株式会社乃一のご紹介
マンション大規模修繕工事、高速道路や橋梁等の塗装工事、戸建住宅の塗り替え工事・内装工事、管工事など、幅広い事業を展開している株式会社乃一様。本社を置く名古屋市を中心に、愛知県・岐阜県・三重県の東海3県で抜群の知名度を誇る総合リフォーム企業だ。2021年からは東京事業所も開設し、関東エリアでの受注にも乗り出している。
そんな同社は、マンション大規模修繕工事を担当する事業部の1部門にて、2024年よりANDPADの運用を開始。若手社員が中心となって利用の浸透を図り、約2ヶ月でANDPADの利用を軌道に乗せた。
今回は、株式会社乃一 代表取締役社長 乃一様、第三事業部 部長 安達様、ANDPAD運用推進者の市川様、轟様にインタビューを実施。ANDPAD導入の経緯、大規模修繕工事においてANDPADを導入するメリットなど、詳しくお話を伺った。
品質を第一に年間100棟の大規模修繕工事を施工
1軒の塗装店を出発点に、現在では東海エリアでトップクラスの実績を誇る総合リフォーム企業へと進化を遂げた同社。まずは、2024年12月に創業100周年を迎えた同社の歴史について代表の乃一様に伺った。
「当社は、塗装職人だった創業者が一人で起こした塗装店をルーツに持つ会社です。創業者は品質に強いこだわりを持っており、施主が問題ないと言っても、自分自身が納得できない時にはやり直し工事をしていたと聞いています。また、職人さんとの関わりも非常に大事にしており、その姿勢が事業拡大につながっていったと言われています。また、長年塗装業界全体の活性化にも力を入れており、3代目である現会長は日本塗装工業会の会長も務めさせていただきました。私は4代目として、「品質第一」「人とのつながり」を大切にする姿勢を受け継ぎながら、今後も売上や商圏を拡大していきたいと考えています。」(乃一様)
同社が手がける大規模修繕工事は、4戸ほどのアパートから200戸以上の世帯が暮らす大規模マンションまで多種多様だ。賃貸マンション・分譲マンションのほかに、ビルや病院、保育園といった施設の修繕工事にも携わっており、年間施工棟数は100棟にのぼる。大規模修繕工事部門は取引先や顧客ごとに事業部が分かれているのだが、今回ANDPADを導入したのが、安達様が率いる「第三事業部」だった。
「第三事業部は、地場のゼネコン様から依頼を受けて大規模修繕工事に取り組む部門です。小・中規模のマンションが中心で、年間20〜30棟を安定的に受注しています。お客様は、100年事業を継続している当社に信頼を寄せてくださっていますし、私たちの対応力も評価してくださっていると感じています。見積もりや資料を迅速に提出する、何かトラブルがあった時はすぐに駆けつける、マンションの資産価値が上がるような提案をする……など、当たり前のことを当たり前に行う姿勢が私たちの強みです。お客様から『難しい現場は乃一さんにお願いする』と言っていただくことも多いです。」(安達様)
写真整理・写真台帳作成にかかる手間が残業につながっていた
東海エリアでは「乃一」の社名は広く浸透しており、同社に寄せられる案件は増加している。その一方で、案件増加にともなって社員の業務が煩雑化し、残業も増えていた。なかでも「一番の課題は写真整理だった」と安達様は話す。
「私たちの事業部は常駐ではなく、現場を巡回して工事の管理にあたっています。そのため、協力会社に施工中の写真撮影をお願いすることも多いのですが、以前は写真の抜け漏れが多く、工事終了後に対応に追われることが珍しくありませんでした。竣工図書を作成するために1,000枚近い写真を整理する手間が残業につながっており、何とか効率化できないかと考えていました。」(安達様)
この課題を解決するために、安達様は写真整理に役立つツールの導入を検討。複数のツールを比較してからANDPADの導入を決めたというが、決め手になったのは何だったのだろうか。
「各社のWEBサイトを見たところ、対応業種のカテゴリに『大規模修繕工事』があったのはANDPADだけでした。大規模修繕工事や塗装業界は、まだDXが浸透していない業界なので、業界全体のDXに取り組んでいる姿勢に好感が持てました。以前デジタルツールを全社に導入した時に利用浸透まで長い時間がかかった経緯もあり、まずは残業削減に向けた足がかりをつくるためにも、全社一斉ではなく第三事業部からANDPADを試験的に利用してみようと考え、社長に導入を提案しました。」(安達様)
「当社としても採用活動には力を入れていますが、今後は少ない人数でも業務に対応できる生産性の高い体制づくりが欠かせないと感じています。そんな時に安達部長からANDPAD導入を提案され、まさに渡りに船だと思い、ゴーサインを出しました。」(乃一様)
ANDPADを深く理解した若手社員から若手職人に働きかけ、早期の利用浸透を実現
ANDPADを導入するにあたって、安達様はまず第三事業部の若手社員2名、中堅社員1名を運用推進者に任命した。一緒に運用に取り組むメンバーに若手社員を抜擢したのは、なぜなのだろうか。
「運用を任せた社員はITを得意としていましたし、若手のほうがITに馴染みがあるので、推進者には最適だと考えました。また、アナログな業務を整理してデジタル化を進めていくプロセスを成長の機会に繋げてほしい、といった教育的な側面もありました。」(安達様)
同社の協力会社には、まだスマートフォンを利用していない職人も多いという。特に、「親方世代がITに苦手意識を持っており、利用が進むかどうか懸念もあった」と安達様は話す。そこで、運用推進者を任された市川様と轟様は、まずは自分たちが徹底的にANDPADを使いこなし、理解することからはじめたという。その上で、ANDPADの利便性を根気強く伝えていった。
「現場に直接足を運んで職人さんに使い方を教えたり、職人さんに使い勝手を聞いてアンドパッドの担当者へフィードバックして、より使いやすいように改善を進めてきました。私たちもANDPADの利便性を実感したので、ぜひ一緒に使いたいと思って根気強く伝えていきました。」(市川様)
「私たちと同世代の職人さんはスマートフォンを使い慣れています。ANDPADもすぐに感覚を掴んで使いこなせるようになっていった印象です。」(轟様)
「ANDPADを使用するのは親方世代ではなく、若手の職人さんや番頭さんなので、こうした世代にANDPADを使うメリットを伝えてくれたことが功を奏したと思います。当社に写真を提出するために写真整理をしている番頭さんもいますが、『自分の負担が減った』ととても喜んでいます。」(安達様)
3日間かかっていた写真整理業務が2時間で終わるように
市川様や轟様が地道に働きかけを続けたこともあり、同社では本格的な運用開始からわずか2ヶ月程度でANDPADの利用が浸透した。現在では、CSVファイルで作成した黒板情報をあらかじめANDPADに読み込ませ、協力会社は表示された黒板通りに写真を撮影する流れが定着している。では、写真撮影・整理にかかる時間がどの程度短縮したのか、ANDPAD導入による成果を伺った。
「例えば、140戸ほどのマンション大規模修繕工事の場合、写真の総数は2,000枚から3,000枚にのぼります。以前は、写真整理や台帳作成に2~3日間ほどかかっていましたが、現在では2時間で済むほど効率化されています。以前は手書き、ホワイトボード、フリーソフトの黒板アプリなどが混在し属人化していましたが、今はANDPADに統一されたので写真の判別もしやすくなり、写真の抜け漏れもすぐに分かるので指示もしやすくなっています。」(安達様)
指摘事項の記録・とりとまとめが大幅に効率化、2名での検査体制が1名で対応可能に
写真整理においてANDPADの効果を実感した同社は、さらなる効率化に向けてANDPAD図面の活用をスタート。ANDPAD図面の仕上検査機能を用いて社内検査を行い、是正が必要な指摘箇所の確認と記録を行っている。
これまでの社内検査は、事前に図面の平面図や立面図を表計算ソフトに貼り付けて印刷し、現場に持参していた。検査は2名体制で行い、1人は是正を指摘し、1人が図面に書き込みをして記録を残していった。その後、手書きの是正記録を表計算ソフトへ入力し直し、協力会社ごとにまとめた「手直し表」を作成して送付していたという。
ANDPAD図面の仕上検査機能の活用で、まず図面をANDPADに登録して検査項目をインポートするだけで事前準備が完了するようになった。また、現場での検査中は、是正箇所の図面をクリックして指摘内容を入力し、あわせて写真も撮影するようにした。記録した内容はANDPADから協力会社別にデータを抽出できるようになっている。
「ANDPAD導入後、指摘事項の記録やとりまとめ、書類作成業務が大幅に効率化し、業務時間を約63%削減できました。また、2名体制で行う検査業務を1名で対応することも可能になっています。ただ、先輩と後輩が一緒に現場を回って納まりの確認などを指導してきたため、今後1名体制へ移行するかどうかは現在検討中です。」(安達様)
「これまでは指摘事項を共有する際に、手直し表を送ってから協力会社さんにそれぞれ電話をしていたのですが、ANDPAD図面を見れば写真と一緒に内容が確認できるので、電話をかける必要がなくなりました。電話によって協力会社さんたちの手を止めることもないですし、是正事項の共有がスムーズになって対応がスピーディーになりました。」(市川様)
KY報告、資料確認にもANDPADを活用
現在、同社ではこれまで紙で運用していたKY報告の提出にもANDPADを活用。現場に入った協力会社から、当日の入場人数・作業内容の報告を受けたり、注意事項の伝達をANDPADを介して行っている。
「職人さんたちに報告機能を使ってもらえるか不安がありましたが、使用方法を説明した翌日からすぐに報告が上がってくるようになって驚きました。紙に記入する手間がなくなって職人さんたちも楽になったと思いますし、私たちも各現場の番頭さんに電話をかけて確認する業務がなくなって効率化が図れています。」(轟様)
また、轟様は現場ごとの仕様書や明細、図面などもANDPADの案件に格納しているという。
「たくさんの資料を抱えて足場にのぼる必要がなくなったのがありがたいです。現場でゼネコンさんや協力会社さんから質問を受けても、すぐに資料が確認できるので、その場で回答できるようになり、新人の私には大きな助けになっています。」(轟様)
10年後の年商100億円を目指し、今後もDXを推進していく
100周年を迎え、次の100年に向けて歩みを進めている同社。今後事業を拡大する上で「DXの推進も重要な施策のひとつ」であると安達様は語る。
「現在、当社の年商は60億円程度ですが、これから10年で100億円規模へ成長できるように商圏を広げていきたいと考えています。採用も強化していきますが、ANDPADの活用をはじめとするDXによって生産性を上げ、目標達成を目指したいです。今回のANDPAD導入は、私たちにとって大きなチャレンジでした。ですから、運用を進めてくれたメンバーには感謝していますし、今後もぜひ当社のDXをリードしてほしいと考えています。」(安達様)
「私生活ではインターネットやアプリを当たり前のように使っていましたが、当社に入社してからは何の違和感もなく紙で業務を進めていました。ただ、ANDPADの導入が決まってから業務を振り返ってみると、まだDXが全く進んでいないことに気づき、私たちのような若い世代がDXを進めていくのが非常に重要だと感じました。安達さんは若手の視点を大切にしてくれて、新しい提案も積極的に受け入れてくれます。今後も若手だからできる取り組みを進めていきたいと思います。」(轟様)
最後に、乃一様と安達様に今後の展望を伺った。
「以前システム導入に苦労した経験があったため、今回のANDPAD導入も難しいかもしれないと考えていましたが、思った以上に利用が浸透して成果が上がりました。今後は、培ったノウハウを活かし、他事業部へも水平展開していけたらと思います。」(乃一様)
「大規模修繕工事や塗装工事の業界全体が活性化するためにも、当社がANDPADを活用してきて得られた成果を知っていただき、DXの裾野を広げていけたらと考えています。今後はアンドパッド社と協力して、大規模修繕工事向けのANDPADの機能改善にも関わっていきたいです。」(安達様)