・買取り・リノベーションなど
(不動産テック.BIZ 11号に掲載されたものの転載)