株式会社根本建装様のご紹介
神奈川県横浜市を拠点に、塗装・吹付工事や耐火塗装工事、超高圧洗浄工事などを手がけている株式会社根本建装様。自社職人35名に加え、常時50~100名程度の協力業者を抱えて塗装工事を行う、業界内でも最大規模の職人集団である。根本建装様が携わる建物は、新国立競技場や横浜スタジアム、人気テーマパーク、超高層タワーマンションなど、後世にも受け継がれるような大型物件が中心だ。丁寧で質の高い塗装を確かな技術で行うことによって、建物の価値を高めている実力派企業である。
今回は、社長・根本勝美様のもとで、幼少時より建設業界の変化を体感されてきた、専務取締役・根本 勇也様に、ANDPAD導入の経緯やメリットについて、熱く語っていただいた。
塗装工事に求められるレベルが高くなったことで現場管理が困難に
新国立競技場やオリンピック選手村といった大規模プロジェクトに次々と参加し、実績を残している根本建装様。建設業界の最前線で、難易度の高い新築物件に取り組み続けてきたからこそ、根本様は近年、塗装に対するニーズの変化を実感されているという。
「5~10年前に比べて、最近は塗装によって建物をより美しく見せたいというニーズが増加しています。例えば、デベロッパーとデザイナーがタッグを組んだタワーマンションの案件では、1フロアごとに色のトーンを変えて塗装してほしいと要望をいただきました。また最近でも倉庫の壁面塗装に10色を使用し、カラフルに仕上げたケースもあります。建物の資産価値を高めるために、細かい演出が要求されるようになりましたね。」
塗装工事に求められるレベルが高くなるにつれ、ゼネコンや施主からはメールで頻繁に資料や指示が送られてくるようになったそうだ。
「意匠にこだわった塗装工事の場合、色が細かく指定された図面をカラーで出力し、職人一人ひとりに渡して作業指示をしなければなりませんでした。現場に多くの資料を持参し、作業前には図面を広げて、色を確認する作業も手間になっていましたね。また、いざ現場に入ったら、最新の資料が自社へ届いておらず、お客様に一から説明していただく事態も発生していました。」と根本様。
また、大規模プロジェクトにおいては、竣工後のリニューアル工事まで任されるケースも多いという。5~10年といった長期スパンで現場に関わるため、将来のメンテナンスニーズや修理対応にも備える必要があったと根本様は語る。
「塗料メーカーや販売店には、出荷した塗料のデータを2年間は保存するというルールがあります。2年を過ぎるとデータは無くなってしまうので、当社では、物件の詳細や使用塗料について紙で記録を残してきました。しかし紙の資料の量は増え続ける一方で、情報管理の面でも、紙ベースでの管理に限界がきていました。」
そこで根本様は、スマートフォンの無料コミュニケーションアプリを使って、情報共有を行う取り組みをスタート。物件ごとにグループを立ち上げていったが、1日1現場ずつ増えていくような状況で、確認が追いつかなくなってしまった。
「家族や友人とも使うコミュニケーションアプリだったため、仕事で使うのは難しかったですね。この状況を変えたいと色々調べていく中で、ANDPADに出会ったんです。思い切って導入に踏み切って本当に良かったと思っています。」と根本様は当時を振り返る。
塗料メーカーも巻き込んでANDPADを活用し伝達ミスを削減
根本建装様では、ANDPAD導入にあたって、まずは職長全員にiPadを支給した。しかし、先輩の職人に利用が浸透するまでには、苦労もあったという。
「若手は抵抗なく利用できていましたが、先輩の職人にANDPADを活用してもらうのが、最初は大変でしたね。私は、使って楽しいと感じなければANDPADは定着しないと考えていたので、まずANDPADに慣れてもらうために、チャットを活用するようにしました。現場の状況レポートや、新人の成長ぶりなどをそれぞれアップしてもらって、少しでも興味を持ってもらうようにしたんです。SNSの利用に長けている女性スタッフにも、積極的にチャットするようにしてもらいました。そうしたら徐々に先輩の職人も、自然と返信をするようになったんです。みんなが気軽にコミュニケーションをとれようになったのは 最大のメリットじゃないでしょうか。」と根本様は語る。
オンラインインタビューにご対応いただいた根本様
ANDPADの導入によって会社の信用度が大きく向上した
ANDPAD導入から2年。根本様は、社員や協力業者が、ANDPADを利用することに慣れてきたことを肌で感じているという。ANDPADの導入がもたらした変化について根本様はこう語る。
「お客様の指示や要望をANDPADに落とし込んで、分かりやすく整理をしてから職人へパスを投げられるようになりましたね。最新の色分け図をANDPADにアップすれば、職人全員にすぐ共有ができるのもありがたいです。以前は打ち合わせのために何度も現場に通っていましたが、今は訪問しなくても職人たちと密なやり取りができています。カラーの色分け図を配布する手間もなくなり、ミスも減りました。」
物件写真、色分け図、塗料の出荷情報もすべてANDPADに残っているため、問題なくアフターメンテナンスに対応できるようになったことも、ANDPADを導入したメリットだという。
また、職人たちの間に自発的な姿勢が生まれたことが、ANDPAD導入後の大きな変化だったと根本様は語る。
「ANDPAD導入前は、決定図や施工要領書を事前に紙ベースで職長だけに渡し、作業を開始していました。今は事前にANDPADに全ての資料がアップされているので、前もって現場に入る職人全員が資料を読み込んで、作業イメージを描いてから現場へ来てくれるようになりました。最新の決定図や要領書が入ったiPadを持ち、お客様の要望を的確に理解した上で、職人たちが作業をはじめるので、ゼネコンさんに驚かれることも多いです。また、日報で各現場の様子が分かるので、急遽人手が足りなくなった時も、それまでの経緯や状況をチャットで事前に理解してから応援に入ることができるようになり、各現場が柔軟に連携し、生産性は向上したと言えます。ANDPADによって、当社のお客様からの信用度は確実に上がったと思います。機密情報を取り扱うことも多いので、セキュリティ面での安心感もあります。」
根本様が職人への情報伝達にかける想いが強いのは、根本建装様を立ち上げた社長・根本 勝美様(父)の手伝いをした幼少期の経験が大きいという。
「30~40年前は、携帯電話やFAXさえもない時代。毎日夜20時に現場の番頭さんから、自宅に電話がかかってきていましたね。社長が不在の時は、私が現場住所や必要資材などの情報をメモして伝えていたこともあります。当時から職人の社長(父)の段取りの仕方を見ていたこともあって、今後もっと職人達の環境を良くしたいという想いは強いです。今は新しいアイデアをひらめいたら、まずANDPADで実現可能かどうかを検討していますね。ANDPAD最大の魅力は、自分でカスタマイズできること。使い方の可能性は無限大です。」
そんな根本様は今後、ANDPADの機能を活用して、職人の技術力も可視化したいと考えているという。
「空調服の登場やテクノロジーの進化によって、職場環境は以前よりだいぶ改善されてきました。今後もっと日本の若者が職人になりたいという環境にするために、資格以外の基準で、技術力を評価できる仕組みをANDPADで作れないかと考えています。実力はあるけれど評価されないといった悔しさをすくい上げ、職人のレベルアップを促したいです。」
2020年の東京五輪を目指し、建設業界の第一線で走り続けてきた根本建装様も、コロナ禍の影響を受け、環境の変化を実感されているという。今後もANDPADを活用し、一つひとつの仕事に丁寧に向き合っていく構えだ。現場の職人を大切に、生産性向上に取り組み続ける根本建装様に、今後もぜひ注目していきたい。