自分が欲しい家にこだわり、地域で独自のマーケットを開拓
1917年創業の鍛冶屋をルーツに持つ同社。時代とともに事業をシフトしながら、4代目・堀江龍弘氏の代で、高性能かつデザイン性の高い住まいを建てる住宅メーカーへと成長した。この背景には、堀江氏が仕掛けたブランド戦略がある。
ホリエの商圏である山形県南陽市・米沢市は、建物に費用がかけられる「土地持ちの共働き世帯」が多いにも関わらず、ローコスト住宅が主流だ。そこで堀江氏は、高付加価値住宅に関心を持つターゲット層にアプローチ。デザインと品質に優れた住宅を最適価格で提供し続け、徐々に地域で受け入れられていった。
「家づくりへの信念をブラさずに戦ったことで、ハウスメーカーやローコスト市場とは違う顧客層を獲得できました。」と、堀江氏は語る。
ANDPADの活用によって根強い現場意識を変え、生産性を向上
以前は、1,000万円台の住宅を年間5~8棟を施工していた同社だが、現在では、平均単価3,000万円の住宅を年間40棟建てるまでに事業を拡大。ただ、年間棟数30棟を超えたあたりで、現場管理の課題に直面した。
「現場監督は、現場間の移動や事務作業に時間を取られ、電話やFAXがさばけず、進捗状況の把握もままならなくなり、職人から不満の声が上がり始めました。そこで、業務を見える化し、生産性を向上しようとANDPADを導入しました。」
導入にあたっては、まず社内での運用を徹底。職人からの報告にレスポンスを返す「朝夕30分のANDPADタイム」を設けるなど工夫を凝らし、ITツール活用の意義をしっかりと伝えた。社内・職人双方の利用が浸透してくると、協力会社からもANDPADの活用案が上がり始めたという。
「ANDPADを導入してから確認や意思決定にかかる時間がかなり削減できています。仕事の質を高めつつ、無駄な時間が省けているので、労務環境も改善し、プライベートの充実にもつながっています。」
高性能な住宅建築の質を担保しつつ、採用力も高める
同社では、住宅事業のリブランディングをきっかけに、レストラン事業やホテル事業などをスタート。県内外の人が集まる新たな場所の創造によって、新規顧客はもちろん、建築を志す若手人材との接点を増やす。特に人材採用においては、他社との差別化を意識し、「東北6県+新潟県」の建築学生を対象とする「建築設計デザインコンクール」を自社で開催。入社1年目の社員がこのプロジェクトを取り仕切り、学生の認知度を高めつつ、若手社員の活躍もアピールする。現在では、全国から優秀な若手が同社に集う。また、同社では、若手人材育成のために、さまざまなプロジェクトを実施。ミッション策定やリクルートなど、興味のあるものに参加することで、主体性やマネジメント能力を育んでいる。
「なるべく社員が自由にやれるように、サポート体制を整えていきました。ANDPADを活用することで、就業時間内に通常業務以外のプロジェクトにも参加できる時間を確保できています。」
実際に、2021年にオープンしたシェアラウンジ「ciel GREEN LOUNGE」は、若手主導で進めたプロジェクトのひとつだ。地方と建築業界を輝かせる、新たなチャレンジを続けている同社に、今後も引き続き注目していきたい。
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