atelier SUBACO(兵庫県神戸市)は、創業からわずか6年で年間20棟ペースの新築受注実績をあげているビルダーだ。限られた人数で効率よく業務をこなすため、2022年12月から「ANDPAD」を導入。2023年6月からは、顧客とのやりとりを管理するサービス「ANDPADおうちノート管理」も利用するようになり、顧客満足度の向上や紹介受注の獲得などの効果をあげている。その活用法について、代表取締役の深澤侑也さんへ話を聞いた。
「ANDPADおうちノート」導入の評価点5ポイント
- 紙の議事録は膨大な量になり、保管や持ち歩きも困難だったが、データ化することで検索しやすく、持ち運びやすくなった。
- メールやチャットなど分散していたお施主様とのやりとりが一元化され、連絡を見落とすことがなくなった。
- 過去の履歴やデータが残るため、「言った・言わない」のトラブルを防げるようになった。
- 「おうちノート」を通じて社内で顧客情報が共有されることで、担当者が代わっても引き継ぎが円滑になった。
- アフターサービスのための連絡ツールとしても活用に期待。
ANDPAD導入前は別の施工管理アプリを利用していたという。
「以前使っていたアプリは機能が限られており、実際には図面の共有くらいしか使っていませんでした。効率化を進めるため「ANDPAD施工管理」を導入しました」と深澤さん。
「現場への地図、工程表など図面以外の情報も社員、協力会社の間で共有できるようになりました。各自のスマホで情報にアクセスできるのが手軽でいいですね。いちいち不明点を問い合わせる手間もなくなり、お互いの意思疎通もスムーズになりました」(深澤さん)。
「もっと業務を一元化したい」という思いから、「ANDPAD受発注」「ANDPAD引合粗利管理」も導入した。その結果、「ANDPAD導入後は、工事内容に追加や変更が入れば、そうした詳細のデータが共有できるようになりました。実行予算を確定させた状態で施工に入れるので、コストや粗利がクリアになり、工程をスムーズに進められるようになりました」と話す。
水掛け論を防ぐ、きめの細かい対応がカギ
「当社の家づくりでは自由設計を基本にしており、お施主様のご要望を細かくヒアリングしていきます。信頼関係を深めていくためにも“言った、言わない“の水掛け論に陥らないように最大限の注意を払っています」(深澤さん)。
「SUBACO」という社名が示すように、同社の家づくりは延べ床30坪未満のコンパクトサイズの案件が中心。限られた面積の中でも自然素材を活用して豊かな空間を生み出す、洗練された設計・提案力がセールスポイントだ。お施主様からの高い期待を満足させるためにも、きめの細かい対応がカギとなる。
以前は、相互の思い違いを防ぐため、複写式の議事録を施主と自社で保管していた。しかし、打ち合わせを重ねるたびに用紙が増えていき、案件ごとに膨大な枚数になり、その管理に追われていたという。
そこで同社では昨年「ANDPADおうちノート」を導入した。
「ANDPADおうちノート」は工務店とお施主様をつなぐコミュニケーションプラットフォームだ。案件ごとに専用のメッセージルームが自動生成され、契約から施工中、引き渡し以降もお施主様とチャット、資料・写真の共有が可能となる。“ANDPAD”とデータが連携しており、工事情報と合わせてお施主様とのやりとりも一元管理できることが特徴だ。
現場情報だけでなくお施主様との議事録やデータもANDPADに一元管理できるようになった
「アップされた資料や写真が無期限にデータ保管されるのがいいです。お施主様が勘違いしている事項があっても、アップロードされた議事録を元に“このときこういうお話でこう決まりましたよね“と示してトラブルを未然に防げます。お施主様やスタッフにとっても安心できるサービスですね」と。
また、社内で各案件の内容を共有されるため、「あのお施主様から問い合わせがあったようだから、返信を差し上げて」などと、社員がお互いに情報を把握し声を掛け合うシーンも見られるようになった。
工事報告のコミュニケーションにも変化があった。「導入をきっかけに基礎の配筋検査、断熱工事など報告するタイミングを細かく決めました。報告の回数が増えたことやチャット形式になることで返信もいただけるようになり、これまで一方的な“報告”だったものが“会話”になった感覚があります(深澤さん)。
最近では、お施主様が知人に「おうちノート」の画面を見せて、「こんなに丁寧にやってくれている」と説明する場面もあったという。「その画面を見て感心なさった方から新規のお施主様を紹介いただくこともありました」と深澤さんは早くも導入の効果を実感している。
災害時には、建築中の建物への被害状況をチャットにて報告し安心していただけたという。業務効率化だけでなく顧客満足度の向上にも役立っている
こうした施主とのコミュニケーションを促進する「おうちノート」について、深澤さんは今後、定期点検の連絡などアフターサービスに活用することも考えている。施主との密接な関係を維持していくことで、建て替えやリフォーム、紹介受注などに結び付けていくこともできそうだ。
この会社に聞きました
株式会社atelier SUBACO(https://www.subaco-jp.com/)
2018年11月に設立。従業員数13人。
「小さな家で心地よく暮らす」をコンセプトに、ひとりひとりの心地よさにこだわった家づくりを、兵庫県神戸市を中心に展開する。UA値は0.60W/㎡K以下を基準に設定、C値1.0㎠/㎡を下回る値を基準とし、全棟気密測定を2回実施して住宅性能を担保し、高気密高断熱住宅を実現する。
(新建ハウジング 2024年6月30日特別号掲載記事の転載)